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2004/04/30

救い主は『イエスのビデオ』におわします……だぞ

『イエスのビデオ 上・下』アンドレアス・エシュバッハ/平井吉夫訳(早川書房 ハヤカワ文庫NV 各840円)

 イスラエルの発掘現場で発見された二千年前の埋葬遺体には、近代になって開発されたアマルガム系の詰め物をした歯科治療跡があった。そして、副葬品には、ビニール袋に入れられた、未だ発売されていない新方式のSONYのビデオの解説書が収められていた……。

 刊行から既に、一年と二ヵ月。いまごろまで掛けてゆっくり読んでいる奴は少ないかもしれないが、今日やっと、『イエスのビデオ』を読み終えた。ずーっとカバンの中に入っていた本だ。読むものがない時にたまに取り出して、ちろっと読んではまたしばらくカバンの中に入っていると云う、まあ、ローテーションの隙間を埋める本になっていたが、何が良いと一手、どこからどう読み継いでも面白いのだ。何段にも渡って張り巡らされた謎と、愛すべき登場人物たち。どこを取っても波瀾万丈。誰もが一癖も二癖もあり、最初から曝されているにも関わらずに最後の最後まで、事件の全容は判らない。
 設定はバリバリのSFだが、テイストは冒険小説。SF的な謎解きが物語の大きな転機にならないから、SFというよりは冒険小説として売られたのだろうが、緊迫した丁々発止、幾重ものベールに隠された真実は、読者の前になかなか姿を現さない。
 あなたがもし、長い時間飛行機に乗ることがあるなら、もしくは、長い旅の間、ちょっとずつの空き時間に本を読もうと思うなら、ボリュームと、謎と、アクションと、爽快感充分な本作を、とにかくお薦めしておく。

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