玉突き犯罪らしいぞ
朝日新聞のasahi.comの2006年02月23日の記事『紳士録詐欺で主犯格を逮捕 5億7千万円の恐喝容疑』が、余りにも呆れる話だった。
「紳士録から名前を削除するのに金がかかる」との名目で会社員が巨額の現金を脅し取られた事件で、警視庁は、東京都荒川区東日暮里5丁目の無職田島大蔵容疑者(57)を恐喝容疑で逮捕したと23日発表した。
—— 中略 ——
調べでは、田島容疑者は04年11月から05年2月までの98回にわたり、紳士録に名前や住所を掲載していた設備システム会社の元社員(63)=電子計算機使用詐欺罪で公判中=から計約5億7000万円を脅し取った疑い。同容疑で同じグループの14人が逮捕され、ほとんどが起訴されている。
判り難いので簡単に図示すると下のようになる。
【詐欺犯】 ←詐欺で奪った金← 【元社員】 ←横領した金← 【会社】
うーむ。犯罪に巻き込まれて、何とかするために犯罪に手を染める。連鎖犯罪とでも呼べば良いのだろうか?
しかし、朝日新聞はこれだけしか伝えていないが,ブログ等には「最初はともかく、犯人グループの一員として、会社の金を吸い出す役割だったんじゃないのか?」と いう見方も出ている。たしかに、被害者が思い余って……なんていう言い訳が通用する額とは思えない。立件は5億7000万円だが、まだ調査中の分があるら しく、実際にはこの元社員は10億円ムシり取られていた、……いや、ムシり取られた形だという。還暦を過ぎたいい歳のオヤジが、「紳士録から名前を削って もらいたいから」金を払うなんて夢みたいな事考えますかね?
ちなみに、舞台となった会社は、テーブルコンロで有名な岩谷産業らしい。とすると、うちにも在るイワタニ・ホースノンの会社だ。
しかし、昨日の海上自衛隊の文書大量漏洩事件もそうだが、情報というものの取り扱いをここ迄判っていない人が存在し得るのだろうか?
(イヤ、実際、少なくとも海上自衛隊とこの会社には、居たんだけどさ)
情報はエントロピーなので、秘匿(凝縮)→拡散という方向でしか動かない。不可逆反応なのだ。一度拡散した情報は、さらに広まることはあっても、狭まって秘匿状態に戻ることは絶対に無い。一度拡散したらアウトなのだ。
で、対処するための心構えは3つしかない。
- まず、広まる可能性のある状態に秘匿情報を置かないこと。
- 広まった情報は回収は不能なので陳腐化させるしかないこと。
- 人の口に戸は建てられないと自覚すること。
陳腐化というのは、たとえば、既にその電話を解約していたり住所から引っ越していたりという、旧情報にしてしまうこと。または、日本全国で10人しか持っていないようなものの所有者ならば情報になるが、1億人が持っているようなあたりまえの存在になれば、情報は無意味化すること。……等を指す。
もちろん、常日頃からブラフ情報を撒いておいて、何が本物だか判らなくするという、よくコンピュータ業界で新製品情報のリーク対策に使われる手段もある。しかし、ダミー情報という物は、得てして「信憑性の高い嘘をつくのは難しい」上に「信憑性を付けているうちに本物に似て来る」物だ。立て板に嘘なんて事は、そうそう、誰でも出来るモノではない。
こういうことを未然に防いで行くためには、やはりネットで活動をし始める歳より前までに「情報リテラシー」とかをちゃんと教えないとダメなんだろうなぁ……。現実性は薄いけど。
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