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2005/02/04

スタッフ必読書だぞ

本を紹介する。
『鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く」セブン-イレブン式脱常識の仕事術』勝見明(プレジデント社 1,238円)ISBN4-8334-5007-0 C0034 ¥1238E

 ビジネス書である。しかし、ビジネスマンが読もうがどうしようが知ったことではない。私がこれを薦めるのは、日本SF大会をやろうとしている人。今現実に準備を進めているスタッフ。そして、そこにジョイントするような企画を持ち込もうとしている人たちである。

 学生時代から、そんなに熱心な方ではないにせよ、たまにビジネス書と云うものを読んで来た。「仕事の進め方」「チームの纏め方」「経営哲学」「発想法」などの本だ。商学部産業経営学科国際関係専攻なので、大学の学科から言えばもっと読んでいても良いんだが、そんな真面目な目的ではない。
 では、何の為に読んでいるか?
 もちろん、ファンダム活動のためである。
 面白いことを、ちゃんとみんなが面白がって出来るように、お膳立てする。それは、コンベンションスタッフが目指すべき最も高い到達点の一つであろう。
 とはいえ、「給料貰ってるんだからこれをやれ」と言えば最低限人が動く会社等と違って、ファン活動なんテェ物は手弁当でやる趣味の範疇である。何かの作業を強制できるものではない。
 じゃ、どうするかというと、説くのである。仕組みを作った上で、これでやると何故良いのか、他と比べて何処が優れているのか、掛ける労力と得られる利便性が作業者当人にとってどうか、全体にとってどうか、そういうことを、滔々と語るのである。
 ところが、よくしたもので、大きな成長を収めている企業の社長さんと云うのは、みんな一様に、それをやっている。「なんでもいいから、やれ」ではなく「こうやると、こんな良いことがあるんだよ」という筋道を明らかにして、部下を納得させて働かせている。

 もちろん、どれだけ説いても報告の重要性を理解できず、仕事を抱え込んでしまう人が居る。情報の共有化で得られる利便性を理解できないから、少々の労力を惜しみ、結局自分に問合せが集中して潰れて行く人も居る。それに巻き添えにされる周囲の人たちが居る。
 これを少しでも少なくする為には、透明度のある組織を作り、作業の全体量や進捗・成果がちゃんと組織全体から把握できるようにすることだ。

 そういうことを徹底的にやりつつ、かつ、実績に奢ること無く、常に新しい勝機を模索して来た人物が、この本の取材対象である、セブン-イレブンの経営者、鈴木敏文氏だ。
 この本を読んでみると、セブン-イレブンが売れ筋商品を世に出す経緯と云うのが、いかに日本SF大会で企画を立ち上げる作業に似ているかが、よ〜く判る。また、とにかくよく話をして情報を共有して意見を摺り合わせることが重要だと云う、SF大会の運営上でも最も重要なチーム力の錬成が、実社会でも同じように重要であることが手に取るように判る。
 むろん、毎日翌日の注文を行なう一日サイクルのコンビニエンスストアと、一年に一度やって来る日本SF大会では、サイクルの大きさが大きく異なるから、そのまま真似をせよと云うわけではない。しかし、作業が、「世に受け入れられることをする」という同じ目標である以上、応用を利かせれば参考になることはいくらでも出て来る。
 残念なことに、ほぼ本文で書いてあることを絵にしただけの、おざなりな図版が挿絵の半分近くを占め、本としては、なんだか手を抜いた出来ではある。しかし、この本を通して知ることの出来る「鈴木哲学」とでも云うべきチャレンジ精神は、よく伝わって来る。その功績を以て、この本は充分に良書に分類されるだろう。
 書店はもちろん、こういう類書にしては珍しく、日本全国のセブン-イレブンの書籍コーナーでも置いてある。神北も、近所のセブン-イレブンで買った。
 一読するだけで、経営の極意が判り、何故セブン-イレブンが一人勝ちするのかが判り、セブン-イレブンの店内で店員と交わす会話が実はどう云う意味を持つのかまで判ると云う、とっても面白い本である。

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コメント

たま~に読みますね。ビジネス書。
この間読んだ「ピープルウェア第2版」もそんな本でした。
プロジェクトは、やる気を出させて自然発生的にチームができないと成功は難しい、という内容です。
SF大会の実行委員会なんて、まさにそうだよなぁ。と思ったわけですよ。会社はまったくの正反対なんだけどさ。

投稿: 竹内一詔 | 2005/02/04 08:06

 実は、勤め人時代に居た、ソフトウェア会社は、1980年代半ばに、本気でモーレツ社員を養成している社風だった。さんざん唱和させられた社是や、3か条からなる経営理念は、まだ口をついて出るぐらい。さすがに4〜5年前からノーミソが傷んで来たのか、4か条からなるサービス精神の方は、2つぐらいしか云えなくなっているのを発見して、ホッとするやら寂しいやら。でも、その中の一つ「常にお客様の利益を考え、示唆を与えなければならない」は、ボクの地図屋(図版屋)仕事そのものなので、抜けようにも抜けられません。
 でも、この全体主義的と云われたバンカラな社風も、年に一度か二度づつある社内試験でこういう唱和項目やその年の部内標語を一言一句間違わずに答えさせる問題が出ること等も、今にして思うと、上意下達による意思統一を一気に押し進め、全社一体感を持たせる方法論だったんだなぁということが、なんとなく見えます。その為に生じる軋轢を考えると上手い方法だったかということに関しては、よく判りませんが。
 1989年のダイナ★コンEXの時に、会社で通用しているそう言った組織論を、ボランティアベースで集まったスタッフに強要できるワケも無く、どう組織を纏めるのか、もがき苦しみました。
 まあ、結局、この本に書いてある鈴木敏文氏の方法論、トップが部門長に、部門長が中核マネージャーに、中核マネージャーが現場マネージャーに、現場マネージャーが各店店長に,店長が店員に、順にとことん話すことで、現場の意見を吸い上げ、トップの思い描く方向性を下ろして探らせて行く。そういう方法論に落ち着いて来るわけです。
 とはいえ、タイムスパンが開催日までと決まっていて、デッドエンドがやってくる日本SF大会では、「今、立ち止まってでも話し合うべき時か、手を動かすべき時か」という判断が常に付きまといます。また、売上高や利益率と云った正確に出る「結果」のない世界で、意見の正当性を検証する方法の難しさと云う面もあります。
 でも、まあ、立候補した実行委員長や趣意書にハンコをついたメンバー、そして、部門を任されたリーダーの人たちには、何とかこれをやり切って貰うしかありません。

 「やる気を出させて自然発生的にチームができないと成功は難しい」という理論が、どこまで会社組織で通用するかということは難しいですが、カシオのデジカメQV-10を作った連中、イトーヨーカ堂の中でセブン-イレブン・ジャパンを起こした時の鈴木社長と同志達、地雷探知・除去ロボットを作ったチーム、いずれも、そういう、自然発生的に使命感を持った人たちが成し遂げているのも事実なんですね。
 もちろん、会社ベースには乗らない仕事だからこそ、ボランティアベースでみんな始めるワケだけど。

投稿: 神北恵太 | 2005/02/04 08:57

SF大会って常に自分にとっては、負け戦なんですよねぇ。やりたいことはたくさんあるのに、それがすべてできるわけではないし。

神北さんお勧めの本はこれから探してよんでみようかとおもいます。
で、中身を読まずに書くわけですが、何らかの動機付けとか意思の統一とかできないと、うまいこと会社にしてもそうでないにしても組織回らないというのが実感。だれそれが大変そうだから助けてやろうってのでもいいのかもしれませんが。

会社の場合だと給料とかに加えて、能力見合いの仕事を割り振って、それに対する評価をきちんとするってかたちで動機付けるってのもありますが、SF大会含めイベントだとそうは行かないところがありますねぇ、能力不足のスタッフに仕事割り振り考えるより放置したほうが運営が楽になるってのはあるはなしで・・・。能力のある一部のスタッフに過重な負担がかかっていくわけですが。
しかし、毎年やってるイベントである以上、運営については長期的に見ないといけない時期がもう来てると思いますが。

ただ、ボランティアってのが曲者でなんかボランティア(=無給)だから能力は問われないと思ってる人が結構いるみたいだけど、そうではないよとは言いたいですね。

投稿: Okaten. | 2005/02/06 11:20

Okatenさん

 一番良いのは、ホントの所、一人一人のスタッフが、自分にとっての「役得」を見つけてくれることだと思います。
 ●オイラの絵がプログレスの表紙になった。
 ●好きな作家を案内する係に任命され、言葉を交わせた。
 ●企画を形に纏めたら、ゲストの人から感謝された。
 ●パソコンの技能をフルに発揮できた。
 ●普段では見れないイベント会場の裏側に接することが出来た。
 ……etc.
 人からどう見えるかはともかく、その当人がホントに嬉しいと思えることが、少なくとも一度以上ある.些細と云えば些細ですが、こういう、自分なりに嬉しいことが、必要だと思います。

投稿: 神北恵太 | 2005/02/06 14:01

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