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2004/12/26

ネクサス第1クールの感想だぞ

 毎週土曜日、朝7時30分放映『ウルトラマン・ネクサス』。皆さんは、ご覧になっているであろうか? で、どう見ておられるのか?
 第1話で登場した怪獣の口元のぶわ〜っと広がりっぷりの良さに度肝を抜かれて以来、特撮・CG・合成関係には、神北はあまり不満は無い。むしろ気に入っている。
 放映開始から3ヶ月。今年放映分は一応終了ということで、1クール見てみた感想をまとめておきたい。

 確かに面白い面もあるのだが、神北は、この『ネクサス』3つの意味で破綻していると見ている。

1.ウルトラマンとしての破綻 
主人公≠ウルトラマン

 主人公がウルトラマンではない。いや、これは、番組開始の時点では構わないと思ったのだ。「前任者が戦えなくなって、主人公がウルトラマンの力を引き継ぐ」ような力の得かたをしても良いと思う。
  ネクサス「でも、正体がばれると、君はパーになる」
  孤門一輝「うきゃー。パーになりたくないよ〜」
  い、いや、これでは
パーマン・ネクサスだ……。
 しかし、役者さんの思わせぶりなインタビューもあったようだし、孤門隊員が後々どうなるのか(最後まで変身しないのか)は判らないが、今の所、孤門くんには変身能力が無い。変身ヒーローを見守る立場の男だ。
 もちろん、星野少年以来、ウルトラマンと人間の姿の主人公を見守る、視聴者に近い目線のキャラというものは、たしかに存在した。しかし、これはちょっと違うんじゃないか?
 イマイチ、乗れない理由の一つは、そこにある。これを第一の破綻と呼ぼう。

2.ウルトラシリーズとしての破綻 
1回≠1エピソード

 これまでも、シリーズ通しての敵というものは確かに存在したし、不安を抱えたままドラマが次週に引くということもあった。しかし、今回、本当に始末の悪いことに、物語がいつまでもいつまでも切れない。しかも、やっていることはサイコミステリーの如き堂々巡り。
 エヴァンゲリオン以来、内省的な主人公が逡巡を繰り返しダークでサイコなエピソードが延々と続き陰々滅々、陰々鬱々とした神経に障るようなイメージがどこまでもどこまでも続いて行く、起承転結の極めて弱いストーリーが増えた気がする。が、それにしても、どこかでホっと光が差すための敢えて挿入された暗部というよりは、とにかくダークなシーンのアイデアが豊富にあるからお見せしときましょ的なノリで、その緊張からの緩和も考えずに、幾つも幾つも気味の悪い構図、気持ちの悪い明暗、気色の悪いシーンを重ねて、緊張につぐ緊張を強いるこのシナリオ、到底良いとは思えない。
 桂米朝さんのお弟子さん、故桂枝雀さんの「緊張と緩和」理論は、ホラーにも全く同等のことが言えて、緊張と緩和を程よく繰り返さなければ、怖さをもり立てることは出来ない。しかし、ほとんど人間ドラマを中断する勢いで唐突に入って来る、怪獣との闘いは、このホラーシーンの緩和とはなっていない。しかも、ウルトラシリーズは、本来、この人間ドラマの方が緩和であって、怪獣出現と云う緊張状況を解きほぐさなければならないのだ。
 しかし、この『ウルトラマン・ネクサス』では、そういう気持ちの良さが無い。
 ある友人から「とはいえ、『ウルトラセブン』なんかでも、ハードな状況はいっぱい在ったんじゃないか?」と言われたが、神北の考えではそうではない。『セブン』の場合、警鐘的に暗く解決し辛い現実を突きつけるということは在ったが、それでも、直接的な脅威はウルトラ警備隊やウルトラセブンの活躍によって解決されているのだ。だからこその一旦訪れた平和の中における警鐘であり、それは「このゴジラが、最後の一匹とは思えない」という山根博士の言葉と同じ意味を持つ。
 何の解決も無いまま物語がいつまでも続くと云う、この姿勢は、本来のウルトラシリーズとは、相反するものだ。これが第二の破綻である。

3.ヒーローとしての破綻 ウルトラマンや対怪獣組織≠ヒーロー

 今回の世界感は、時代的には現代そのものであり、人類解放機構TLT(Terrestrial Liberation Trust)はスペースビーストを極秘裏に迎え撃つために設立された世界規模の非公開特殊防衛機関ということになっている。
 ここから先は人によって判断が異なるだろうが、いわゆる対怪獣組織が秘密基地を持つことは良しとしても、組織の存在そのものが秘密である必要はあるのだろうか?
 科学特捜隊やウルトラ警備隊のお兄さん達は、カッコイイ憧れの的であり、街に捜査に出ると子供がワクワクしながら寄って来るような、理想的なヒーロー達であって欲しい。
 無論、人心の動揺を抑えるためにビーストの存在も隠蔽しているのだから、対ビースト組織などというものが世に出ないのは当然なのだが、その小賢しいリアルは、あの輝いていた科学特捜隊の晴れ姿と比べ、どれほどの価値があるというのか?
 そして、そのMIBそのものの秘密組織において、ミソッカスで一番役に立っていない主人公。更に、主義主張は間違っちゃい無いがそのせいで人生転落し、どうしても自分で掘った穴から這い上がれないウルトラマン。
 こんな主役達で、ヒーローたり得るのか?
 ある友人から「『謎の円盤UFO』のシャドーも秘密の軍隊だったぞ」と言われた。たしかに、そうなのだが、TLTやナイトレイダーには、シャドーにはあまり無い、陰鬱とした積極的秘密主義があって、これが気に食わない。ビーストに会った記憶、ナイトレイダーの戦闘に関する記憶を消去する部隊、メモリーポリス(MP)の存在だ。
 チョイと尋常でないこの組織の、それにしては杜撰な運営の描写が、人類を守るヒーローとしての対怪獣部隊のカッコ良さを消している気がする。これが第三の破綻だ。

 てなワケで、いいたいことは一つ。「ウルトラマンをやりたいなら、ちゃんとウルトラマンをしろ」ということ。子供が気味悪がって厭がったり、飽きて見なくなったりするような、稚拙な設定やストーリーを、子供番組の王道の一つである『ウルトラマン』に持ち込むなと、云うことだ。

 無論、ここまでのたわみをバネとして、第二クールでは大きくハネ上がると云う可能性も捨て切れない。
ウルトラマンと名付けられたからには、そういう力を持った番組でいてもらいたい。だから、今後も見守って行きたい。
 しかし、イマイチ面倒臭いんだよね。進まないストーリーが……。

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コメント

僕もネクサスを見て同じ感想を持ちました。

投稿: おでっさ | 2004/12/28 02:03

ODESSAさん、いらっしゃい。

 ちょっと、気になるけど気に障る。ッて感じですね。

投稿: 神北恵太 | 2004/12/28 03:14

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