血迷ってるぞ
Asahi.comの経済欄に、CMカット機能「著作権法違反も」 日枝・民放連会長という記事が載った。
日枝久・日本民間放送連盟会長(フジテレビジョン会長)は12日の記者会見で、DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが、「著作権法に違反する可能性もある」と述べた。電機メーカーなどに何らかの対応を求められないかを検討するため、民放連で研究部会を設けた。
高性能のDVD録画再生機は、見たくない部分を自在に飛ばす「編集」ができ、CMカットも容易に出来る。日枝会長は「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。いろんな問題を含んでいる」と語った。
2004年11月12日 23時12分付配信 引用は原ニュースの抄録
詭弁にしても、酷過ぎる理論だ。
「では、フジテレビのページで宣伝・販売しているビデオに関しては、放送時のCMも入れるのか?」という疑問すら、湧いて来る。
著作物の一部であるCMを抜いて、発売する以上、そのビデオは番組とは別の著作物・改変版ということになってしまう。「あのときの感動をもう一度」とか言って売ったビデオが「CMが入ってない」として訴えられたら、どう言い訳するのだ?
放送局が、スポンサーの資金によって電波を送り出すことに異議はない。そのスポンサーに対し、敬意を払うべきことも理解出来る。だから、敬意を払い録画にCMも残して欲しいと説くのならば、放送局の指導層として当然の発言だし、十二分に納得出来る面がある。
だが、これは「著作権の問題」ではない。
神北は本来、「CMこそ、再放送の時には変わってしまうし消えて行くから、残しておけば貴重」と思っている派だから、CMを切ることは無い。が、個人の利用の範疇では、そこから先は、利用する(録画する)ものの自由なのではないのか? いや、利用側の自由と云ってしまうのは云い過ぎだとしても、少なくとも送り出した放送局が云々する(出来る)コトでは無いのではないか? 金銭で売買する為ではなく、個人的に録画画像を楽しむ分には、CMにしろ、他のシーンにしろ、落とすか残すかなど、そもそも放送局が著作権の問題として忖度する事柄ではないであろう。
もっと云えばだ。プロレスや野球の自分の好きなシーンをどんどん繋いで、個人的にダイジェスト版を作り、自宅で観ていたら、突然警察が踏み込んで来て、しょっぴかれるのか? ということだ。
もう一つ、「ドコからドコまでが番組なのか?」という問題もある。「開始提供ロールから終了提供ロールまで」か? だとすると、提供ロールが入る前にアバンタイトルや主題歌のある番組は、その部分については著作権を放棄しているのか? また、全体が著作物と主張するからには、番組と言うユニット毎に著作権者として、放送局のクレジットを入れないと行けないのではないのか? 各番組にそれが無いということは、放送開始時の挨拶放送と終了時の挨拶放送の間全部が1つの編集著作物だとでも考えているというのか? そうだとすると、1日5分の帯番組を録画する為に、前後合わせて20時間以上を録らないと著作権違反ということになる。本気か?
このトコロ、(「たかが選手」発言等)万人を納得させるだけの説得力がないお粗末な見解を大威張りで発表して、日本全国から失笑を買うのが、大手報道機関のトップの流行になっている気がする。言論はたしかに自由であるべきだけどさ、全国から笑われるような、誰が聞いてもおかしいと判る程度のことは、云わない方が良いと思うよ。
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コメント
パパンにただいまこの記事についての見解を聞いております
しばらくお待ちください
投稿: きはらさん | 2004/11/14 22:32
再放送時のCMが異なっているのに加え、系列局に流す場合でも、VTRで送り、同時放送ではない場合もありますね。それなどは、本放送ですら違うバージョンが存在するわけでしょう。
私も、昔録画した番組を見返していて、CMに懐かしさを覚えることがあります。(そういえば、武○士の群舞はいつの間に消えたんでしょうね)
投稿: 八潮 | 2004/11/15 08:14
ずっと東京にお住まいの方はご存知無いかもしれませんが、同時放送ったって、基本的に、CMは局毎に違います。系列になっていても、基本的には各放送局ごとに、提供枠という形で、自社の電波を売っているからです。もちろん、一括して系列グループ単位で全国一律に買っているスポンサーもあるんですけどね。
基本的に、一律に買うメインスポンサーは、提供ロールで名前を読み上げ、そうでない所は「ご覧の各社の提供で…」と字幕で流しているようです。これだと、放送局単位で字幕だけ差し替えれば、本局からの音声をそのまま利用出来ますからね。
武富士の群舞CMは嫌いではなかったのですが、キャッシングを楽しそうに演出するCMというのは、どの企業の物であれ、個人的にはどうかと思います。今嫌いなのは、情け無い声で鳴く犬に釣られて、際限なく借金重ねるオヤジのCMな。
投稿: 神北恵太 | 2004/11/15 09:06
ITmediaの2004/11/22 09:52 更新記事に小寺信良さんの「テレビコマーシャル時代の終焉」というコラム記事が載った。
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0411/22/news005.html
この件に関して、プロのテレビ関係者からの見解だ。意見は非常にニュートラルで、視線は俯瞰的。ご一読をお奨めしておく。
投稿: 神北恵太 | 2004/11/23 09:10