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2003/11/23

地図屋の神髄を見た日、ハロが来たぞ

 2003年11月22日。いい夫婦の日。女房と二人で上野へ出かけた。上野の国立博物館で開催されている、『江戸開府400年記念特別展 伊能忠敬と日本図』という特別展示を見に行ったのだ。恩賜公園のあたりは天気のいい日に歩くと楽しいが、その中でも、怪人二十面相を捕らえた明智小五郎と小林少年を前に少年探偵団の子供たちが玄関前で万歳を叫んだというクライマックス・シーンで知られる博物館は、個人的に上野公園三大名所の一つだ。
 さて、そこで開催される『伊能忠敬と日本図』だが、アメリカで新たに発見された物を含め、所在の解っている伊能図を、可能な限り集めようとした展示だ。
 そもそも伊能図と呼ばれる物は、基本的に三種類ある。大図・中図・小図だ。 伊能図の縮尺はは大図(1/3万6000)、中図(1/21万6000)、小図(1/43万2000)で、大図は214枚、中図は8枚、小図は3枚で、それぞれ日本全土の海岸線と主な内陸街道筋・島嶼部を覆っている。もちろん、これは、計測時に記入して行った原図ではなく、出版物というか、人に見せる物として整理をし丁寧に清書されたものだ。小図の1/43万2000と云っても、日本列島2千数百キロを納めようとすると、2500キロと概算して約5.8メートル。中図で11.6メートル。大図でなんと69.4メートルとなる。そのため、日本全土を表す物としては小図が、関東とか、九州とかの、地方図として表すものとしては中図が主に用いられ、大図は郡や村の名を詳細に記した局所図となる。
 今回、最大の見物は、関東・中部圏を中心に、広い床面に小図を並べて作った巨大な日本地図だ。1キロが約2.8センチという巨大さは、経験してみないと解らないかも知れない。直径で40キロ以上ある湾や湖沼は、地図上で1メートルを超える訳で、人一人が座り込んで周りの地名を詳しく見てゆける広さだ。その巨大なところに、信じられないような細字で村落名が綿密に記載されている。自分の出身地で確認してみると、字の単位で地名が書き込まれており、作成者のこの地図にかける執念を感じる。日本列島というこの広大な物を、山河も人の暮らしもすべてを綿密に紙上に留め、明らかにしようと云う、地図製作者の高邁な意思が天辺にあり、静かで平坦だが17年と云う非常に長期にわたって続けられたあくまでも執拗な作業への傾倒が底辺をしっかりと固めていることが、紙面からにじみ出て来る。
 頂点に頂上が来るように日本画の技法で山を描く手法は、等高線と云う手法や、高低差を計測する機器のない時代に、それでもそこに山があることを表そうとした、地図屋の執念だ。その頂点の位置を計測する為の多くの地点からの方位線が山頂に重なっている様は、視認的・主観的な絵地図ではなく、科学的・客観的な地形図を描くための手段を、持ち得る知識と知力の限界まで模索した帰結でもある。伊能忠敬は、日本中を計測して歩いた人として名が轟いている。たしかに、その基礎データの収集を行う苦労は、筆舌尽くし難いことの連続だと判っている。しかし、地図描きの神北としては、そのデータを、自分の持つあらゆる手段の中で最も有効な手法を見つけ出し、あるいは編み出して、出来る限り情報量を持たせた、それでいて直感性も維持した地図を描いたという、「描く」部分にこそ、伊能忠敬の神髄がある気がしている。
 伊能大先輩、アンタも、俺と同じ点で苦労してんなぁ。地図屋の戦いは、情報量と紙幅との戦い。いつの日も変わんないぜ。
 もう、そんなに後がないが、この特別展の会期は2003年10月31日(金)〜12月14日(日)だそうだから、機会があれば是非、上野の山に行ってみてほしい。

 さて、伊能図を堪能した後、上野公園を抜け、上野の街に出た。上野公園では相変わらず、キリスト教系らしい団体がホームレスっぽいおじさんたちを大量に集めて説教をしている。説教の後に食事の施しでもあるのだろうか、神妙という風でもないが、静かに座ってみんな聞いている。せっかくここまで来たからと公園内の上野精養軒のお品書き見たが、ひとり二千円〜五千円と書いてある。夫婦して、アイコンタクトでスルー。昼飯にちょっとねーという訳だ。結局は、上野のガード下にあるあまり知らないファーストフードの店でネギトロ丼を食す。5〜600円で大満足。こういう生ものの店は、大量消費が見込めるところでないと広まらないかな。でも、チェーン展開で近所に来てくれると嬉しいぞ。
 上野から、御徒町、秋葉原と歩く。だからといって、上野で米軍放出品を見たり御徒町で宝飾品を見たりはしない。そのあたりはたんなる散歩の経路。目的は秋葉原。女房が欲しがっているMP3プレイヤーを見に行く。LAOXザ・コンピュータ館で、ずらぁと並んだプレイヤーを見る。小さな物は、本当に小さい。イヤホンジャックが抜けたらカバンの中で行方不明でなりそうなほど小さい。ただ、まだ機能と値段のバランスで、使い物になるのは二万円前後から上ということが判った。ちょっと予算オーバー。どうしたものか。
 代案として、MP3プレイヤーの付いた携帯はどうかということで、J-Phoneショップ(って、今はボーダフォンショップなんだけどさ)へ。今の携帯は、夫婦揃ってここで買い、おなじくここで電池を二度替えているから、たぶん二年半か三年使っている計算になる。電話としては何の不足もないが、そろそろ新機種に買い替えても罰が当たらないぐらいは使っている。この携帯をMP3機能のついたJ-SH53という機種に安価に変更できないかと考えたのだ。しかし、残念ながら、既にJ-SH53は販売を終了していた。後継機は12月に出るらしいが、200万画素のカメラ機能が付くので、初期の買い換え価格は1万円台後半ぐらいはするらしい。MP3機能とカメラ機能は、使う層が異なるだろうから、旧来の100万画素のカメラでいいのでもっと安価にしてくれると嬉しいんだがなぁ。
 かくして秋葉原でMP3プレイヤーと携帯電話を見て、プリンタ用紙を見て、その他いろいろと遊んだあげく、最終的には駒八へ。我々の中で駒八といえば、第39回日本SF大会Zero-CONの実行委員会の会議の後で、スタッフの陰山くんが「くんくん、おいしいお酒の匂いがする。ここの店はきっと旨い!」と発見した、JR秋葉原駅の昭和通り口から5分ぐらいのところにある居酒屋、駒八秋葉原店である。以降、土曜日のスタッフ会の後と云うと必ずここで、2000年8月の大会終了後も、毎月一回、駒八会と称する宴会が続いている。この日は、近くの公共施設で2006年の大会の準備会が開かれたので、誰かここに来ているだろうと踏んで熊倉君に電話。出ない。きっと、地下に入っているからだろうと行ってみる。「いらっしゃいませ〜」と声をかけてくれた店員さんが遅滞なく「……いつもの場所で〜す」と教えてくれる。完全に顔を覚えられているのだ……。
 前回の駒八会で、熊倉くんが持って来た知恵の輪が大ブレイク。マッチ棒パズルや数字ゲームに移行し、全員が頭を捻ることになったのだが、今回は、駒八会ではないものの先日ハマったという金森君が新しい知恵の輪を3つばかり買って来た。キャストパズルというシリーズで、その名の通りキャスト(鋳造)で作られたガッシリしたものなので、ハリガネを曲げて作った昔ながらの知恵の輪のような、力でこじ開けるということは絶対に出来ない。なんだか、お酒も飲まずにダラダラ汗を流しながら知恵の輪に向かっているメンバーが続出。うーむ。
 この駒八回で、熊倉君の奥さんから、うちの女房にぜひプレゼントしたい物があると云う。後で持って来るからといっていた、それを見せられてびっくり。全高40センチ以上、全幅70センチは越えようかと云う、超巨大な緑のかたまり。超巨大ハロなのだ。
 機動戦士ガンダム第一話で、待避壕に避難するフラウとアムロのエレカに乗せられていた、絵としての比率がとても巨大なハロ。あの大きさをも軽く超える、超巨大ハロだ。実質上、一般民家の廊下を塞ぐぐらいの横幅は確実にある。UFOキャッチャーの景品らしいが、あまりにも大きい。
 ありがとう、熊倉夫妻。有り難く頂きました。
 さて、それからが一騒動。巨大なビニール袋に入ったそれを僕が肩に担ぐと、ハロの顔がちょうど背中に来る。ヒゲのおじさんが、サンタクロースの袋ほどもある緑色のものを担いでいれば、駅を歩いていても電車に乗っても、人目を引かぬ訳がない。結構な人が呆れて振り返っていたようだ。
 かくしてハロは、我が家に収まった。女房は、家中のハログッズを並べて写真に撮るんだと張り切っている。さぞや、壮絶な絵になることだろう。

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