ギャンブル王誕生だぞ
タイトルは『パチンコ必勝法』だったか。中学生ごろに読んだ筒井康隆さんの短編で、ノーベル賞ものの科学者がパチンコ屋にやって来て、釘の位置や向きを丹念に調べて紙に書き写し、何やら難しい計算式を解き、玉を弾くための特製の機械をハンドルに装着する……というお話しがある。最初それが誰だか周りのものは気が付かないが、指摘する者がいて、面白がってテレビ局が中景にやって来る。パチンコ屋の主人は、科学の力で根こそぎ持って行かれるのだと頭を抱え、世間は世紀の大勝負だと固唾をのむ……。
筒井さんお得意の、疑似イベントものの掌編である。
さて、Exciteニュースに『電撃ギャンブラー3人組、勝ち逃げ成功』という記事が載った。(日本語訳:野中モモ)
6日、ロンドン発ロイター伝に因ると、ロンドンのリッツ・カジノで130万ポンド(2億数千万円)余りを獲得した3人組には、勝ち分を返す必要はないと警察が発表したそうだ。
この東欧出身の男2人女1人の3人組は、携帯電話に隠したレーザースキャナーを使用して、ルーレットの予測を行なったそうだ。携帯はコンピューターに接続されていて、ボールとルーレット盤のスピードを計測して、当たる可能性の最も高い数字を割り出すことができるのだそうな。
もちろん、玉やルーレットに対して(光圧以上の)何らかの働きかけをするものではないので、インチキ・イカサマの類ではない。普通目で観て予測を立てるところを、機械の力を借りたに過ぎない。
ロイターは「彼らはルーレット盤が3回まわり、掛けへの参加が締め切られるのに間に合う十分な速さで計算を行うことができた。」と云っている。
当然だが、カジノ側が捜査を要求したそうだ。彼らの財産は一旦凍結され、3人は逮捕されたらしい。しかし警察は土曜日になって「この事件はすでに解決済みであり、3人組は法を冒していない故に金は彼らのものである」とロイターに語ったそうだ。
コンピュータの力を利用して、ルーレットの出目を読む時代、到来である。
『パチンコ必勝法』の博士は、結局、周りの大騒動を余所に「千円スった」と言い残して帰って行くと云うオチがついているのだが、こいつ等は本当に儲けちまったんだなぁ。士郎正宗の漫画に出て来るような、物体運動の精密把握とシミュレーションに長けた戦闘サイボークが実用化された暁には、カジノも大変になるかも知れない・・・。
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