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2004/08/02

久々のG-SAVIORだぞ

 CS局アニマックスで、ロボドリーム2004という、30時間枠の特別番組があった。2004年7月31日(土曜日)の12時に始まって、翌8月1日の18時まで、延々と、ロボットアニメ、ロボットの出て来るアニメを見た。いや、実際には、その直後に、アニマックス大賞で募集したシナリオを元にしたアニメを、過去2回分放映したので、37.5時間ほど、テレビの前に居た換算になる。
 尤も、何でもかんでも観ていたワケでは無く、こいつはいいやという作品幾つかは、観ずに寝ていた。どんな作品をリストから外したかと言うと、まあ、基本は珍しくない作品、そしてた眠くて仕方ない時間帯にやっている作品ということになる。基本的によく見る機会のある作品の多くは、今回は外させてもらった。なんといっても、43歳の体力は、36時間テレビにかじりついていることを許してはくれない。
 とはいえ、ゲッター4本(無印・G・號・新)、マジンガー3本(Z・グレート・グレンダイザー)、ガンダムUC4本(ファースト・Ζ・ダブルΖ・V)なんて、一気にまとめて観る機会は少ない。
 多くは第1話だったが、ダンガードは始めてロボット形態になる12話、ガンダムは最終話などと、工夫が凝らされている点も割と良かった。放映されたものの中で(個人的に)いちばん重要な『無敵超人ザンボット3』に関して云えば、タイトルロボであるザンボット3ではなく、サンボエースのみ登場となる第1話を選んだのは、難しい判断だが、神ファミリーバッシングの途中からザンボット3の世界観に付いて行かされる不幸を思えば、第1話を放映と言う選択は正解だろう。ま、信州の恵子が出ないという欠点を完全に補い尽くしているかと言うと、個人的にはちょっと寂しいというか、点の辛くなるトコロだが……。

 ラッキーだったのは、久しぶりに、『G-SAVIOR』を観れたこと。
 テレビ朝日の放映は当然と治して、それ以外にも何度となく見て来たが、今回はちょっと特別な意味合いがあった。神北にとって、IGLOOを観た目で見る最初のG-SAVIORということなのだ。
 IGLOOが今年の作品、G-SAVIORが1999年だから5年前の作品、3DCGによるモビルスーツの居る世界の表現は、どのぐらい進歩したのかを、IGLOOの記憶の鮮明なうちに、確認しておきたかったのだ。
 この『G-SAVIOR』という作品、アメリカ(カナダ)で、アメリカの脚本家のストーリーをアメリカの監督に撮らせたもので、シナリオライターも、監督も、役者も、ガンダムを知らない人を集めたと言う、ガンダムにしてガンダムならざる物を目指したテレビ映画だ。
 製作総指揮はサンライズだが、チームは完全にアメリカのテレビドラマのチーム造りであり、アメリカのテレビドラマとして描かれたらモビルスーツのある時代はどう描かれるかと言う、なかなか挑戦的なテーマを持っている。
 向こうさん式の放送コードの関係で、政治や戦争をがんがん扱うガンダム的な話は視聴年齢制限が掛かってしまうため対立構造は極めて単純化されている。また白人の悪い軍人対黒人の温和な政治家などアメリカのテレビを意識したステロタイプに終始している点が先読みを容易にしている。だが、日本のアニメと言うとドラゴンボールとトランスフォーマーしか思い浮かばない程度の認識の、ごくごく普通のアメリカ人が、休日にフと流れているものを観たら、一定のショックと一定の親しみ易さを感じられるのではなかろうかと思っている。
 ストーリー的には、あまりにも単純な主人公が何度も周りに騙され翻弄されることの繰り返しがつづく割に最後までカシコイところを見せて能動的にスッパリと騙し返してみせる逆転劇がなく、悪玉将軍が死ぬのも主人公の活躍ではなく嫌われ役の方のヒロインの気まぐれ翻身のおかげである点が、ちょっとトロくさいものの、まあ、王道。
 テレ朝の初放映のときはセリフの音声レベルがどうも低くて聞き取り辛かった会話も、ちゃんと聴き易いバージョンに替わっていた。

 で、MS IGLOOとG-SAVIORを比べてみると、やはりどこまで云っても、それは、アメリカの実写ドラマと日本のアニメの違いだった。もちろん、5年分の進化はある筈だから、IGLOOは何十・何百倍の細やかなCGが出来ているのだろうし、G-SAVIORが今年の作品だとしたら、CGのグレードアップは極めて大きいものがあったと思う。しかし、今回見比べてみて、そういう優劣は特に気にならなかったと云うのが実際のところだ。
 アメリカのCGスタジオが実写映画のために作った映像と、日本のアニメ会社のCGスタジオがセルアニメに替わるものとして作った映像は、「こっちがいい」「こっちが劣る」と単純に優劣を付けて区別出来るものではないのだ。
 それよりも、出発点が実写にあるのかアニメにあったのかと言う点が、違いとして浮き立った。
 G-SAVIORのコロニーのミラー上や内部での戦闘シーンで回転引力やコリオリの力まで考慮して計算されたというマジメなCGと、MS IGLOOの「ここ、ぐい〜っと」「ここで、どば〜っと」という感じで、たとえ物理的に無茶な表現でもアニメ的なリズム感でコマ割りされて大胆な動きが付けられたCGは、ポテンシャルではなくベクトルがまるで違うのだ。
 で、結局、どっちが好きかと問われたら、どっちも好きと云うしか無いが、これを見比べてみるのは面白かった。
 G-SAVIORはDVDも出ているし、有料だがバンダイからネット配信で公開されてもいるので、バンダイ・ミュージアムでMS IGLOOを観たら、近いうちに是非、こちらも見比べてみていただきたい。
 どちらも、イマイチ露出度が高いとは言えないが、プラネタリウムでないとフル再現の難しい多面マルチスクリーン作品グリーンダイバーズなどのようにお蔵入りしているものと違い、今、観る手段の用意されているものである。20年目のガンダム25年目のザクを、是非、見比べてみて戴きたい。

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