『機動戦士ガンダム MS IGLOO —1年戦争秘録—』の試写を観たぞ
2004年7月14日(水曜日)午後三時より、松戸のバンダイミュージアムで、『機動戦士ガンダム MS IGLOO —1年戦争秘録—』の報道関係者向け試写が行われた。(なお、直後の同日夕刻には、一般招待者向け試写も行われた)
やっと見られるMSイグルー。こだわりの画面、執着のストーリー、入魂のキャラクター達。200人近い記者がいたのではないかと思われるが、みな、かなりニコニコしている。普通、試写会などと云うものは、「仕事だからね」といわんはかりの仏頂面の記者や、誰か行って来いと言われて来ただけの作品に興味も何も持っていない関係各社の社員、頭の10分見たら後は役者の経歴をネタに適当に記事を書いちゃうようなヤッツケ評論家が、半分以上を占め、「あ〜あ、しゃーねーな。見てやるよ」というけだるい雰囲気の中で始まるのだが、今回はそうではなかった。なんだかみなさん楽しそうなのだ。
ファーストガンダムと呼ばれるテレビアニメ『機動戦士ガンダム』から既に25年経って、中には、自分がガンダムを見ていた歳の子供なんかいたりする人も大勢いるのだろうし、一種、世代間の基礎素養になっている訳で、今もガンダムを飯のタネにさせてもらっている我々のような濃い目の人も、自分の中で良い思い出に消化し切っている薄目の人も、共にガンダムと云うと血が騒ぐようだ。
物語の基本設定はこうだ。
主人公、オリヴァー・マイは、23歳の技術中尉。技術情報科の士官として、新型兵器の開発部門に属しているが、まだ任官から日が浅い新人。彼は、上司から、第603技術試験隊の試験支援艦「ヨーツンヘイム」において、試作兵器の実戦運用テストを行うことを命ぜられる。
「ヨーツンヘイム」は問題艦であった。全長292.6メートル・全幅170.5メートル、全高97.0メートル。容積だけをとって見ると、この何ヶ月か後に就航する連邦の新鋭艦ペガサス級と同等か、すこし大きめの規模を持つ。しかし、その艦自身は既に長年にわたり、サイド間連絡の貨客船として運用されて来た旧式船であり、カーゴスペースの広さから徴用・転属されたものに過ぎない。後付けの砲塔などもおざなりで、単装メガ粒子砲1門に、対空用の連装機関砲4門という、軽微な戦力しか与えられていない。艦長・副長は、船と一緒に徴用されたマルティン・プロホノウ中佐相当官とエーリッヒ・クリューガー大尉相当官。正規の軍人ではない。更に、この正規の軍人教育を受けていない艦長では軍艦としての規律が保てないと考えたのか、新型兵器の開発に対するコミット権を確保するためなのかは定かではないが、総帥府からお目付役として乗り込んで来たモニク・キャデラック特務大尉や、こればかりは専門家でなければ扱えないために連れて来られた勇猛果敢な熊のごとき大男、砲術長アレクサンドロ・ヘンメ大尉。
誰もが箇々の信念と独自の行動原理を持ち、1つの船、1つの家としてのまとまりがなかなか作り出せないこの試験支援艦の最初の任務は、全長200メートルを超す対艦隊用プラズマ・ビーム砲「ヨルムンガンド」による、艦隊決戦支援であった。
開戦劈頭に成功しなかったコロニー落しをジオン軍が再度敢行すると言う偽情報に踊らされた連邦軍は、コロニーを阻止するために、ルナ・ツーから大艦隊を繰り出して来る。その艦隊中核を、戦略級巨砲「ヨルムンガンド」によって一気に葬り去り、連邦軍艦隊に大打撃を与える作戦である。一撃必殺の兵器、炎の大蛇ヨルムンガンドは、艦隊側背に潜み、千載一遇の時機を待った。
お判りだろうか。これまで、ジャブローに落とそうとして失敗した(大気圏内で四散し、破片がシドニー等に落着した)コロニー落し「ブリティッシュ作戦」の第二段として新たなコロニー爆撃を企図したジオン軍を、連邦軍が阻止しようとして発生したのがルウム戦役とされて来た。コロニーの移送作戦こそ阻止したものの、コロニーを放棄したジオン艦隊による総攻撃で、連邦軍艦隊は大打撃を受け、半年近く抗戦能力を失ってしまうと云うのが今まで喧伝されて来たルウム戦役である。
しかし、このお話しでは、コロニー移送作戦自身が既に大嘘で、連邦軍に艦隊決戦を強いるのが目的であったというのだ。つまり、全ては罠だったと云う訳である。
こりゃ、燃えるでしょ!
ヨルムンガンドの戦果やいかに!?
この第一話「大蛇はルウムに消えた」に続く第二話「遠吠えは落日に染まった」は、ジオンの試製超大型戦車「ヒルドルブ」の物語。モビル・タンク(機動戦車)と呼ばれる高速機動と大口径砲を備えた超弩級戦闘車両は、汎用性の高いモビルスーツと次期主力陸戦兵器の座を争って2年前に敗れ去った、既に見捨てられた兵器であった。しかし、地球降下作戦を展開し、広大な最前線を保たせなくてはならなくなったジオン軍は、封印した筈のこの戦車に目をつけ、即戦力として地上部隊に編入することを前提に、地上運用試験を命じた。オリヴァー・マイとモニカ・キャデラックは、ヒルドルブの操縦士デメジエール・ソンネン少佐を伴い、コムサイで北米中部に降下した。既に、ジオン主力はもっと先まで戦線を展開し、地図上ではジオン支配地域とされる砂漠地帯だ。
しかし、その近辺は、物資集積所が謎の壊滅を起こす等、連邦軍の暗躍が噂されていた。
暗躍する連邦軍部隊とは何か?
ヒルドルブの活躍やいかに!?
第一話でヨルムンガンドの砲手となる砲術長ヘンメ大尉といい、第二話に出て来る戦車教導隊の元教官で天才的な操縦能力を誇る戦車兵ソンネン少佐といい。各兵器のプロフェッショナル達がプロの意地に掛けて試作兵器を使いこなして行く様は、壮観である。
無理な命令、不足する手駒、駆け引きの中で最後に導き出される逆襲の妙手。これぞ戦争映画の醍醐味であろう。
『機動戦士ガンダム MS IGLOO —1年戦争秘録—』は、2004年7月19日(月)より、松戸のバンダイミュージアムの地下1階「シアターB-one(ビーワン)」にて公開。
なお暫くの間は、ここでの上映のみで、DVD等での販売はない模様。
大人1000円・子供600円
上映時間等の詳細はこちら
行くべし! 燃えるべし!
ちなみに、止め絵で見るとなんだか、歯をむき出して笑っていて、ちょっと嫌みそうなヒロイン(?)モニク・キャデラック特務大尉ですが、物語中で動いていると可愛いのなんのって。あなた、アタシなんざ、もう、ギレン嫌いだったのに、この娘が居るんなら、総帥派も悪かぁねーなという気になってきましたよ。ハイ。
美人士官は、戦場の華ですねぇ。 (それが結論かァ?!>オレ)
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コメント
おつかれさまでした。15時の回行けなくなってしまってすみません(;_;) またの機会にお会いしたいです。
IGLOO燃えましたねっ! 相当な情報量を詰め込んでるのでパンフ見返し必須ではあるんですが、演出のテンポが良いので入り込んでしまえば気持ち良かったです。
メカに目がいきがちですが、人間のドラマもこれからが楽しみかなと。オリヴァーよりモニクがどうなるのかが気になります。第3話早く見たいなぁと(^^)
投稿: しののめ | 2004/07/15 13:44
しののめ様。お疲れさまでした。
早速19日に、昨日は休みを取れなかった女房を連れて、再び松戸へ行かねばならなさそうなイキオイです。
前回、ほんのちょっとだけ動くシーンを観せて貰った時、既に、雑誌掲載ビジュアルで思っていたより格段に人物造形がいいという事に、僕はびっくりしました。ご覧になってみて、如何だったでしょうか? 止め絵で観るとフィギュアみたいな人たちなんですが、動くと途端にいかにも自然で、僕は凄く気持ちのいい3Dアニメートを観せて貰ったなぁと思っています。
紅一点モニクなんて、止め絵で観るとどこまでいっても「ギレン好みの美女」でしかないのに、動き出すとどんどん25歳のお嬢さんっぽくなって来て、更にドラマと合わせて、教条主義の人形からすごく人間味が出て来る所が、いい味だしてると感じました。
投稿: 神北恵太 | 2004/07/15 14:21
こんにちは。舞台挨拶の記事も拝見しましたがこちらに。
TBさせていただいた自記事にも書いたんですが、人物は動いてナンボなんだなと思いました。3DCGは慣れの部分も大きいかと思うのですが、SDGF毎週見て鍛えてるからか、テクスチャの処理とか面白いなーと思って見てました。
オリヴァーは語り部でしかなく、主人公はあくまで「滅び行くものたち」なのですが、モニクの心の動きも特に第2話は大きく見えますし、キャラクターとして見ていて面白いです。彼女はもっとじっくり見てみたいなと。うーんまた見に行かないとなー。
舞台挨拶というと、またしてもツッコミで恐縮ですが「ジオン公国国民」じゃないんですか?ギレンの演説を聞く限り。公王というノスタルジックな装置を使いつつ、臣下でなく国民と扱ってみせて乗せられてるんだなーとか考えるのは穿ちすぎですか(^^;
投稿: しののめ | 2004/07/23 00:43