米軍が殺したぞ
米軍、解放の伊記者誤射(東京新聞)という記事が、ちょっとショッキングだ。
【カイロ=嶋田昭浩】イラクからの報道によると、反米武装勢力に拉致され、約一カ月ぶりに解放されたばかりのイタリア人女性記者ジュリアナ・スグレーナさん(56)の車が四日、バグダッドで駐留米軍に誤射された。スグレーナさんら三人が負傷、護衛のイタリア情報機関員一人が死亡した。イタリアのベルルスコーニ首相は「深刻な事件だ。だれかが責任を取らなければならない」と述べ、誤射を強い口調で非難。駐イタリア米大使を呼んで事情説明を求めた。
おい、ちょっと待てよ米軍と言いたい。一ヶ月間反米ゲリラに拘束され、母国の情報機関の交渉によって解放、帰国の途につく為の移動中に、米軍に発砲されて負傷。彼女を護って死亡した情報機関員のニコラ=カリパリという人物は、この交渉の直接担当者だったそうな。
このジュリアナ=スグレーナさん開放のニュースは、つい先日大々的に報道されたばかりだ。それが、今日の時点で誤射により負傷。あまりの急激な縷々転々に、ニュースの字面を見ても何が起こっているのかしばらく理解できなかった。
たとえば、反米ゲリラと交渉したカリバリさんや、人質になっていたスグレーナさんが握った何らかの事実を封じたかったと云う、スパイ小説みたいな理由が、米国にあったとしよう。だからといって、「米兵が誤射しました」なんていう国際陰謀小説を地で行く、いや、小説でもやらないような直截な強権発動を本当にしたら、一瞬で全世界に報道され、自分たちが不利になることは小学生だって理解できている時代である。当然、そんなベタベタのリスクを乗り越えてまでこんな判り易い形で人を殺すバカはいないだろう。
しかし、それにしても、米軍の駐留する地方では、こういうことが頻繁に起こっては居ないか? 起こり過ぎては居ないか?
かつての第二次世界大戦後の占領下の日本でも、未だにその理由の判らない不可解な事件が幾つも起こったそうだが、特に、西アジア中近東、近年のアメリカ軍の作戦地域では、こういう事件が次々に起こっていて、気持ち悪い。
イタリアの世論は完全にイタリア軍撤収に傾いているそうだ。世論に逆らって軍隊を派遣しているベルルスコーニ首相は、今後、どう動くのであろうか。
ブッシュ大統領は遺憾の意を表明し、調査を確約している。しかし、過去,米軍のこういった調査で、納得出来る調査結果が発表されたことは、少ない。ましてや現場は、開戦の理由になった『絶対にある』筈だった大量破壊兵器工場が、ついぞ見つからなかったのに、未だに為政者を拘束したまま米軍が占領を続けているイラクなのだ。
(まあ、今、米軍が焼け跡のイラクを見捨てて一方的に全撤収したら、もっと大変になることは判るけどサ)
しばらく、ローマとワシントンの動向に注目したい。
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コメント
捕虜収容所の、虐待のニュースもありましたね。
どうやら、末端でたががゆるんでようです。いわく「俺達はつよい。どこにいっても尊敬される(はず)」・・・「したがって、何をやってもいい」。という図式があるのかも知れます。
これは、ベトナムのソンミ村の事件とは性質を異にします。
かえって、アメリカが極東軍事裁判において、論拠としたことと同じくする傾向があります。
日本国が、終戦条約として東京裁判を受け入れると条約でうたっているから、それに対してはいいませんが、最近(ベトナム戦争よりあと)のアメリカは、なにかおかしいような気がします。
別かもしれませんが、アメリカで、対戦中の賠償を日本政府や企業に求める裁判が起こされています。今のところ、1951年の条約に則っていますが、もし原告の主張が認められるようなら、日本政府――日本国民は東京裁判の最新を要求すべきと思います。
投稿: 八潮 | 2005/03/05 21:33
一言でいうと、アメリカの「ジャイアン化」なんですよねぇ。
ハァ〜。
投稿: 神北恵太 | 2005/03/05 23:01