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2004/05/28

値段は確かに高級だぞ

 吉井宏くんは、盟友である。1989年、第二十八回日本SF大会ダイナ★コンEXを開催した実行委員会の仲間だ。この内で、後に東京に出て来たのは、たぶん15人ぐらい居るんじゃないかなと思うが、編集をしているWくん、Hくん、Oくん。絵描きをしている浅田(浅田隆)さん、吉井くん、そして図版描きの神北あたりが、主に出版がらみの仕事ということで、何かのチャンスで顔を会わせたり、共通の知り合いが多かったりする。
 その吉井くんが、最近よくわからなかった用語「ジークレー(ジクレー)」の定義を明確にしてくれていた。Hiroshi Yoshii _The Daily Workの、2004年05月14日●ピエゾグラフという記事だ。
 早い話が、「奇麗なインクジェット出力」なんやねー。

「ジクレー」も、ジクレーという種類のプリンタがあるわけでなく、 高級インクジェットプリントの総称ってことになっている。主に 「ジクレー」という単語が使われるのは、漫画家やあやしい画家の絵を インクジェットで複製して版画と称し、とんでもない値段で 売っている店などである。

 漫画家や怪しい画家の絵……。そーいえば、心当たりがある。
 かれこれ、7〜8年前になろうか。ある時、もう亡くなられた特撮やアニメになった漫画をたくさん持つ漫画家さんの展覧会があるというので、近所の駅前ビルのイベントスペースへ女房と二人で出かけた事がある。かなり大きな絵もあるが、異様に小さなA5サイズぐらいの、マンガのキャラクターを1人描いただけのような複製画でも、5〜10万円なんて価格がついている。
 兄ちゃんが寄って来た。
「いかがですか、これなんか、素晴らしいでしょう?」
と、指し示したのは、原画集とかでもよく見る構図の絵。
「こことここに先生自ら、筆を入れてもらってます。ほら、50枚限定で、署名も直筆ですよ」
 へ? 女房と二人、ポカンとしてしまった。版画というよりは印刷に近いような技術で複製した絵に、二筆ほど,テカリの銀えのぐをサラサラっと流して、署名をするだけのモノが20万円ですか? しかも、ほぼ同じ物が50枚? これって、限定なの?
 あんまり感心していないのを見て取ったのか、兄ちゃん、イチオシを別の絵へ移行。
「これなど、素晴らしい出来だと思いませんか?」
「ああ、◯◯誌の表紙絵ですよね。『△△』の連載2号目だったかな、持っていますよ、懐かしいなぁ」
「あァ、ああ……、そうですか……」
「……でも、特に珍しい絵じゃないですよね。今でも古本屋漁ればいくらでも出て来るし」
「そ……、そうですか、……じ、じゃあ、こちらなんかは如何ですか? 素晴らしいでしょ?」
「ほ〜ぉ、これはぁ!」
「い……、いいでしょう?!、10万円です」
「懐かしいですねぇ。『◯◯』の時の表紙の構図で、彩色して描き直した奴ですよね。
「……お詳しいですね……」
「僕らの世代は、このかたの漫画で育ちましたからね……。そうだ。たしか、どこかのアニメショップでポスターにしてたなぁ、500円か1000円で。」
「い、いやぁ、あの、ポスターなんかとは品質が違います。……い、色あせもしませんし!」
「色あせが怖けりゃ、1000円のポスター100枚買って毎年張り替えますよ。そうすりゃ10万円で100年間色あせしないし、たとえ破いちまっても、全然平気……」
「あぐ、あの、あん・・・。どうぞ、ゆっくり、ご覧、下さい……」
 兄ちゃん、エビのように後ズサって消えて行きましたぜ。
 その後、同様のやり方をしている他の絵描きさんの展覧会も見に行った。これも全く同じような有様で、こんなモノに自作を委ねる人だったのかと、ちっとばかり、ガッカリ。
 アニメ世代が良い歳になって、家に絵でも飾ろうかと思ったところに、よく判りもしない絵より、ちょっと懐かしいマンガやアニメのキャラクターを飾ったらどうかというのは、いかにもありそうな事。しかし、それにつけ込んで、複製画を何十万円もの価格で売る荒稼ぎというのはなぁ……。

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