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2004/11/05

幕張ではたらくくるまだぞ

 2004年11月4日。わざわざ女房に休みを取らせて、一緒に幕張まで行って来た。目指すは、第38回 東京モーターショー2004。モーターショーは、今、一年置きで、乗用車の年と作業・商用車の年に別れている。今年は、カッコいい乗用車の年ではなく、もっちとカッコいい働く車の年なので、神北としては返って気合が入っている。だって、自分に買う気がないんだったら、いろんなシカケの付いた車の方がよっぽど面白いじゃん
 てなわけで、昨日も(新松戸経由、松戸へ向って)通ったこの道ということで、武蔵野線に乗って幕張へ。
 今年は、福祉車両にも重点が置かれており、各社が車椅子で乗れる車に力を注いでいる。

 昨年のトヨタのコンセプトカー
 トヨタが昨年発表した独り乗りコンセプトカー。云ってみれば、巨大な電動車椅子であり、今年のショーのテーマとも合致している。

 せり出すシート、半回転するシートなど、車椅子に便利な機構が付いていて、車椅子からせり出したシートに移ると、脇にある小型クレーンで車椅子を収納、自分もモータライズで車内定位置に移動なんてもの。車椅子がそのままリフトアプされて、そのまま助手席シートになるようにトータル設計された電車椅子とセットの車体。中には、それを運転席側で出来るようにした、車椅子の人間が誰の介助も受けずに1人で車に乗って出かけられるような仕様のものまである。介助者兼運転手が車椅子の人を楽に乗せるという発想ではなく、こういう、車好きな人が自分で運転する為の障害を取っ払うというコンセプトは、ホンダ他数社で見られた。運転席・助手席、療法が車椅子と言う、思い切ったコンセプトのものもある。
 今後、老人大国となる日本では、足腰の弱った老人が大量に発生し、少なからず自動車を運転したがるだろうから、こういう需要は、今から形作っておくべきだろう。

 はたらくくるまといえば、もちろん一番最初に来るのがダンプ・バス。だが、それよりもっと子供が好きなものがある。パトカー・救急車・消防車、いわゆる緊急車両である。大人になると、あまり救急車や消防車のお世話になりたくなくなるし、パトカーに至っては、イヤな思い出の一つ2つ持っているのが大人のたしなみというものだ。
 今回、中越に出かけていて来れなかった最新車両もあるようだが、この緊急車両コーナーは必見。

 モリタの救急消防車 
 モリタの救急消防車 

 この車、何をするものか判るであろうか。救急車であり、消防車でもある。車中央部が担架の積み込めるスペースになっており、後部が放水ポンプ車になっている。なんだか、子供がLEGOで造った作例にありそうだ。消防車と救急車が一台ですむから、レゴランドでは、どんな事故でもこれ一台で大丈夫ってキャプション付いていそうである。
 実は、神北には、この車の運用されるストーリーがよく判らない。一緒に火事場に出動するのは判る。けが人もあろうし、消火活動も必要だ。しかし、考えてもらいたい。要搬送の重傷者が居て火が燃えていたらどうするのだ? 要搬送者を待たせて消化活動を優先するのか、消火をを諦めて病院にけが人を搬送するのか?
 説明のお姉さんに聞いた所によると、状況に応じて使い分けるのだそうな。他の何台かと一緒に出動し、けが人が多ければ病院への搬送を行ない、少なければ消火を手助けする。
 神北の素人考えでは、そんな調子のいい事で現場がこれを納得するのかなぁという疑問が浮かんだが、聞いてみるとこれは、開発主導のコンセプトではなく、現場からの要望で造られた実用車だと言うからまたびっくり。松戸市からの依頼で造られ、来年の1月には松戸の消防署に納入されるらしい。

トヨタのコンセプトカートヨタのコンセプトカーのコクピット
 トヨタのピックアップトラックのコンセプトカー。FUTURE TRUCK COMNCEPTとバンパーに書いてある。

 今回は、商用車の年ということもあって、夢のようなコンセプトカーは少なかった。逆に、今の技術で充分提供出来そうな雰囲気のものが多かった。それよりも、燃料電池車・ハイブリッドカーなど、ボンネットの中で革命が進んでいる印象が強かった。
 あと、確実に進んでいそうなのが、居住性を考慮した内装という思想。このトヨタのトラックも、スタートレックのブリッジみたいなコンセプトで纏められている。商用車といえばシートがペンペラの安いクッションだった時代は、そろそろ終わるのかも知れない。

バックミラーをリプレイスするモニター
 トヨタの試作バスのコクピット。バックミラーがカメラとモニターに置き換えられている。

 内装と言えば、バックミラーをモニターに置き換えると言うコンセプトが、今、静かにブームのようだ。ただ、法規関係の問題で、モニタに広報視界を映すのはギアがバックに入った時ということになっているらしくて、各社苦労しているようである。
 トヨタは、とにかく各所のモニターを四六時中見れるようにしたこんなコンセプトのバス運転席を造った。このバスは面白い事に、電車のように運転席がちゃんと壁で仕切られている。これからは、観光バスや長距離バスなどに、こうした車体が増えるかも知れない。
 また、VIEWTEC(日本ヴューテック)という会社は、荷台の為に実質使えなくなっている、トラックのセンターミラーに、モニターを映し込む事で、後方視界を確保すると言う、なかなか面白いコンセプトの製品を作っている。
モニタが大きい為、乗用車にはあまり向かないそうだが、カメラとモニタの間で増感してやることで、夜もハッキリした視界が得られるというのは大きい。また、車幅インジケータが下に表示されているので、車庫入れもラクラクかも。

イスズの助手席車椅子
 イスズのトレーラー試作コクピット。専用車椅子をリフトアップし、助手席に出来る。
 介助車両ということで、こういうコンセプトのものも出ている。イスズの大型トレーラーコクピットの助手席側が、専用車椅子をリフトアップできるようになっている。無論、こうした高い位置へのリフトアッブ技術というものが必要なのは判るし、その試作設置であり、これがこのまま運用されるわけではないのは判るが、なんだかなぁである。モノを運ぶトレーラーの助手席に、足腰の悪い人を乗せる需要というのは、いかほどのものであろうか。
 ちょっと悩むなぁ。

日産スポーツカーの王道
 展示されていたニッサン フェアレディーZ。もちろん、今や日産最速車両というわけではないが、未だ揺るぐ事無き王道である。これはそれにオーテック・ドライブギアを装備したもの。

 もちろん、スポーツカーにも、介助車両の波は来ている。このフェアレディーには、足の不自由な人の為の手だけでアクセル・ブレーキをコントロールする為のオーテック・ドライブギアなどのドライビングヘルパーと呼ばれる装置が付けられている。
 24時間対応のオペレーターサービスなどの多機能カーナビとうまく組み合わせる事で、要介助者を孤立させない事で、社会参加を促せるのだとしたら、これは、とてもよい方向性だと思う。

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コメント

はじめまして。
モーターショーについてのコメントを読ませて頂きました。
実は私はいすゞ自動車の一社員なのですが、
弊社の出典車についてコメントを頂き嬉しく思っております。

ただ、会場でのご説明が不十分だったのか、多少
誤解があった様なので少しフォローさせて下さい。
(あ、でも、あくまでも”ご指摘の車とほんの少しだけ
縁のあった私個人”が、たまたま気付いたから
書いているだけですので、会社としての見解とか
そういった類のものではないです。・・念のため。)

いすゞ自動車から今回提案させて頂いたギガマックスACは、
「介護の為に、助手席に、車椅子を使っている方を、
乗せてあげる為のもの」ではなく、
「下肢障害を持った方でも、トラックの運転手の仕事を
選択できる”可能性”を示す為の提案」です。
(助手席側から乗り込むのは、乗り込み作業時の安全性の
観点からです。)

ここは、この車の大前提となる重要なポイントですので、
ぜひとも誤解なき様お願いいたします。

社会的にどれだけ必要性があるのか?という点については、
実は我々自身も把握出来ておりません。
あくまでも、”現時点での私個人の想像の範囲”ですが、
純粋に「商売」にするには、いろいろ難しいだろうなぁと
感じています。・・・がそれはそれとして。

事前調査の折、担当者が下肢障害者の皆様のネットワークに
接触し、「こういう車が出来たら使ってみたいと
思いますか?」という質問をさせて頂いた時には、

「聞かれるまで(自分にドライバーの仕事が出来る
可能性がある事すら)考えた事もなかった。
なにせ対応してくれる車がないのだから。」

という意見がほとんどだったそうです。
私がネット上の掲示板で見かけた範囲でも、事故で
下肢障害者となり、会社をクビにはならなかったものの
慣れないデスクワークに回されて苦労されている
元トラックドライバーの方がいらっしゃいましたが、
どうやら「もうドライバーに戻れる可能性はないから
仕方ない」と最初からあきらめてしまっている様でした。

ところがその一方で、
下肢障害を持ちながらトラックで仕事をしている方が
実在することも知りました。
そして、そのご本人のご協力を頂き、直接ご意見を
聞きながら現状の問題点を克服する事で、最初から
可能性を諦めてしまっている皆様に対しても
「可能性があることを示す提案」として開発したのが
弊社が展示したギガマックスACです。

ですので、「この提案に対しどういう意見が返ってくるのか?
(もしくは、特に何も返ってこないのか?)」を知る事
そのものも今回、あえて、ああいったものを出展させて
頂いた目的の一つです。

その様な訳で、もしよろしければ、上記の点をご理解
頂いた上でのご意見も聞かせて頂けると幸いです。

投稿: 孤高の凡才 | 2004/11/06 03:03

孤高の凡才さん、いらっしゃい。

 確かに、こういう「可能性の提案」であろうとは考えました。が、それなら尚の事、荷役要員のための助手席ではなく、「運転席にこそ必要」な提案なのではないかと言う気がしていました。その為、上のような書き方になっています。「乗り込み作業時の安全性の観点から助手席側に昇降機を置いた」というのは、私の観点から抜け落ちておりました。たしかに、私が運転する普通乗用車クラスと違い、トラックのコクピットは広いわけで、乗り込んだ後の車内での移動なども、レイアウトによっては悠々可能なのですよね。
 ご指摘、ありがとう御座います。

 実は、車の運転が大好きで、若い頃はジムカーナなども趣味としていたのに、30歳を超えた頃に中途失明した友人がおります。その男は流石にもうハンドルを握る事は叶いません。が、逆に目と耳が健常ならば、誰でも車は運転出来るのだということに気付かされました。そう云う方向に、自動車メーカーが動いて下さる事は、大きな勇気をもたらすモノであると考えます。
 いすゞ自動車の今後の提案に期待します。

投稿: 神北恵太 | 2004/11/06 04:20

モリタの消救車について、仕事で消防、救急もやる立場として一言。
使い勝手がいいのか悪いのかわからんですな。
1粒で2度おいしいコンセプトはすごく判るんだけど。
実際、現場で使ってみないと良く判らないです。
消防車は目茶目茶乱暴に分ければ2つ、車体に水のタンクがあるかないか。
4トンクラスのタンク車で2トンの水タンクが載っています。
こう書くと水の無い山奥や砂漠でも火が消せそうだけど、、、どっこい2トンの水を積んでるとはいえ初期消火のみにしか使えません。5分ぐらいで空になっちゃう。
まあこのタンクのスペースを救急車の部分にした感じがするんだけど。
この5分の間に消火栓とか水利(池とかのこと)から給水管伸ばして
水を吸い上げて消火するんだけど。この給水管(消防車の横にぐるっと巻いてあるホース)に関しても短いタイプだし、本来ならもう一巻き分は長さがあるのよ。
救急車として出動するのはいいですけど、消防車として出動した場合
一般の消防車より消火機材は詰めないわ(まあ1台だけ単独で消火することは無いけど)、救急車としても使えないわ、、、。消火し終わって救急車としてすぐ使うわけには行かないしね。片付けるの大変なのよ、使ったホースはもう1度巻いて収納しないといけないし。
あんまり普及するとは思えないな。どちらにしろ 消防署(消防車)が多い都会向けです。

投稿: 名古屋 | 2004/11/10 01:31

 現場に着いた時点で、消防車か救急車化を即決し、それに専心するというコトなんでしょうなぁ。
 消火してから搬送ということは考えてないでしょう。火事場に近付いている事も考えると、軽いけが人に対いる救護活動を、消火活動とともにやるわけにも行きませんし…。
 これが、「便利」なのか、「コスト喰い」に終わるのかは、松戸市への導入を見てからでしょう。

投稿: 神北恵太 | 2004/11/10 01:44

あの程度の装備では軽自動車の消防車(僕の勤務先で使ってるタイプ)と変わらない気がするんです。
現場で消防車として使うには役不足、救急車として使うのなら
載せてる消火機材がもったいない。使うとしたら工場とかの
限定された所向きだと思います。(都会向きと言ったの訂正します。)

投稿: 名古屋 | 2004/11/10 02:12

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