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2006/02/23

32+20=52年だぞ

 読売オンラインの2006年2月23日の記事『日本赤軍・重信房子被告に懲役20年の判決…東京地裁』によると、重信の刑期は無期の求刑に対し、20年となったらしい。

 起訴状などによると、重信被告は74年9月、日本赤軍がオランダの仏大使館を占拠したハーグ事件を指揮。短銃と手りゅう弾で武装した和光晴生被告(57)(1審・無期懲役、控訴中)、奥平純三容疑者(57)(国際手配中)らメンバー3人が大使ら11人を人質に取り、警察官2人に発砲して重傷を負わせた。

 さらに身代金として30万ドルを奪い、フランス当局に拘禁されていたメンバーを釈放させた。

 

 ふうむ。ハーグ事件は既に30年以上も前のこと。日本赤軍といっても、若い人の中には知らない人も多いかも知れない。浅間山荘事件を起こしたのは? それは連合赤軍。どう違うかという事は、教えて!gooに、質問:昔の話ですが赤軍派についてお願いします 確か日本赤軍と連合赤軍があったと思いますが思想的に何がどう違うのでしょうか』という質問があるので、ここで確認してみて下さい。

 重信房子は、この直接の実行メンバーには入っていないが、裏で糸を引いていたとされる、いわゆる女ボスと考えれば良いのか、作戦参謀と考えるべきなのかは、よく判らない。
 1945年生まれだから、海外に拠点を求めてパレスチナへ渡ったのが26歳の時、ハーグ事件の時は29歳ということになる。

 日本赤軍の名が、最も恐怖を以て語られたのは、1972年(日本赤軍と名乗る前)にイスラエルの空港で起こしたテルアビブ空港乱射事件(24人死亡)、73年にパリ発東京行き日航機を系ユタのアムステルダム離陸後にハイジャックしてドバイへ向かわせ、最終的に乗客乗員解放後にリビアのベンガジ国際空港で機体を爆破したドバイ事件、そして74年に問題のハーグ事件、75年にアメリカ大使館等を占拠し領事等を人質に取ったクアラルンプール事件、77年にダッカ日航機ハイジャック事件と、ほぼ毎年のように大きな事件を起こしていた70年代だろう。
 86年の三井物産マニラ支店長若王子さん誘拐事件にメンバーが関わっていたと犯人が供述したとか、88年にナイトクラブの前に於かれた車が爆破されたナポリ事件(5人死亡、日本赤軍自身は関与を否定)では、特に政治的アピールも無いわけで、さらに、やっている事も革命というよりは、単なるギャングである。

 そして、90年代は潜み続け、2000年に大阪府で重信房子が逮捕され、2004年に獄中より解散を発表し、このテロ集団の活動は停止した。

 あ、2005年1月、元メンバーの一人が、東京都板橋区内のスーパーマーケットで裂きイカ2点、1200円相当を盗み、取り押さえられた事件。この事件によって、元日本赤軍のメンバーでありながら、生活保護を受けていたことが解り、日本中を震撼させた。(Wikipedia 日本赤軍より)という板橋事件というのもあるのだが、こうなると、まあ、具体的には単なる生活苦からの万引きだからなぁ……。

 斯様に、30年以上に渡り、日本赤軍というセクト名とともに、巧みに姿を隠して指令を出し、官憲の網から逃げ回り続ける狡猾な指揮官として知られていた重信房子。だが、懲役20年として、既に5年間収監されている分を考慮し貰えるとしても、出て来るのは2020年。75歳。
 しかも、多分他のメンバーがそうしているように控訴するだろうから、この裁判まだこれで終わりとは思えない。が、どう足掻いても減刑はなさそうである。とすると、刑期を終えた後に、彼女の余生はあまり残っていまい。革命、武力闘争、テロル、そういうものに人生のほぼ全てを使ってしまったことに関し、今、この人は何を感じ、どう考えているのであろうか?

 訊いてみたくもあり、聞きたくもない気もする。

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コメント

>革命、武力闘争、テロル、そういうものに人生のほぼ全てを使ってしまったことに関し、今、この人は何を感じ、どう考えているのであろうか?

 普通に満足してるんじゃないですかね? いや、マジで。だって、こういう人たちって狂ってますもの。統一協会しかり、オウム真理教然り。共産主義もまた。

 因果地平の彼方に㌧で行っちゃった人たちなんだから、素直に引導渡してやれば良いと思うんですけどね、僕は。

投稿: 如月@サントリージョッキ生 | 2006/02/23 22:44

如月@サントリージョッキ生 さま

 まあ、どう見ても、因果地平へ「連れて行かれた」のではなく、「ルートを調べてワタリを付けて、みんなを連れて行った」人なので、私も同情は無いんです。が、20歳過ぎから還暦過ぎまで、頭を使う事で生き延びて来た、しかも、そのほとんどが忍従・逃走の人生だった人間の、今に至って獄中に繋がれた心境というのは、興味があります。ただ単に赤色革命の狂信者で済むモノなのか、反省までは無くとも「こうしておけば良かった」的な後悔ぐらいはあったのか。
 そして、オウムの武力闘争というにはあまりにも穴だらけの軍隊ゴッコを、彼女はどう見たのかとか、ちょっとだけ興味があります。

投稿: 神北恵太 | 2006/02/23 23:05

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