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2004/06/15

オタクの神髄を伝えるぞ

 「あずまんが大王」をご存知だろうか?
 別に、夕方と深夜・土日の朝方に録画機器がフル稼働するようなオタクでなくても、まあ普通に本屋に漫画を買いに行くとか、アニメ雑誌をチョボチョボ眺めるとか、その程度の情報量でも、内容までは知らなくてもタイトルぐらいは認識しているような、有名どころのマンガだ。
 おおいしげんさんのはてなダイアリー 博物士 で、日本文化の国外における受容と変容に関する一考察に、スペイン語版の翻訳に関するレポートが載っている。バレンシアに留学中の、労働法&スペイン学が専攻の大学院生だそうで、日常会話に不自由しないスペイン語力をお持ちらしいので、全てが日常会話から成り立っていると云っても過言ではない「あずまんが大王」のセリフをチェックするには、最適の人材だ。
 記事にもあるが、言葉遊びや慣習などに関しては、日本での面白がり方を解説するのではなく、同等に面白いシチュエーションをスペイン人の日常やスペイン語の語感の中で探して、大胆に意訳している。
 意訳しているが面白さの質が出来るだけ変わらないようにしてある。

 こうした気を使った翻訳と云うのは、日本人が30〜40年ほど前に積極的にやっていた、ハンナ・バーベラ等のアメリカのテレビアニメを買って来て、浅草の芸人さんや若手俳優を中心としたひとたちを声優にして、大胆な意訳をして作っていた日本語版に、きわめてイメージが近い。
 たとえば、キャラクターのShabbyは、いつも薄汚い格好をしているパッとしない青年で、shabby(みすぼらしい)という見たまんまのキャラ名だが、これが日本に来るとボロピンになる。もちろんそれは大胆な意訳だが、宇宙戦艦ヤマトのキャラクター達がロバートとかの特に意味もないバタ臭い名前に変えられたのとはワケが違う。日本人の子供がボロピンという名から思い描くキャラクターの印象は、アメリカ人の子供がshabbyと聞いて思うものに極めて近しいのだ。
 それが、30〜40年経って、今になりカートゥーンネットワークで、ボロピンがじつは本国ではシャビーなんだぁと知っても、違和感はない。もちろん、そこには、『ノーパンしゃぶしゃぶ疑獄』の時に破廉恥役人が接待側に要求した「(どうせメシを喰うなら……)シャビーでないところがいい」という言葉で(日本で)市民権を得たShabbyという言葉だったということもあるが……。

 スペインに、日本のマンガやアニメが、これまでどれほど定着しているのか、いまどのぐらいの物が「売り込み中」なのか、今後何が来るのか等、細かいことはよく判ってないが、今後、どんどん普及していただきたいものだ。
 というのは、例えば、ワールドコン(世界SF大会)などで、アメリカ人と話していて、共通の話題を探って行くと、『宇宙大作戦』(=『スタートレック』)等は当然だが、「俺は、スピードレーサーを観て育った」なんてやつがとても多い。つまり、輸出された『マッハ Go! Go! Go!』(1967〜1968年 タツノコプロ)である。実は、タツノコは、この始めてのアニメ輸出の時、放映権を無制限に譲り渡してしまったので、日本には最初にまとまったお金が入っただけだが、全米各地のローカルテレビ局で、毎日毎日、かなりのハードローテーションで放映され続けた。このため、「吾が心のテレビアニメ」として『スピードレーサー』を上げる同世代のSFファンは、日米に境なく広がっている。
 まあ、『マッハ Go! Go! Go!』と『あずまんが大王』では、対象とする層も幾分違うし、時代的にもメディア的にも異なっているが、とにかく、こうやって文化交流を進めることが、何よりも互いの理解に繋がることは間違いない。
 今後も、新旧取り混ぜ、こういう翻訳がどんどん続いて欲しい物だ。

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