久しぶりの雲魂は,実はしこたま雲魂だったぞ
雲魂16の会場、国民宿舎麗雲荘に入ると,玄関の脇に雲魂の受付ブースがあり,その周りに知った顔が並んでいる。取り敢えず,受付を済ませて参加者になる。ネームプレートに名前を書いて,旨に付けると,早速知った顔を見つけて話し込む。
これは、翌朝、快晴の陽光で撮った麗雲荘。
いささか時代がかって来たが、綺麗な建築。
少し廊下が細いが使い勝手も悪くはない。
早速,かつて、何かと言うとつるんで日本中を走り回っていた相棒、笹本祐一くんに会う。「よ、久しぶり」と言うと、「俺、あんまり久しぶりって気がしてねー。神北情報局読んでるから」と言われる。あー。そういうものなのか。BLOGというのは、読んでいるたけで,その人と普段から話しているようなものなんだなぁと、妙に関心。
開会式までに風呂に入る。男性の宿泊室は特に決まっていないので,適当に企画室に割り当てられている部屋からタオルをゲットして風呂へ。流石に10年近く来ていないと、旅館の内部構造を忘れていて右往左往する。
開会式は,食事会として食堂兼宴会場でスタート。実行委員長挨拶、ゲスト各氏、ホスト側から石飛卓美・飛隆浩両氏の挨拶へと続く。
今年は,ゲストの中に,刀匠の小林力夫さん(雅号「貞永」)がおられる。島根県から無形文化財にも認定されている出雲の刀鍛冶である。
ゲスト紹介が終わると,嬉しい事に,西川先生による講義。S年F組授業ライブを初めて受講したのは、どこの大会だったろうか。本業は学校の先生という講師が,学校の授業と言うスタイルを取る、一種の話芸なのだが,この人たちのグループの面白いものを見つける力・育む力・見せる力には、20年近く、圧倒され続けている。ここで西川先生の講義が聴けたのは、同窓生総代(ということで、ダイナ★コンEXで同窓会をやった)として無上の喜び。
西川先生の講義に大笑いした後、しばらくして開会式はお開き、三十分程の移行期間を経て,企画へ移行する。
最初の企画は,小林刀匠をお呼びしての帰って来た刀剣企画に参加した。砂鉄から何度も選別を行なってタマハガネを造り,最後に鉄の塊を伸ばしては曲げ,伸ばしては曲げ,刀に仕上げて行く工程を,数十年の実績に裏打ちされた確かな語り口で語る刀匠。
鉄が火を受けて次第に純度を高め、高度な知識と深い経験によって力を得て、刀剣の形へと収斂する様を、順を追って並べた資料。手に取って見ると、ズシリと鉄の迫力が伝わって来る。
「日本刀は“なで切り”にスライスするから反りがあるって,それは嘘です。反っているのは、振り下ろした時にブレない為です。嘘だと思ったら,日本刀と同じ長さと幅のまっすぐなベニヤ板をこう振り下ろしてご覧なさい,手元がぶるぶる揺れますから」
「本当に上手い使い方は,切っ先二〜三寸でで切る事です。鍔元や真ん中辺りで叩いても,スピードが無いから威力が出ません。その点、切っ先は,回転でスピードが出ているから、本来はここで相手の首筋や手元のむき出しの部分を狙うものです」
「芯に柔らかく重い鉄を,刃に硬い鉄を配する日本刀は,切った時の衝撃を柔らかい鉄が受け止める構造になっています。だから、峰打ちなんてやると逆に固く脆い刃の方が力を受け止める事になるから、刃のカケラが弾け飛んだり、最悪ポッキリ行きます」
「そもそも、刀は刃の付いた鉄の棒ですから,峰打ちったって相当の力が懸ります。ばっさり切るか、骨を砕くかの違いです。『峰打ちじゃ,安心せい』なァんて、安心な事は全く何もありません。」
なんだか、流布されている日本刀最強神話や時代劇的なイメージとは全く違う、生々しい日本刀の実際に、みんな感嘆。
二本目の企画は,ミステリーツアー・ガイダンス。日本各地のがっかり名所、不思議建物、ネバーランドを次々と紹介するスライド企画。死ぬ程笑わせて戴きました。
詳しい内容は,ここで文章で説明しても絶対に解らないので、秘密とします。(^_^;) 来年参加して,自分の目で確かめよう!
三本目からは,エンドレスということで,岡田バッティングセンターの部屋リターンズに腰を据えた。
今年のSF大会のスタッフなども多く、大会のよしなしごとについて、結構深い話をする。みんな、ビシバシと危険球を投げ込んで来る。耳が切れる程の危険球をギュンと引きつけてジャストミート。濃くて深くて険しい岡田バッティングセンター。みんな、疲れ果てて眠ってしまうまで話し込んだ。こんな話で盛り上がるのは,嫌いではない。そうか、意外や意外、特A級戦犯はあいつだったのか…。
ホっと目が覚めると「飯行きませんか?」と誘われる。いつもの麗雲荘の朝食である。ここの朝食会場は,宍道湖が一望出来てとても気持ち良く御飯が食べられる。昔はかなりお代わりをしていたのだが、何だか思った程食欲が無い。歳か?
飯の後は、クロージング。笹本祐一オークショナーによるオークション。チョイと掘り出し物が何気に並ぶが、ほぼみーんな100円から。
松戸のバンダイミュージアムで絶賛公開中の『機動戦士ガンダム MS IGLOO 1年戦争秘録』大プッシュ中の神北は、ここに私費を投じ、現在公開されている第1〜3話のプログラムブック各1冊づつを提供。西日本在住の方の多い雲魂だが、2005年と2007年が横浜、2006年が仙台と、関東方面の日本SF大会が続くので、どこかのチャンスをつかまえて是非、みなさん観に行って下さい。
クロージングは、結構長かったが、とにかく、最後は、来年また会いましょうとなる。来年は行けるかなぁ…。
ゲストの中里融司さんと、2006年実行委員長七里女史の
連れて来たキツネ。去り難くロビーに屯っているところ。
なんとなく去り難く、しばらくロビーで右往左往した後、多分車で破砕長距離組になるであろう我々は、早速出発。ちょっとゆっくりしていると、日曜日の大阪・京都近辺で夕方大渋滞が待っているのは必定。とにかく走り抜けるしか無い。
大山のSAでソフトクリームを嘗め、トイレ休憩で適当にトライバーを交代しつつ一気に滋賀の大津まで走り抜ける。名神高速上り線の大津のSAは、琵琶湖の眺望が開けたレストランが気持ち良いので、ちょっとお気に入り。
「ここまで問題なくは知れたのも、ボロぞうきん様のおかげですね」
「ほんと、霊験あらたかだな、ボロぞうきん様」
「あな有り難や有り難や…」
「なんなんだこのノリは」
昼飯を食いながら、なんだか熱く話してしまう。今後のダイナ★コンや、名古屋のSFイベントの話。岡田くんもこういう活動はそろそろ20年のキャリアだし、小崎・市野の先輩後輩コンビもファンダム活動を始めたのは最近だが、今一番力が入っている時なので、いろんなアイデアを持っていて面白い。二時間近く話し込む。
「こんなにアイデアが出たのもボロぞうきん様のおかげで…」
「なんか、この新興宗教ついて行けんよ、俺」
大津SAのレストランからの眺望で一番気になった
怪しい建物。情報希望!
おっといかん、一宮の夕方の渋滞が始まってしまうとSAを出たものの、と来既に遅く、それに事故も加わって、琵琶湖岸をノロノロ。このまま一宮まで行くと死んでしまうと、養老で降りて下道を走る作戦。養老I.C付近は、小崎くんたちの学生時代のテリトリーだそうで、お任せする。
しかし結局、下道に降りても、そこそこ混んでる。良く考えてみれば、日本中、行楽シーズンであった。もちろん本格的な名神高速の渋滞地獄にハマってピクリとも動かなくなると、こんなものでは済まないので、下道作戦は正解なのだが、それでもどこもかしこも混んでいる。
「おーい、ちょっとどっか、トイレに寄れないかな」
「了解」
ということで、途中にあったホームセンターに。田舎に良くある大きなホームセンターで、品揃えも豊富そうで、はまり込んだら二時間は出て来れないような危険な香り。
「ちょっと覗いたら最後だから今日は止めときましょうね」
「そだな」
と小崎くんと話しながら、出て来ると、すれ違った店員に、
「ありがとう御座いました」
と言われてしまう。車に戻ってから、
「うう、トイレ借りただけなのにありがたがられてしまった」
「これも、ボロぞうきん様のおかげですよ」
「ありがたやありがたや」
「なんで、有り難いのに、ボロなのか解らん。俺、乗れんわこれ」
まあ、有り難いものはなんと云っても有り難い。とにかく、ボロぞうきん様のご加護でもって、6時頃には名古屋に帰還。
これが、我らが守護神ボロぞうきん様である。
「なんか、久しぶりに名古屋のメンツで車で遠出したけど、面白かった。ありがとう」
と礼を言う。車を出してくれた小崎くん、コーディネートしてくれた岡田くん、神北とともに交代ドライバを勤めてくれた市野くんに感謝。
「こっちも面白かったですよ。しかも安かったし」
小崎くんがマイカーを出してくれたおかげで、高速料金・燃料費コミで24,000円。一人頭なんと6千円で、名古屋・出雲間を往復出来ているのだ。神北はこれに往復約2万円の新幹線料金が加わるが、それにしてもまだ列車や飛行機より安く上がった。
「みんなでワイワイ車で行くのって面白いですね」
「またなんかやりましょうよ」
と乗り気。またいつかこういうのしようねと約して、みんなと別れる。だが、神北にはまだ、総計約3時間近い電車の旅が残っていた。自宅に帰り着いて死んだように眠った事は云うまでもない。
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コメント
特A級戦犯って、やっぱり僕なんだろな。
投稿: 名古屋是清 | 2004/11/10 01:14
「意外や意外」なネタ話なんだってばっ!!
投稿: 神北恵太 | 2004/11/10 01:46
笹本です。どーも。
>BLOGというのは、読んでいるたけで,その人と普段から話しているようなものなんだなぁと、妙に関心。
久しぶりに会うと、昔なら「最近どお?」と近況を聞いたものだけれども、これが日記なりblogなりを読んでいるとその人が最近どこでなにをしているかはわかるわけです。つまり相手の近況を知っていて、知った顔も日記の中に多いから、久しぶりって気にはならんわけだ。一方通行だけど音信不通じゃないから。
多分、チャットで普段から話をしていて、オフ会という概念が出来たころからこういう状況があったのではないかと推測。
んではまたどっかで遊びましょう。
投稿: 笹本祐一 | 2004/11/10 14:08
ども。
チャットというのは、双方向のため、感覚違ったんだよねー。まあ、一年ぶりに逢って「ゆうべはどうも」と挨拶し、「んじゃ、今晩」といって別れていたのは、知らん人から見るとケッタイだったろうけど。
でも、友達とは「久しぶり」にならん程度に会うのが佳し。どっかでまたバカしましょう。
投稿: 神北恵太 | 2004/11/10 14:18
さっき、もりたくんの日記でボロゾーキン様の話を見て、そんでこんなとこにコメントつけてみるのですが。
大津SAから見えたあの建物はですね、琵琶湖文化館でございます。
公式サイトはこちら。
http://www2.ocn.ne.jp/~biwa-bun/
昔は淡水魚の水族館(大変地味。でも内容は実はすごい)があったのですが、それは今、対岸の草津の「琵琶湖博物館」という立派な建物に移ってしまいました。
淡水魚は地味ですが、巨大な錦鯉がうじゃうじゃ居て、入り口で「コイの餌」を売っておりました。
その鯉の巨大さときたら、ベランダ用のコイノボリくらいあって、大人の拳でも飲み込みそうな勢いの口をパクパクさせながら、鯉の餌を丸呑みするのでした。
そんな楽しい場所でしたが、水族館がなくなってからは余り行っておりません。
天守閣のてっぺんは展望台です。
その上に乗ってる塔のてっぺんには、「トンボ」がとまってます。それは旦那さまの人が言うには、「環境の象徴」だそーです。
投稿: 錆猫★ | 2005/06/13 08:15
錆猫★さま。
情報サンクスです。
おお、この謎が解けたのも、ボロぞうきん様の思し召し。ありがたや、ありがたや……。
投稿: 神北恵太 | 2005/06/13 08:58