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2005/11/13

出雲爆走紀行だぞ-その2-

 2005年11月5日の土曜日、朝から出雲大社を見て回った我々は、出雲大社の真ん前から宍道湖北岸を走る国道431号を東進し、更に松江市を抜けて、中海北岸を走り、美保関町から境水道大橋を渡り、境港市に入った。目標地点は、JR駅とフェリー乗り場の脇にある公共駐車場である。

 この街には、昨年も訪れている。何故かというと、ヤツラと合うためだ。

境港客船ターミナル
境港客船ターミナル 中央の建物が境港の駅の傍にある、客船ターミナル。列車と船を乗り継ぐ要所。 公共駐車場側から見る。

 境港という街は面白い。この街に至るJR境線は、米子から境港まで16駅あるのだが、それぞれが、「鬼太郎駅」「あずきあらい駅」「こなきじじい駅」など、妖怪駅名を持っている。米子駅は「ねずみ男駅」で、かつて「ゼロ番線」と呼ばれていた境線のホームは、今では「霊番線」、駅内の放送でも「れい番線」と呼び代えられているのだ。
 ちなみに、全駅名を挙げておこう。

米子駅 ねずみ男駅 水木キャラ
博労町(ばくろうまち)駅  コロポックル駅 北海道地区
富士見町駅 ざしきわらし駅 東北地区
後藤駅 どろたぼう駅 北陸地区
三本松口駅 そでひき小僧駅 北関東地区
川崎口駅 傘化け駅 南関東地区
弓ヶ浜駅 あずきあらい駅 東海地区
和田浜駅 つちころび駅 中部地区
御崎口駅 砂かけばばあ駅 北近畿地区
大篠津駅 べとべとさん駅 南近畿地区
中浜駅 牛鬼駅 山陰地区
高松町駅 すねこすり駅 山陽地区
余子(あまりこ)駅 こなきじじい駅 四国地区
上道(あがりみち)駅 一反木綿駅 九州地区
馬場崎町駅 キジムナー駅 沖縄地区
境港駅 鬼太郎駅 水木キャラ

 そのJR境線の終着駅、「鬼太郎駅」ともなれば、そりゃ、降りてすぐに、水木先生の執筆机があっても不思議ではない。
 

執筆する水木先生
執筆する水木先生 2005年に新しく追加された像。水木先生を、鬼太郎と目玉親父、ねずみ男が見守る。ペン立てやインク壷などか精緻に作られ、机上の原稿用紙には、コマ割りがされていて、コマ内に鬼太郎たちの姿が見て取れる。

 なんとも、カッコいい彫刻である。執筆する先生、それを覗き込む鬼太郎とねずみ男。三人を見守る目玉親父。これは、2005年3月17日に妖怪駅名が付いたのを記念して、新たに作られたのだが、なかなかの大作。
 そして、ここは、妖怪がズラリと立ち並ぶ、異空間の始まりでもあった。水木しげるロードである。
 駅前にあるブロンズ像だけでも約15体、全体では約850メートルの間に(幾つかは横方向の路沿いに)113体(2005年8月現在)のプロンズ像と5枚のブロンズレリーフが配されている。ここまで密度が高いと、もう、行けども行けども妖怪尽くし、楽しくてしょうがない。
 この街を歩き始めて間もなく、向こうからやって来たのは……。

鬼太郎と握手する塩ぺー
鬼太郎と握手するしおぺー 塩坂くんが、歩いた来た鬼太郎と握手。

 …やって来たのは、なんと日本一の有名妖怪、墓場鬼太郎くんだった。前に神北は水木ロードの有名店「むじゃら」の前で目玉親父に遭遇した事はあるが、歩いている鬼太郎は初めて見た。塩坂くんが握手を求めると、にこやかに応じてくれた。
 塩坂くんの感想「握手仕立ての感触では、中は40代男性と見た……」 中の人など居な〜い!
 ここの妖怪ブロンズ像は、1993年7月に現在の水木ロードの真ん中辺りに当る松ヶ枝町に23体揃えたところから始まり、徐々に駅寄りの大正町、水木しげる記念館寄りの本町へと設置範囲を伸ばし、現在に至る。
 初めて訪れた2002年、二度目に訪れた2004年、そして今回と、毎回、プロンズ像の数が増している。ということは、行けば行っただけ、新しい発見があり、面白さが増えて行くのだ。特に、今回は、上に書いたようなJR境線全体を巻き込んだ街興し気運の中で、大増設が行なわれており、あちらにもこちらにも初めて合う顔が並んでいて面白かった。

傘化け
傘化け 2005年に増えた新しい銅像。

 ひぇえぇぇ〜!! この傘化けは、あまりにも新しすぎるのか、境港市観光協会2005年9月発行の永久保存版水木しげるロード妖怪ガイドブック』(8月現在)にすら載っていない。いや、ひょっとかして、ホントに誰も設置した覚えのないモノだったらどうしよう?
 妖怪だしなぁ。

だるま
だるま これも2005年に増えたものだったと思う。

 ちなみに、この水木ロードになっている通りは、元々、駅前商店街だったらしく、電気屋さんだったり、銀行だったりと、いろんなお店や建物が並んでいる。だが、電気屋さんの中を覗くと鬼太郎とねこ娘のかぶり物が並んでいて、すっかり手作り土産物屋の風情になっていたり、銀行の老朽化した建物は既にソフトウェア会社が入っていたりするのだが、その壁面には等身大ぐらいの水木キャラの絵がせっちされていたりと、この通り沿いは外界の法則ではなく、妖怪たちのために成り立っている事がよーく判る。

銭の神
金霊 2005年に新しく増えたもの。 金霊(かなだま)が蔵に舞い込むのか、飛び去るのか。出て行った家は滅び、入って来た(落ちて来た)家は栄えるという、お金の形をした座敷童のような神様。

 水木ロードの一番端は、本町のアーケードの終わるところなので、更に50メートルほどブロンズ像が続くのだが、まあ、長い道程から云うとほぼ終着点あたりに、水木しげる記念館がある。今、日本中で妖怪が一番暮らし易い町(の筈)の境港の中核を成すのが、この水木記念館。
 入場料を払って入ると、すぐの階段の壁面には、水木先生が来られた時にサラサラっと書いた落書き壁画がある。その奥の二階に入ると、まずは、のんのんばあが、しげぇーさんの事を語ってくれるコーナーから始まる。

水木先生と
水木先生と ちょうど、記念館正面に、水木先生が居られたので一緒に写真。ということにしておいて下さい。

 水木しげる記念館の中には、数々の水木しげるの漫画に登場した妖怪たちが、息づいているが、ほぼ全館写真撮影は禁止なので、残念ながら、妖怪たちの勇姿を紹介することはできない。たた、境港市観光協会がまとめた『水木しげるロードの妖怪たち』(2005年6月16日発行 定価900円 本体857円)には、館内の妖怪たちも紹介されているので、頑張って取り寄せてご覧になるのも一興かも知れない。
 でも、出来れば、直に境港までお出かけ下さい。面白さが違います。

吸い込まれる吸い込まれる神北
吸い込まれるしおぺーと神北 吸い込まれている。

 記念館からの帰り道も、充分に楽しめる。なんせ、ブロンズ像は歩道の両側にあるから、行きも帰りも楽しいのだ。それに、駄菓子を商う程度の店が多かった時期から較べると、わりと食事が出来る店が増えて来たようにも感じる。土産物も、美味しいモノが増えて来たようだ。これは「故郷の境港の街起こしに使うのなら、版権料とか気にせず、僕のキャラクターたちを自由に使って下さい」と仰った水木先生の英断が、一番大きいのだと思う。御上の経済特区とは別に、水木さんによる妖怪経済特区が現出し、現に産業に力を与えつつあるのだ。
 もちろんキャラクターの宝庫たる水木先生という方の出身地だったという偶然はあるにせよ、それを活かした街起こしが次第に広がっているのは、水木しげるロードに携わる人達の郷土愛ゆえだと思う。

サラリーマン山田
サラリーマン山田 山田さんの口にお賽銭を突っ込むの反対。

 妖怪ブロンズ像も100対を超すと、妖怪だけでなく、それに驚かされるサラリーマンの山田さんなんかも像になっている。しかも、あの水木漫画に特徴的な、肘が上がる驚き方で強張っている。

閻魔大王
閻魔大王 2005年の新しい銅像。

 妖怪というには少々(かなり)失礼かと思うが、閻魔大王のブロンズ像もある。まあ、鬼太郎の漫画やアニメにも登場したキャラクターという事で、ここに並んで頂く事としよう。同じ道筋で並んで戴いていれば、ねずみ男が通りがかりの観光客に詐欺を働く事もなかろう。

べとべとさん
べとべとさん ぺとぺとさんではない。

 べとべとさんは、足音の妖怪で、暗い夜道を歩いていると、自分とは違う足音がどこまでも付いて来るという物。「べとべとさんお先へお通り」というと、通り過ぎて行くというのだが、水木さんの絵では、半透明というか、透明な物として描かれていたのだがブロンズにして肉体が与えられると、わりと異様さが浮き出して来る。パチンコ屋のキャラに良いかも知れない。

寒戸の婆
寒戸の婆 遠野物語に集録された民話の寒戸の婆。天狗に攫われ、何十年かして冬の日に実家を訪ね、吹雪の中に消えて行った。

 妖怪と人のいずれに属するか判らないキャラも居る。寒戸の婆(さむとのばんば)は、攫われて天狗の嫁になった娘が、30年ほど経った寒い夜に、親兄弟を訪ねて来て、また風の中に帰って行ったという、遠野地方の民話に登場するキャラクター。親兄弟とは馴れて暮らす悲しみが、一粒の涙となって頬をつたっているブロンズ像は、境港に居ながら東北の冬を思い起こさせる鬼気迫る出来。

 鬼気迫る出来と云えば、コレを紹介せざるを得ないのが、次の写真。「さがり」だ。死んだ馬の霊が凝って枝からぶら下がるのだと云う妖怪。むー。こんなノが出るですか? 岡山や会津には……。怖いよぉ……。

さがり
さがり これ、絵だと異様な絵だけど、異様過ぎて怖いという感じじゃなかったんだが、立体化するととんでもなく怖い。

 かくして、念願の妖怪たちとの邂逅を果たした我々はいよいよ、今回の旅行の主目的、雲魂17へと向かった。

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コメント

今回は昨年の教訓を踏まえて、例の渦巻きの前では悶えてらっしゃいますね(笑)

投稿: もりた | 2005/11/13 17:50

もりた さま

 いや〜吸い込まれちゃいましたから。(^_^;)

投稿: 神北恵太 | 2005/11/13 20:39

うちんちでは、展示すべて見終わって、その渦巻きの前で悶えようとした途端に旦那さまの人がお手洗いに行きたくなって、お手洗いに行ったらそこはもう展示場の外で戻れなかったのでございます。
惜しいことをした。

投稿: 錆猫★ | 2005/11/13 22:20

錆猫★ さま

 うー、それは勿体ない事を。

 とはいえ、ワタクシも、昨年は悶えそびれまして、ちゃんと吸い込まれたのは今年行ったから。錆猫★さんも、旦那さまの人も、来年こそは、くるくるくるくるの前で悶えて下さいまし。本文にも書いたように、毎年とはいわないが、かなり結構なペースでブロンズ像も増えていますし、美味しいお土産が増えています。水木ロードはいつ行っても発見多いですよ。

投稿: 神北恵太 | 2005/11/14 04:02

古いエントリにコメントですみません。

前回に引き続き、雲魂でお会いしてると思います。
記念館にお越しの際にはご連絡いただければ、ちょびっと割引させていただきますよ(^^)v

で、ロードのブロンズは117体に増殖いたしました。

投稿: めぐ | 2006/01/24 23:13

めぐ さま

 うひゃあ、2ヶ月ほどの間に、もう4体増えましたか。よっぽど妖怪が住み良い街なんですねぇ、境港は。

投稿: 神北恵太 | 2006/01/24 23:47

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