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2005/09/14

正義の姿だぞ

 人々が、団結して前を向こうとする時、何かに立ち向かう時、失意の底から這い上がろうとする時、モニュメントというものが大きな意味を持つことがある。それは、力強い英雄像であったり、慈愛に満ちた女神像であったり、何か抽象的な意味を込めた情景像であったりする。また、昔からその街にある建物であったり、見慣れた山河であったりもする。しかし、どんな像であれ、シンボルであれ、それは人々の心に強く訴えかけるものを持つものだ。

 Exciteニュース世界びっくりニュースに2005年9月13日、『ボスニアにブルース・リーの像 民族を越えた平和のシンボルに』という記事が掲載された。

 かつて激しい民族紛争の舞台となったボスニアの都市モスタル。このたび、新しい平和の象徴として、ここにブルース・リーの像が建てられることになった。リーはムスリム、セルビア、クロアチアいずれの民族においても崇拝されている。
 ブルース・リーの没後30周年になる2003年に、熱狂的ファンのグループが自分たちのヒーローを讃えようと思い立ち、プロジェクトが発動した。彼らは寄付を厚め、一年後に市の承認を得た。
 「11月に市の中心地に彫像を建立する予定です」市民団体アーバンムーブメントのヴェセリン・ガタロさんは月曜日、電話でロイターに語った。「これは普遍的な正義を象徴するモニュメントとなることでしょう。それこそ他のどんな都市以上にモスタルが必要としていることです」

 ハリウッドの俳優であったものの、白人優先社会の当時のアメリカでは金銭的にあまり恵まれず、両親のふるさとで自分も少年時代の一時期を過ごした香港に戻って映画作りを指揮し、香港映画界で大きな成功を収めた後、アメリカ・香港合作の『燃えよドラゴン』の企画をまとめ、この撮影後、レコーディング中に病に倒れたブルース・リー。また、自らを祖とするジークンドーを立ち上げ、普及に努めた武道家でもあった。
 たしかに、ヒーローであり、困難を乗り越える前向きさを持ち、そして、正義の象徴であろう。
 しかし、ブルース・リー本人も、まさか自分の像が、21世紀初頭になって、ユーラシア大陸のほぼ向こう側のボスニアなんて土地に建とうとは、思いもしなかったろうなぁ。

 稀代の武道家にしてアクションスターは、今ごろ天国で、ジークンドーの門下生であり友人でもあったスティーブ=マックィーンやジェームス=コバーン、リー=マーヴィン達と、どんな顔をしてこの話を聞いているのだろうか。

 喜んでいてくれていると良いなぁ。

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コメント

彼の地の人々には本当に仲良くやっていっていただきたいものだと思う。
だけど像建ててだいじょぶなのかね? ムスリムな人たちは特に。

投稿: 森野人 | 2005/09/14 10:44

森野人 さま

 ムスリムと言っても、戒律バリバリなアラビア近辺のムスリムと、アフリカ・ヨーロッパ・東南アジアあたりの、かなり他の宗教と混ざって暮らさざるを得ない地方とでは、随分教義解釈の厳密さに幅があるみたいだけどねぇ。どんなものかなぁ。

投稿: 神北恵太 | 2005/09/14 11:00

モスタルには1998年5月に行きました。
市の中心地は何処だろう?
「古い橋」の掛る川を境に、ムスリム地域とクロアチア(カソリック)地域に分かれています。
駅やバスターミナルはムスリム地域にあるので、この街の最初の印象はムスリム地域から
始まります。
私が訪れた時はどちらも「破壊されたままの街」で、仮設の橋が掛っているだけでした。

ちなみに旅行した経験から言うと、アラビア半島から欧州に向って、イスラムの戒律が緩くなっていくようです。

投稿: ふるき | 2005/09/15 00:35

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