別れは突然やって来るぞ
Macintoshのキーボードは、元々、電話と同じモジュラケーブルを使っていた。次に、ADB(アップル・デスクトッブ・バス)と呼ばれる汎用アクセサリコネクタが開発された。そこに繋がるキーボードやマウスの他に、スキャナやビデオからの静止画キャフプチャー、簡易なプリンタ、ペンタブレット、等々様々なものが開発され、広く普及した。
自分が使ったADB機器の中で、尤も重宝したのが、PowerKeyというもの。元々、このADBには、パワーラインと言う専用線が在り、キーボードにあるパワーキーと呼ばれる特殊なキーを押すと、Macの電源が入ると云う機能があった。これはとても便利だった。机の奥や下の方に離れて置いてある本体まで手を伸ばさなくても、机上のキーボードにスイッチが付いているのだ。Macは登場した時から、もともとシャットダウン(終了処理)をマウスで行なう方式なので、これで、フロッピーの出し入れなどが必要なければ、本体に一度も触らずに立ち上げから終了まで、コンピュータを全て操れるのだ。PowerKeyはそのパワーラインの信号を感知して、Macの立ち上げと一緒に周辺機器の電源も立ち上げてしまえる、とても便利な電源タップだった。タップは4口あるので、Mac本体とともに、3つまでの周辺機器を立ち上げられる。たとえば、外付けHDD、モデム、プリンター等が使えるということだ。モニターに関しては、当時のMacは、まだ一体型の機種がかなり普及していたし、セパレートタイプの本体の多くは、モニタ用の専用電源を本体に持っていた。
神北のPowerKeyは、たぶん、Macintosh classicを買った1990年頃の購入だと思う。当時は単に、PowerKeyと呼ばれていたが、今ではClassicと呼ばれている、第一世代の製品だ。それ以来十年近く、5代に渡って神北の主力機電源として重宝していた。その後、ADBを持たない世代のマシンが主力機となったため、今では補機として使っている2世代前の機械に使われていた。
この、PowerKeyが、先日ついに故障した。先週の金曜日、突然、繋がっているマシンに電気がこなくなったのだ。もちろん、この機械に対し、不満は無い。14年間働き続けてくれた、タフな古参兵。現役で神北の使うあらゆる周辺機器の中で、最も古くから共にやって来た、相棒である。結婚して12年だが、コイツとは14年である。それが、ある朝、気が付いたら、息を引き取っていたのだ。
ありがとう、PowerKey。1990年代のプラチナホワイト系Macintoshの傍に寄り添ってこそ引き立つ、そのスタイリッシュな姿を忘れない。
今のPowerMacはそのADBのかわりに、USB規格が使われるようになった。Windows機と同じ規格なので、ドライバーさえあればかなりの周辺機器が使えるようになった。その便利さは、ADBが拓き、広めて来たデスクトップ用の機器規格の延長線上にあるものだ。
だが、USBにはパワーキーが無い。何か寂しいと思うのは、旧いMac使いの郷愁だけではないと思いたい。
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コメント
PowerKey・・・あったな~~~。
でUSB化であるが、その結果 Macintosh で親指シフトを使っている人がいるそうだぞ。
つ~わたしは、親指シフト・コンパクトUSBを4台使用中。
投稿: 酔うぞ | 2004/11/12 09:47
親指キーボードかぁ。昔は欲しかったなぁ。でも、Mac用のニコラは、まだADBだった10年以上前から出てますぜ。
親指シフトが無くてもいいやと思うようになったのは、チャットしなくなったからかな……。(^_^;)
投稿: 神北恵太 | 2004/11/12 10:51