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2004/05/20

綺亜羅が来たりてジャズを弾く……だぞ

 もう、ほとんど死にそうなほど忙しい。というのも、いろんな要素が重なって、いくつかの締め切りが重なっている綱渡りのような今週、振って湧いた友人のお家の不幸で、お通夜出席のため時間を取られたなどの状況が重なったからだ。
 とはいえ、手が抜けないのが、個人事業主、つまりフリーランスの辛いところ。結局、睡眠時間をギリギリと削って、ファイトォいっばァつ!!をがぶ飲みし、作業をしている。とはいえ、人間である。いくらドーピングしても、反動でバタンと倒れて数時間は眠りコケることになるの。しくじったのは先夜。ついつい『鉄人28号』の時間帯に眠り込んでしまった事だ。
 まあ、最初の衝撃は通り過ぎ、普通の毎週見るアニメになっていた鉄人28号なので、『絢爛舞踏祭マーズ・デイブレーク』を見落としたのと同じ程度の感覚なんだが、前日に、『ウルトラQ Dark Fantasy』を見たのに、こっちを見落としたというのは、なんかソンした気になる。
 とはいえ、今週の『ウルトラQ』「綺亜羅(キアラ)」は、金子修介で美少女という事で、わりとよい出来だった。南極怪獣通信さんの記事に詳しいが、なんと云っても、主役の役者二人が良かった。金子修介の雑記 "Essay"2月3月あたりに詳しい。あるコトに気付いてしまったアーティストが、気付いたコトにこだわるあまり、呼んではいけない芸術の天使を呼び出してしまい、その導きで、本人にとっての天国へ旅立つ……もしくは、他人から見ると破滅する……というお話し。有り勝ちだから、それだけにストーリーは予測されてしまう。そのために、いかに、新解釈や、気持ちのいいストーリーや、ブラフを込めて、視聴者を振り回すかという事が何よりも大きな作劇上のポイントになると思う。さすがに金子監督で、ロリーな天使「綺亜羅(キアラ)」を描かせたら、やはり違う。これは、森の中で前田愛の綾奈がイリスに抱かれるシーンの、あのテイストといえばお解り戴けるか。
 まあ、丸顔の美少女をエロく描いたら、出色の演出。
 しかし、主人公であるジャズメン坂口の葛藤が思い切って切り捨てられていたところが、ちょっとドラマを薄くしていたと思う。なんというか、彼が、この世の生よりも別のものを選ぶ事が、全くテーマになっていないのだ。友人の音楽プロデューサー田中が、もっと坂口を心配していれば、その面を肩代わり出来たのかもしれないが、そういう持って行き方でもなかった。警察まで動員した田中の行動は、坂口の危急を察したものだったが、その発端はお宝レコードの盗難と言う現世的な価値観に基づくもので、坂口の代弁が勤まる友人という印象が薄い。いや、これはこれで、有り勝ちな腐れ縁であり、この描き方にはリアルさがあって構わないのだ。ただ、あまり坂口の心情を語る術が無かったというだけだ。
 綺亜羅の正体を知り、その誘いを受けてその手に命をゆだねる事が、何を意味するのか。そこをハッキリと認識した上で、敢えて坂口が綺亜羅の差し伸べた手を掴まなければならない。そうでなければ、これはただ単に罠にはまった芸術家の話でしかない。
 残念ながら、この作品の坂口の決断は、警察に追われながら、一瞬にして下した、発作的なものでしかない。ここが残念。
 また、綺亜羅に魅了された過去のジャズメン達と思われるゾンビ(風の亡霊)が数人、ビデオに映っているが、これもあまりよいイメージでは無い。出来れば、白づくめでよいが、ちゃんとしたジャズミュージシャンの格好をしていて貰いたかった。楽器でも持って楽しそうに。そして、神に召され音楽に命を捧げたミュージシャン達だけの静かなセッションの中に、ベースを持った坂口が加わる。かつては学生ジャズ界の天才プレイヤーだったが現世の栄達に走った田中は、それを眺めて居るしかない。そこに田中の席は無いのだ……。と持って行って、初めて、この綺亜羅という話は寓話となる。

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