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2004/05/28

名付け親だぞ

 世の中に「ライトノベル」という言葉がある。1970年代末に始まり、80年代を通じて爆発的に成長した青少年向けの小説ジャンルの総称だ。
 元々なかったジャンルなので、何か言葉が必要だった。昔から「ジュヴナイル小説」というものもあったものの、児童までを範囲に含める「ジュヴナイル」という言葉は、恋愛やちょっとエッチめな描写も含むこのジャンルには向かなかった。また、ほぼ同時に「ヤング・アダルト小説」という言葉もあったものの、「ヤング・アダルト(思春期から青年)層をターゲットとした小説」というより、「ヤングのためのアダルト小説」に読めてしまう。
 もっと即物的に、主にそういう系統を出していたレーベル名をとって、「ソノラマ・コバルト系」とか「スニーカー系」とかいう言い方もした。が、これも、ちょっと変だし、特定社名が出るとなると他の会社やレーベルから出た本では使い辛い。どうしようもない言葉だが「字マンガ」と呼ぶ人たちも居た。小説も漫画もどちらもバカにした言葉で、吐き気さえ憶える言い方だ。
 で、結局、そういう言葉は世の中になかったので、「ライトノベル」という言葉を作った。当時シスオペをしていたニフティサーブのSFファンタジー・フォーラムで、ライトノベルを独立した会議室として扱う事になった時に作った。
 しかし、当時はかなりモメた。「すでに、ハヤカワで使っているヤングアダルトということばがあるではないか」というものから「軽い小説とは何だ!」というものまで、かなりいろんな意見を頂いた。が、十何年か経って気がついてみると、意外にも「ライトノベル」という言葉は定着し、一般敵に使われる言葉として生き延びている。

 また、機種依存文字という言葉がある。本来、NECのPC9800シリーズ、富士通のFMシリーズ、シャープのMZシリーズなど初期のパソコンは、全て自家製のシステムを積み、そこには独自の文字セットが使われていた。これ等は全てANSIIやJISの規格に沿っていたが、JIS規格を決めたタコ役人どもが馬鹿で実際の運用ではどう考えても必要になりそうな文字が大幅に不足していたため、各社は必要に迫られて独自の拡張文字を積んだ。幸いJIS規格には、まだ使われていない文字コードがかなりあったので、各社のシステムはそこに独自の文字を割り当てたのだ。
 しかし、会社によってこの拡張文字コードが異なった。会社どころか、大型電子計算機系の事業部の作ったオフィスコンピュータと、家電系の事業部が作ったパーソナルコンピュータで、文字セットがちがうなんていうことすらあった。
 当時、パソコンと云えばPC-9801という時代だったが、この98ユーザの多くは、この機種によって文字セットが違うという事を認識してくれなかった。98ユーザの友達はやはり98ユーザで、同じ仲間同士で文書をやり取りするのにはちっとも困らないからだ。しかし、その頃始まったパソコン通信では、98文字が大問題になった。奇麗に見せようと、PC-9801しかない罫線コードで見出しを囲ったり、電話の絵文字や
一文字に「株式会社」と田の字形に入った文字等を使われると、読めない人がいっぱい出て、いろんな機種の人が居るパソコン通信ではとっても困る。
 そこで、「この字はJIS規なので使って良し」「この文字はJIS以外の拡張文字なので使っては駄目」を明確にする必要が生じた。
 有り難い事で先達が居て、先輩シスオペの海津宜則さん「通信では危険なコード」というデータを作っていてくれた。これを元に、作り直した表が、SFフォーラムに今も置かれている。で、「この表を見て、機種依存文字は使わないようにしてね」と云ったのが、機種依存文字という言葉のルーツだ。
 時代が変わり、機種依存文字というよりも、OS依存文字という方が正しいような時代が到来したが、それでもまだこの言葉は生き延びている。

 さて、ハテナダイアリーに町山智浩アメリカ日記という日記がある。昨日、これの 2004-05-27 チャップリン フェラチオ ロリータ
という記事があった。いや、ちょっと女性には、衝撃的でいや〜んな話題で申し訳ない。
 二十世紀を代表する喜劇王として知られるチャップリン。その生涯を飾る4人の妻のうち、3人までがミドルティーンの少女期に結婚しているとか、その1人目の妻リタにフェラチオを強要したことが離婚裁判で争われたこと。それが清教徒の国でそんな(あり得ない=表現する言葉もない)コトが世の中にはあるのだと認めさせるキッカケになったこと。そのリタの映画『キッド』での役名リリータが話題になったのを面白がっていた1人に、作家のナボコフが居たのだという話等がまとめて語られている。

 ハァ、チャップリンが居なかったら、そして、妻に「おぞましい行為を強要」しなければ、「ロリータ」という小説は世の中に生まれず、ロリータコンプレックスという言葉も誕生せず、80年代からこっちの日本の漫画文化やその他オタクなムーブメントも、随分変わった形、もしくは違う名前のモノになっていたんですかぁ……。有り難いですなぁ。
 ありがとう、チャップリンさん。現代日本のこのマターリとしたアニメ・ゲーム文化も、数々の擬娘タンたちも、貴方なかりせば、存在しなかったかも知れません!

 ちなみに、名付けると云えば、最近流行り始めた擬娘・擬娘化という新語は、誰が名付けたのだろう? 擬人化するという言葉の特殊進化の一形態だ。いろんな文物事象を女の子の形に描くというのは、文化的には、MSVの頃のザクレディ・グフレディあたりから始まったのかな。ロリーになったのは、明貴美加さんのMS少女あたりからか。これを擬娘と呼ぶようになったのは、たぶん、今世紀に入ってからなんだろうけど……。

 最近お気に入りなのは、ドジっ娘Meタンだ。あなたがネトラン厨でないなら、そしてWindowsOSをなんとなく触ったり理解しているならば、一度、笑ってみられる事をお奨めする。

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