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2004/08/15

夏の読書にお薦めだぞ

 ネットというのは、情報の宝庫である。それの真偽さえ問わなければ。
 ……てなわけで、ネット上には、いろんな人の体験談が載っている。恐い話、笑える話、エッチな話など様々だ。むろん、その人の追跡調査をして確証を得ている訳ではないし、まとめ頁を作った人は判っていても、元記事は2chに載った誰が書いたのかもよく判らない記事だったりするので、信じる・信じないはその人が個別に考えれるしかないのだが……。
 最近、ちょっと興味を持って読み通した記事がこれ、タコ部屋から逃亡してきました だ。

 ある若者が、「良い仕事がある」と云われて誘い込まれた飯場での記憶を綴ったモノらしい。

 1.絶望し、認識力が衰える
 2.どうでも良くなり放心する
 3.生殺与奪権を握る人に対し従順になって来る
 4.緊張関係の中にも仲間意識が出て来る
 5.中にはズルく立ち回る奴がいる

 という、危機的状況に陥った時に人間がとるいくつかのパターンが踏まれており、こういう状況下で駄目になる人、おかしくなる人、しぶとく賢い人等が、かなり明確に書かれている。
 それは、人間ドラマとして読めなくもない。リアルな社会派警鐘小説として読めなくもない。滑稽なシチュエーションドラマとして読めなくもない。
 ちなみに、シチュエーションはかなり違うのだが、何故か似たテイストの小説を読んだことがある。P.I.P.—プリズナー・イン・プノンペン 沢井鯨 著だ。これは、カンボジアで投獄(正確には、未決囚収容所なのだが)された主人公が、どん底から這い上がって来る話で、作家には実際に彼の国で収監された経験があると言うのが売りになっていた小説だ。
 何が似ていると言って、この異常で劣悪な状況下において、周りと自分が段々おかしくなって来る様子が非常に良く似ている。P.I.P.には、小説らしく、ちゃんとオトシマエを付ける復讐劇がある所がちょっと違うが、非常にテイストが似ている印象がある。しかし、カンボジアではなくこの日本で、ほんの10年程前にあったことだと思うと、「タコ部屋」もなかなか怖い。
 ちょっと、自分の立っている基盤がグラグラするかも知れないが、どちらも読んでみて戴きたい。

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