ギブミーギブミーだぞ
今年の大会のゲストと大会の関係について、後知恵で考察をしてみたい。
大会の演台に立つ事は栄誉な事なので、講師になる対価を既に得たようなものというような意味で実行委員会等ではギブ&テイクという言葉を使っていたように思う。
しかし神北は、今までの日本大会で充分なギブアンドテイクが出来ていないとも思わないし、アメリカ式のやり方(というか、今回Hamacon2がやったやり方)が、本来採用すべきベストだは全く思わない。
さらに今回のHamacon2のやり方は、どちらかというと、「ギブ&テイク」ではなく「ギブミー、ギブミー」だった様な気がする。
少なくとも実行委員会にとって、ゲストが大勢会場内に居てくれる事のメリットを軸に考えれば、「自分の出演する以外のところが見たければ、一般参加者として金を払え」という今回のやり方は、何のプラスにもならない。
「金掛かるなら別にいい」と云って他の企画を見ずに帰る人は、大会にとって、結局は収入にならない。ということは、参加費無料にして入っていただければ、収支が変わらぬまま多くのゲストが会場内を闊歩するSF大会らしい光景を演出できた訳だ。
また、「一族郎党を何人も連れてタダで参加して、企画もせずに会場を歩き回るだけのゲストを呼ぶのは止めるべきだ」という理論の答えが、即Hamacon2のやり方ではない。この間に、折衷案はいくらでもある。
たとえば、16年前のダイナ★コンEXですら、ゲスト全員に必ず一つ以上の企画をお願いした。また、同伴者に関しても、お一人分は参加費は免除させていた
だき、宿泊費の半額分だけ申し受けた。二人目以降の同伴者は、一般の参加者と同じ扱いにさせて戴いた。だから、「企画もせずに会場を歩き回るだけのゲス
ト」など、ダイナ★コンEXには、一人たりとも居なかったのである。これは、T-con2003も基本的にそうだし、宿泊費というモノはない都市コンだか
ら多少レギュレーションが異なるが、Zero-conだって、近い事をしていた。
「企画もせずに会場を歩き回るだけのゲスト」がいるとすれば、それはその年の大会がズボラこいただけの事に過ぎない。
企画局がアホなのだ。
本来、自分たちのズボラが原因なのに、それをシステムのせいにして、別のシステムの導入を金科玉条にするのは、意味がないように思う。第一、別のシステムとして紹介されたアメリカ式のやり方が、本当に優れているのかどうかというサーベイランスというか、見比べをした資料など、少なくとも今年の参加者である私は見せてもらった事がない。
我が家の曾祖父は、大正から昭和前半、「これはいい」という意味でよく『上等舶来!』という言葉を使ったそうだが、なんでもかんでも「アメリカ式」「ワールドコン方式」というのは、その感性と変わらない気がする。
これは、一部では既知の事だが、アメリカでは、ゲストにも参加費が必要な形を取ってはいるものの、ファングループが金を出し合ってゲストの参加費を立て替え、交通費まで面倒見る
という風習がかなり普通にあるそうな。「誰もが自分が会いたいゲストのために金を出せる制度」と考えると、寄付分が税金免除になるアメリカの税制などと似
たアメリカ型合理主義が見えて来るではないか。
しかし、こういう制度の紹介や斡旋等の手伝いと言う労力のかかる部分は省き、自分に取って都合の良い「ゲストも有料」制度の導入に止めてしまったため、Hamacon2のゲスト制度は、バランスを欠いた、非常に不合理な物になっていたと思う。
ちゃんと端々まで情報が行き渡らないのに、こういう制度を強行する意味があったのだろうか?
また、1日3コマ×2日でしかない企画のうち、4コマ以上が出演企画で埋まっているような方が何人か居られるようなのも、非常に気になる。
5コマ働いたらそりゃ、ゲスト・オブ・オナーとほとんど同じなんじゃないですか?
ちょっと、一部ゲストに負担をかけ過ぎという気がした。
こういうと、「ゲストじゃない、講演者だ」とか云われちゃうのかな?
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コメント
なんども言うようなのですが、結局のところ、彼らがやりたかったのは「ワールドコンごっこ」でしかないのですよ。
意味のよく判らないリボンだの、コンスイートだの。
いちばん見習って欲しいのは、参加者に対するホスピタリティだったんですけどね。
投稿: 安達裕章 | 2005/07/19 21:13
警備員が威圧的な上に言葉遣いがなってないとか、タイムテーブルがないとか、ちゃんと手間ひま掛けたホスピタリティーという面での努力は、薄かった気がします。
リボンなんか、別に今年はワールドコンではないのだから、日本語で表記すればまだ良いように思いますがねぇ。区別しろったって出来る物じゃネェよ。
投稿: 神北恵太 | 2005/07/19 21:41
警備員が威圧的で言葉遣いがナニなのは今に始まったことじゃないしなあ。
毎年警備員には(--メ)凸な感じだが、私だけなのだろーか。
怒られるような事ばかりしたがる私がいけないのかっ。
投稿: 森野人 | 2005/07/19 22:20
今年のゲスト交渉は、本当に大変でした…。
もっとも、私の初動が遅かった、と言うことはあると思います。
投稿: ていとく | 2005/07/19 23:57
SF大会、本当にお疲れ様でした。
と、言う当の私は参加をしておりませんが……(^^;A
運営は色々大変なのだろうとはお察ししますし、特にコレと言ってお役に立つでもない者にコメント出来る権利があるとも思いませんので、どうぞ、今後ともご発展をと……
ただ、ひとつだけ、欲を言わせていただければ、過日、当方に、当日に配られる?パンフレットかなにかに掲載するコメントのご要望を頂きました。
私のような者にも、と光栄に存じましたので、快くお送りし、勿論担当の方からは即座に「受け取りました」とのご丁寧なご返信も頂きました。
しかし、本当に載ったのか、どのようにお役に立ったのか、参加していない身にはわかりようが有りません。(苦笑)
私自身は、それなりに、大会運営のご様子を存じていますからそれでも構いませんが、ごくごく常識的に考えて、コメントなどを依頼し、それに応えてくださった方には、参加が無くとも、そのパンフなりをお送りするのは、社会的礼儀では?と思います。
少なくとも、私ならそうしますし、それが無理であるなら、ドタキャンででもない限り、参加いただける相手(つまり、パンフを渡せる方)にのみ御願いすると思います。
(勿論、中には「何で私にはコメントの声すら掛からない!」と憤慨なさるような、ちょっと大人気ない(笑)方も居られるやもしれませんが……)
それとも、送られているのでしょうか?
もし、そう言うシステムでないのだとしたら、そのあたりの気遣い……というか、ケアについて、是非、次回の課題のひとつに加えられては、と思ったりいたしました。
投稿: かざま | 2005/07/20 02:09
森野人 さま
今回の警備員は、シロウトっぽく、ぎりぎり直前に身体を突っ込んで来て「ちょっと!」とか「おい!」とか言う事が多かったですね。これが、本職が警備員でSF大会で10年以上警備一筋にやって来た武田警備隊長とかだと、少し距離のあるうちにその人の視界にスッと出るように動いて、「すみませ〜ん」みたいな、あまり一気に威圧する事なくコミニュケーション取る術を心得ているような気がします。今年は武田くんは警備をしていないですけどね。
ただ、今年は、自分たちが配るのが遅れたにもかかわらず、「ストラップはスポンサーなんだから、必ずしろ」とか、どうでも良いような事で警備が鬱陶しかったのは確かです。
ていとく 様
企画を持ち込もうとすると、なかなか大変でしたね。この大会は。
企画の事で、打ち合わせをしようにも、その人が言う事が確定情報なのかどうか、なかなか判らない。というか、後になって委員会内の都合で言い分が変わったりする。で、「言う事が変わったじゃないか」というと、「そんなことはない、前はまだ決定事項ではなかったんだ」みたいなことを言われる。
お疲れさまでした。
かざま さま
載っておられますよ。
たしかに、出版界の一般常識から考えると、印刷物が出たのなら、もう寄稿者に見本誌が届いていて普通ですよね。
ただ、SF大会の場合は、大会が終わった後、みんながしばらく疲弊しきっていて、その回復後ぼちぼちと事後処理が始まるというのが通例ですので、速ければ8月、遅くなると今年中ぐらいまでの間に、そこいら辺の事は終わらせると思います。
とはいえ、私も、過去、広告取りをした時に、広告主への送付とかまではやったのですが、寄稿していただいてお越しいただけなかった方へのフォローがどうなっていたかは、ちょっと把握していなかった気がします。大会後、ゲスト担当が対応したとは思うのですが……。
ありがとうございます、これは、重要な事を伺ったと思います。
投稿: 神北恵太 | 2005/07/20 11:02
>「ストラップはスポンサーなんだから、必ずしろ」
当のスポンサーとしては、非常に困惑させられる発言ですね。
もちろん一字一句この通りの発言だったとは思いませんけど。
投稿: 小浜徹也@東京創元社 | 2005/07/21 04:33
>「ストラップはスポンサーなんだから、必ずしろ」
当のスポンサーとしては、非常に困惑させられる発言ですね。
もちろん一字一句この通りの発言だったとは思いませんけど。
投稿: 小浜徹也@東京創元社 | 2005/07/21 04:34
今年の大会は、この闇雲で理不尽な一律有料方式に反発して不参加だった作家さんを何人も知っています。
投稿: おでっさ | 2005/07/21 12:47
小浜 さま
私も、どちらかというと運営サイド寄りに物を見る方なので、こういう、スポンサードを受けて作っている物に関しては、みんなが身に着けるべきだとは思っているのです。
しかし、プログラムブック3ページの「実行委員会からのお知らせ」(そんなものが、表紙を開いたところに載っているのは、ちとびっくり)等にも、会場の張り紙にも「着けましょう」とかはなく、唐突に「何でストラップ着けないんだ!」的な文脈でキツい口調の注意を受けて、少々、ムッとしました。
なぜ、「公式ストラップをお持ちではないですか?」と普通の態度で訊けんのかと、怒りすら感じました。
この時点で、我々、前日から設営のために会場入りしていたメンバーは、(間に合わなかったため)受け付けはしたもののスーベニールの配布を受けていないので、まだストラップを手にしていなかったのです。警備担当者(20年来の友人です)も、朝イチで張り切っていた所為でしょうが、少々考え足らずというか、自分たちの不手際で前日中に受付した者にスーベニールバッグを渡してないという状況を失念しているのには、マイりました。
もちろん、その後、スーベニールバッグを確保し、早速ストラップを使わせていただきましたのは、言うまでもありません。
おでっさ さま
ゲスト費用が本当に大変なものかどうかは、ちゃんと実例を取って検証してみないと判りませんので、今回の大会が目指したシステムを指して言下に「理不尽」というのは、神北としては避けたいところですが、少なくとも、説明が足りておらず、多くの方にとって「闇雲」だったらしいことは間違いないでしょうね。
なんにせよ、誰に対しても「説明不足」「つっけんどん」だった印象がある大会でした。「人手が足らないから説明が行き届かない、説明が足りないから人手が集まらない」と云う駄目スパイラルが全ての原因かも知れませんが、その大元が、トップがちゃんと夢を語れなかった説明不足にあるとしたら、ちょっと侘びしい気がしますね。
投稿: 神北恵太 | 2005/07/21 14:23
お忙しいのに、ご丁寧なREありがとうございます。(o^^o)
結局、皆さんの書き込みを色々と拝見していて、今回の大会に足りなかったことはたった一つと解かりました。
「一手先を読んで先手を打つ」
これですね。
ストラップの件にしても、ここで拝見する限りは、入場者に渡す折、
「参加中は証明になりますので、必ず首から下げてください」
と一言告げれば、不快な注意を受けることも、スポンサーさんへの件もクリアされます。
例のパンフの件でも、要請時なり、返信時なりに、神北さんのご説明くださった旨を記載し
「遅くなるけど、必ず送ります」
という意味のことを明記しておけばいいだけのこと。
自分でも、以前イベントにあれこれ関わってみて学んだことですが、これを行うと、どういう問題がでてくるのだろうか、という一手先を読んでおいて、それに着いて事前フォローしておくのが、万事のトラブルを防ぐコツですよね。
まあ、言うは容易いと思いますが、主催側がこの感覚を本能的に知っているかどうかが、イベント成功の大きな鍵かな、と思います。
来期、より良く、スタッフも少しでも楽な大会をとお祈りします。(^-^)/
投稿: かざま | 2005/07/21 18:24
かざま 様
悲しいかな、人間とは、一度ヤラかしてしまわないと、重要なことが認識できない生き物でして、なかなかポッと出の新人が、何から何まで遺漏無くというわけにはいかないのが現状なのでしょう。
それを補うのが、年寄りの知恵という奴です。前の失敗を繰り返さないために、経験者の知恵ほど役に立つものはないと、私は思います。
しかし、世の中、そううまくは行きません。
私の友人が、今年の企画局の偉いサンになったもう一人の友人に、昨年度、さして準備万端整えた体制で挑んだ大会とは云えなかったんですが、それでも、なんとか会期までには形をつけた大会を例に取って、企画局の準備作業の進行を、ポイント・ポイントを追って何のためにそれをするのか、チェックするのは何かということを一晩掛かりで逐一伝授したのです。
が、結局その伝授された方は、「我々は、ワールドコン方式で行くので、そんなやり方はしない。大丈夫だ」と一顧だにしませんでした。
なかなか、難しいものです。
投稿: 神北恵太 | 2005/07/21 22:06
ううむ(^^;A
いわゆる(いわねーけど)「ワールドコン」という宗教みたいなもんだったんですねぇ……(苦笑)
ワールドコンがどんなものか、良くは知らないですけど、なんにしても、お国柄とか人種的倫理観とか、お客様が違えばおんなじってわけには行かないんだけどねぇ。
本当にお疲れ様でした。
負けるな、神北!!
見ている人はちゃんと見ているぞっ!!V(^.^)
投稿: かざま | 2005/07/22 15:19