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2004/05/24

『ソリトンの悪魔』を観たぞ

 昨日の『リターナー』に引き続き、『ソリトンの悪魔』を観た。衛星劇場でやっていたのだ。原作は言わずと知れた梅原克文。第49回日本推理作家協会賞受賞作だ。海洋パニックとしては面白いお話しなので、まあ良いんだが……原作の長さの割に90分と云う上映時間があまりにも短く、薄紙を剥ぐように謎が解明されて行くシチュエーションや、苦肉の策を積み重ねて細い糸を手繰り寄せるように順を追って行われて行った反撃が、何だかずいぶんと簡単に描かれていて、原作の持つ読者を右へ左へと振り回す面白さというものが、根こそぎ抜け落ちていた気がする。
 SFとしてどうかということになると、梅原さんは、最後の一線でSFとしての整合性より物語の勢いを取る事が多く、本人がその上「エスエフでなくサイファイ」なんていう意味不明な事を言い出したものだから輪をかけて変人扱いされているが、面白い物語を作り出す事に関しては執念と実力を兼ね備えた人だと思っている。それは、デビュー作『迷走皇帝』からずっと彼が持ち続ける矜持であり、作家としての有り様だと思う。
 しかし、その梅原作品の良さが、時間的制約によって描き切れなかったので、結局、怪獣大激戦・海上都市大壊滅・サバイバルパニック物になってしまっている。
 おかげで、いい声優を配し、良い作画陣を揃え、大迫力の映像と極限状態の芝居を作り上げながら、話が単純で面白くなって来ない。
 こりゃ、ちょっと勿体ないなぁ。

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