牛肉好きとしてもの申すぞ
マスコミによると、米国産牛肉の輸入再開が、そろそろ決まりそうという話だ。
しかし、神北は、現状での米国産牛肉解禁は反対である。
誤解せずに読んで頂きたいのだが、何も、神北は、米国産牛肉がプリオンまみれだから駄目だと云っている訳ではない。
問題は、国内にある。
別に、危険性のある肉が流通したとしても、それが危険性のある肉だという事が判るようにして売られているのであれば、そして、安全な肉より十二分に安いのであれば、それでもいいから食おうという人が現れる。これは、経済学的に見て、間違いない。
逆にいうと、安全な肉のために費用を投じる人も、もちろん居る訳である。
だが、現在の日本では、生産者・流通業者・小売店の誰が嘘をつくか判らない。たとえば、こと食品に置いて、日本の流通業者というものの信用はまる
でない。カズノコの産地、カニの産地、松茸の産地を偽るなど当然。それこそ、牛肉だって、国産を米国産に偽装したり逆だったりと、ニュースをにぎわせたの
が記憶に新しい。
しかし、こういう流通を許すためには、まず、徹底的な食品のトレースが必要となる。
たとえば、ハンバーグ用合い挽き肉を買ったとして、「○○県の○○さんが育て、○年○月○日に○歳で、○○食肉処理場で解体、○○冷凍の倉庫にいつからいつまで置かれていて、○○食品が運び、○○精肉でひき肉にされた豚と、米国○○州の○○さんが育て、○年○月○日に○歳で、○○食肉処理場で解体、○○冷凍の倉庫にいつからいつまで置かれていて、○○食品が運び、○○精肉でひき肉にされた牛を○月○日○時に合い挽きにし、店頭に並べた」ということが判る必要があるのだ。しかも、その記述は、正しくなくてはならない。
では、嘘のつき放題が常態と化しているような者すら含む、すべての流通業者に、正確な情報を出させるにはどうすれば良いのか。
残念ながら答えは一つである。モラルのない業者に道徳が芽生えるのを待つ余裕がない以上、食中毒発生以上の厳罰で対応するしかない。
たとえば、営業停止。小売店が偽装した場合、営業停止三ヶ月。流通業者が偽装した商品を売ってしまった場合、知らなかったとしても営業停止一ヶ月。流通業者が偽装した場合、営業停止三ヶ月。
立入検査は抜き打ちで行なう。
このぐらいのことをしないと、「安全な肉」とラベルが張ってあっても、それが本物かどうか判らないこの国の現状は改善されない。
しかし、「あぶないかもよ」と表示してさえあれば、危険な肉を流通を可とするのは、国民すべてに健康で文化的な生活を憲法が保証している以上、不味いだろうという人が居るだろう。
しかし、現状のままでは、誰もが危険なのである。で、それを蔓延させているのが、危険を承知で偽装を行なう一部の流通業者(別に、怪しげな小さな会社のことではない。堂々と看板をあげていた有名メーカーがやっていたのだ。)とそれに対抗する力を持たない監督官庁なら、厳しく法的な規制をかけるようにすることは、国民の食の安全のために有効な手段ではなかろうか。
そのための費用が食品に上乗せになり、みんな危ないかも知れない危険性のある肉を食わざるを得なくなったら、それはそれで残念だが、国力がそこまでだったのなら諦めるしかない。
しかし、安全な肉のフリをした偽装肉でやられるのだけは、ごめんだと思う。
我が国は、IT立国を目指しているのだから、本来なら、狂牛病の問題が取りざたされた時点でこの必要に気がついた政府が動いて、制度とそれを支えるIT技術を整える必要があったのだ。
絶対安全な餌を使っていることが判っている松坂牛を食ってみせて「ホラ牛は安全」と訴えていた与党のバカ議員のセンセたちを筆頭に、野党もなんだかいい加減だよなぁ……。
既に頭にスが入ってるんじゃないの?
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コメント
これ、国内牛ではすでにシステムできてませんでしたっけ?
店頭で、リーダー通すか携帯で写真とってアクセスすると、生産者から加工、保管、小売といった来歴がずらーっと出てくるやつ。
運営に巨額な費用がかかるとか言ってましたが、使わないのも開発費の無駄遣いじゃないかと思いまする。
とにかくロヂャースの新装開店まで3週間となった今、早いところ何らかの手段を講じていただきたいと思うしだい。<めちゃくちゃローカルなわがまま
投稿: 大外郎 | 2005/10/25 19:31
私見ですが、監督官庁が対抗するすべを持たないというより、むしろ内々にそういうやり方を勧めている面があるんじゃないでしょうか。
非加熱血液製剤の問題でも、当初、医師会トップは流通を止めさせようとしていたのに厚生省官僚の説得をうけて認めてしまった経緯があります。
産業政策優先の官僚が態度を改めないと、どんな法規制をしても、現場の運用で無効化されると思います。
投稿: 東部戦線 | 2005/10/25 23:48
大外郎 さま
東部戦線 さま
牛肉トレースシステムに関しては、たしか自主的な生産者側の努力もあって、出来ていると思うのですが、スーパーなどのパック販売のラベルにそれが載る等、全国の小売業者が対応しているかどうかは、よく知りません。更に云うならば、その追跡コードを間違いなく切り分けた肉に付けて行くまでの作業システムがそうそう構築出来るとは思えません。
人の手を経る以上、どうしたってミスは起こり得ますから、その率の公表とか、フェールセーフの方法の公表とかまでして、信頼の置けるシステムなのかどうかはちょっと判りません。
それも、たぶん店頭で「牛肉」として売られている場合ですよね。
「合い挽き」などの一種のの加工品の場合、どうなんでしょうとか、それをつかった「ハンバーグ」とかになったらどうなんでしょうとか、レストランではどうですかとか、云い始めると、検証不能の牛肉は、まだ多量に消費者の傍に居る事になります。
また、ウソをつく奴が出た時に、適正な処罰があるような厳格なシステムかというと、そこまで入ってないような気がします。
「どこかのスーパーの肉を片端から調べたら、日付がずれているだけで、一週間毎日、全部同じ肉牛を指していた。ホントだとすると、その産地には身長57m体重550トンの牛が存在することになる」なぁんて偽装工作が絶対無いと信じるだけの制度的公平性公共性が公表出来ているかというと、私個人の意見としては、ちょっとまだそこまで食肉流通業者全員を信用出来ない気がします。最悪を考えた場合、これではまだちょっと怖いかなぁと思いますよね。
投稿: 神北恵太 | 2005/10/26 07:52
ヨーロッパで使用禁止になった肉骨粉を世界中にばらまいた商社はどこだろうねえ。
ちっとも報道されないし、追求しようという動きもきいたことがない。
トレーサビリティに関する技術については、偽造に対してどこまで実効性があるのやら。そのうち食えるIDタグでも出来ないかなあ。
とりあえず検査必要ないからさっさと輸入解禁しろとほざいている外食産業で食事したくはないな。
投稿: 森野人 | 2005/10/26 12:40
でも、輸入解禁されるという情報で株価が上がっちゃうんだよねぇ……とほほほ
投稿: 東部戦線 | 2005/10/26 17:01
森野人 さま
東部戦線 さま
商人の時代ってことですかねぇ。
しかし、「こんなバカが社長で大丈夫か?」ってなバカ発言をする牛丼屋の社長も、それに釣られて株買う馬鹿も、いつになったら、今やっていることが20世紀のツケを払うだけの後ろ向きの作業だと、気がつくんでしょうかね。
投稿: 神北恵太 | 2005/10/26 21:00
トレーサビリティも大事ですが、そもそもの牛がこんなんじゃ、やっぱり米国牛は反対です(TT
鶏糞食べてるって。。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c35a71a82981c6c137518f281eb161c0
投稿: トレーサビリティ | 2005/11/02 00:10
トレーサビリティ さま
うげえ、
ちろっと呼んだだけでも厭になるような情報がいっぱい書いてありますねぇ。
鶏糞は肥料になるから、牧草地に撒いているというのならば、判りますが、直接喰わせるんですか?
『家畜人ヤプー』じゃないんだからやめようよ、こういうのは……。(^_^;)
投稿: 神北恵太 | 2005/11/02 01:05