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2004/11/16

今すぐ欲しいぞ

 その昔、流通している多くのハードディスクの1基あたりの容量がが80〜120メガバイト程度だった頃のこと。MOディスクというものが普及し始めた。光磁気ディスクという奴である。
 容量は最初約128メガバイト。次いで約260メガバイト。最終的に約520メガバイトと数年かけて大容量化して行った。だが、その最終段階は、CD-RAM・CD-RW・CD-Rの発表時期と重なり、安価かつ標準的なデバイスとなりつつあったCD-ROMと同じドライブで読み書き出来るメディアと云う利便性を持ったこれ等のデバイスに追われるようにして、前世紀末に急激に廃れて行った。とはいえ、この全盛期のマシン&ソフト構成のまま進化を止めていたDTP界では、今でも現役という会社も少なくない。

 このMO普及期の本当の初期の頃に何より便利だったのは、自分の持っているハードディスクの容量より、MOの方が遥かに容量があったことだ。何が起こるかと云うと、一番容量の小さな128MOディスクたった1枚に、40メガバイトのハードディスクに入れたシステムを3つ入れられるのだ。クラッシュ対応の為に、1ヶ月毎に1回づつシステムをそっくりバックアップをしておくとすれば、3ヶ月で1枚。1年間分でもたった4枚のディスクにデータを保存出来る。しかも、当時の40メガバイトと言うのは、システムだけでなく、そこそこの仕事用のデータまで入る大きさだった。
 そのころ一番普及していたフロッピーディスクが1.2〜1.4メガバイト。これを30枚以上使って取っ替え引っ替えしつつバックアップを取らなければならなかったところを、MOディスク1枚には、その全部が3回入るのだ。しかも、フロッピー1枚50円〜100円×100枚分の価格というわけではない。容量分から見るとMOディスクの価格は、随分と安価だった。記録容量価格レシオで格段に優れていた訳だ。
 ところが、この後、ハーでディスクの容量は格段に成長する。当時40メガバイトから80メガバイトに移行しつつあったそれは、今や、廉売PCでも40ギガバイト。中堅機でも80〜120ギガバイト。大容量の物だと、250〜300ギガバイトと言う高級普及機もある。
 なんせ、家庭用ハードディスクビデオレコーダーでも容量300ギガバイトを謳う時代である。容量的に、2000倍以上大きくなっているのだ。
 しかし、ここで一つ、大きな問題がある。ハードディスクが2000倍から4000倍の大きさになろうと云う4ケタの成長を示したここ10年。バックアップを取るディスクメディアの方はどれほど大きくなったかと云うと、基本的に、CD-R = 500〜600メガバイト・DVD-R = 4.5ギガバイト。つまり、発展期のMOディスクの容量から、CD-Rは頭一つ抜け出しかけたところのまま。DVDでも、1ケタ弱容量が増えただけに留まり続けているのだ。
 故に、今、一番効率の良いバックアップは、同容量のハードディスクをもう1台買って来て、そっくりコピーしておくことだと云われている。

 こう概観してみると、以下に今、ハードディスクが巨大になり過ぎて、バックアップが追い付かなくなっているかが判ると思う。
 また、MOの良さは、容量的なアドバンテージだけに留まらなかった。ドライブはそれなりに値が張ったが、運用経費が割と安価だったことが何より大きい。上に述べた、メディアの記録容量価格レシオはもちろんのこと、当時かなり普及していた、3.5インチのフロッピーディスクを2枚重ねて運ぶケースにちょうどMOが1枚すっぽり入る大きさだったおかげで、携帯や送付も楽だった。つまり、既存メディアの運搬手段を上手く利用することで、余計な費用を抑えられたのだ。

 で、先日。ITmedia Newsに、パイオニア、容量510Gバイトのディスクを実現する技術という記事が載った。(IDG 速報 2004/11/15 19:07 更新)


 パイオニアにはこの技術をすぐに商業化する計画はないが、これを使えば、書き込み可能なディスクでも読み取りのみのディスクでも、現行の12センチDVDの100倍を超える容量にできると考えている。

 「非常に興味深い。特にパイオニアが2006〜2007年にこれをリリースできれば、市場への影響は大きいだろう」
IDC Japanのストレージ担当リサーチマネジャー、鈴木康介氏

 本当なら、久々に、固定ドライブ(ハードディスク)を上回る、大きなメディアの登場だ。そんな、再来年なんて云わずに、来年そうそうにでも製品化して下さいよぉ、パイオニアさん!

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コメント

わたしもこれのしかもチェンジャーが欲しいです。
ドライブ1台、メディアを10枚位格納できて70万円くらいなら次のサーバのバックアップ装置に買います。もちろん、家のではなくて会社のですが。
転送速度はどれくらいなんだろう。1TBのバックアップを1日で取れる位の速さじゃないと困りますが。

投稿: ふじさわ | 2004/11/16 23:47

 ああ確かに、業務用なら、これの10枚チェンジャーとか欲しいですね。逆に、ROM用のジュークボックス型100枚チェンジャーとか在ったら、大学とか研究機関の文献検索なんかチョチョイのチョイという気がする。
 あと、会社サーバのバックアップに関しては、広大なエリアをバックアップする訳だから、複数台を用意することで、随分と時間を圧縮出来るんじゃないかなァ。

投稿: 神北恵太 | 2004/11/17 01:39

これって電子ビーム露光する感じなのでしょうか。メディアの帯電防止とか防塵とか色々気を使わないと、すぐ壊れてしまいそうですね。例えば外装にやたらと目の細かいフィルタがついてたり、メディアの入れ替えにはクリーンルームに入れて行わないといけないとか……。
それからライトワンスなメディアな気がしますね。メディア単価が安ければフルバックアップのメディアとしては使いやすいでしょうけれど、使いまわしが効かないのは厳しいかな、と思います。高画質な動画の保存には重宝しそうです。

投稿: 竹内一詔 | 2004/11/17 18:03

 僕としては、基本的に、『まるっとコピー』の用途なので、ライト・アット・ワンスで構わないですね。
 集積度がDVDの100枚分なので、容積的に、昔のCD-ROMやPDのような場所取りなカートリッジケースに入っていても、現状と比べて全然問題ナシ。
 これだけの大容量で書き換えられるとなると、家庭用サーバーシステムをこのメディア一枚で組んじゃって(移送用のコピーではなく本体そのものとして)持ち歩いちゃうと云う、新しい世界が開けそうだ。でも、果たして、何台ものドライブの書き込みのクセを一定に保ち得るのかな?
 初期MOとか、初期CD-Rとか、とにかくその容量クラスの先発機種は、機種毎の差も個体差も大きくって、かなり苦労させられた。コイツも同じことが起こりそう。ということで、こなれて来るのは2010年近くになるんだろうなァ。

投稿: 神北恵太 | 2004/11/17 21:31

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