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2004/05/31

やはりソーシャルハッキングだったぞ

 ヤフーBBの顧客情報漏洩問題。やはり、ソーシャルハッキングである事が明らかになった。

 現在、ソフトウェアの不備を突いて、保護されたデータを取り出す事を、ハッキングなどという。そこに、高度な情報処理に関する知識が必要なのは云うまでもない。
 本来、高度なコンピュータ技術を持つ人の事を、「ハッカー」と呼び、そういう技術者が技術を使い、魔法のような便利なプログラムを書き上げる事を称して「ハッキング」と呼んだが、その当時、ハッカーやハッキングという言葉には、犯罪を意味する暗い陰は無い。単に、超技術者・超ゴキゲンなプログラミングという意味である。ところが、いつの間にか、ハッカーやハッキングという言葉には、システムの隙をついて悪い事をする人や、悪い事そのものを意味する言葉にされてしまった。
 ソーシャルハッキングというのは、そういうイメージが付いた後に生まれた言葉で、技術力を使うのではなく、社会的な(非技術的な)手段を用いてデータを取り出す事だ。
 一番簡単なのは、その人の使いそうなパスワードを予測する事だ。妻子やペットの名前・生年月日と云う組み合わせをパスワードにしている人はかなり多いらしい。
 次に簡単なのは、その人のコンピュータの周りに、パスワードが書かれた附箋が貼ってあったりしないか、見てみる事だ。日本の企業だけの問題ではないが、アカウントやパスワードを、コンピュータの側に置いているオフィスは、意外と多い。
 こうした、ちゃんとしたシステムでも運用がいい加減になっている事を利用して、機械ではなく人間の隙を突くことでデータをを取り出すのが、ソーシャルハッキングだ。
 たとえば会社で、その人がゴミとして捨てた定期検診の結果報告書を拾えば、生年月日と血液型など、改まって本人訊くのは何となく変な情報も簡単に手に入る。
 たとえばトイレに立った人が置いて行った背広の内ポケットの財布の中から、銀行のキャッシュカードを取り出して調べてみる。カードの裏面や、カードと同じポケットに入っている小さな紙片に小さく数字が4つ書いてあったら、それの組み合わせがパスワードである可能性が非常に高い。しかも、それがそのまま、クレジットカードのパスワードである可能性だってある。

 今回の、ヤフーBBの事件は、もっと単純だった。顧客情報を触る立場にあった元社員の口から、パスワードを聞き出したのだと云う。
 派遣社員だったというが、身分は問題ではない。派遣社員であろうが正社員であろうが、守秘義務というものをどう考えたかというだけの問題である。もちろん、秘密を守れない可能性のある人間を、重要部署に付けたという事でもない。
 本来、守秘義務等と云う、本人の善意や社会通念と云う、守らせる側の都合の良いモノに頼ったシステムを構築することが問題なのだ。
 打ち込み業務をしていたり、検索業務をしていて、自分が打ち込むデータや探したデータの内容が記憶に残ってしまうことは誰にでもある。これに関しては、守秘義務が必要であり、本人の資質が一番の問題にされても仕方ない。
 しかし、今回のことはそうではない。
 本来、アカウントとパスワードを着任時に個別に作り、退職・転属した人に関しては、すぐに削除するということを行っていれば、「前に勤めていた派遣社員からアカウント・バスワードが漏れる」なんていう心配はしなくていい。心配しなくていいから楽なのは管理部門だけのことでなく、退職・転属した当人にとっても、もう自分のアカウントやパスが悪用されることが無いのだから、気が楽だ。
 そういうちゃんとした運用をしておらず、既に部門に居ない人が使っていた旧いアカウントが残っていたばかりに、今回、とんでもない数の個人情報が流出することに繋がった。
 つまり、ただ単にヤフーという企業の中で、ちゃんとしたシステム運用が為されてなかったのだ。

 これが普通の会社であれば、まあ、気をつけよう、引き締めようで済むかもしれない。しかし、実際には、この企業は、他人の情報を預かることが商売のヤフーであった。企業やそこを含む企業グループが何を考えているかは別として、ヤフーというネット上のサービス自体は、ネット社会の根幹を成すサービスの1つだと思う。言わばインフラストラクチャーである。であれば、その根幹を成すインフラストラクチャーとしての責任というものが、自ずと発生する。
 要は、企業理論と、公共公益の理論のせめぎ合いである。そして、ここで企業理論が優先されるようなことがあれば、公共性を失ったサービスは没落せざるを得ない。
 この事後処理は、ヤフーの企業としての命運を左右する。是非、心して掛かり、企業として、サービスとしての信頼を、回復して頂きたいと思う。

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2004/05/30

一家に一台だぞ。

 高校時代に名乗りだしたペンネームで、今や本名より呼ばれる事の多いこの神北恵太と言う筆名。私以外にも神北姓を名乗る人は数人居て、まあ、神ファミリー健在というところなのだが。四半世紀も神北姓を名乗る以上、避けて通れない物がある。
 つまり、コレである。

Zambot3001

 超合金魂『無敵超人ザンボット3』

 こんな……、
Zambot3002

グラップは、組み替えで、上のブローにも、
カッターにも変化する。
……で、こんな……、
Zambot3003

後にあるのは、当然、イオン砲。バイオニックコンデンサーを
全弾直結すれば撃てます。ちなみに、我が家の担当は、このイ
オン砲の台座のガワタなのですが、付いていません……(ToT)。
 ……感じ。になってます。

 うーむ。久しぶりに超合金相手に燃えたぜ。もーじき43歳になろーってオヤジがよ……。
 で、思い出したのが、合体型の大物の超合金特有のビミョーな立て付けの悪さ。可動部と連結部のカタマリなので、手に持った時、ズシリとした感触とともに、ミシっとかいいながら各部が重さでたわむ感覚を、久々に思い出した。
 1万円台後半と云う、ベラボー!と叫びたくなるような価格設定なので、当然そのぐらいは出来てないと困っちまうが、ザンボエースの持つザンボマグナムの部品がほぼ全て劇中通りに再現されている事。ザンボットスリーの待つグラップが、差し替え式とはいえ、完璧に近いフォルムで再現されている事。そして、なんといっても、ほぼ不可能な筈の(放映当時に概念図を何枚も引いてみたから、間違いない)あの合体を、ほんの少しの新解釈だけでなんとか乗り切っていることが凄い。

 ちなみに、秋葉原では積んであった山がガンガン消えているようだ。いい時代だなぁ。機動戦士ガンダム25周年で騒いでいるという事は、取りも直さず無敵超人ザンボット3の27周年なわけで、まあ、随分来ちまったなぁと云う気がする。こんなに時間が経ってから、大人向けとはいえこういう玩具が成り立つとは、ホント良い時代になったものだ。

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2004/05/29

一本化するぞ

 ココログに移転を初めて、33日経った。大きな数ではないが、この間、こんないいかげんなブログに2600回以上のアクセスを頂いた。日平均約80件のアクセスだ。

 お読み戴いている方、有難うございます。
 この神北情報局は、あなたの心にぽっと明りを灯したり、ポッカリと黒い穴をあけたり出来ておりますでしょうか?
 あまり、数字という物を気にせずに、好きな事だけを好きなように書いているので、ちゃんと読める読み物系のブログ群とは随分やっている事が違うのかもしれないが、あまり読み物系のブログを見てないのでよく判りません。今後もこの調子ですが、宜しくお願いします。

 ココログでの公開からここまで、神北情報局は、BLOGERで作っている旧情報局と、ココログの新情報局の二つを同時に更新して来た。が、そろそろ旧情報局の方は役目を終えたかなという事で、更新を停止する事にした。しばらくは更新を止めるだけで、折角いろんなエンジンで検索できるようになっているログの本体は、残したままにしようと思う。また、もちろんBLOGGERのアカウントも、書き貯めたデータも残っている。今後、別の役割を得て新しい形で復帰するかもしれない。
 とはいえ、同じ物を二つの場所に書き込むのは、この発言で終わりとさせて戴く。

 ということで、もう一度、新旧の神北情報局のURLを明記しておく。

 旧 神北情報局 http://homepage1.nifty.com/K-taKamikita/blogger/blogger.html

 新 神北情報局 http://kamikita.cocolog-nifty.com/kia/

 こういう次第である、もし、まだ旧情報局でお読みだった方が居られたら、是非、今日を機会にブックマークを変更して頂きたい。
 また、ここの更新が止まった後に、何かを検索していて、偶然、旧情報局に至った方は、ぜひ、新情報局の方にお越しいただきたい。きっと、これまでと同じようなテイストで、さらに駄文を書き連ねている筈だ。

 旧情報局をご覧の方、あり難う御座いました。
 新情報局をご覧の方、今後とも宜しくお願い致します。

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2004/05/28

ミクロの安全圏だぞ

 MYCOM PC Webに、飲み込むだけのカプセル型内視鏡「M2A」にZarlinkのワイヤレス技術が採用という記事があった。Zarlink Semiconductor社の省電力ワイヤレス技術が、イスラエルGiven Imaging社のカプセル型内視鏡「M2A」に採用されたという話だ。
 で、カプセルって、どんなサイズなんジャイと思うと、意外と小さい。風邪薬のカプセルよりはちょっと大きいが、決して飲み込めないサイズじゃない。記事には写真も出ているので、見て欲しい。
 これならば、弛緩剤まで用意して、命がけ(大げさ?)でカメラを飲む必要はない。極めて安全な物である。
 とはいえ、電池を飲むというのは、カプセルが体内で割れるような事があったら、とっても危険じゃないのか? ……ご安心を。長野県の放送・医療機器メーカー アールエフが開発した「NORIKA3」という製品は、必要な電力を体外から無線で供給することでバッテリが不要になるのだそうな。
 医療関係の代物だから、今すぐ現場に投入という事はないが、次第にこういうモノも認可されて行く事になる。そして、医療ロボットはもっと多機能化し、もっと小型化してゆく。そうなれば、医療というのは随分変わるだろうなぁ。

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値段は確かに高級だぞ

 吉井宏くんは、盟友である。1989年、第二十八回日本SF大会ダイナ★コンEXを開催した実行委員会の仲間だ。この内で、後に東京に出て来たのは、たぶん15人ぐらい居るんじゃないかなと思うが、編集をしているWくん、Hくん、Oくん。絵描きをしている浅田(浅田隆)さん、吉井くん、そして図版描きの神北あたりが、主に出版がらみの仕事ということで、何かのチャンスで顔を会わせたり、共通の知り合いが多かったりする。
 その吉井くんが、最近よくわからなかった用語「ジークレー(ジクレー)」の定義を明確にしてくれていた。Hiroshi Yoshii _The Daily Workの、2004年05月14日●ピエゾグラフという記事だ。
 早い話が、「奇麗なインクジェット出力」なんやねー。

「ジクレー」も、ジクレーという種類のプリンタがあるわけでなく、 高級インクジェットプリントの総称ってことになっている。主に 「ジクレー」という単語が使われるのは、漫画家やあやしい画家の絵を インクジェットで複製して版画と称し、とんでもない値段で 売っている店などである。

 漫画家や怪しい画家の絵……。そーいえば、心当たりがある。
 かれこれ、7〜8年前になろうか。ある時、もう亡くなられた特撮やアニメになった漫画をたくさん持つ漫画家さんの展覧会があるというので、近所の駅前ビルのイベントスペースへ女房と二人で出かけた事がある。かなり大きな絵もあるが、異様に小さなA5サイズぐらいの、マンガのキャラクターを1人描いただけのような複製画でも、5〜10万円なんて価格がついている。
 兄ちゃんが寄って来た。
「いかがですか、これなんか、素晴らしいでしょう?」
と、指し示したのは、原画集とかでもよく見る構図の絵。
「こことここに先生自ら、筆を入れてもらってます。ほら、50枚限定で、署名も直筆ですよ」
 へ? 女房と二人、ポカンとしてしまった。版画というよりは印刷に近いような技術で複製した絵に、二筆ほど,テカリの銀えのぐをサラサラっと流して、署名をするだけのモノが20万円ですか? しかも、ほぼ同じ物が50枚? これって、限定なの?
 あんまり感心していないのを見て取ったのか、兄ちゃん、イチオシを別の絵へ移行。
「これなど、素晴らしい出来だと思いませんか?」
「ああ、◯◯誌の表紙絵ですよね。『△△』の連載2号目だったかな、持っていますよ、懐かしいなぁ」
「あァ、ああ……、そうですか……」
「……でも、特に珍しい絵じゃないですよね。今でも古本屋漁ればいくらでも出て来るし」
「そ……、そうですか、……じ、じゃあ、こちらなんかは如何ですか? 素晴らしいでしょ?」
「ほ〜ぉ、これはぁ!」
「い……、いいでしょう?!、10万円です」
「懐かしいですねぇ。『◯◯』の時の表紙の構図で、彩色して描き直した奴ですよね。
「……お詳しいですね……」
「僕らの世代は、このかたの漫画で育ちましたからね……。そうだ。たしか、どこかのアニメショップでポスターにしてたなぁ、500円か1000円で。」
「い、いやぁ、あの、ポスターなんかとは品質が違います。……い、色あせもしませんし!」
「色あせが怖けりゃ、1000円のポスター100枚買って毎年張り替えますよ。そうすりゃ10万円で100年間色あせしないし、たとえ破いちまっても、全然平気……」
「あぐ、あの、あん・・・。どうぞ、ゆっくり、ご覧、下さい……」
 兄ちゃん、エビのように後ズサって消えて行きましたぜ。
 その後、同様のやり方をしている他の絵描きさんの展覧会も見に行った。これも全く同じような有様で、こんなモノに自作を委ねる人だったのかと、ちっとばかり、ガッカリ。
 アニメ世代が良い歳になって、家に絵でも飾ろうかと思ったところに、よく判りもしない絵より、ちょっと懐かしいマンガやアニメのキャラクターを飾ったらどうかというのは、いかにもありそうな事。しかし、それにつけ込んで、複製画を何十万円もの価格で売る荒稼ぎというのはなぁ……。

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名付け親だぞ

 世の中に「ライトノベル」という言葉がある。1970年代末に始まり、80年代を通じて爆発的に成長した青少年向けの小説ジャンルの総称だ。
 元々なかったジャンルなので、何か言葉が必要だった。昔から「ジュヴナイル小説」というものもあったものの、児童までを範囲に含める「ジュヴナイル」という言葉は、恋愛やちょっとエッチめな描写も含むこのジャンルには向かなかった。また、ほぼ同時に「ヤング・アダルト小説」という言葉もあったものの、「ヤング・アダルト(思春期から青年)層をターゲットとした小説」というより、「ヤングのためのアダルト小説」に読めてしまう。
 もっと即物的に、主にそういう系統を出していたレーベル名をとって、「ソノラマ・コバルト系」とか「スニーカー系」とかいう言い方もした。が、これも、ちょっと変だし、特定社名が出るとなると他の会社やレーベルから出た本では使い辛い。どうしようもない言葉だが「字マンガ」と呼ぶ人たちも居た。小説も漫画もどちらもバカにした言葉で、吐き気さえ憶える言い方だ。
 で、結局、そういう言葉は世の中になかったので、「ライトノベル」という言葉を作った。当時シスオペをしていたニフティサーブのSFファンタジー・フォーラムで、ライトノベルを独立した会議室として扱う事になった時に作った。
 しかし、当時はかなりモメた。「すでに、ハヤカワで使っているヤングアダルトということばがあるではないか」というものから「軽い小説とは何だ!」というものまで、かなりいろんな意見を頂いた。が、十何年か経って気がついてみると、意外にも「ライトノベル」という言葉は定着し、一般敵に使われる言葉として生き延びている。

 また、機種依存文字という言葉がある。本来、NECのPC9800シリーズ、富士通のFMシリーズ、シャープのMZシリーズなど初期のパソコンは、全て自家製のシステムを積み、そこには独自の文字セットが使われていた。これ等は全てANSIIやJISの規格に沿っていたが、JIS規格を決めたタコ役人どもが馬鹿で実際の運用ではどう考えても必要になりそうな文字が大幅に不足していたため、各社は必要に迫られて独自の拡張文字を積んだ。幸いJIS規格には、まだ使われていない文字コードがかなりあったので、各社のシステムはそこに独自の文字を割り当てたのだ。
 しかし、会社によってこの拡張文字コードが異なった。会社どころか、大型電子計算機系の事業部の作ったオフィスコンピュータと、家電系の事業部が作ったパーソナルコンピュータで、文字セットがちがうなんていうことすらあった。
 当時、パソコンと云えばPC-9801という時代だったが、この98ユーザの多くは、この機種によって文字セットが違うという事を認識してくれなかった。98ユーザの友達はやはり98ユーザで、同じ仲間同士で文書をやり取りするのにはちっとも困らないからだ。しかし、その頃始まったパソコン通信では、98文字が大問題になった。奇麗に見せようと、PC-9801しかない罫線コードで見出しを囲ったり、電話の絵文字や
一文字に「株式会社」と田の字形に入った文字等を使われると、読めない人がいっぱい出て、いろんな機種の人が居るパソコン通信ではとっても困る。
 そこで、「この字はJIS規なので使って良し」「この文字はJIS以外の拡張文字なので使っては駄目」を明確にする必要が生じた。
 有り難い事で先達が居て、先輩シスオペの海津宜則さん「通信では危険なコード」というデータを作っていてくれた。これを元に、作り直した表が、SFフォーラムに今も置かれている。で、「この表を見て、機種依存文字は使わないようにしてね」と云ったのが、機種依存文字という言葉のルーツだ。
 時代が変わり、機種依存文字というよりも、OS依存文字という方が正しいような時代が到来したが、それでもまだこの言葉は生き延びている。

 さて、ハテナダイアリーに町山智浩アメリカ日記という日記がある。昨日、これの 2004-05-27 チャップリン フェラチオ ロリータ
という記事があった。いや、ちょっと女性には、衝撃的でいや〜んな話題で申し訳ない。
 二十世紀を代表する喜劇王として知られるチャップリン。その生涯を飾る4人の妻のうち、3人までがミドルティーンの少女期に結婚しているとか、その1人目の妻リタにフェラチオを強要したことが離婚裁判で争われたこと。それが清教徒の国でそんな(あり得ない=表現する言葉もない)コトが世の中にはあるのだと認めさせるキッカケになったこと。そのリタの映画『キッド』での役名リリータが話題になったのを面白がっていた1人に、作家のナボコフが居たのだという話等がまとめて語られている。

 ハァ、チャップリンが居なかったら、そして、妻に「おぞましい行為を強要」しなければ、「ロリータ」という小説は世の中に生まれず、ロリータコンプレックスという言葉も誕生せず、80年代からこっちの日本の漫画文化やその他オタクなムーブメントも、随分変わった形、もしくは違う名前のモノになっていたんですかぁ……。有り難いですなぁ。
 ありがとう、チャップリンさん。現代日本のこのマターリとしたアニメ・ゲーム文化も、数々の擬娘タンたちも、貴方なかりせば、存在しなかったかも知れません!

 ちなみに、名付けると云えば、最近流行り始めた擬娘・擬娘化という新語は、誰が名付けたのだろう? 擬人化するという言葉の特殊進化の一形態だ。いろんな文物事象を女の子の形に描くというのは、文化的には、MSVの頃のザクレディ・グフレディあたりから始まったのかな。ロリーになったのは、明貴美加さんのMS少女あたりからか。これを擬娘と呼ぶようになったのは、たぶん、今世紀に入ってからなんだろうけど……。

 最近お気に入りなのは、ドジっ娘Meタンだ。あなたがネトラン厨でないなら、そしてWindowsOSをなんとなく触ったり理解しているならば、一度、笑ってみられる事をお奨めする。

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2004/05/27

足腰は、取り換えられるぞ

 今朝、プリンタが壊れて、図版屋・地図描きとして、足腰をヤラれたようだと書いた。で、昼前に沖データに電話して確認。なんだか、その部品は「ベルトユニット」といって消耗品なので、買って来て取り替えてみてくれと云われる。
 メンテナンス性、高かっ!
 すごいぞ、沖データ、便利だぞ沖データ。やったね沖データ。
 こんな中核の部品まで、ユーザがスココンと引き抜いて、新しいのをシャコンっと入れ直せば、全部治っちゃうんだ。すごい簡単便利。しかし、それをするためには、シロートが触ってもズレるコト無く、同じ位置関係を維持できる、部品感の工作精度が得られなければ出来る話ではない。
 入れ替えるごとに、CMYKそれぞれの位置関係がズレて、色ズレ印字になっては叶わない。高さも位置も、ピッタリと安定してくれないと、機械としては成り立たないのだ。
 うーむ。スゴいなぁ。日本の工作技術。これならウニトローダーの円盤だって町工場で直せちゃうぞ。
 ちなみに、こんなに便利なベルトユニットだが、秋葉原のLAOXあたりのお店では、部品として扱った事もないらしく、ちょっと時間がかかるということだった。
 頼むよラオックスさん。

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足腰だぞ

 出版用に図版を描く我々の仕事は、最近ではデータ入稿が常になり、あまりプリントアウトを納品物として丁寧に扱うという事はなくなってる。主にクライアントに渡す紙は、作成途中のラフか、CD−Rに焼いたデータに添付する、確認用の見本なので、極端な話、刷り出したものを真ん中から折って、クッション代わりにCD−Rを包んで送るとか、三つ折り・四つ折りにして、小さな封筒で送るとか、プリントアウトそのものを納品原稿として丁寧に扱っていた往時とは比べ物にならないラフな使い方をしている。
 だが、それでも依然、プリンターというものは、コンピュータを使って画稿を描く者にとって、足腰であり、これがなければ随分と不便を強いられることは間違いない。
 我が家で使っているのは、Canonの旧いBJプリンタと、OKIデータの7300PSというA4カラーレーザープリンターである。
 そのプリンタが、昨日突然止まった。紙づまりサインがでているので、明けてみると、いつもでは考えられないような不思議な位置で、トナーを定着中の用紙が停まっている。用紙を取り除いて再起動。あれ、また変なところで停まる。
 もう一度、トナーブロックを除けて、トナーを載せるコンベアー様になっている辺りを確認。あれ、何か変な物がコンベアに引っかかっているぞ。さっき取り除いた紙の端が千切れていたのかな? 手で触ってみるとそれは紙ではない。ゴムっぽい。ん?
 なんか、コンベアの下にあるガイドのゴムベルトが千切れて、脇にはみ出したみたいだった。それの端が、戦車の千切れたキャタピラみたいに、脇からンベっとはみ出しているのだ。これが、コンベアの下に入り変な凸凹を作って、そのため、引っかかりが生じてジャムったんだな……。え? 故障・・・???
 納品以来、何の文句もなく、無茶苦茶な使用にじっと耐えて来た7300PSが、1年と少しで故障である。うっひゃあ、マイった……。
 無くなってみて判るプリンタの有り難味。これはもう、足腰をやられたのも同然。なんとかせねば……。というわけで、OKIの窓口が開く前の時間に、日記を書いている神北である。

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2004/05/25

意外な人が意外とヘボ将棋だぞ

 将棋と云うゲームの、コマの種類やルールを良く知らないという人は居ても、日本人で、将棋というもゲームがあること自体を知らないものは居るまい。そのぐらい、日本では普及しているし、コマを動かすぐらいの事はできるという人も多い。
 先日、トリビアの泉で、江戸時代に日本で作られたという、何百枚ものコマを使う複雑な拡大判の将棋を、何日も掛けて指してみると云う指し方を試していたが、なかなか凄まじかった。気分はもう机上演習、つまり、ウォーゲームである。
 さて、で、この将棋には、段位がある。そして初段に達しない実力の者には級も用意されている。しかし、我々門外漢には、たとえば、1級と2段(初段を挿んで2段階、もし間に何かあったとしても3段階ほどのランク差の筈だ)が、どのぐらいの力量差なのかよく判らないが、そのランクは、判る人が見るとかなり明確に判別出来るらしい。つまり、指し手を観て「この人たちは、◯◯クラスと◯◯クラスの実力」というのが、ちゃんと判るらしい。どんな手を使っているか、それをどう崩そうとしているか、防いでいるかと云う流れが読めるのだ。
 そういう将棋を観る目を持つ人がアニメの対局を判定しているサイトがある。あのアニメキャラのお手並み診断というサイトである。サイトの主は、指導棋士として教えておられる方で、行ってみれば現場のプロ。
 そのプロの目で、緋村剣心 四段の腕前とか、猪熊滋悟郎 6級とかを、画面に見えた将棋盤のコマから判定している。おじゃ魔女ドレミの関先生から、宮沢雪乃、古代進まで、様々な将棋をさすキャラを分析。面白いので、是非一読してみて欲しい。
 

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それはたぶんDNAじゃないぞ。

 アーノルド・シュワルツェネッガーのDNAが付着している嘗めかけで捨てた飴が、アメリカのオークションサイトeBayで、一万ドル以上の高価な競り値がついているらしい。(CNNこぼれ話
シュワ氏の「DNA」がネット出品、すぐ削除でも再出品 2004.05.25
 最初これは「シュワちゃんのDNAを手に入れよう」として提示された。それをeBayが「人体の一部」として取り消したというのが、なかなか笑えるエピソードだ。結局、スター関係のお宝として再出品されたようだが……。

 結局、ヒトの嘗めかけの飴でしょ。しかも、ゴミ箱に捨てた。

 まあ、タバコの吸い殻を集める人なんてぇのも居るので、いろいろな人が居ても良いだろうが、そんなものを競り落とそうとする奴が11人もいるというのは、ちょっと嫌だなぁ。キモい。
 シュワルツェネッガーの事務所でも、「のど飴はよく嘗めている」とは認めているが、それがシュワちゃんの口からでたものだという事に関しては明言を避けてる。
 本当に大丈夫なのか、この物件?

 そういえば、同じくeBayで、ゴーストタウンを街一個なり買った人がいる(CNNこぼれ話
夢の「マイタウン」、加州の町をオークションで購入 2004.05.22
という記事もあった。売りにでたのはビレッジビルという街(村?)。サンフランシスコから400キロほど北に離れた田舎の森の中に百年ほど前に出来た街で、しばらく前にゴーストタウンになったのだそうだ。70万ドル7840万円というから、都心の一等地のマンションの一番良い部屋ぐらいか。これで、32.8ヘクタール、アカスギに囲まれた街と云うから、レッドウッドの森の中のいい環境なのだろう。
 ちなみに、実在の街が競売に懸ったのは史上初だとか。

 アメリカ人って、いろんなモノをオンラインで売り買いするねぇ。

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メガネはメガネの一部です……だぞ

 チョコっと怒っている。
 excite-BooksのTOPICS ニュースな本棚のメガネメガネメガネ!という記事が、ネットのあちこちで取りの上げられている。男女問わずメガネ萌えキャラを総括した特集記事。
 この記事、「眼鏡キャラ×100を7つのタイプに分類!」しているのはよいのだが、008.鳥坂センパイ(分類:天才メガネ)、059.野比のび太(分類:駄メガネ のび太の系譜)、077.内海課長(分類:マッドメガネ)などと、100キャラを分類しているラインナップ。しかし、これが駄目である。

 メガネ(うる星やつら)が入っていない。

 メガネのキャラを百人も上げてメガネが入らないのは、いからなんでも駄目である。内海課長なんか、部下の黒崎ともどもマッドメガネという分類項目に入っているのに、メガネが居ないのである。これを大衆文化に根ざした下駄履きのプロレタリアートを排除し、支配体制を完遂させようと言う、体制側の陰謀と云わずしてなんと表現し得ようかァ!
 いくらなんでもメガネなくしてマッドメガネを語って如何にする!!

 記事の包括的な捉え方は悪くなかっただけに、露呈したリストの欠陥は大きいぞ。

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2004/05/24

『ソリトンの悪魔』を観たぞ

 昨日の『リターナー』に引き続き、『ソリトンの悪魔』を観た。衛星劇場でやっていたのだ。原作は言わずと知れた梅原克文。第49回日本推理作家協会賞受賞作だ。海洋パニックとしては面白いお話しなので、まあ良いんだが……原作の長さの割に90分と云う上映時間があまりにも短く、薄紙を剥ぐように謎が解明されて行くシチュエーションや、苦肉の策を積み重ねて細い糸を手繰り寄せるように順を追って行われて行った反撃が、何だかずいぶんと簡単に描かれていて、原作の持つ読者を右へ左へと振り回す面白さというものが、根こそぎ抜け落ちていた気がする。
 SFとしてどうかということになると、梅原さんは、最後の一線でSFとしての整合性より物語の勢いを取る事が多く、本人がその上「エスエフでなくサイファイ」なんていう意味不明な事を言い出したものだから輪をかけて変人扱いされているが、面白い物語を作り出す事に関しては執念と実力を兼ね備えた人だと思っている。それは、デビュー作『迷走皇帝』からずっと彼が持ち続ける矜持であり、作家としての有り様だと思う。
 しかし、その梅原作品の良さが、時間的制約によって描き切れなかったので、結局、怪獣大激戦・海上都市大壊滅・サバイバルパニック物になってしまっている。
 おかげで、いい声優を配し、良い作画陣を揃え、大迫力の映像と極限状態の芝居を作り上げながら、話が単純で面白くなって来ない。
 こりゃ、ちょっと勿体ないなぁ。

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『リターナー』を観たぞ

 『リターナー』を観た。今更ながらだが、やっとDVDを買って来たのだ。

 この文章は、先の方のネタバレ警戒線から先にネタバレを含みます
 未見の方は、ご注意下さい。

SF映画的には前作にあたる『ジュブナイル』は、『NHK少年ドラマ』に相通ずるもののある少年向けSFドラマなので、結構気に入っているのだが、この2作目は残念ながらこれまで未見だった。やっと観る事が出来てホッとしている。
 お話しは、単純。小さい頃アジアのどこかの街で浮浪児だった主人公ミヤモト(金城武)は、子供を誘拐して内蔵を売りさばく手荒な仕事をしている中国マフィアの一員になっている日本人ヤクザ(岸谷五朗)に親友を殺されている。この復習のため日本に渡り、友の仇の情報を求め、ある港街で中華系裏社会の便利屋をしていた。ミヤモトは、凄腕のガンファイターであり、組同士の揉め事の解決人でもあった。ある外来の新興勢力が人身売買用の少女たちを大量に貨物船で運び込んだ。この仕事の最中遂に十数年ぶりに親友の敵ミゾグチと巡り会ったのだが、その銃撃戦の最中、不思議な少女と出会い、これを助けるためミゾグチを取り逃がしてしまう。
 少女の名はミリ。急いでイブスキ山へ行って欲しいとミヤモトに懇願。遊んでいる閑はないというミヤモト。すると少女は、ミヤモトの頸動脈あたりに小さな絆創膏のような物を貼付けると、それと同じ物を貼り付けた酒の瓶を、小さなライターのようなコントローラーのボタン1つでバラバラに爆破してみせた。それは高性能爆弾。少女の言う事を聞かないと、いつでもミヤモトの頸動脈を吹っ飛ばせる。勝手に粘着部を剥がそうとしても吹き飛ぶし、少女が死んだり少女からコントローラーを奪ったりして生体信号が届かなくなっても、同じように爆弾は作動するという。
 しぶしぶイブスキ山に向うミヤモト。しかし、ミリは、イブスキ山で、探していた物が既に運び出されていることを知る。
 失意の中、引き返す二人。ミヤモトの問いにミリーが初めて真実を語った。
 2084年、人類の版図は、チベット高地の一角だけに縮小していた。異星の侵略者ダグラとの、長い戦争の末、追い込まれて行ったのだ。記録によればこの戦争は、2002年の10月に、イブスキ山に墜落を装って侵攻した最初のダブラから始まったのだ。
 ミリは、その最初のダグラを、活動を開始する前に葬り去る事で、歴史を変えるため、過去から送り込まれた工作員だった。
 ん〜。逆ターミネーター美少女ドラえもん。まあ、簡単に言えば、それだけのことなのだが、シチュエーションの作り方、カタキ役のミゾグチ(岸谷五朗)のこれでもかと云わんばかりの狂犬っぷり。木樹希林の情報屋。それ等がピタッと納まっていて、日本でもこれだけちゃんとした映画が取れるのだなぁという感じがする。
 実は、しばらく前に、SF大会のゲスト交渉について行って、この『リターナーの』山崎貴監督とは、ちょっとだけお会いした事がある。この時のお話しから、山崎監督が、かなり濃厚なSF者の血を持ち、彼ほどSFに濃くはない周りの人たちをリードして、日本映画ではあるまじきSFべったりに仕向けて行った経緯が、見えるようで、面白い。

— — — — — — — — — ネタバレ警戒線 — — — — — — — —

 その中で、さすがに使えなかった話と、判り易くするために、SFモノの心を折ってでも入れなくてはならなかったエピソードが、1つずつある。
 1つは、ダグラの謎についてだ。謎の侵略宇宙生命体ダグラ。チベット語で悪魔を意味するこの言葉で呼ばれる宇宙人は、じつは本当に漂着者だった。しかし、墜落したパイロットは、異星生物を研究したがった科学者たちの無茶な取り扱いにより、死亡しかかっていた。この漂着者がなぶり殺された事が星間戦争の真の原因だったというのが、映画のストーリーである。しかし、本当は山崎さんはもっと上手い話を考えていたんだろうなぁという気配がある。
 早耳の中国マフィアのボスに言われて、完全武装の傭兵部隊を率いて異星技術を盗みに来たミゾグチと異星人の接触。たとえばここで異星人が死んでいて宇宙船が次の主としてミゾグチを選んでいたら、もしくは、ミゾグチの狂人的な征服欲が異星人の脳に影響を与えて同化していたら、……と考える。破壊衝動と征服欲の塊であるミゾグチを主とし、ミゾグチ流の荒っぽい征服欲を満たすために、戦い続けているのがダグラだったとしたら、徹底した殲滅戦が80年以上も続く戦争の執拗さにも納得が行く。
 しかし、「単純に敵は宇宙人という事にしておいた方が良い、子供向けだし、金城ファンの女の子たちには難しい事は判らないから」という間抜けな声があったのではないのか?……無論それは想像の域を出ないのだが……。

 あともう1つ。クライマックスの後、全てが終わって、ミッションを達成したミリが薄ぼんやりとなって消えて行く、なかなか感動的なシーンがある。この意味は深い。ミッションが終わったから自動的に帰ったとも考えられるし、新しくなった変更後の歴史ではミリは生まれなかったので消えてしまったとも考えられる。つまり、消えてしまったが世界は守ったと云う形だ。
 しかし、実はその後、ミリはもう一度登場する。というか、その後のミリだが、ミヤモトにとっては2日前のことだ。一旦未来に帰り、世界の救い主に借りを返すため、ミヤモトのコートの心臓の位置に装甲板をこっそりと仕込んで行くのだ。
 しかし、未来が変わっているならば、ミリはそんなことをしに来られない筈だ。もし、彼女とミヤモトの話に続きがあるとしたら、実際には、帰る事が出来なくて、2002年に残ったミリとミヤモトの話でなければならない。帰った(この時代から消えた)ということは、もう同じミリは居なくなった事に他ならないのだから。
 しかし、ここいらへんは、特にストーリーの中心に絡む事ではないし、その割に説明が厄介だ。敢えて、未来からもう一度ミリが来れるという事は、未来世界が安泰だという意味で理解してもらおうと云う、制作意図だろう。

— — — — — — — — — ネタバレ解除線 — — — — — — — —

 まあ、こだわるのはSFファンぐらいだろうからいいんだけど。何より、こうしたSFテイストのある作品が、ちゃんとした予算と人気俳優を使って作り続けられる。ことが、なにより重要なのだ。
 しばらく前にお会いした時の話なので、今どうなっているのかは判らないが、山崎監督は、今、新作の企画にGOサインが出そうだというお話しだった。また、SFマインド一杯の力作を撮り上げて頂きたい。

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2004/05/23

助けて仮面ライダー!……だぞ

 お願い、助けて、仮面ライダー! 頼むから、悪い怪人を倒して!!

 日曜朝、8時(関東地方)からの特撮ヒーロー番組、「仮面ライダー・ブレード」。皆さんご覧になったとこはあるだろうか?
 いつまでもウジウジとして方向性の見いだせない、人間の嫌な面ばかり強調した主人公たちが、互いに傷つけ合うだけで、ひとつもドラマの大きな流れが見えて来ない、最近流行りの仮面ライダーの一本だ。イケメン俳優を各所に配する事によって、お母さん需要が得られているという話だったが、ここまでワケわかんないと、肝心の子供が逃げてしまっているだろうに、なんでこのまま何年も続くか、大いに疑問と云わざるを得ない。
 我が家も、クウガの時は、ライダーの復活を心底楽しんだ。アギトでは、三人ライダーという事で、まあ、少しこういう展開もあるかなと思っていたら、ほぼ最後まで三人がチームを組む機会がこなかったので、呆れ返っったものの、まあ見ていた。龍騎では、ストーリーの破綻に嫌気がさしたところで、『超光戦士シャンゼリオン』の主役、アキラを演じた萩野崇が凶悪犯罪者ライダー浅倉威の役で登場、ブチ切れた演技でド肝を抜き、なんとなく浅倉見たさに最後まで付き合う羽目に。だが、次の555(ファイズ)は、いじめられっ子しかでて来ないと云う病的な設定と、人間、努力していてもいつまでも判り合えないと云う非常にネガティブなストーリー展開に嫌気がさして、その時間、チャンネルを他に回すかテレビを消してしまうようになった。
 で、今度の「ブレード」である。龍騎同様、仮面ライダー遊戯王みたいな話で、カードだの、カプセル怪人だの、いろいろなネタをぶち込んでいる。また、555に続いてベルトの取り合いに興じていて、しかもそれが非常にエゴイスティックな個人的な理由による奪い合いでしかなくって、もう十二分に嫌気がさしている。

 しかし、仮面ライダーが、誰でもベルトを手に入れればなってしまえる程度のもので、本当に良いのか?
 逆に、ベルトを失えばただの人に戻れるような安易なヒーロー像でよいのか?
 変身できることの代償が、肉体を改造されて二度と一般人として暮らして行けない事でなくて良いのか? 望んでなった訳ではない改造人間の悲しみと、絶対悪への憎しみの狭間で、弱きものを守る闘いを、姿勢に隠れながら続けて行くのが、やはり仮面ライダーではないのか?

 もちろんそれは、社会の単純化の極地であり、そんな、世界征服を標榜しつつも、征服後どうするというビジョンの無い、悪のために悪を為すような秘密結社など、リアリティーに欠けるのかもしれない。完全無欠の高潔なヒーローなど居ない事を子供ですら悟っている時代かもしれない。しかし、強い怪人ではなく、絶対悪の欠如こそが、ヒーローの存在をこうも脅かすことを知った今、ショッカーやゴルゴムの復活を祈らずには居られない。

 特に、仮面ライダーに於いては。

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2004/05/22

ズクが無いぞ

 「ズク」という言葉をご存知だろうか? 信州の方言である。意味は、「気力」のようなものか。使い方としては、「始めるズクがない」「あそこまで行って来るズクがない」という感じ。
 基本的に否定的な言い方のための言葉で「ズクがあるとかいうような、前向きな気分の時に使う言葉では無いらしい。
 先日、友達何人かでメシを喰っているとき、信州出身のウチの女房が、「自分のサイトを立ち上げたいけど、まだ、作るズクがなくって……」と云い出したので、真庭くんや古市くんに、「ズクって判るか?」と聞いてみた。すると、真庭くんがこういった。
 「ジオンの新しい水陸両用モビルスーツ……?」
 水陸両用モビルスーツ『ズク』……うーむ。居そうである。いかにも居そうな名前ではある。
 だが、実際には居ない。『ズク』なんてモビルスーツは無いのである。これが本当の「ズクが無い」

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超高価キーボードだぞ

 7万円のプロ用フルキーボードがエプソンから(ITmediaニュース 2004年05月21日)によると、セイコーエプソンが、7万1400円(税込み)のキーボードを発売した。
 七千円ではない、七万円である。キートップのタッチがよくって、ビジネスユースのハードな使用にもびくともせずに、長く最高の押し心地を保つ設計らしいが、現在秋葉原では、キーボードが千円前後から並んでいる事を思うと、異様な価格と云わざるを得ない。なんせ、七万あったら、そこそこの本体が変えてしまうのである。
 ちなみに、このキーボード、左利きの人にも対応出来るように、テンキー部分を左側に移せる構造になっているが、これは、去年からエプソンが発売しているプロユースのテンキーボードそのものである。この記事は
数値入力のプロ向けUSBテンキーボード、3万8000円(ITmediaニュース 2003年3月25日)にある。つまり、このキーボードのキモは、既発売のテンキーに併せて、文字キー部分を作り足したという事らしい。神北のような、ズボラな上に何台ものマシンを並行して使う人種だと、メインマシンのキーボード以外のキーボード使用時に取り出して、メインのものと置き換えて使う事が多いため、こういう2分割キーボードはちとどうかと思うが、七万出してもこれがいるという人にとっては、机上をどれだけ占有されようとも置いておく価値があるのだろう。
 どうも、こういうタッチの良いキーボードという動きは、更に前の年からあるらしく、「速く打てて疲れにくい」キーボードの秘密——東プレのRealforce 106(ITmediaニュース  2002年7月11日)という記事も見つけた。これは、形状こそ普通のキーボードで、価格も1万6800円と、まあまあ高価と云っても許容範囲内だが、正しいキーポジションで打つ分に、普通のキーと、小指で押すキーとでは、押下圧が変えてあり、非力な小指でも軽くキーが押さえられる設計になっているのだと云う。
 もちろん、神北のやっている日本語カナ片手打ちのような、特殊な入力方式に慣れ親しんだ人には対応すべくも無いが、ホームボジションに手を置いて使う人が絶対的に多いキーパンチャーなどの専門業務には向いている。
 また、こういうメーカーが、オーダーを受けてキー圧を調整した個人用キーボードを作ってくれるなり、押下圧を調整するカップラバーをユーザが自由に入れ替えられるようになれば、フェザータッチに撫でるような入力をしたい人から、ハードにガンガン打たないと気が済まない人まで、さまさまな要望に応える事が出来るだろう。
 これはもちろん、バリアフリーにも繋がる。
 神北は、7万の事務専用より、1万6800円のモノがいいのだが、これのMac用を作ってくれないかなぁ、東プレさん。

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2004/05/21

新兵器の名はXM-8だぞ

 もう、何日も前の報道なので旧聞に属する話だが……。
 とっつきとしては、いささかマニアックな話題かもしれないが、XM-8という銃器システムが発表されたのをご存知だろうか。ミリタリーギア・スポットライトの記事がわりと読み易いのだが英文、海外ボツ!Newsの2004年5月17日の記事に、その翻訳が載っているので、参考にされたし。
 まず、形がカッコイイ。樹脂を多用したボディーは、むき出しの鉄で出来ていたこれまでの銃器とは一線を画す、SF的な形状をしている。このままモビルスーツが持っていても、誰も驚かないぞ。しかし、単にカッコいいだけでは、軍隊には売れない。外見たけでなく、中身もスゴいのである。
 具体的に何かと云うと、コンポーネントを組み替える事によって、1つの銃で、通常の歩兵が必要とするあらゆる用途を満足させてしまおうと云う、兵器システムだ。1つの心臓部に、長短のバレル(銃身、弾丸が発射される筒)を付け替える事によって、いろいろと用途が変えられる。マガジンを変える事によって、軽くしたり、相談数を増やしたり出来る。スコープや固定脚によって、照準性能を向上出来る。グレネード(擲弾)を打ち出すグレネードランチャーとしても使える。
 バレル(銃身)というものは、長ければ長いほど、弾丸を安定して打ち出せるため、狙いが付け易い。たとえば、明治期の日本の名銃三八式歩兵銃は、その世代の銃としては最高の命中精度を誇った。とはいえ、その命中精度に溺れるがあまり、(あーんど、国力が無くって研究開発も重火器増産もままならなかった、兵員数のみ偏った軍事大国だったのだ。)1人の兵隊が何十何百発の弾をぶちまける「数撃ちゃ当たる」式の権化である機関銃の開発に遅れたため、35年も同じ物を作り続ける事になってしまったのだが……。それはさておき、バレルが長い方が命中精度が高いのは、判り切った事だが、逆に奥内戦などでは、短くて取り回しの良い銃器の方が、実用的でもある。そのため、XM-8では、以下の銃身パリエーションと、弾倉バリエーションが用意されている。

 ●短身歩兵銃  9インチ 
 ●常用歩兵銃  12.5インチ
 ●狙撃兵仕様  20インチ
 ●自動小銃仕様 20インチ

 ○10発
 ○30発(残弾を目視できる半透明プラらしい)
 ○100発(ドラム)
 ◇M-16のマガジンもそのまま使用可能らしい

 なんだか、子供の玩具みたいと思った貴方は鋭い。考えても見て欲しい。重たい銃弾を高速で打ち出す機関部と銃身は、いわば銃の心臓部である。心臓部である以上、ここの制度が銃の力を決めると行って過言ではない。その機関部と銃身を別々に用意し、現場で兵がチョイスするシステムは、確かに運用だけを考えれば便利そうだが、では、その精度はどうかとなると全く問題が異なって来る。
 組み上げて撃った弾がちゃんと目標に当たらなければ、銃の意味は無い。取り付けた作業者の腕によって、精度が上下するようなものならば、いかに運用が便利に見えても、最初から分割なんぞ誰も考えやしねぇという事だ。逆に、誰でも簡単に組み替えが出来る(約2分で出来る事が売りになっている)からこそ、それで精度が出せるからこそ、次世代の兵器となり得るワケだ。
 兵隊さんが担いで野山を駆け回り、時には何かにぶつけたりしながらも、2分で銃身を取り替えて精度が出せる技術。
 こりゃ、ガンダムのコアシステムと同じですな。

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2004/05/20

綺亜羅が来たりてジャズを弾く……だぞ

 もう、ほとんど死にそうなほど忙しい。というのも、いろんな要素が重なって、いくつかの締め切りが重なっている綱渡りのような今週、振って湧いた友人のお家の不幸で、お通夜出席のため時間を取られたなどの状況が重なったからだ。
 とはいえ、手が抜けないのが、個人事業主、つまりフリーランスの辛いところ。結局、睡眠時間をギリギリと削って、ファイトォいっばァつ!!をがぶ飲みし、作業をしている。とはいえ、人間である。いくらドーピングしても、反動でバタンと倒れて数時間は眠りコケることになるの。しくじったのは先夜。ついつい『鉄人28号』の時間帯に眠り込んでしまった事だ。
 まあ、最初の衝撃は通り過ぎ、普通の毎週見るアニメになっていた鉄人28号なので、『絢爛舞踏祭マーズ・デイブレーク』を見落としたのと同じ程度の感覚なんだが、前日に、『ウルトラQ Dark Fantasy』を見たのに、こっちを見落としたというのは、なんかソンした気になる。
 とはいえ、今週の『ウルトラQ』「綺亜羅(キアラ)」は、金子修介で美少女という事で、わりとよい出来だった。南極怪獣通信さんの記事に詳しいが、なんと云っても、主役の役者二人が良かった。金子修介の雑記 "Essay"2月3月あたりに詳しい。あるコトに気付いてしまったアーティストが、気付いたコトにこだわるあまり、呼んではいけない芸術の天使を呼び出してしまい、その導きで、本人にとっての天国へ旅立つ……もしくは、他人から見ると破滅する……というお話し。有り勝ちだから、それだけにストーリーは予測されてしまう。そのために、いかに、新解釈や、気持ちのいいストーリーや、ブラフを込めて、視聴者を振り回すかという事が何よりも大きな作劇上のポイントになると思う。さすがに金子監督で、ロリーな天使「綺亜羅(キアラ)」を描かせたら、やはり違う。これは、森の中で前田愛の綾奈がイリスに抱かれるシーンの、あのテイストといえばお解り戴けるか。
 まあ、丸顔の美少女をエロく描いたら、出色の演出。
 しかし、主人公であるジャズメン坂口の葛藤が思い切って切り捨てられていたところが、ちょっとドラマを薄くしていたと思う。なんというか、彼が、この世の生よりも別のものを選ぶ事が、全くテーマになっていないのだ。友人の音楽プロデューサー田中が、もっと坂口を心配していれば、その面を肩代わり出来たのかもしれないが、そういう持って行き方でもなかった。警察まで動員した田中の行動は、坂口の危急を察したものだったが、その発端はお宝レコードの盗難と言う現世的な価値観に基づくもので、坂口の代弁が勤まる友人という印象が薄い。いや、これはこれで、有り勝ちな腐れ縁であり、この描き方にはリアルさがあって構わないのだ。ただ、あまり坂口の心情を語る術が無かったというだけだ。
 綺亜羅の正体を知り、その誘いを受けてその手に命をゆだねる事が、何を意味するのか。そこをハッキリと認識した上で、敢えて坂口が綺亜羅の差し伸べた手を掴まなければならない。そうでなければ、これはただ単に罠にはまった芸術家の話でしかない。
 残念ながら、この作品の坂口の決断は、警察に追われながら、一瞬にして下した、発作的なものでしかない。ここが残念。
 また、綺亜羅に魅了された過去のジャズメン達と思われるゾンビ(風の亡霊)が数人、ビデオに映っているが、これもあまりよいイメージでは無い。出来れば、白づくめでよいが、ちゃんとしたジャズミュージシャンの格好をしていて貰いたかった。楽器でも持って楽しそうに。そして、神に召され音楽に命を捧げたミュージシャン達だけの静かなセッションの中に、ベースを持った坂口が加わる。かつては学生ジャズ界の天才プレイヤーだったが現世の栄達に走った田中は、それを眺めて居るしかない。そこに田中の席は無いのだ……。と持って行って、初めて、この綺亜羅という話は寓話となる。

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2004/05/17

うまい刺身だぞ

 チョイと取材があって、土日に名古屋方面に出かけることになった。土日続けてバイトの休みが取れているという古市くんを無理矢理誘い、交代ドライバーをして欲しいと藤澤君を誘い、別件があってやはり名古屋方面に行くのだと云う竹内くんも一緒に乗って行こうという話にして、4人で土曜の朝に出発。
 7時前に集合場所の池袋に向う途中、駅の手前50〜100メートルという辺りで古市くん発見。取り敢えず車をとめて、集合時間に僅かに余裕があるのを利用して吉野家で朝食。
 駅前に戻ると、竹内君を発見。続いて藤澤君も発見。全員でレンタしたトヨタ車に乗り込む。
 最近、レンタカーと云えばコルトがお気に入りの神北が、たまの遠出になんでトヨタ車かというと、実は、車を借り出すにあたり、コルトを予約しておいたのだが、直前に借り出していた客の帰着が遅れたため、同車格の車として、トヨタのistを奨められたからだ。
 最近、何かと遊びで組むことの多いT-con 2003の時のスタッフ同士ということもあり、車は安全運転だが、会話は出発した瞬間からトばしている。
 怪しげなアニメの新作情報から、先日、ある友人が引っ越したものの、電気・水道・ガス・電話・ADSLの何一つとして事前に移転申請をしておらず、全てのライフラインが止まっていた話。その他モロモロを話し込む。その間にも、車は快調に走り、8時半には海老名。ここで、まだ朝食を摂っていなかった竹内くんが軽くパンを買い込む。
 昼、1時過ぎには取材場所に行っていたかったので、休憩もそこそこに走り続ける。海老名SAからは藤澤くんにお願いして浜名湖SAまで。浜名湖SAでは、ちょっと「ぐりこ屋」を覗き、折角なのでうなぎ櫃まぶし定食なんぞを堪能。
 ふうと一息着いて浜名湖SAを出ると、間もなく長かった静岡県がやっと終わる。その先は愛知県。そのまま取材の目的地へ。
 昼過ぎから取材を開始し、夕方に神北の用事は終了。

 istのトヨタ純正ナビは、2002年製らしいが、CD-ROM一枚に全国の七割ほどの地図データを詰め込むような形式のため、地名やお店情報などがちょいと弱い。更に云えば、衛星との接続がよく切れるのか、ときどき位置が前後したり、左右に随分とずれたりして、他と比べ、基礎体力不足という感じ。ただ、いつも使っているゴリラよりは、操作系が洗練されている。また、禁煙車という事だが、シガライターソケット1つないため、藤澤くんが持って来てくれたiPodが使えない。タバコ臭くないのは有り難いが、これじゃあちょっち、使えないと云うか、次はこれ以外に乗りたい気がする。
 早い話が、禁煙というコトバで灰皿とライターを省略し、もの入れを増やしただけの、単に安造りなだけの車ではないか。藤澤くんも竹内くんも現役技術職だし、神北も元を質せば職業プログラマだったので、拡張性が無い=悪という認識。たまに乗る車だけに、使い勝手というのは重要。

 土曜日に名古屋の夜の楽しみと云えば、金曜会。そう、中部日本SF交流会ミュータンツクラブの例会である。毎週土曜日に開催される週例会で、神北が最初に通い始めたのは1981年だから、もう23年前だが、その頃既に20周年を迎えるのか迎えたのかという頃だったと思う。当時は一番多い時間帯で30人から40人は軽く集まっていた。それ以来、会場の喫茶店の廃業に伴って場所を移しつつも、未だに続いている、SFの週例会としては最も古く、最も長い集まりだ。土曜なのに金曜会というのは、まあ、初期に金曜日に集まって始めたものの、土曜の方が絶対的に便利と云うことだ。
 まえに、ずっと会場だった名駅のクローバーが廃業することにになった時、ラスト回に参加して以来、東別院の新会場に移ってからは行っていなかったのだが、初めて参加。とはいえ、10年外に出ていると顔ぶれは大きく変化。十数人ほど居るものの、4〜5人しか知った顔が無い。かつての隆盛を思うとちょっと寂しい。
 この日は、金曜会の後、T-con 2003の盟友、山田くんのお宅に泊めてもらう予定になっていたが、ちょこっと予定が変化。山田宅に移動する前に、ちょっと話したいという人が。
 ま、三十分ぐらいで動けるかと思ったものの、その話が延びる延びる。途中で、山田くんに電話。「あ、ヤツの話が延びているのか、じゃ、今日はキツいですか」
「さすがにこれ以上延びるようなら、アレだわ。もう夜も遅くなったし。とにかく、終わったらも一度電話するわ。」
「へーい」
  山田くんの家に行く前にどこかで夕ご飯を食べようとしていたものの、この話が延び、結局一段落したのは深夜過ぎ。山田くんには、断念を連絡。宿を失った我々は、引き止めた彼の手回しで取り敢えずの寝床を確保。しかし、さすがに腹が空いて堪らん。まずメシを喰いたい。ということで、大須万松寺駐車場の建て替えに伴って開店したファミリーレストランへ。神北や、名古屋で学生をしていた藤澤くんの記憶にある万松寺駐車場は、空いた土地を適当にアスファルト舗装しただけのもので、周囲の土地を確保するごとに拡幅した後が見えるような、きっちりした四角形でなく、かなり複雑な多辺形状をした露天駐車場だった。が、そこにあるのは自走式の立体駐車場。アメ横ビルなどにも接続されたフロアはまだ真新しい。
 なんか、知った大須がどんどん消えて行く気がする。
 結局、夜遅くまで話し込んで、この日は床に付く。

 翌朝、我々は再び山田くんに連絡。遊びに行く。女の子は父親に似、男の子は母親に似るというが、生後半年の長男は、母親の2000年の日本大会Zeroconの時に一緒だった奥さんにそっくり。SFの血が濃ォ〜くなっている印象を受ける。
 ちなみに、奥さんにはお兄さんが居て、実家に連れて行く度にこの伯父さんが、アニソンを教え込もうと子守唄代わりに「さらばー、地球よ……」とか、「燃え上が〜れ〜ガンダム〜」とか、教えているのだとか。英才教育だな。
 昼飯を挿み、2時間ほど山田家にお邪魔した後、次なる目的地、静岡を目指して激走する。静岡の主要産業の1つである模型産業のお祭りに女房が行っているのだ。塩坂くんが車を出してくれている。とはいえ、こちらが静岡に入ったのは3時過ぎ、ちょっとお祭りに寄って来る時間ではない。諦めて日本平PAでとにかく合流。タミヤの工場見学会など、かなり面白かったようだ。
 合流後、すこし東名を東上し、沼津ICで下道に、ほぼひと月前に、友人に教えてもらった沼津漁港のさかなや千本一に出かけた。
 新鮮で、盛りがよく、接客も素早く親切。流行るお店は違うナと云う気がする。
 盛りの多さ、大きさ、奇抜さばかりではなく、従業員の皆さんの態度が、出過ぎず、放り出し過ぎず、機敏かつ丁寧で、ほんとうに親切。
 ちゃんとした接客と、漁港の目の前と云う条件を上手く行かしているので、人気店なのも頷ける。もちろん、ひと月でまた来ている神北も、立派なリピーターだ。

刺身盛り合わせ5000円也
 今回は、先日買ったデジカメを持っての初遠出なので、気合いを入れて撮って来たのがこの写真。対比物が無いので判り難いかと思うが、差し渡し40センチほどもある広鉢と云うか大皿に、厚くツマを盛り、その上一面に種々の刺身をちりばめた、絢爛豪華な食の華だ。6人の同行者で必死になって食っても食っても無くならない。
 ちなにみに、この中には、塩坂くんが別建てで注文した生桜エビも盛り込まれている。また手前にあるのは、神北の取ったマグロ刺身定食の刺身。これだけでも、相当のボリュームですよ。
 この鉢に盛ってもらったお刺身の値段は、5000円。新鮮さと量に圧倒されますよ。なんせここで使うのは、近海物の生マグロですからね。漁港のすぐ傍で、新鮮な海の幸をこれでもかというぐらい味わう。良いね。

 千本一を出ると、あとは一気に帰京。神北は2日続けての睡眠不足が祟ってグロッキー。港北PAまでの間、運転を藤澤君にお願いして、後部席に横になって休憩。へろへろである。塩坂号とレンタ神北号で3人3人に分散したおかげで、後部座席を独占させて貰えた。
 この間、藤澤君は、眠気が来ないようにと、ガムを噛もうとしたが、もう品切れ。しかたなく、車に偶然積まれていた都昆布とスルメを齧りつつ走る。「要はあごを動かしていると眠気がこないという事ですから、ガムが無ければスルメでも」というが、「でもちょっと塩勝ち過ぎた」そうだ。ご苦労様。
 港北PAで塩坂号とはお別れ。分散していたメンツを収容し、5人の定員まで詰め込んで、今度は神北が運転。
 首都高は、例によって混み混み。そりゃそうだ。二車線の道と二車線の道を似合流させて、二車線の道にする。二度合流が重なるところでは、計六車線分の車を二車線に無理矢理押し込めるのだ。しかも、迂回路が無いため、特に都内に用事がない通り抜けのためだけの車がいっぱいここを走っている。押し合いへし合いの大渋滞が毎日起こって当然である。ただ、今回は、日曜の夜という事で、渋滞は一カ所のみ。それでも、一時間ほどは足止めを食ったが、まあ、今の東京というのはこんなもんだ。
 外環自動車道が要らないと云う偏屈馬鹿は出て来い! 俺が殴ってやる!

 後部座席に座っている古市君に電話が入る。真庭くんからだ。この古市・真庭のコンビは、同じアニメ系のスクールを出、同じ池袋に住んでいる。
「真庭くんから電話なんですけど、僕はメシを喰おうと思って待っていたのに、なんで早く帰って来てくれないのって言ってるんですが」
「今日は、刺身を腹一杯食って来ると行ってあるんだろう?」
「言ってますよ」
「何を考えとんじゃ?」
「今、通信環境無いから、ちゃんと情報掴んでないんじゃないでしょうか」
「説明したんだろ」
「こっちはしましたよ、ちゃあんと。向こうが聞いていたかどうかは判りませんが……」
首都高をおりて池袋の街に近づいて行くとまた真庭くんから電話。「まだぁ」
「はいはい、もうじき着くから」
 池袋の街中へ。西口のロータリーに入ると古市君が真庭君を発見、その前を通り過ぎるが真庭くんは気付かない。車を停めて全員下車。こっそり真庭に近づく。ロータリーの方を眺めて、やって来る車を探している真庭くんは背後に忍び寄る五人の気配に全く気付かない。
 ポンと肩を叩く。振り返って「わぁ!」
「わあじゃねぇ」
「ど、どこから来たんですか、てっきりこっちから車で来ると……」
「今お前の目の前を通って、そこに車を付けたんだ」
「ええ、気付かなかったなぁ」
 しばし、話し込む。とはいえ、11時。時間も時間なので、そうゆっくりも出来ず解散。
 皆さんお疲れさまでした。

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2004/05/14

携帯ゲーム機の二つの波だぞ

 ソニーと任天堂が、相次いで携帯ゲーム機を発表した。いずれも、とんでもないスペックをポケットサイズに詰め込んだマシンだ。
 画像・音声方式で先んじるのが、ソニーのプレイステーション・ポータブル
 新機能で新たな可能性を持つのが、任天堂の、「ニンテンドー・ディーエス(NDS)」

 ソニーのマシンは、まるで持ち運び出来るPS2だ。新方式のUMDという光メディアは、1.8GBの容量を持つ。ソニーはこれで、音楽・映像と云ったソフト供給を考えているようで、云ってみれば、ゲーム機だけでなくウォークマンも兼ねることが出来る。もちろん、メモリステッックProデュオも使えるので、ソニーの携帯系グッズとしての基本機能は有しているといえる。ちなみに画面サイズは、480×272ピクセル。8ビット時代のパソコン程度か。
 対する任天堂のDSは、ちょっとスゴい。DSがデベロッパーのためのシステムという意味だとしかプレスリリースには載っていなかったが、デュアル・システムとかの意味も(ダブルミーニング的には)持っているんじゃないかな。CPUが二つ。液晶スクリーンが二つ。専用カセットスロットが二つ(GBAカセットとDSカセット)。なんだか、とにかくデュアル(二つ)づいている。
 ARM7・ARM9というのがどういうCPUかよく判らないが、わざわざ2種類のものを載せるからには、役割分担の意味があるのだろう。液晶の画面サイズはよくは判らないが、ゲームボーイ・アドバンスのもの×2面と考えて、そう間違いはあるまい。うち下の方のものは、タッチパネルになっている。

 ソニーのPSPも任天堂のDSも、両方とも当然のように無線LANを装備している。今のところ、同じ機種どうしを何台か繋ぐことしか考えていないようだが、これは別面凄いことで、このまま行くと将来、DSとPSPとノートパソコンとPDAで、一斉に繋いでネットゲームなんて言う、機種に依存しない時代が来るかもしれない。
 しかし、本当に怖いのはDSだ。片方の液晶がタッチパネルということは、携帯機がキーボードを持ったも同じではないか。しかも、無線LANを持っている。DSカセットは、1ギガビット(ということは128メガバイトのことだから、いま普通のデジカメに載せている使い物になる容量のCFカードぐらいかな。)
なので、地下鉄駅や喫茶店などに無線LANからネット接続の出来るホットスポットが増えている現在、仲間同士のLANだけでなく、そういう外向きのシステムにちゃんと対応すれば、都市部でならメール端末として充分に役に立つという事だ。
 タッチパネル液晶にキーボードを映せるなら、携帯電話よりよほど快適にメールが出来てしまう。こいつぁ欲しいぜ!

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楽天証券ってネーミングは、ちょっとナニだぞ

DLJディレクトSFG証券、“楽天証券株式会社”に社名を変更
 ascii24より

楽天(株)は13日、同社が2003年11月26日付けで子会社化したディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券(株)の商号を、7月4日付けで“楽天証券株式会社”(英文名:Rakuten Securities, Inc.)に変更すると発表した。

 うーむ。楽天と云う会社は、ネットショップ界の勝ち組だそうで、特に難しいことが判らない個人商店や、主婦のお店屋さんごっこ的な素人ネットショップに、使い易いソリューションを用意することでぐんぐんと拡大した会社だ。数年前から、新興でありながら他のネットモールをやっている大手企業からも恐れられ、ねたまれてもいた。……そこまでは知っていた。しかし、証券会社を買収できるほど大きくなっていたとは知らなかった。びっくりだ。

 しかし、ちょっち、ネーミングセンスはどうか……と思う。もちろんディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券のままではサイテーである。誰も「英語3文字が前と後に付いた、やっかいな名前の証券会社」以外の認識を持ってくれない。その点、「楽天証券」なら一度で憶えられる。加えて、ネット上で安定した右肩上がりを続けて来た楽天のイメージもある。
 とはいえ、証券会社ってなぁ株を買うところだろ?……悲観的になることは無いけど、楽天的でもイカンのじゃないの? 株なんてものは冷徹な目で売り買いせんとさー。
 ちょっと、考えてもらいたい。貴方は、ある証券会社で株を買った。その株がどんどん上がっていれば、世の中バラ色。余剰利益で外車も買った、家族サービスもバッチリ、次は別荘かなぁ……。あとは売りの時期だけを睨んでいれば良い。……こうなると、証券会社と連絡を取るのが楽しくなって来るから、どんな名前の証券会社を使っていようと、関係ない。
 でもさ、そうそう浮いてばかりとは行かない。逆に、買う株、買う株、暴落に次ぐ暴落、気がついたら、これまで何年か分の総利益を超える額を軽ぅく半月で沈み込んでいる。買った外車も金に換えた。別荘どころかマンションも抵当に入った、女房も質に入れた、会社に借金の督促がこないだけまだマシだァ、ということだってあるかもしれない。……こうなると、証券会社との連絡にも、どうしても険が立つ。「その株は、底打ちして浮き上がるまで辛抱された方が……」「もう待ち切れないんだよォ! 1円だって欲しいんだァ……」なぁんて喧嘩口調で話すことも増えて来る。
 そんな時に、電話をかけるたびに「ハイ、楽天証券です」って答えられてご覧なさいな。脳みその血管が二三本ずつまとめてプチプチ切れるから。
 でもなぁ。誠実証券て言われても、怪しそうだしなぁ……。ま、どっちにせよ、ジャンプの漫画によく出て来るヤクザ集英組みたいな観があるんだよなぁ。

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2004/05/13

ちゃんと届くぞ

   ◯◯県◯◯市◯◯区△△ ◇丁目◇番地◇号 ××荘◇号室
……という、とある政令指定都市の住所があるとする。
 そこに……、
   ◯◯県◯◯市◯◯区 ◇丁目◇番地◇号 ××荘◇号室
……という宛先で、ものを送ったとする。
 それは、届くと思いますか?

 実は、ある神北宛の配送物が、この書き方になっていた。郵便ではない。ヤマトのメール便という、宅急便ほどちゃんと手渡しせずに、郵便受けに放り込んで行く程度だが、とにかく安いのがウリのシステムだ。既に受取人が引っ越していても気にせず、アパートのその部屋の郵便受けに放り込んで行くなんて事がよく起こるため、信用度は低いとよく聞かされる。が、DM等にとっては、モッテコイの安価な手段として、最近、DMや雑誌の直販定期購読によく使われている。
 案の定、翌日には届くと考えられていたそれは宛先不備のせいで3日も遅れて、やっと、まさに「やっと」という感じで到着した。残念ながら、それが必要とされている期日はとうに過ぎていたのだが……。
 過去の配送記録を見たのか、ゼンリンの地図か何かを参考に探したのかは判らないが、町名・字名にあたる部分が抜けているのを、誰かが追い直してくれたみたいで、宛名書きとは違う筆跡で、宛名のワキに、抜けている分の地名が書き足してあった。
 これで、ヤマト運輸という会社に対する神北的信頼度は急上昇。ここまでちゃんとやってくれるんなら、安心だという感じがする。早くはなかったが、ちゃんと調べて届けてくれる。とにかく、こんな送り主の不備にも関わらず、これで到着しただけでもメッケモンだ。

 神北はかつて、1989年に日本SF大会の実行委員長を勤めた事がある。第二十八回日本SF大会ダイナ★コンEXというやつだ。
 当時は、メール便のような郵便代替サービスはまだ無く、全ての参加者宛配送は郵便で行われた。発送となると、封筒の束を郵便局に持って行っては、料金別納のハンコをべべんべんと押しマクるのだ。大抵は何人かでやったが、プログレスレポート1号だけは、1988年12月の暮も押し詰まってから、神北一人で、既に申込みのあった500人分ほどの分を、名古屋駅の脇にある郵便局に持ち込み、一人で500カ所べべんべんと押印した。なんか、どこまでやっても終わりが見えなくて、泣きたくなった記憶がある。まあ、その苦労は報われて、年賀状として送り出したプログレスは、無事、元旦の朝に、参加者の家に届けられた。めでたい。やったね。
 ちなみに今では、専用封筒に先に「料金別納」と入れておくと云うテも憶え、随分と手間を軽減した。さらに、昨年の大会T-con 2003のように、旅行会社と組んで、そういう発送業務等は旅行業者にお願いすると云う手を使ったりもする。しかし、そんなこと、15年も前には思い付きもしなかった。
 しかし、こういった労苦を経て発送される郵便物ですら、概ね3〜5パーセントの確率で不逹となる。大会なんかだと、500人、1000人、1500人と云う規模に数回出しているので、この3〜5パーセントというのは、かなり信憑性のある数値と云える。
 もちろん、郵便局のミスもある。が、多くの場合、宛先が違っていたり、正確でなかった事が原因になる。引っ越したのに連絡を寄越してない人のところに郵送物が届かないのは、いわば自業自得だ。しかし、たとえば、数字の「1」とハイフン「−」を読み違える。逆に読み違えをを警戒して「1の2の33」と書いた字が悪筆で「192の33」と読めてしまう。こういうことと格闘するのが、大会事務局の仕事の多くを占めていた。自分も人のことは言えた義理ではないが、申込書の書き込みとなると何故かみんな雑なんだこれが……。

 という、自戒を込めて、宛先はちゃんと書きましょうね。

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あれもこれも「おバ歌謡」だぞ

CDジャーナルのニュースによると、『伊集院光選曲 おバ歌謡(仮題)』という、歌詞が笑える歌ばかり並べたCDの発売が決定したんだとさ。
 全部とはいかないが、紹介してみると……
1. 剣の舞(尾藤イサオ&ドーン)
  好きか嫌いか 嫌いか好きか はっきり言いいなよ 今すぐ目の前で♪
3. また一人(九重佑三子)
  私としたことが♪
……あたりのインパクトがスゴイねぇ。もちろん……、
9. 銭$ソング〜マンダム親子のテーマ(白木みのる)
  銭あるぞ 銭あるぞ あげるよ あげますよ
……も忘れてはいけない。
でも、こんな普通の歌も入っている。
4. 俺ら宇宙のパイロット
  せまい地球にゃ未練はないさ♪
15. あいつの名前はレインボーマン(キャッツアイズとヤングフレッシュ)
  黒い黒い 黒い世界に 赤い赤い赤い血を見て生きている♪
 これは、普通に歌う歌でしょ? 酒飲んだらみんなで合唱するやん。しかし、同じレインボーマンならば、ファンキーな死ね死ね団の歌とか、心にしみるヤマトタケシの歌とかあるのに、どうしてかなぁ。まあ、一番マイナー扱いかもしれんが……。

 とにかく、必聴盤なので、期待しよう。2004年6月16日発売。……あ、おれの42歳最後の日だ。これが最後の厄かぁ……。

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秋葉原に新しい食の世界だぞ

 昨日、秋葉原に、あたらしいカレーうどん屋がオープンした。中川屋だ。
 といっても、本オープンは今日で、昨日はプレオープンという事らしかった。
 偶然、見つけたので、早速女房と入ってみた。場所は、T-Zoneの隣のソフマップ四号館B1。これまではカレーか何かが売りの喫茶店のような店が入っていたが、ビルのエレベータが1階から上だけなので狭い階段を下りなければならず、あまり、行き易い雰囲気では無かった。
 同じハードウェアなわけで、それより状況が良くなった訳ではないが、呼び込みの人が出ていたり、大きな行灯を出してみたりと、いろいろと手を掛けている。
 で、味である。女房はカレーうどん。神北は肉うどんを試してみた。ん。美味い。カレーうどんはあくまでも辛く。肉うどんは、神北が食べ慣れた肉うどんとはちと趣が違ったが、肉の滋味が染み出している。また、好みでチョイスして注文するトッピングの天麩羅もいい。
 唯一、注文と云うか、難を言うなら、この天麩羅のトッピング、別皿で持って来てくれるともっと嬉しいなぁ。うどんの汁にひたして食べる分には、うどんの上に乗っていても良いんだが、テーブルの上にはなかなか絶妙な茶塩など、天麩羅にチョイと掛けて食べると美味しそうな調味料が3つほど並んでいる。これでゆっくり天麩羅を味わいたいぞ。
 ま、何にせよ、秋葉原にまた1つ。食事の選択肢が出来た。神北がよく行く店だけでも、じゃんがらラーメン、新宿ねぎし、パスタ・デ・ココ、ジロー、松屋、そして駒八。……なんだか、ここ数年で秋葉原って、ものの食える店が増えたなぁと思う。

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2004/05/12

ウルトラQはSFだぞ

 ウルトラQである。いや、正確にはウルトラQ Daek Fantasyである。火曜深夜にテレビ東京系でやっている円谷プロ制作の30分の番組なのだが、まあ、思い付きでウルトラQとつけてみたものの、ちょっと、何がウルトラQなのかを置き忘れて来た観がある番組。あなたはご覧になっているだろうか?
 とても残念な事に、ウルトラQをウルトラQたらしめていたのは、「バランスの取れた日常のすぐ後ろに迫り来る、アンバランス・ゾーン」だけではないことが、うまく脚本家に理解されていないように見受ける。具体的に言うと、「怖い」「怖い」を描いたところで満足してしまっているのだ。普通のホラーならば、それで充分に成り立つし、この番組も、Dark Fantasyというだけのタイトルであれば、充分に出来のいい番組。良質なホラーエンターテインメントと云って良かろう。
 しかし、「ウルトラQ」なのである。ウルトラを名乗る以上、ただのホラー番組でいる事は許されない。ホラー番組ならば、別に主人公達が脅え逃げ惑うだけでも成り立つ。が、ウルトラQ空想科学特撮シリーズなのだ。つまりSFなのである。脅えているだけでは、SFは成り立たない。では、SFとは何だろうか。思うに、この場合、主人公の姿勢なのではないか。つまり、「知恵と勇気でアンバランスゾーンに立ち向かう主人公達」が軸にいなければ、それは、いくら看板でウルトラを名乗っても、ウルトラQたり得ないのだ。
 もちろん、カネゴンの繭育てよ!カメといった、純然たる童話・ファンタジーも含んでいるが、ウルトラQの基本は、どこまで言っても、SFである。基本的に、主人公達3人と一の谷博士が、知恵を絞り、謎を解き、解決手段を模索して、怪奇なアンバランスゾーンを突破する。それがウルトラQの基本だ。
 しかし、この「……Dark Fantasy」はどうであろうか。残念ながら、あまり、謎解きというものが重要視されていない。この差がどこにあるかと考えると、ウルトラQでは、ユリちゃんの興味から謎を追いかけ始めると云う流れはあるものの、やがて謎は正体を現し、謎が解かれ、3人と周りの人の活躍を通して日常が戻って来る。しかし、同じように記者として謎を追い始める今回の主人公達だが、そのまま謎に流され、気がついたらいつのまにか謎を追うどころか謎に追われ、最後には何とか振り切って日常には戻るものの、まださっきの謎はすぐ側で口を開けて待っているのかもしれないと云う、一種ホラー的な後味の悪さを残している。
 Xファイルに影響されたか、主人公グループを二人にしたのも、ウルトラQのパワーを奪っているのではないだろうか。「あれで、もう一人、コミックリリーフを入れないと、話に幅が出ないんじゃないか」と指摘したのは、友人の佐原晃氏。確かに、主人公二人がオトナシ過ぎて、「よ〜し」と突貫して行かないから、謎が解決しないように思う。というのは、二人ともミョーに物わかりがよく、連絡も密にしている感じで、仲間のひとりが独断専行して大変な事に、助けるために謎を解かないといけないという、一番モチベーションを引き出し易い演出がなかなか取れない。そのため、物語が淡々と進んで行く。主人公達も謎と距離を取って、直接対峙しない。
 傍観者が主人公というのは、ホラーの手法としては普通だが、SFとしては弱いんでナイかいと思う。

でも良いのだ

 でも、今回の第6話『楽園行き』は良いのである。きわめて個人的な理由だが、これは良いのである。先週の5話と6話がちょっと面白いとかそういう事とは全く別に、とにかく良いのである。

 いや、山吹月子こと、石橋桂がでてるからなんですけどね。

 良いのだよ。

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2004/05/11

キミにも見えるライダーの星だぞ

 仮面ライダーという小惑星があるそうだ。小惑星番号12796。
 他にも、アンパンマンとか、やなせたかし・藤岡弘・庵野秀明という星もあるらしい。全部、久万高原天体観測館の中村彰正さんが発見・命名したものだそうだ。
 こういう天体の命名で、自分以外の個人名を付ける時、物故者ならともかく存命者の場合、本人の意向とか無いのだろうか? 名誉な事で良いのだが、ちょっと気になった。
 考えてみると、星に名前がつくというのも、小惑星クラスだとなかなかビミョーかも。宇宙開発時代になって子孫が小惑星帯まで鉱物資源を掘削に行ったら、「爺さんの星って、ちぃともレアメタル含んでねーの。氷まじりの岩ばっかじゃん」とかいわれちゃったりして。ちょっと祖先の権限失墜かも……(^_^;)。

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2004/05/10

サトウ ユウ懐かしの『独立戦隊 黄泉』だぞ

 軍事関係の解説地図を描き始めた初期の頃、相棒のように組んで仕事をし捲っていた高貫布士さんの大学の後輩として紹介して貰い、以来、仲良くさせてもらっているサトウ ユウさんの、懐かしい作品がコンビニに並んでいる。
 『独立戦隊 黄泉』(嶋中書店 アイランド・コミックス ¥300)サトウ・ユウ
 なんだか、これの発売を記念して、2004年の6月12〜13日にサイン会まであるらしい。
 週刊少年マガジンの『忍者がなんじゃ』以来、けっこう読んでいるファンとして、素直に嬉しい。
 そういえば、谷山浩子ファンが、マンガの中の谷山浩子関係の記述を集めた『マンガの国の浩子さん』にも、出てました。サトウ ユウさん。なんか、集まるべくして集まったと云うか、知り合うべくして知り合った友人という奴なのかもしれない。

『独立戦隊 黄泉』
 さて、「……黄泉」だ。フィリピンへ向いキ-4式戦「疾風」で単独飛行中、グラマンに襲われた陸軍のパイロット坂本伍長は、突如現れた友軍機に救われ、そのままその第43独立戦隊の基地へと導かれる。そこは、戦闘中に行方不明となり、命がけで敵地を旅して帰って来たものの、既に軍では戦死扱いになっているため、軍籍すらなくしていた名パイロット鳥集(たかなし)を戦隊長に、「死人」ばかりで編成された独立戦隊「黄泉」。軍からもシャバからも独立した秘密部隊である。
 くー。燃えるぅ。設定が良い、気っぷがいい。話が良い。気持ちよくトトトーンと読める。最後は、全力を挙げて独立戦隊を潰しに来る米軍との大空中戦へと突入して行くのだが、腹をくくった軍人達は明るい。
 あと2編、フィンランドに墜落したまま、偏屈親父の同居人にされてしまったソ連のパイロットの話「私はカモメ」シリーズが併載されている。こちらの方が、ハッピーエンドでストーリーは明るいのだが、よく考えてみるととてもヤバいシチュエーションを残して終わっている。
 ここいらへんの、戦争というモノの捉え方が、やはり上手い。
 300円の本である。ガンダムヒストリカと一緒に買っても、千円ほど。ぜひ、手にとって見て頂きたい。

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大統領が爆殺されたぞ

 ちょっと、あまりの荒っぽさに愕然としている。チェチェンで大統領が爆殺された件だ。大統領・国会の議長、ロイターの記者など、今のところ7人が死亡。怪我は60人以上と云うから、いくら一塊に人が集まっていた場所での爆発とはいえ、「漏らさないように大きな爆弾」で、回り中を巻き込む事をいとわずに吹き飛ばしたのだろう。
 チェチェンというのは、不勉強な神北でも知っているぐらい、独立運動と阻止派の対立の激しいところだ。というのは、黒海とカスピ海に挿まれたこの山岳地帯は、それ自身埋蔵資源の宝庫であり、かつまた、中東からの石油パイプライン等が通る場所として、旧ソ連時代から、ロシアの生命線の1つなのである。
 当然、ロシアは自国内に留めたいし、仮に独立しても連邦という枠の中で完全に監督下に置きたい。しかし、その重要度故にソ連時代からの圧政が厳しく、住民達は、特に宗教活動として弾圧を多く受けたイスラム教徒を中心として、自主独立を望む声が強い。その中で、ロシアは兵を出し、チェチェンは内戦状態となっている。何年か前にモスクワの劇場で観客を人質に取ったチェチェン解放派の破壊活動は、この、ロシアの動きが行き過ぎであるとして、故郷を守る事を標榜するグループによって行われたものだ。
 ここでもまた宗教だ。
 しかし、1つ間違ってはいけないのは、本来、イスラム教というものは、特に戦闘的な宗教ではないのだ。また、このチェチェン問題に留まらず、宗教的な理由から戦争が起こる事はないのだ。
 例えば十字軍。これは、豊かな通商国家であるペルシアに貧しい国から山賊が攻め入って、暴れ回った以外の何物でもない。これは、豊かな穀倉地帯をどちらが押さえるかと云う事で争われた、フランスとドイツのアルザス・ロレーヌ地方の取り合い合戦に見られる、隣の柿を掠めるような地続き感覚の戦争ではない。全く経済的に別の系まで出向いて、利をかっさらうと云う、大規模な広域経済侵略なのだ。
 簡単に云えば、「金のために戦争を始める奴は多いが、神様のために戦争を始めようと考える奴はごく僅かだ。ただ、戦争が始まった後、神様は、いい旗印になる」ということだ。
 たとえば、近年の宗教活動の多くは、経済格差や文化の差異をちゃんと解決する道を取らず、宗教の差というカタに当てはめ、その上弾圧したことに起因する。反動で、押さえつけられた側が立ち上がったというのが、現状に一番近い。イラン・イラクを中心に、宗教意識がばあっと高まった背景には、対ソ拠点としてのこの地域を手なずけようとして、云う事を聞かない連中を宗教を理由に差別する事を煽ったCIA等の工作があると、多くの政治学者・軍事学者・ジャーナリスト等が指摘している。この、仮に宗教と云う理由付けをされただけの経済的対立が、本物の宗教対立として動き出すのに20年から30年掛かったが、納まるのにはどのぐらい掛かるのか。
 爆殺されたチェチェンの大統領というのは、ロシア寄りというか、ロシアの傀儡政権の領袖だった。その、他の宗教を禁じる共産主義教マルクスレーニン派と、地場のイスラム教徒との宗教対立に見せかけようとするフィルタを外してみると、この戦争も、自分の国の地の利で商売をしたい人と、それが羨ましいから横取りに来る人と云う、十字軍以来つづく、広域経済戦争の構図から、一歩も外に出ていない事が判る。
 しかし、テロは容認するわけにはいかない。ましてや、回りを巻き込む事が容易に予測できる爆殺などという方法を平気でとるというのは、明らかに常軌を逸している。この方法は返って自分たちから正義を失わせる行為であって、敵を利している。反政府活動・独立運動をするものは、そこをもっとよく考えるべきであろう。
 だってそうだろう、ヒトラーやムッソリーニのような熱狂的カリスマではなかったのだ。傀儡政権の顔など、替えがいくらでも利く。周りの人を巻き込んで自分たちの評判を落としてまですげ替える程の価値はないのだ。こんなことで、無差別爆破犯・犯罪テロ集団に落ちていては、独立を世界から認められる日は来なくなってしまう。
 このケンカの下手さが、あんたたちが負け込んだ本当の理由じゃないのか?

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プロと云えばその道で食っている人だぞ

 Yahoo!のニュースに、ひき逃げ半が捕まったという記事が載っていた。

     プロトランポリン選手中田大輔さん(30)が川崎市でバイクを
     運転中に車に追突され、負傷した事故で、……

 ん? ひき逃げ犯と云う話より、驚いたのは、プロトランポリン選手いや、プロと云うからには、そのスポーツをする事でお金を得るひとのことですぜ。
 そのプロの選手とはどんなものかという事で、ぐぐってみたら、このひき逃げされた方、田中大輔さんご本人のサイトが引っかかりました。
 いやー。知らなかった。世界で12人しかオリンピックに入れない競技なんだね、トランポリンって。それで食って行こうというのは凄いなぁ。
 トランポリンというのは、その昔、小学校の体育館にあって、体育の時間に何度か上に乗らせてもらった事はある。また、アクションクラブでバイトしていた頃に小さなちゃぶ台ぐらいのものを事務所が買って、空中でトンボの切れる奴が間仕切りの向こうからだーっと飛び出して来るのに使ったりしたものだ。だから、道具として運んだりした事はある。しかし、それが競技となっており、オリンピック種目だったというのは知らなかった。世の中は広いなぁ。

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2004/05/08

横山光輝さんの全作品に文部科学大臣賞だぞ

4月に自宅の火事で死去した横山光輝さんの全作品に文部科学大臣賞という話が、ネット上に乗っていた。アンパンマンのやなせたかし氏が理事を務める日本漫画家協会が、第33回日本漫画家協会賞の一環として発表したものだ。
 この漫画家協会というのは、我々のような普通のアニメ・コミックが好きな人間からすると、ちと感覚がズレた観があるトコロで、今年のその対象は「ブラックジャックによろしく(佐藤秀峰)」とともに、「ほのぼの君(佃公彦)」に送られたのだそうな。ほのぼの君、あなたはご存知だろうか、東京新聞や中日新聞に掲載されている四コマ漫画だ。佃さんといえば、三重県出身の僕としては「三交パルック バスの旅〜」というCMソングの三重交通の定期観光バスのCMを思い出す。全国規模で云うと、NHKみんなの歌「子犬のプルー」(1972年だそうだ)のアニメーションのイメージが残っているかもしれない。
 「ブラックジャックによろしく」が今頃というのも、なんか、1〜2年遅い気もするし、「ほのぼの君」に至っては、何故この平成16年に……という気がしてしまう。
 しかし、頑張っている漫画をちゃんと顕彰するという意味で云えば、こうした作品も含めているコトは大事な事なのかもしれない。
 で、その一環として、横山光輝さんの全作品に対して文部科学大臣賞である。
 晩年、中国古典に題材を取った漫画が長かった事がその大きな一因と思うが、神北としては、「鉄人28号」や「ジャイアントロボ」「バビル2世」等の良質の活劇や、すべての魔女っ子ものの原点でもある「魔法使いサリー」が、いかに後の漫画界を拓いたかという事に対する賞であって欲しいと思う。
 詳細な区分とは云い難いものの、神北の中には、手塚=SFマンガ、横山=活劇マンガ というような感じの区別がある。その活劇の横山が何を理由に文部科学大臣賞を受賞したのか、ちょっと知りたい。

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2004/05/07

さらば福田官房長官だぞ

 福田官房長官が辞任した。忍者ハットリくん似の飄々とした会見風景で、内閣の顔だった人物だ。
写真は森元総理と福田官房長官
「禁断のハイブリットマニアック」様より

 なんだかなぁ、あの人を小馬鹿にしたような表情を観る事も、暫く無いかと思うと、悲しい気もするねぇ。スポークスマンという立場から、感情を露に出す事は出来ないから、どんなプレッシャーがあっても、いつでも無理をしたって笑顔を作っていたんだろう。ただ、ちょっと場にそぐわない表情に見える事が多かった。きっと、本人もそれが判っていて、胃の中穴だらけになるほどキリキリ気を揉んでいたんだろうなぁ。「だって、僕にはこれ以外の表情のしようがないじゃないですか」って感じで。

 僕は、特にこの人に対して語る事が無いのだが、この人が官房長官で小泉さんが首相の時に、太平洋戦争後初めて、日本はアメリカの戦争に積極的に協力を表明したということ。それが、歴史が動いた瞬間であり、その時代に立ち会った以上、これは忘れてはいけないなぁと思う。

 何はともあれ、ご苦労様。あと、国民の義務は果たしましょう……。

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大嘘をつくぞ。

 小説挿絵やアニメムックに地図図版を入れるという商売をしている以上、うそ地図をしょっちゅう描く。
 最も簡単なのは、普通の地図があって、「史実には無い攻勢をかけた進撃路の矢印を描いた地図」だ。もちろん、その仕事が信長が本能寺で死ななかった話の挿絵なら、矢印に説明書きとして「信長公西征経路図」と入ったり、広島辺りの地名に「(西安土)」という但し書きが付いたりするかもしれない。それが第二次世界大戦中のアフリカ大陸なら、「ロンメル軍団中央アフリカ蹂躙作戦」なんていう景気のいい表題が付くかもしれない。ま、既存の地図の上に、人間の動きが乗る。これが、うそ地図レベル1だ。
 次が、「実際にはないルートに道や鉄路が通っている地図」だ。船の航路の場合もある。その昔、レッドサン・ブラッククロス関係の本だったと思うが、日本と欧州の間の飛行機便が実際より遥かに多く就航しており、往来が頻繁だったため、日本が孤立を強めず、独・伊との三国同盟に至らなかった世界……という説明で、架空の航路図を入れたものを描いた事がある。また、このテで逆に多いのが、推理小説のトリックで、違う線の二駅間を車で乗り継ぐ事で、時刻表の隙間をスリぬけて短時間に移動するという類いの奴だ。さすがに、挿絵を観てトリックが判っても仕方ないので、あまり確実に線を引く事は無いが、問題となる二つの駅は、ほかよりちょっと大きめにプロットして、パっと観に見つけ易く作る。これが、うそ地図レベル2だ。
 その次は、地形の変わってしまうものだ。たとえば「関東大震災の時点でフォッサマグナを境に、本州が二つの島に割れている」とか「海面が上昇して海岸線が一変している」とかだ。一度、海面が90メートル上昇した世界で、箱根を中心に、富士山から相模湾まで含む、広大な地形図を、等高線百メートル単位に描いた「第三新東京地図」というのをアニメージュでやらせてもらった事がある。これはなかなか剛毅な仕事で、まず、出来る限りの情報を入れるには地図の範囲をどれだけにすれば良いかを把握するために、「新世紀エヴァンゲリオン」を放映終了分まで2度ほどメモを取りながら見直す。その後、地形図を睨みつつ範囲を決定。4枚の地形図を買って来て、海面上昇で90メートルずれた海岸線を設定し、それをスキャナで読み取ってラインをなぞった。もちろんスキャナというのはA4の家庭用のものだから、小さな部分ごとに読み取ってはコンピュータ内で繋ぎ直しをするのだ。結局、すべての等高線を引き終えるまでに軽ぅく三週間ほどの時間がかかった。その後、そこに道路や鉄道を描き、もともとの地形図には無いN2爆雷で出来た第二芦ノ湖とを書き足して行く。その上で、使徒を模式化したポインターを設置。細かい解説を入れて行く。結局、一月近い時間(と、エヴァに入れ込んでいた友人達の自主的で熱烈な協力体制)があって、やっと作る事の出来る渾身の地図だった。ま、そんなに大きく掲載された訳ではないんだけど、簡単な図表図版などとは完全に別のレートで作業を評価して頂いた、神北本人に取っては、記念碑的な一枚だ。
 最近では、ガンダムヒストリカに入れた、ジオンの地球侵攻作戦の地図なども、それに近い。この地図は、ガンダムの世界でコロニー落しの直後に行われたジオン公国軍の作戦を世界地図の上にプロットしたものだが、当然、戦争初頭の「コロニー落下」を受け手の地図という事で、落下したコロニーによってぐちゃぐちゃになったオーストラリア大陸の東側がまだ液状化から立ち直ってない様子などを出来るだけ細かく描いた。
 まあ、こういう大掛かりな嘘をそれらしく、もっともらしくついて行くのが、神北の商売という訳だ。
 ただ、こういう嘘がすんなりとつける作品ばかりではないのが悩みのタネだ。というのは、原本にある全ての情報を総合すると、地図的に不合理が出るようなケースがかなり多いのだ。ストーリーの中で地名を読んでいる分には、単なる記号による点と線なのだが、それを地図上にプロッティングしてみると、A地点にいる敵から逃げるためにB地点まで逃げ出した筈の主人公が、さらに移動してC地点に来るけど、地図上でA地点とC地点は指呼の距離……なんてぇことは、よくあること。書き下ろしの仕事で、まだ作家に注意できる暇があるならば、編集を通して話す事も出来る。が、場合に因っては、大元がもう既に別に発表されている作品のもので、原本を修正する事が不可能な場合など、どうやって、読者に違和感を与えず、地図にも嘘をつかずに済ませられるかという、相反する命題を編集さんは一言で済ませる。「何とかウマいコトお願いします」。いや、俺だってウマい方法があるんなら、飛びついてますよぉ・・・。
 ま、それが仕事の価値って奴なんですね。楽して稼げる訳は無い。みぃんな悩んで大きくなった……と。

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2004/05/05

「テガレンジャー」だぞ

 「特捜戦隊デカレンジャー」ではない。「沼南戦隊テガレンジャー」である
 千葉県の手賀沼を汚す「暗黒軍団」を退治する「沼南戦隊テガレンジャー」。赤・青・黄色のヒーローたちは、全国有数の汚染度で知られる手賀沼浄化と沼南町のPRのため、同町商工会の青年部会員らによって作られた、いわゆるご当地ヒーロー
 ちょっと名前が流行に乗っているというか、今年の戦隊に酷似しているのが良い。ネーミングの時点では、デカレンジャーなんてまだ影も形も無かったと思うけど。
 二月の初演には、数百人の子供と云うから、小学校1つ分ぐらいの子供が、みんな駆けつけた計算か。なかなかの集客力だ。若い頃、名古屋の巣山プロというプロダクションがやっていた巣山プロアクションクラブSPACというところで、戦隊ショーをやっていた経験では、数百人の観客というのはそう驚く数ではない。が、数百人の子供というのは、ちょっと恐れ入る。子供に親が付いて来る訳だから、観客全体では、1000人〜2000人になる。野外のステージで、20〜30分で設置可能の移動用の簡易型の音響機材でまかなうには、そろそろ限度があるし、平らな場所では、後の方ではステージが全く見えない事になってしまう。
 いやはや、ご苦労様である。

 ちなみに、こうした地域活性や行政広報のためのローカルヒーローだけでなく、ローカルTVCMに現れる地域限定ヒーローなどを、手広く扱っているサイトがあるので紹介しておく。
 超級バラエティ研究所
 ここは、情報量が豊富で、いいぞ。

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幕張に巨大フリマを見た

 ゴールデンウィークももう終わり。特にどこにも行かずに、家でゴロゴロばかりではつまらないので、5月4日火曜日(祝)、幕張までフリーマーケットを覗きに行って来た。といっても、そこいらへんの公園でやっているようなものと規模が違う。第一〜第八まで、ということは、第一展示棟……っていうのかな、最初に建った方のヤツ……全部にお店が広がると云う、かつての幕張時代のコミケのような物。
 とはいえ、車で運び込んで来て、そのまま車の前に店を作るようなやり方をとっているので、1つのブースがでかいから、出店ブースの数は少ないが……。
 最近のフリマの傾向として、家庭の余りを云々しているレベルを超え、フリマのために仕入れて、フリマに出しているような、プロのフリマ屋さんが多い。それがフリーマーケットという場において倫理云々にどう関係するのかは判らないが、価格が一応安定し、品揃えも豊富というのは、そうそう悪い事ではない。もっとも値段が判らないシロウトと違って、極端な掘り出し物とかは出難いが……。
 この幕張のイベントは去年も参加したが、展示スペースを8区画全て使うだけあって、やって来た客に対する食事系の充実がかなりの物で、食いしん坊の神北にとっては、それが何よりの楽しみだった。去年は、生ホタテを串に刺して醤油ダレで焼いた物が絶品だった。北海道フェアと称して、北海道の各地の有名店や腕に自信の店の看板が立ち並ぶ。
 今年も北海道フェアはあったたが、残念ながらホタテの串焼きは来てなかった。代わりに、めぼしいところでは、ソーセージを豪快にいためている店や、ほくほくのポテトを蒸している店、有名駅弁の店が、いくつも来ている。
 今年の神北家の昼食は厚岸駅名物、氏家食堂のうに弁当。小振りに見えるがわりと量のある弁当箱一面に薄く味のついたご飯が盛られ、いくつかの具が上に載っている。そして、更にその上に、弁当の半分以上の面積を使い、これでもかというぐらい蒸しウニが盛りつけられている。デパートの駅弁フェアとか行っても、30〜40メートルの行列が必ず出来ていて、いつも泣く泣く諦める一品だ。それが、この日は十数人並んでいるだけ! ちゃ〜〜んす! とはいえ、土台の部分だけ先に作っておいて、ウニを盛るかカニを盛るかイクラを盛るか。その場で客の注文に応じてトッピングをしているので、ちょっと遅い。神北の後に並んでいた奥さんなんか、子供はぐずり出すわ、本人も怒り出すわの大騒ぎ。でもいいんだ、美味いから。
 たこ焼きに見えるけど実は、タコの代わりにホタテを使ったホタテ焼きとか、札幌ラーメンの有名店とか、色々来ていたけど、全部は食い切れないっス!
 なんせ、ソフトクリームだけで3〜4業者は来ている。タレントの田中義剛さんが牧場長を勤め、カントリー娘で知られる花畑牧場のソフトクリームを試してみたが、なかなか濃い味です。田中義剛さん、大学時代のクラブ活動は肉牛研究会だそうだが、どうしてどうして、乳牛や乳製品も、ヤるのゥという感じ。
 中には、いろいろとプロディーラーも来ていて、中古車を売っていたり、輸入業者がハマーを展示していたりしている。四輪バイクを輸入しているお店もあった。
 SEAMARINEというお店で扱っているドルコという機種だが、これは、アメリカで大きなシェアを持つe-ton社の製品を輸入しているもの。ドルコ50は、つまり、トラクターであり、小型特殊車両として認可を取れば、公道も走る事が出来る。普通免許で乗れ、ヘルメット着用の義務無し。制限時速60キロ。販売価格199,800円こりゃ面白いネ。
 かくして、天気は今イチ悪かったものの、インドアのフリーマーケットを一日楽しんだのだった。

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2004/05/04

ボブ=サップの試合を見たぞ

 テレビのチャンネルを適当に回していたら、新日vsK-1というコンセプトの中継をやっていた。あまり格闘技全般を気合い入れて追っていないので、ボブ=サップといっても、なんかよくCMに出ている人でしかないし、残念ながら、新日の選手に至っては、一人も知らない。うう。かつて新日が金曜8時に定番番組として君臨していた頃、アンドレ・ザ・ジャイアントが暴れ、ブロディーが吠え、ホーガンが雄叫びをあげていた頃、藤波や長州が、猪木と云う偶像を目指して全力で挑んでいた頃。あの頃はかなり詳しかった筈なんだが、今は全然判らないや。
 ただ、漏れ伝え聞いた事や、今日の実況中継・解説を聞くに、ボブ=サップに奪われたIWGPのベルトを取り返そうと、新日本プロレス一の暴れん坊が挑戦状を叩き付けたァ! ……という事らしい。まあ、IWGPがいつまでも新日に無いというのは、こんな格闘技離れをした人間が聞いていてもちょっと寂しいので、プロレス大好きな人たちにしてみると、許されない事だというのは判る。
 しかし、新日からのチャレンジャーがかなり良いトコまで迫りつつも、ボブ=サップは体力で競り勝っちゃった。体格的不利を越え、サップの力をプロレス流搦め手でいなしつつ、急所を攻め立てる。まさに牛若丸と弁慶みたいな試合なのだが、この弁慶、牛若丸の攻撃にダメージを喰らうものの、決まった筈の関節をぐいぐいと力任せに外してしまう。子供が大人相手に本気になっているように見えちゃうから悲しい。
 ここで勝てば、すんごいいい試合なのだが、最終的にチャレンジャーは勝てない。なんだかなぁ。どうしてこんなにサップ一人勝ちなんだろう。
 そもそも、ボブ=サップの出身はアメフトで、特になにかの格闘技を極めたという訳ではないと聞いている。空手とかの打撃技系の専門家でも、柔道とかの関節技系の専門家でもなく、とにかくパワーのある体質的に恵まれた男だということらしい。そういうことの行き着く先というのは、プロレスだと思っていたので、サップはプロレスに向くのは判る。しかし、とはいえ、プロレスをプロレスとして専心して来た選手と比べると、体格やパワーの優位性なんて吹っ飛ばされちゃうというのが、今まで自分の信じて来たバランス感覚なんだが、ボブサップというのは、そういうバランスを突き崩しちゃうアンバランスゾーンそのものらしい。
 なんでそんなに強いのかねぇ。

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2004/05/03

解散したぞ

 初め在るものには終わり在り。最初に話が出てから約4年半の歳月を経て、ついに、昨年の日本SF大会、T-con 2003の実行委員会が解散した。大会の実行委員会なのだから、大会の最大の山場である当日を乗り切れば、もう終わったも同然なのだが、取りまとめをし、アフターレポートを出し、これで実行委員会の全ての活動を停止と云うところに至るには、大会から9ヶ月余りの月日を要した。足掛け五年。感無量である。
 2004年5月2日。新宿のカラオケ屋さんのパーティールームに30人近いスタッフが集まり、解散式を執り行って、晴れて元スタッフになった。これで、第四十二回日本SF大会 T-con 2003 とちぎSFファン合宿は、終結した……と云ってよいのだろう。
 SF大会としてはなかなか無いことだが、会場が本当に協力的で、会場側の担当だった飯沼さんなど、ホテルの人か大会の人か自分でもよく判らないぐらい、この大会に入れ込んで下さった。そして、大会企画で催した「鉄人定食」の巨大餃子は、ホテルの名物として、その宴会メニューに残った。更に、企画で作った折り紙製キングギドラは、まだホテル内に飾られている。
 もちろん、その親和性の高さは、ホテルと大会の間だけではなく、大会のスタッフ間にも云える。このT-con 2003というSF大会の実行委員会は、かなり結束力が高い。多くの主要スタッフが、大会が終わってからも結構頻繁に、何かと顔を会わせている。だから、30人集まってもあまり久しぶりという人が居ないぐらいだった。また、この先の大会の実行委員会に入り、スタッフ活動を続けて行く人も多い。
 とはいえ、「スタッフ会解散式」と銘打たれた宴には、格別の思いが在る。
 皆さんお疲れさまでした。また、一緒に何かやりましょう。

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2004/05/01

ウニの味らしいぞ

 プリンに醤油を掛けるとウニの味がする……という話をお聞きになったことはあろうか。
 今日、僕は、それを本当に実行する奴を見ました。
 上野に竹弥(たけや)という、肉をはじめとした具材がとり放題のバイキング形式で、すき焼きとしゃぶしゃぶを喰わせる店がある。勿論、こういうところの常で、具材だけでなく、サラダバーの小さいのや、ご飯・みそ汁・カレー等、様々な食べ物が並んでいる。当然、デザートもいろいろと並んでいる。まあ普通っぽい値段で、そこそこいろんなものが食べられて、しかもメインディッシュがすき焼き&しゃぶしゃぶ。(&焼肉というのも最近はあるらしい。)上野駅の目の前と云う立地条件もあって、竹弥はわりと有名な店である。
 今でこそ、30種類の肉と25種の寿司、その他32種類の食材と21種類のデザートみたいな、百種類を越えるバイキング式の、食い放題の焼肉屋などの店も多いが、十年ちょっと前の神北が始めて人にここを教えられた頃は、郊外の焼肉店はいざ知らず、上野の駅前なんて立地ではまだそういう種類の店は珍しかった。
 当然そのころの神北と云えば、食い盛りの30をチョイと越えた頃。狂ったように喰い捲ったものだ。当時からこの竹弥には、すき焼きやしゃぶしゃぶの具材の他に、幾種類ものデザートが置いてあったが、そんなものには目もくれず、肉、肉、肉。飯、飯、飯。カロリー、カロリー、カロリーである。90分のタイム制ぎりぎり、70分目ごろに、そろそろデザートに移るか最後まで肉かと云う決断を迫られる時、即決で肉と飯を取りに行ったものである。(もちろん、その後滑り込みでデザートも食うのだが……。)
 しかし、さすがに鉄の胃袋も四十の声を聞いて以降大人しくなり、最近ではめったに竹弥にも顔を出さなくなったのだが、今日、ちょっくら用事があって顔を会わせた、古市くんと、上野でメシを喰って話し込むことになって、神北が選んだ店がここだった。
 古市くんとは昨年の日本SF大会T-con 2003 の仲間だが、実はお互いに出身県が同じと云う同郷者でもある。
 いろいろ食って、ちょっと神北がホーッとしているところに、デザート置き場から古市くん帰還。片手にはプリン、ブッチンではないが、近いような奴。もう片手には、醤油の皿。
 「試します」
「ん?」
「せっかくだから、例のアレ試します。醤油も取ってきました」
「お……おい」
「いやあ、こんな機会でもないと試さないから」
「こんな機会でも試すなよ〜」
「いや、やってみないと」
「やらずに済ませる勇気もあるぞ……」
 スプーンをチロっと醤油に付けて、それでプリンをすくう。
「あっと、神北さん」
「ん?」
「これって、カラメル付けるものなんですかね。無しなんですかね?」
「知らんよ!」
結局付けずに一口……。
「ん、神北さん、こ、これは……これは違います、ウニじゃありません
「そりゃそうだって、プリンだもん」
「でも、カラメルが入ると良いのかも」
「うんむむ。試す?」
「そりゃ、ここまで来たらもう……。む。これは!
「どう?」
これはこれで美味しいんですが、ウニとは違うものです!!
「ああ〜……。さよケ……」
 なんか、ちょっとホっとしている。
「おかしい、よく芸能人とかがテレビで「ウニそっくりだぁ〜」って云ってたのは、嘘だったのかぁ」
「じゃ、あとはあれだな。キュウリに蜂蜜だな・・・」
「それって何の味でしたっけ」
「メロンだってさ〜」
「へー」
 しかし、天の恵みか悪魔の技か、有り難いことに、その場には、蜜を掛けるデザートも、サラダバーにキュウリもなかったのである。
 ああ、よかった。

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