あいつの云うことは信じないぞ
長年、行こう行こうと思いつつ、なかなか行けないままお預けになっていたア・バオア・クーまで、チョコっと行って来た。
2004年6月24日、『ガンダム・ヒストリカ』の最終回で宇宙要塞ア・バオア・クーを扱うという話をしていたら、女房が「じゃ、ア・バオア・クー行かなきゃ駄目よ」という。やはり、そうだよなぁという話になって、じゃ、あ・バオア・クーまで行って来ようという事になった。
いや、月の裏側ではない。(いや、月の裏側だけど……)
富士急ハイランドのアトラクション、ガンダム・ザ・ライドである。併設するショップガンダムマニアは、フロア面積では今や大阪のガンダムズに抜かれたらしいが、ある意味、松戸のバンダイミュージアムのミュージアムショップよりも、濃いらしい。
よーし、明日夕方、打ち合わせで中野まで出ているから、そこで車借りて走るぞと決定。
6月25日金曜日、昼からニッポンレンタカーに電話。車を確保する。夕方、作家さん・変プロさんと打ち合わせのため中野入り。打ち合わせ終了後、女房を合流させてメシを喰う。こういうとき、中野は何でも揃うので有り難い。
かくして、飯を食い終えた金曜日の22時過ぎ、ニッポンレンタカーで車を借り出す。今回は希望が通ってコルト。やったぁ。有り難いことに、カーナビはパイオニアのかなり新しげなカロッツェリア。いつもの操作性が悪くて困るゴリラではない。同じニッポンレンタでも、東京方面は良い機材が揃っているのだろうか。このカーナビ、キーを入れると勝手にスクリーンが横向きにニョキっと生え出して来て、伸び切ったところでウィィンと折れて立ち上がる。キーを抜くと逆の動作で勝手に引っ込む。サンダーバードのテーマが似合いそうなギミックが可愛い。
レンタ屋の登録が手間取って、時間が遅くなったので、10時借り出し予定を10時45分出庫に書き直させて、中野から11時チョイ前に適当に発進。やたらと関所が多い(細かくカネをとられる)高速に乗って、首都高から中央道へ。途中、休憩を挿みつつ深夜0時30分か1時頃、河口湖到着。取り敢えず、どこか宿を探す。面倒臭いので、ハイランド遊園地併設のホテルにでも行ってみようかとか話をしながら走っていると、いかにも、古そうなモーテル(決して、ラブホテルなどというような新しげな名前で呼ぶモノではない。ましてや、ファッションホテルでは絶対にあり得ない)の看板を発見。行ってみると、「全室離れ」と書いてあったが早い話がガレージ付きバンガローが並んでいるような作り。車で適当に空いているところに行くと、管理室から寝ず番のおじさんがやって来て、お金を払ってそれで善し。なんとものんびりしたものだ。しかし、金曜日の夜だからか、ほぼ満室に近かった。
中に入ってみると、昭和40年代に建てられて60年代に一度修繕を掛けた民家のような、なんとも古風な作り。「和洋室」って、コタツとテレビのある四畳半とベッドルームのコトですか?……ちゅうか、この時期コタツですか?
「あー。なんか馴染む〜」
ふと目線を上に上げると、『自動車旅館協会』だかの文字が。ふむふむ。やはり、モーテル流行りの昭和40年代のモノであったか……。
早速風呂入って寝る。この風呂が凄くて、湯と水を調整してちょうど良い湯がカランに出るようにして、シャワーに切り替えると、温度が全然違ってしまう。どうも、水の方だけが上手く切り替わらずに、カランから流れ落ちてしまい、ほぼ熱湯に近いシャワーが出るのだ。苦労して調整しつつ、なんとか身体を洗うのだ。
朝、8時阪頃に起き出してみると、もう誰もいない。冷蔵庫にビールが入っていたから、清算があるかなと思ったが、おじさんもいない。ハテゆうべの車・車・車は何であったのだろう……。と思うような空き方だ。よく『ゲゲゲの鬼太郎』なんかにある「朝、起きてみると、御殿だった筈のそこは打ち捨てられた掘建て小屋だった。通りがかった村の者に聞くと、もう二十年以上誰も住んでいないと言う。ハハハお前は狸に化かされたのだよ,この辺りの狸は人を化かすのが好きじゃからなと、村人は笑うのだった」というシチュエーションみたいだった。違うのは、夜中に見たときから、既に充分みすぼらしい掘建て小屋だったことと、別に良い目は見ていないという事だ。(駄目じゃん)
宿から富士急ハイランドの入り口までは、5分とかからない。が、そこから駐車場が広いので、随分と走ることになる。道を跨ぐ樽に高架橋になっているところで振り返ると、頭に雲を被った富士山が奇麗に見えている。まだ開演前で、ほとんど車が通らないのを良いことに、高架の頂上で車を停めてしばし眺める。
車は、第一駐車場の入場口側から5〜6台目という、一番奥に近いところに停める。入場口に行くと、50〜60人並んでいる。いや、50〜60人しか並んでないのか。
9時になってオープンすると、すぐに入場。富士急のメルマガ会員になっていると割引がある。それでフリーパス券を2枚。
真っ先にガンダム・ザ・ライドに行くが、アトラクションのスタートが10時から。しかたなく、フジヤマにでも乗ってやるかとフジヤマの列に並ぶ。40分ぐらい待って次の次ぐらいまで進んでから、ピクリとも動かなくなる。最大級のジェットコースターなので、70数メートルの高さまで行くので、上空の風速によっては危険回避のため止まるのだ。
とはいえ、5分か10分風遣りをして、なんとかスタート。我々もやっと前へ進む。この富士急ハイランドの遊具は、世界初とか世界最大とか最高速とか、なんかやたらそういうのが多いから、ベルトのチェックをして、安全バーをチェックしてと、2段階の安全装置をチェックしてから、更に風を見て発進なので、時間がかかる。
我々の回は、割とすっと発進。「落ちそうな小物はロッカーに」という注意アナウンスに従って、財布から何から全部置いておいてよかった。
フジヤマから急いでガンダム・ザ・ライドに。
ガンダム・ザ・ライド入り口
宇宙世紀0079年12月31日。環境が激変して地球に住むことを諦めた我々は宇宙移民となって、コロニー公社・宇宙引っ越し公社の手配により、サイド6へと移民しようとしていた。途中、連邦軍とジオン軍の戦闘を避けるため、1週間前に連邦が占拠したばかりの宇宙要塞ソロモンへと避難。そこから連邦艦スルガ(サラミス改フジ級。艦長ヘンケン・ベッケナー)に移乗して、月軌道の外側を通って、サイド6まで運んでもらえることになった。
しかし、我々民間人は知らされていなかった、その日連邦軍が、月軌道の外側を回る宇宙要塞ア・バオア・クーに対する攻略戦を敢行することを。案の定、戦場の外縁をのんびりと航行する我々は、ジオンの遠距離偵察隊に発見され、黄色くて両手に釜の付いたモビルアーマーに攻撃の対象とされる。艦長は脱出艇による民間人の退去を指示。しかし、我々の輸送艇はトラブルで発進不能。2機のGMに曳航されて何とか脱出を果たす。ハロウィン小隊のジャック・ベアード少尉とアダム・スティングレイ曹長のGMが我々の脱出艇を携えて脱出した直後、スルガは撃沈されてしまった。我々は、戦場のど真ん中を彷徨っていたのだ。
直後、味方艦隊を見つけたGMパイロットは、その艦隊内に逃げ込むことで安全を確保しようとする。
このときであった、神北がこのジャック・ベアート少尉の見識に重大な疑念を抱いたのは!
ベアード少尉が紛れ込もうとしたのは、あきらかに第13独立戦隊。サラミス数艦を従えたペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースだ。そんなものに寄って行ったら、エラい目に遭うのは目に見えているじゃあないか!げんに、同行していたサラミスは全艦沈も、ホワイトベースもジャブロー突入後(おっと、しののめ女史から、ツッコミが入ったぜ、ジャブローの訳無いよね。「ア・バオア・クー突入後」です。すんまそん)、ドック内で擱座しんだんだぞ。
かくて、アムロ・カイ・セイラ等に「こんな激戦のただ中で、何やってんだお前ら」と怒られつつ、ベアード機・スティングレイ機は、我々民間人を従えたまま戦場の深奥へと……。俺は生き伸びることが出来るのか?!
なんとか味方艦に救われ、やっと生き延びた我々は、脱出艇を降りると、そのまま併設ショップガンダムマニアへ。「あー。命があって良かったなぁ」と思った直後なので、気が大きくなってついついいろいろ買ってしまう。
遊園地と云う立地や要因もあって、ちゃんと限定オリジナルグッズをいくつも作っているのだ。しかも、既存製品にシールをあしらった程度のモノではなく、結構手の込んだオリジナルグッズが、シーズン毎に入れ替わる(売り切れゴメンで新商品を開発するという事なのだろう)らしい。
結構このライドは振り回す振幅が大きくて、ちょっとしんどいぐらい。30〜40分ガンダムマニアでふらついたあと、すぐに第二戦という気になれず、目前にある『ゲゲゲの幽霊屋敷』に。通路全長170メートルのお化け屋敷。とはいえ、出て来るのはみーんな水木妖怪。「おー、こんなとこに居ったんか〜、久しぶりだなぁ、元気か?」と声をかけたくなるぐらい良く知った顔ばかり。いいなぁこういうの。
再びガンダム・ザ・ライドに戻ってもう一回り。ライド本番に持ち込むまでの通路をよく眺め直すと、ザクマシンガンの貫通穴を塞いであったり、占拠したばかりのソロモンのあちこちに、ジオン時代の名残りが残っていたりするのをゆっくりと眺める。ライド映像も、振り回されつつがんばって見る。
入場料と、1000円級のアトラクションを3つと500円級を1つ回ったので、そろそろパスポートのモトは取ったので人が混んで来る前に帰るか……という話で、帰り支度。入口に向って戻る途中に例のドドンパという超高速コースターがある。あれ、ずいぶん空いているみたい。ついつい、並んでしまいました。1時間弱並ぶだけなので、このアトラクションとしては早い方らしい。しかしその間、ずっと「ど・どん・ぱ・」「ど・どん・ぱ・」という音が流れ続けている。1.8秒で時速178キロに加速する発進は、ついつい「行きま〜す」と叫びたくなる。
13時過ぎに富士急を出る。そこから沼津へ向って走る。河口湖から沼津まで60キロ。何を好き好んでと言われるとアレだず、ちょっとマグロが喰いたかったのだ。目指すは沼津港の千本一。
しかし、残念ながら、千本一は昼の営業時間と夕方の時間の合間で、16時までお休み。さすがにお腹空いたので、我慢出来ずに千本一ビル1階のかもめ丸へ。とうぜんここも美味しいのである。
さて、飯も喰ったから帰るベカやと、沼津インターを目指す。御殿場まで戻って、よく寄る御殿場温泉会館で、富士山でも眺めて風呂に入るかとか考えていたら、最近、静岡神奈川の東海道線沿いにチェーンを拡げてる万葉の湯が、インターの直前にある。湯河原から湯を運んで来るので、そこで湧いているばかりの天然温泉ではないとは聞いていたが、たまにはいいかと入ってみる。
なかなか、いいお風呂だ。清潔そうで広くて、土曜日の4時過ぎという事もあるが、割合と空いている。サウナ・ミストサウナ等、バラエティーも豊かで、近所にあったら毎週通っちゃいそうだ。
さらに、ちょっと凄い経験をした。
知っての通り、神北は、特に胴回りの面で、非常に体格が良い。だから、たいていの旅館の浴衣と云うのは、なんだか小さくて大変なのだ。帯も、二巻き出来ずに一巻きにすることすらある。旅館でもそうだから、立ち寄り湯ではちょっとなーと思って取り敢えず受け取ったのだが……。
風呂から出て、来てみると、充分に大きな浴衣だった。帯も、二回しして更に十二分に余裕がある。休憩室に出て見回してみると、皆さん、それぞれの体格に合わせた浴衣を身に着けていらっしゃる。
特に何も言わずに、「いま、浴衣をご用意致します」と云っただけの受付カウンターのお嬢さんが、ちゃんと体形を見た上で、その人用の浴衣や帯を選んでいるのだ。それも、別に「大きいサイズをご用意しますね」という訳でもなく、ごく自然にスっとそれを差し出す。家族旅行のメッカ湯河原温泉の、ホスピタリティーの神髄を見た気がした。
浴衣で館内をぶらぶらと歩き回る。マッサージやゲームセンター、仮眠室、そして、おお、インターネットコーナーがあるではないか。繋いで、この日記のコメントをチェック。藤澤(兄)君からのコメントを貰っているので、レスを返す。
その後、女房と合流して仮眠室で1時間少々仮眠。なかなかすっきり。
気持ちよく万葉の湯を後にして、一路東京へ。土曜の夜の上りという事で東名も空いている。途中、海老名で休憩を挿んだだけで、そのまま中野まで走り切る。
中野で車を返し、電車で家まで帰ったら、11時半頃だった。自宅近くのレンタカー屋から出られればベストなのだが、自宅近傍のニッポンレンタカーは、24時間営業じゃないのだ。
丸1日。走行距離約300キロ。なんだか、突然決断したお出かけの割には、気合の入った走り方になったが、得るモノが大きかった。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
お疲れさまでしたー。お楽しみになられたようで何よりです。
えぇと差し出がましいながらツッコミなど。
・GUNDAM'sが日本一を奪回するのは7/10です。
GUNDAM MANIAは、RIDEのグッズが限定品としてある分、松戸より濃いんだと思います。富士の裾野という立地を考えれば当然ではあるんですが。松戸はIGLOOでどうなりますかね。
・WBが沈んだのはア・バオア・クー突入後です。
Ζ#8「月の裏側」で、どう考えてもグラナダとジャブローを取り違えた台詞があったなぁなんて思い出したり。←これだからガンオタって奴は(^^;
通路も含めて遊び倒して1日に5回も乗ってまだ乗り足りなくて同人誌まで作ったくらい、ちとRIDEにはうるさいものでして(^^; 失礼しました。
投稿: しののめ | 2004/06/27 23:12
釣ってみようかなと思って書いてたら、やはり、しののめちゃんが釣れた。(^_^;)
適切なツッコミ感謝です。『むいむい星人の寝言』でガンダムズとガンダムマニアの話を読んで、一度見てみたかったんですが、そうか、まだ日本一、という事は世界一、ということは地球圏最大の専門ショップだったんだな。(^o^)……。
> ・WBが沈んだのはア・バオア・クー突入後です
うわ、俺何書いてるんだろう、そりゃそうえだ。ア・バオア・クー突入後だよねぇ。なんでジャブロー突入後なんて書いたんだろう。(^_^;)オハヅカシイ
しかし、このライドのために、徒党を組んで河口湖まで出かけたライター仲間の気持ちは、よ〜〜く判りました。(沼津でメシを喰う予定を入れなければ、うちの夫婦も、あと2〜3回は乗っていた気がします。)
こういうライドとしては、TDLの「スター・ツアーズ(スターウォーズのライドもの)」も好きなんですが、よく考えてみるとそれは「(作品世界へ)帰って来る気」がするのが楽しいんですね。浸っちゃいます。……となると、考証は何より重要で、その点、ホンキのスタッフが集まっている「ガンダム・ザ・ライド」は、二重まるですねぇ。
ただ、難を云えば「ガンダム・ザ・ライド」は振り回される振幅が「本気ゾーン」に近くって、「スター・ツアーズ」より、ちょいと43のオッサンにはエラかった(これって関西弁なのか?)。しかし、考えてみると富士急ハイランドは、全般的に体育会系のハードなアトラクションが揃っているから、あの中にあってはこのぐらい振り回さないと許されんのだろうなぁという気がしました。
では、IGLOOの試写会でお会いしましょう。……なぁんて振ってみたりして。(^_^;)
投稿: 神北恵太 | 2004/06/28 00:00
あれ?テキサスコロニーだったような。
私も数年前の11月のしかも平日のさらに午後に行ったことがあります。
遊園地には客が数人しかいませんでした。
もちろんガンダム・ザ・ライドのために行ったので乗りまくりのつもりでしたがライドの仕組みの都合上、1回おきにしか乗ることができないんですよね。
まぁ、4回目位で気分が悪くなってやめましたけど。
投稿: ふじさわ | 2004/06/29 22:55
私は、昨年の11月、寒さに震えつつ、那須ハイランドで来ない藤澤君たちを勝手に待っていた事があります。やはり、遊園地の客は数人でした。(^_^;)……て、ま、それは別の話として。
4回はキツいなぁ。4回乗ると沼津まで行く気力が残るかどうか……。(どーしても刺身が喰いたいのか俺は!……いや、結局、喰いたいんだけど……)
しかし、連邦軍って、ホント市民の為の軍隊ですね。気候が良いシーズンとでもあり、さすがに数人という事はなかったですが、全部で10人〜15ぐらいの民間人のために、連邦軍の軍人さん達が必死に働いていてくれました。
ウチの夫婦は、振り回されている中で確認出来なかったソロモンの悪魔を確実に視認するためにも、もう一度行かなければなりません。今度はお誘いを出しますので、また宜しかったら、みんなで一緒に遠出しましょう。
投稿: 神北恵太 | 2004/06/30 03:20