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2004/08/18

『蒼き星のメリクリウス2』だぞ

 高嶋則之くんの新刊が出た。前巻『蒼き星のメリクリウス』の続刊だ。(前のお話のレビューは高嶋くんの新刊が出たぞというタイトルで1月に書いている)

 『蒼き星のメリクリウス2 妹姫襲来!』 高嶋規之 イラスト:赤井孝美
 集英社スーパーダッシュ文庫 定価600円(571円+税)

 簡単な説明として、前巻出だしのあらすじを紹介しておこう。
 私立黒金学園高等部に通う、どこにでも居る高校生だった主人公、伊吹悠。実は、本人も知らなかったのだが、星間国家大星群帝国の皇帝の甥だった。しかし、悠の平穏な暮らしは、幼い頃一緒に暮らしていたことのある従妹のあーちゃんこと、大星群帝国の皇女アネットが地球にやって来たときから、大きく狂い始める。アネットは、別名戦姫と呼ばれ、銀河中にその名が轟いている。たった1人で銀河を放浪っては、テロの標的にされて殺された母の仇を討つため、帝国に叛旗を翻すテロリストを何年もかけて追いつめ、地球にやって来たのだった。しかも、悠が幼い頃、アネットに「およめさんにするよ」と言っており、テロリスト集団は、アネットの弱点として悠に目標を定めていた!
 宇宙からやって来たラブラブで過激な姫君と、釣り合うだけの身分ながらも、ごくごく普通の小市民的性格が身体に染み付いている伊吹悠の、明日はどっちだ?!

 で、前の事件から暫く後、次なる大波乱は、アネットの妹、エレノアが地球にやって来たことから始まる。突然、姉のフィアンセで自分にとっても従兄のはずの悠を襲うエレノア。防戦するアネット。銀河最大の版図を誇る大帝国の皇女姉妹が引き起こす姉妹喧嘩は、地球規模の被害を呼び起こしかけていた。

 バトルに次ぐバトル。全編ストラグルドレス姿の戦姫が、大立ち回り。スピード感、描写、シチュエーションの置き方等、作家高島規之が、ぐんぐん成長している事が判る。
 また、前巻・本巻の二作を通して、主人公とヒロインを取り巻く環境の概略がようやく固まって来たとも言える。つまりこれは、個性豊かな主人公や脇役の周りに、毎回、話の核となる騒動を持ち込むゲストキャラが現れて、ひと騒動こなして行くと言うタイプの連作ラブコメなのだ。巻き込まれる主人公は、実は凄い人なんだけど至って生真面目な高校生。周囲を取り巻くサブキャラは、みんな一本筋が通ったこだわりや性癖の持ち主ばかりというシチュエーション・コメディー。つまり、黒金市は、高嶋則之版の友引町なのだ。そして、その世界構築は、今の所、かなり手堅く進んでいるようだ。

 という訳で、ここまで大笑いさせながら舞台説明を終えたのだから、次巻からは、その上に如何に魅力的なゲストキャラが出て来るのか、そのキャラの濃さに対して、いかに、(今回ちょっと存在感の薄かった)レギュラーのサブキャラ陣が暴れるのかに焦点が絞られて来た。集英社だからといって、真の敵が現れて長く続く闘いの道を歩み始めるような厄介なことはせず、一話完結に徹した連作シチュエーションコメディーの面白さを、どんと描いてもらいたい。
 ちなみに、そういうシチュエーションの構築に関しては、高嶋くんは適任である。アイデアが豊富で、しかもそれを練り込む作家としての能力が最近とみに高まっている。それは、ここ半年程、ガンダムヒストリカの仕事でご一緒させていただいてよ〜っく判っている。
 新刊が出たばかりだが、今から既に続巻が楽しみである。

(ちなみに、しばらくSF大会で留守にするので、早めにあげておくが、この本の発売予定は来週の8月25日。この書評はは、先日、高嶋くんから戴いた見本を元に、ちょっち早めに書いている。サインまで戴いて感謝!)

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