電話を切らせたぞ
家で仕事をしている関係で、いろんな電話がかかって来る。
仕事の電話かもしれないので、全部に出るのだが、半分ぐらいは、どうでもいいセールスだ。
「家買いませんか?」
「そんな金ないよ」
「皆さんそうおっしゃいますが、今、35年ローンですと月々7万円弱で」
「それって、ボーナス併用だろ。オイラボーナイスないし、月収も安定しない商売だからね」
「え、でも、今のお家賃を考えると先々お得ですよ」
「先々までこの土地に住むつもりはない」
「え、じゃあ、八王子や横浜郊外,千葉郊外にも弊社の物件がありますよ」
「全部関東圏じゃない」
「でも、お得ですよ」
「4LDK駅まで3分以内が、費用全部ひっくるめて5万円までなら、確かにお得だと思うけどな。それなら即決で買ってやるよ。ゼロ削るだけだろ、景気よく二桁三桁削ってみせろよ!」
「お墓買いませんか?」
「実家の墓があるよ」
「奥様に、大変お得な化粧品頒布のお知らせです」
「女房今外出しているんで……」
「ではかけ直します」
(勤めている女房は、平日昼間はずっといない)
「身体に好い温泉水です」
「そういわれて買った水で、家が狭くて困ってるんだ。あんた、これ買ってくれんか? また、誰か騙くらかして、ついでに売れば良いだろ?」
「いや、あの……」
「資産運用に金地金」
「明日の込めにも困るような貧乏図版描きに、余裕なんざございません」
「いや、皆さんそうおっしゃいますが、余裕と云うほどでなくて良いんですよ。ほんの少しの資金から始められますから。絶対儲かる今だけのお話しですよ」
「ほう、絶対儲かるのか、そりゃすごいな。元利保証で、イザとなったら補填してくれるワケ?」
「いえ、それは法律に触れますので」
「じゃ、やんねぇ」
「小豆の先物取り引き」
「ダイエット中なんで、何トンも小豆食いません」
「バナジウムいかがですか?」
「重たいから嫌です」
まあ、20〜30分お話を聞いていると、これは行けるのかと思って熱心にセールストークして来る方が多くて面白い。お前、そんなに気を持たせて、セールスさんが可哀想じゃないかと思う人が居るかもしれないが、ちっとも可哀想ではない。こちらは一言目には「ない袖は振れない」と云ってあるのだ。いつも1人で仕事していて寂しいフリーランス労働者に、面白い会話の機会を与えようと云うボランティアの皆さんが、自分の電話代でいつまで喋っていても、まあ、忙しくない限り出来るだけ付き合うようにしている。
しかし、時々、とても失礼な電話を貰うことがある。
「この街にずっと住む訳ではないから家を買うつもりはない」
「それは変です。間違ってます」
「なんであんたに変呼ばわりせにゃならんのだ?」
「自分の家は、いいですよ」
「……あのさ、その、根拠がちっとも明らかでない不躾な自信はどこから出て来るわけ?」
「ブシツケ……て、なんでしょう?」
「辞書でも引けよ。ホラまっててやるからさ」
……5分ぐらい保留音……
プ……(保留が解けた音)
「あ、判ったかい、不躾って言葉?!」
……5分ぐらい保留音……
プ……(保留が解けた音)
「殺すぞゴルァァ」
プツン ぷー、ぷー、ぷー……。
楽しかるべき日曜日の夜八時に、突然「殺すぞ」といって電話を切られた……。まいるなぁ。
そういえば先日、やはり、なにか資産運用の話の電話がかかって来た。こちらは要らんと云っているのに、資料を送ると云う。で、送られて来た資料には、ハンフと共に、手書きA4びっしりのの送り状が。うーむ。粘着質。でも、まあ、こっちにとってはただのダイレクトメールでしかないんだけとね。
その到着した翌日に、送り主からまた電話が……。
「先日、お電話した◯◯です」
「はい」
「資料を送らせて頂いたんですが、送ったものは見て頂けましたか?」
「いいえ、捨てました。要りませんから」
プツン ぷー、ぷー、ぷー……。
やっと、こちらの要らないと云う意思を理解してくれたらしい。もうちょっと頭の良い、理解力のある人を雇わないと潰れちゃうよ。◯◯社さん。
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