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2005/11/14

出雲爆走紀行だぞ-その3-

 なんだか、既に1週間以上経ってしまったが、2005年11月5日(土曜日)夕刻、神北、むらさき、塩坂くん、すどおくんの4人は、斐川町社会福祉センター・斐川町青少年研修センター四季荘に辿り着いた。

 昨年までの施設、島根県立国民宿舎麗雲荘が、不採算公営宿舎の統廃合だかなんか、御上の都合で無くなっちゃったので、今年の雲魂17から、会場が新しい場所に移ったのだ。
 麗雲荘は自由に使わせてもらえてコンベンションし易かったし、メシは美味いしメシは美味いしメシは美味いと、三拍子揃った良い宿だったのだが、残念ながらもうこの世に存在しないのだ。
 しかし、この四季荘も、なかなかよい宿である。食事に関しては、麗雲荘と比べてそう遜色のない宴会料理だったし、なんといっても温泉がある。麗雲荘の宍道湖を眺めながら食べる朝食ブッフェの、蜆の味噌汁(毎年3杯はお代わりしたね)への郷愁は捨て難い物があるのだが、ここは、置こうじゃないか。

 さて、到着した我々を迎えてくれたのは、入口前を歩いていた大阪の池田君だった。池田君が的確な指示をくれたので、駐車スペースもすぐに見つかり、助かった。助かりついでに池田君にお願い。
 「なあ、君のノートパソコンのHDDスペースを1ギガバイトほど貸してくれへんかな?」
「ええですけど、どうしたんですか?」
 じつは、神北の新投入した取材用のカメラ、FinePix S9000は、1ギガバイトのコンパクトフラッシュ(CF)カードを2枚、情報媒体として用意したのだが、東京モーターショー、出雲大社、境港の水木しげるロードと、ヘビーな撮影を3カ所に渡って繰り広げて来た結果、容量が少々心もとなくなって来ていたのだ。カメラのカタログによれば、1ギガバイト容量のCFカードには、JPEGで1枚約4.5メガバイトとして3488×2616ドットの最大画素の撮像データが234枚ほど入る。36枚撮りのフィルムで云えば、6本と半分というところか。しかし、その234枚を使い果たし、2枚目のCFカードも既に120枚程度使っていた。今まで1600×1200ドットで撮っていたのと同程度に落とせば4.5倍以上に小さくできる筈だが、それでは新しいカメラの意味がないし、折角の機能はフルに使ってみたいではないか。もちろん、4倍以上容量を食う事を覚悟の上で、今までの256MBのCFカードの8倍に当る1GB×2枚を用意した訳だが、それにしても撮りまくったのだろう。
 池田君が、カメラとデータ授受できるUSBのミニ端子ケーブルを持っていたので、1ギガバイト分吸い出してもらう。比較的容量が大きいが、安定して動いてくれた。ちなみに、このデータは、後日、無事こちらに回収させて頂き、今回の旅行記で使っている。池田君ありがとう。

 さて、走行している間に、オープニングの時間である。出雲SFコンパの名前通り、宴会が中心のこのコンベンションは、オープニングが即宴会である。我々は、大宴会場を目指した。
 雲魂は、食事が美味い事で知られるコンベンションである。今年も、質・量ともに充実しており、美味しかった。
 しかし、食事が終わろうとしていた頃、後の方で大変な物が用意されんとしていた。

ケーキ
ケーキ 笹本くんを意味するH2ロケットと飛さんの「象られた力」を顕わしたバックベアードみたいなのがマジパン(と思ったら、チョコレート細工だったそうな)造形されている。

 常連ゲストである笹本祐一くんと飛浩隆さん(飛さんは、古くからのこのファンダムの人で、ゲストである前にスタッフでもあるのだが)の星雲賞受賞(2005年度星雲賞 長編部門『ARIEL』笹本祐一 短編部門「象られた力」飛浩隆)を祝し、スタッフが用意した物である。スポンジサイズで横幅80センチ×縦幅55センチ、厚みが10センチ、その周りにクリーム等がてんこ盛りになっているため、さらにひと回りはでかくなっている。制作は彩雲堂さんというお店。ちなみにお値段は5ケタの真ん中ぐらい(税込み)というから、味から云って、かなり良心的なお店ではないかと思う。
 当然のように、お二人にケーキに入刀して戴くという話になる。「お二人最初の共同作業です、カメラをお持ちの方は、どうぞ、前に出てお二人の姿をお収め下さい」という結婚式と勘違いしたようなアナウンスのもと、ホントに二人で手を添えてケーキ入刀。

ケーキ入刀
ケーキ入刀 お二人最初の共同作業。

 や、美味しいケーキでした。僕のトラリで、甲斐度ょ腕一番美味しそうに頬張っていた市野君の笑顔をご覧戴こう。ちなみに、このケーキは、一晩掛け、翌朝閉会式までに、すっかり消費し尽くされた。

喰らう
喰らう 市野くんの前で小さく見えますが、相当大きなカタマリです。

 さて、オープニング宴会が済んだら、企画開始である。とはいえ準備のために暫し時間が空くので、その隙を衝いて温泉突入である。同行者はみんな、オープニング前に済ませていたのだが、データ吸い上げをしていた為入りそびれていたのだ。よいお風呂。露天もあるが、露天風呂の方はちょっとぬるめ。あと、露天風呂のためのライトアップが高圧線と鉄塔を煌煌と照らしているのが、なんというか、風情なのかなぁ(^_^;)。
 お風呂から上がると、笹本くんと飛さんを囲む星雲賞関連企画が遅れているという。なんでも、NHKの番組が凄いので、ゲストも参加者も大きなテレビのある部屋にこぞってそれを見に行っているらしい。後になると何の事か判らなくなるからもう少し詳しく書いておくと、『NHKスペシャル 立花隆最前線報告 サイボーグ技術が人類を変える(2005年11月5日21時00分〜22時14分)』。その後一週間ぐらいに渡って話題になった脳や神経からパルスを取り出したり乗せたりする、サイボーグ技術の話である。その番組の後、笹本くんと飛さんの企画『星雲賞受賞作家パネルの部屋』が始まる。他の部屋も、回り出す。
 結局そのまま、その部屋で続いた『ミステリーツアーガイダンス』に釘付け。なんといっても、美味しい企画だ。1980年代の中頃の『S年F組授業ライブ』からこっち、この人達の企画を見続けているのだが、やはり、しゃべくりの構成が凄い、アドリブが凄い。笑いが途絶える事がないのだ。
 だが、この企画の後半、猛烈に眠くなって来る。考えてみれば当然か、11月4日朝に家を出て以来、幕張メッセを歩き回り、出雲大社を取材し、水木しげるロードを一巡りして、さらに交代で仮眠しつつ、塩坂くんと二人合わせて約1000キロほどドライビングしているのである。まぁ、いくらなんでも、そろそろ人間がダメになる頃だ。
 楽しみにしていた、ロシア原潜について語る企画を諦め、空いている寝床に潜り込む…。…と、一瞬にして翌朝だった。
 朝風呂に向かうと、ちょうど浴場から豊田有恒さんが出て来られた。「おはようございます」と最敬礼。じつは、ご本人はそんな些細なこと全く覚えておられないだろうか、高校時代にサークルから、作家さんにアンケートを差し上げたとき、「項目が大まか過ぎて何が聞きたいのか判らないぞ」とお叱りを受けたことがある。その有難味が本当に判るのは、それから何年も経ってからなのだが、未だに豊田さんと聞くとその事が思い出されて背筋が伸びるのである。
 朝風呂入って、朝飯食って、荷造りして、クロージング。

 クロージングの後、我々は、四季荘の西南西2.2キロの、斐川町神庭の荒神谷を目指した。ここに、荒神谷博物館が出来たのは、ホンのひと月前の2005年10月6日のこと。
 まだ、日本全体でも銅剣というものが300本弱しか見つかっていなかった1984年7月、この荒神谷で行なわれた広域農道検討のための事前調査の現場から、一度に358本の銅剣がまとめて発掘された。その後の調査で、すぐ近くから銅鐸6個、銅矛16本も発掘された。これは、日本の古代史観を一変させるほどの、驚くべき事件だっだらしい。
 この神庭荒神谷(かんばこうじんだに)遺跡の出土品は、一括して国宝となったが、この地元でも展示をしたいという事で、関係各所の協力を受け、21年目の今年になって漸く念願が叶い、博物館が誕生した。……のだそうだ。
 しかし、浅学の悲しさ、銅剣が大量に出たとは聞いていたが、まさか、358本のほとんどが綺麗に並べられて、意図的に埋められたとしか思えない形で眠っていたのだとは、現場で展示を見るまでよく知らなかった。
 井上さんという方の、邪馬台国大研究というサイトの全国遺跡・旧跡案内というコーナーの71番が、荒神谷周りの事を綺麗にまとめておられる。かなり写真が多いせいかサーバのせいか、随分重いページだが、覚悟の上で一度ご覧になる事をお奨めする。神庭荒神谷遺跡である。

荒神谷地形
荒神谷地形 古代の銅剣が大量に出土した荒神谷の様子を立体模型にしたもの。

 さて、古代ロマンにどっぷり浸っているわけにはいかない。我々には、復路約900キロが残されているのだ。
 とはいえ、車も人もお昼時。松江市内まで戻って給油と食事。
 ちなみに、この道中、既にべつのものにてんようされているのか、まだ閉鎖されたままなのかは判らないが、旧麗雲荘の建物を確認。無性に懐かしい。
 松江の南端あたりのガソリンスタンドでお姉ちゃんに聞いたら、「割とおいしいうどん屋さんがある」というので、行ってみた。昼定食で評判らしい「たまき」というお店。
 と、ありました、ありましたよ。「味噌煮込み鍋焼きうどん」。んー。味噌煮込みも鍋焼きうどんも好きなんだけど、「味噌煮込み鍋焼きうどん」とは何ぞや?

味噌煮込み鍋焼きうどん
味噌煮込み鍋焼きうどん 白みそ味。ささがきごぼうと、「ほうとう」に近い。ほうとうのんわりにうどんを入れたもの。間違っても「味噌煮込み」とは無縁。

 当然、注文してみる。んー。やはり、「味噌煮込み」というモノとは似ても似つかぬメニューだった。っていうか、これ、甲州名物「ほうとう」の麺の細くなったものじゃんか! 白みそ仕立て、ごぼうのささがきなどが入った田舎汁に、ほうとうの代わりに普通のうどんを使っている。「味噌鍋仕立てうどん」とか云ってくれれば良いのに「味噌煮込み」とか書くから、「ちゃうやんケ」とカドが立つ。
 ま、美味しいから許すけど…。

 さて、腹を満たしたらロングドライブの開始。とはいえ、今日中に東京まで帰る事は、既に諦めている。大阪から名古屋までの間、どこかで泊まれれば良いかなという程度の考え。
 まずは、山陰道から米子道へ。米子道上りを通るなら、蒜山SAに寄らねばなるまい。牧畜酪農の盛んな地方なので、ここのソフトクリームは絶品である。
 ちなみに、同行者の一人は最後まで、「蒜山(ひるぜん)」という地名が発音できなかった。
 「ニラヤマ」 神北心のツッコミ「字が違う。それは伊豆の韮山。反射炉のあったトコ!」
 「ピルゼン」 神北心のツッコミ「そりゃ、ビールの名産地、ピルスナー製法の語源!」
 「ヒルセン」 神北心のツッコミ「隣はダイセン(大山)だけど、こっちは濁るの!」
 日本語って難しいなぁ。

 蒜山で泊まった辺りから、雨が本降りになって来る。この11月6日は、中国地方から関西・東海と、我々の走る道筋は全て雨。しかも、この降りがまた、モノすごいことになっている。降りも凄いが風もあった。塩坂くんの傘が柄がすっぽり抜けて駄目になったのを見て大笑いしていたら、自分の100円ショップで買った折り畳み傘も、ぐに〜っと柄が曲がっていた。ダメじゃんオレ達!
 結局、この雨のせいもあって、宝塚近辺の夕方大渋滞(京阪神に戻る車の渋滞)は遣り過ぎたものの、関ヶ原の夕方大渋滞(彦根から一宮ぐらいまで続く名古屋方面に戻る車の渋滞)は裂けることが出来なかった。栗東ICから国道1号線で鈴鹿峠を越えて名阪から伊勢湾岸道へというルートも考えたのだが、VICS付きのカーナビが「止めとけ」と云っている。鈴鹿峠の渋滞が始まっているのだ。しかたなく、そのまま名神を走る事にする。
 車中で塩坂くんに携帯電話から名古屋のホテルを押さえて貰い、諦めてサービスエリアでメシを食う。
 結局、名古屋の押さえたホテルに着いたのは、20時か、21時ぐらいだったと思う。しばらく談笑して、風呂入ったら、死んだように眠った。
 翌朝起きたら、名古屋はうっすらと朝靄を冠っていた。11月7日月曜日、世間はもう平日である。流石にこの日はもう、帰って行くだけだが、わざわざ昼間に太平洋岸を帰るからには、もう一カ所だけ寄るところがある。 

沼津に行ったらコレ
沼津に行ったらコレ 沼津千本漁港でさかなや千本一で刺身盛り合わせ。3150円也

 そう、沼津市千本漁港、さかなや千本一である。いつもは土日か祝祭日に寄る事が多いので、平日メニューは初めてだった。
 座敷を押えて、適当に取って、みんなでシェアする。ま、いつもの店のいつもの食べ方だ。

 メシを食ったら、風呂に入ろうという話になるが、折角だからと行ってみた御殿場市温泉会館だが、月曜定休日。残念。諦めて足柄S(下り)レストイン足柄でお風呂に入る。風呂上がりに休憩室で30分ほど仮眠を取ろうと思ったら、喉が渇いて死にそうになり、レストインのロビーでお茶なぞ飲んで一息。しかし、こういう施設をつかうことをいろいろ覚えたなぁ。そういえば、行きも足柄SA(下り)のあしがら湯だったなぁ。たった3日前なのに、ずいぶん前の気がする…。
 等と感慨に浸りつつ、最後の一走り。横浜青葉ICで東名高速を降りて塩坂くんをまず降ろし、板橋あたりですどお君を降ろし、さいたまの我が家へと帰った。
 ……が、まだ終わりではない。神北にとっては、翌日、栃木の熊倉邸まで、借りた車をお返しに上がる仕事が残っていたのだ。

 かくて、四日、ほぼ2000キロに及ぶロングドライブは、終わった。……て、もう、一週間経ってんじゃん!

 ちなみに、文中に登場する作家名で笹本祐一氏だけ「くん」と呼んでいるのは、お互い結婚前によくつるんで馬鹿をやった仲だから、今さら「さん」と呼ぶのはテレ臭いし、向こうも気色悪いんじゃねーかなぁと思ったから。許されたし。

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コメント

 呼び捨てでない辺り、事情を知らない一見さんに気を使って記事を書いておられるなあと思いました。なあ神北よ。

投稿: 笹本祐一 | 2005/11/15 11:47

笹本祐一 さま

 ありがとー >ささもと

投稿: 神北恵太 | 2005/11/15 14:44

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