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2004/01/17

新時代が来たぞ

 イラストレーターとしての神北恵太が、最も多用するツールは、いうままでもなく Adobe Illustrator だ。その Illustrator が、ついにバージョンアップした。前のバージョンアップが一昨年秋だったから、一年数ヶ月ぶりということになる。
 今回のバージョンアップは、 Photoshop・InDesign・GoLibe・Acrobat Pro 等に、 Version Cue という、ファイル管理システムを付加して、『クリエイティブ・スーツ』という名前で一本に纏まった。超弩級艦がゴロゴロしている旧帝国海軍の連合艦隊みたいなもので、バージョンアップ料も128,000円(5パーセントの消費税コミだと134,400円)と、こちらも超弩級。もちろん、いろんな裏技を使って出来るだけ安く買う。まずは、アドビショップより安価なLA-OXで予約。その上、温存してあった、三ヶ月ほど前にOSXの3本目のバージョンアップ10.3を購入したときのオマケにもらったネイティブソフト10パーセント引き券を、ここぞと投入。さらに LA-OXの予約得点の1万円分商品券をその場で投入して、11万飛んで9百ナニガシ円まで押さえ込んだ。差額でちょっとしたソフトが買えるってェもんです。

 1月16日、仕事で松戸のガンダムミュージアムに取材した帰り、早速、秋葉原へバージョンアップ版のソフトを買いに行く。モビルスーツからクリエイティブスーツ。スーツスーツの一日である。
 帰って来て、早速インストール。いままでも主要ソフトの詰め合わせセットはあったが、わざわざ『スーツ』として同時バージョンアップになっているだけあって、全てのソフトが一度にインストール出来る。しかし、アプリケーションフォルダ内に作られるフォルダ名が……
  イラストレーター  Adobe Illustrator CS
  フォトショップ   Adobe Photoshop CS
  インデザイン    Adobe InDesign CS_J
  ゴーライブ     Adobe GoLive CS_JPN
  アクロバット プロ Acrobat 6.0 Professional
  バージョン キュー Adobe Version Cue
……と、ひとつひとつ、ファイ名の付け方が違う。 Version Cue は特にCSに限らず、今後のアドビ製品のファイル管理の基幹にするつもりで、敢えてCSという名前が付けられていないというのも判る。今回、バージョンそのままでスーツに組み込まれた Acrobat が、フォルダの付け方が違うのは理解出来る。しかし、そのスタンダード版は『Adobe Acrobat 6.0 Standard』という名前になっているのだ。同じ製品の上のグレードと下のグレードで名前の付け方が違うのはなぜだ? モノによって無印の『CS』『CS_J』『CS_JPN』の3つの名前の付け方があるのはなぜだ?
 アドビという巨大企業では、一本一本のソフトの担当部局が各々、ちょっとした中小企業より大きかったりするのだろうから、連絡がとり難いのは判らなくはない。だが、折角、主要ソフト4本を纏めてバージョンアップするのだから、こういったネーミング規則ぐらいちゃんと統一して貰いたかったなぁ。

 インストールが終わったので、早速作動環境を整える。今日のトコロは、まずIllustratorだ。Illustratorのような多様な機能を持つソフトは、最近の傾向として、ドキュメント一つ作るのに関して、大量のパレットが使われる。その位置は、前回立ち上げた時に置いておいた所に今回もという形で記憶してくれる。このパレットを、どれをどこに置くかということは作業効率に直結するため、我々にとっては侍が刀を手入れするようなものだ。しかし、バージョンを変えた時や違うマシンに、この設定をそのまま移す方法はない。インストールされた所でそれらは全てリセットされてしまう。いろんな状態を想定し、右に左に、気を使って位置を決める。現在の環境は、 PowerMac G4 に液晶とCRTを各1、計2面を使っているので、主画面には出来るだけ広くドキュメントを開き、バレットの使用頻度を考えて、マウスの移動距離が多くなる副画面に配置してゆく。二画面あると、色やパターンのスウォッチ、カスタムブラシ、グラフィックスタイルなども、広めに確保出来る。
 次は、前のバージョンで使っていた自分のカスタム設定をいかに移植するかだ。Illustratorは、Startupファイルというドキュメントに入っているカスタム設定が、新規ファイルに引き継がれるから、新バージョンのStartupファイルを開き、スウォッチライブラリ等からその他のスウォッチとして古いStartupファイルを開き、せっせとメインスウォッチに移動する。色名『パープル』が『プラム』に変わっていたり、微妙に使い易い中間色が追加されていたりと、新しいStartupファイルもそれなりに
便利に作られているが、モノクロページ用に5パーセント刻みの濃度で用意したスミ(つまり白-灰色-黒)のセットや、汎用性が高いように自分で作った塗りつぶし用パターン、鉄道等の地図記号を設定したグラフィックスタイル、自分で作った筆描き用のカスタムブラシ等、様々なオレ設定を移送。
 ちょっと不満なのが、バージョン10までは、このStartupファイルのウインドウサイズが新規書類に引き継がれたのだが、今回はそれが出来なくなっていること。勝手に主画面の全面に広がってしまう。仕方ないので、タイトルバー上のボタンとファイル名の部分が隠れないようにパレットの位置を調整した。今まで当然のように出来たことが出来なくなっている。もちろん、最大に開くというのが便利な使い方の「一つ」であることを認めるにやぶさかではないのだが、なんだかちょっと不便になった気分。設定一つで選べれば良いんだけど、そういうボタンは環境設定の中には無いようだ。何考えているんだか……。
 なんとか最低限の設定が終わったので、さっそく完熟訓練に入る。すこし新機能を試してみる。

 一番、効果として面白いウリだと思っているのが、3Dツールだ。かつて、 Adobe Dimension という3Dツールがあって、これは3Dソフトとして、ビットマップを出力するにとどまらず、3Dで作った情景をIllustratorのデータとして出力できるという、とても便利なツールだった。CPUの早さもメモリ容量も今の10分の1よりまだ遥かに下という状態の1990年代初頭、ビットマップを使うことがそんなに得意でなかったIllustratorにとって、3Dの出力がベクトルデータとして得られるといいうことは大きく、Adobe Dimensionはとても便利なツールだった。しかし、いろんな3Dソフトが普及し、その吐き出したビットマップファイルをIllustratorのアートワーク内に配置しても動作が極端に遅くなったりしないぐらい、マシン性能も、Illustratorの機能も高まって来た1990年代後期、この便利なツールは消えて行った。神北も一応、最新版の Adobe Dimension 3.0 を持ってはいるが、OSXのネイティブソフトではないため、今となっては使い物にならない。そのため今は、どうしても Illustrator のベクトルデータとして3Dの絵が欲しい時、 Shade でモデルを作ってレンダリングしてビットマップデータを作り、それを Illustrator 上でハンドトレースし、グラデーションを使ってそれらしく陰影をつけるという、かなり原始的な手法を使っている。(当然、悲しくて、辛くて、切ないデスよ。)
 今回の3Dソフトは、その機能の一部をIllustratorのプラグインにしたものだ。一部機能は、旧 Dimension 時代より格段に進んでいる。ちょっと文字を3D化したいとか、アクセントを付けたいという程度の欲求に対しては、かなりちゃんとした回答になっていると思う。しかし、幾つもの部品を3D空間に配置し、それをカメラワークでぐるぐる回してアングルを決め、遠近感(望遠-広角)を調整するという、本格的3Dソフトの機能までは持っていない(ようだ)。
  私としては、この程度の3D機能ではかなり不満である。きちんとした3Dソフトとしての、 Adobe Dimension CS の登場を期待したい。

 というところで、まずはファーストインプレッション。まだ他の機能も試さなくては。

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