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2004/07/29

鉄人もいよいよクライマックスだぞ

 あんまり薄暗くて、かつ、いい加減にしろと思ってしまう痛いキャラ達と相まって、最近はあまり熱心に観ていなかった『鉄人28号』。
 「原作や最初のアニメが未来を観せていたのに対し、今回の作品は過去を描くことに終始している」とは、畏友高嶋規之くんの言だが、正にその通り。たしかに、力強き昭和40年代、飛躍の昭和50年代、享楽と退廃の昭和末期と平成初頭を経て、平成10年代も半ば過ぎに至った今、敗戦の混沌の中から這い上がった日本が抱いていた未来へのまっすぐな希望を持てという事は、どう足掻いても不可能なのかも知れない。昭和30年代の彼等が夢見た発展の先に、良いことだけではなくどんなに様々な苦悩や軋轢・辛いことや嫌なことが待っているかということまでを、既に知ってしまっていると、たしかに最初のアニメ版のような、明るい一方の話は作れないのかも知れない。
 しかし、だからといって、こうも薄暗くて胡散臭い世界観だけで『鉄人』を描かれても、どうもぱっとしない。神北にとっての『鉄人』は、科学技術が、たとえ戦争のために開発された物であろうと人類の明るい未来のために役に立つことができるという、前向きなメッセージと共にあるからだ。
 もちろん、昭和20年代ほどではないにせよ、30年代と云う時代は、実に胡散臭い時代だったろう。それは真実である。たった十数年前の戦争の記憶はまだまだ鮮明に残っており、その薄暗い影から逃げるように、新しい製品、新しい生活、新しい機械,新しい思想に、少し生活にゆとりの出て来始めた人々が狂奔した。
 その明るさ、未来と云う言葉に向う人々の気持ちを、残念ながら今回の『鉄人28号』は全く描いていない。過去に拘泥する過去の残像を引きずったくたびれ果てた後ろ暗い大人達ばかりが、ぞろぞろ出て来る。未来を観るべき正太郎少年の瞳には、そんな過去の残像ばかりが映り、十歳の子供が全く抱える要の無い苦悩を強いる。
 鉄人と言うスーパーパワーを手にするための通過儀礼として、一度は過去と対峙することが必要なのは理解出来る。しかし、正太郎の苦悩は、毎回毎回、延々と休むこと無く続く。何ゆえにこうも正太郎ばかりが苦しまねばならないのか。相談しようにも、全てを知る敷島博士は多くを語らず、大塚署長は善良で親身になってくれるものの、過去の闇について詳しく知る立場には無い。こりゃ、児童虐待なんじゃないの? 大人の思惑の中で、十歳を少し超えたばかりの子供がこうも振り回されれば、正太郎でなくても、マイ拳銃を持ち、真っ赤なスポーツカーで走り回りたくなろうと云うものである。ホントはいけません!
 さて、最後までこのまま続くかと思っていた鉄人、ついにラストへ向って動き出したようだ。巣鴨プリズンを出所した正太郎の父の宿敵、元戦犯ビッグファイヤー博士の登場。敷島博士の自殺。大塚署長の更迭。敷島重工の実権はビッグファイヤー博士に。正太郎を取り巻く人間関係はたった1話で一変した。
 今後のキーは、どう考えても、唯一物語の最初から残っている男、村雨が握っているのであろう。とびとびに観ている所為もあってどちらに向って物語を転がすつもりなのか、神北には皆目判らないが、ここまで抱えて来たこの不快感をスキッと(昭和30年代的表現)解消してくれるラストを、期待したい。

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