« 初物写真だぞ | トップページ | 悪魔の声だぞ »

2005/03/28

ちえらぼに行って来たぞ

 3月ももう終わろうという今日この頃、皆様,いかがお過ごしでしょうか? 2日ほどぶらぶらしていたら、「体調でも壊しましたか? 仕事修羅ってますか? 神北情報局更新されませんが……」と電話がかかって来た神北です。ぼくは(たぶん)元気です。

 未来の扉を開くのはいつの時代もヘンなヤツら。ということで、秋葉原NECCAで開催された、NTTの若手エンジニアによる研究成果発表イベントちえらぼへ行って来た。2005年3月26日土曜日のことだ。
 ちえらぼの概要は、事前告知用BLOGちえらぼで見て頂きたい。
 11時の開場直後に入った会場は、文化祭展示と見本市展示の間ぐらいの出来。というより、本来,文化祭レベルの予算しかないところを主宰者の努力でちゃんと見せているという感じかな。金を掛けまくって目を引く訳ではないが、よく出来ているという感じ。
 まだ早いので、そう人も多くなく、ひとつひとつの技術展示をその開発者本人から聞けると云うベストコンディション。
 

 まず最初に見たのは、ビジュアル系エンジニア氏の「んとと君」。Flash応用技術の一種で、頭を撫でたり、叩いたり、デコピンかましたりすると、喜怒哀楽と台詞で返して来るサイバーエージェント(のようなもの)。MSOfficeのヘルプ等で、いわゆるエージェントキャラが受け答えするのは多々見るが、直接,ゲームのようにマウスクリックで相手に出来るところが面白いらしい。
 いまのところ癒し系程度にしか使えないが、辞書(受け答えデータベース)を明確に定義して行けば、それこそ、ソフトのヘルブぐらいのことはこなせるだろう。
 キャラクターの可愛さと相まって、イケてる技術になるかも。

 この「んとと」君の技術にも使われているらしいのが、ドラグリという技術。ドラッグしてぐりぐり。非常に判り易いマウス・オリエンテッド・インターフェイスだ。画面内の矢印(明示も出来るし、見えないようにしておくことも可能)をスライドツールとして、絵を操作できるビジュアルインターフェイスだ。
 感動したのは、コピー機のメンテマニュアル。まず、画面に映った本体前面に、こちらにむかって扉を開けるための矢印がある。その矢印に沿ってマウスカーソルをドラッグしてやると、画面内の本体のメンテ扉が開く。開き切ると、ドラム固定レバーやメンテ用開閉レバーに矢印が出て、これが操作可能であることが判る。これ等内部レバーを操作してしまうと、最初のメンテ扉の開閉矢印は一旦消える。ドラムを固定せずに扉を閉められないため、今の選択肢にはないのだ。もちろん、ドラム固定レバーを目一杯外すと、次はドラム部をこちら側へ引っ張り出せる矢印が出る等、いろいろな操作が、実地に近い感覚で行なえる。Flashによる対話形式メンテマニュアルである。
 しかも、凄いのは、これはFlashで動くのだから、Firefoxか何かのちゃんとしたブラウザが載っているほとんどのパソコンで、閲覧可能なのである。森岡浩之の星海の紋章で、「アーヴに渡された技術資料は全て画像資料で、故に初期の彼等は文字言語を持たなかった」という話が在ったが、こういう技術が出て来ると、マニュアルはいずれ本当に、画像と音声で全て済ませるようになるかもしれないと思わされる。

 同じくFlash技術を応用したのが、ソフトウェアデベロッパ氏の「3D顔画像合成」。これは、顔写真を、動きの基準ポイントを設定して立体のネット上に貼付け、モーフィング的な手法で表情を変えると云うもの。非常に手軽にできるということを除けば、目新しいものではないが、この非常に手軽というのはきわめて大きい。また、単なるモーフィングではなく、3次元ネットで構成された立体的な顔の骨格(お面と思った方がいいか)に貼付けるので、顔の向きを変えることも可能。
 顔が、上下左右を向き、喜怒哀楽の表情をとる画像が、なんだかチョチョイのチョイという簡易さで出来てしまうのが面白そうだ。

 次に見せて貰ったのが、家電改造士 1級氏の自作ネット家電。ハンダの持てない神北から見ると神業なのだが、出来る人にとっては余技レベルなのかも知れないちょっとした改造で、LANでパソコンに繋がるいろいろな家電を簡単作成と云うコーナー。
 ここでもらってきたパンフレットは、神北の天敵『ネット体重計』作成の手引き。2000円程度の安価なデジタル表示体重計を、5000円弱の秋月電子のネット対応マイコンキットから、LED点灯を監視するという手法でデータをLAN出力できる機械に改造してしまうと云うハード作成と、そのLAN体重計からのデータを表示するための簡単なソフトウェアの作成からなる。
 体重計が食いしん坊デブにとっての天敵であるということを除けば、なんとも素晴らしい技術力である。
 この他にも、ネットドアロックなどが展示されていた。
 家電改造士 1級氏が他で対応しておられたので、ヘルプに入っていた女性に「ドアロックをネット上から確認でき、しかもリモートでロックを行なえるのは、非常に有効だとは思うし、これが技術展示であって、まだまだ製品提案でないことも理解していて敢えて聞くのですが、ネット上のセキュリティーはどう確保するのですか?」と聞いてみた。「うーん、そこですよねぇ」てなお応え。オーバー・ネットワーク・セキュリティーの手作りは、そこがカギだな。でも、この女性から「自分の外出時に友達が来てもアンロックして、『玄関開けたから入って待ってて』って言えるのって、きっと便利ですよね」と云われて、目から鱗が落ちた気がする。ネットワークは距離を克服するが、来客と主人の不在という決定的な距離も、この延長線上で克服できるのか。

 次は、会場奥でセッションになっていたプログラミングアーティスト氏の「新たなプログラミングの世界」。これは、プラウザ上で駆動する新たなプログラム言語。講義を後の方からチョイと流し聞きしただけで、全容までは聞かなかったのだが、現在50パーセント程度の出来というこの言語、でも、完成部分だけでも何だかちゃんと動いており、JAVAなどよりBASIC的な要素が強いように感じられた。面白そうである。

 ユビキタスコーディネーター氏の「ショッピングサポーター」は、個人識別タグと、タグ接近感知アンテナ、広告ディスプレイシステムを使った、「その人その人の傾向に合ったお勧めを的確に表示し、購買興味を増加させる広告システム」とでもいうべきもの。
 過去の購入データ等からその人の好みを判断させるというのは、タグに個人情報のキーを持たせることになるので、ちょっと情報漏洩が気に掛かるところだが、面白い技術ではある。
 ジャンルごとに興味の深さを登録しておいてもらって、一番好きそうな次のコマの企画を提示する、コンベンション用の表示システムとかに利用できたら面白いなぁ。

 拵人(こしらえびと)氏の「3Dマウス」は、たった1個のUSBカメラから、3Dの位置関係・角度を捉えることの出来る位置特定システム。特殊な図形をマーキングしたピンポン球を使い、上下左右どう持っているか、どの位置に居るかを感知し、3D画像内の物体をそれに見立てて動かすというもの。クルリと後ろ側を見ることも、倒してみることも可能で、理論的には非常に面白い。ただ、人間の手で持っているものは、固定されず、常に画像内でもプルプル揺れてしまうため、絵的にちょっと不快。細かな振動は無視して、大きな動きだけ素早く追従するような、ドライバの改良があれば、面白くなるかも。

 NTTというと、12年前の引っ越しの時、ISDNの移転をすっかり忘れられ、一月も前に言ってあったにも関わらず、引っ越し先で電話が使えないという酷い目に合わされてから、クソボケカスの親方日の丸企業としか思っていなかったのだが、こういうちゃんとした技術者も中には居るのだなぁと感心。面白かった。
 このイベント、ちゃんと定期化して、どんどんいろいろな技術的前進を見せてくれると嬉しいなぁ。

|

« 初物写真だぞ | トップページ | 悪魔の声だぞ »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ちえらぼに行って来たぞ:

« 初物写真だぞ | トップページ | 悪魔の声だぞ »