留学生残酷物語だぞ
読売新聞の夕刊に「交差点」というコーナーがある。2006年4月14日のこのコーナーは常川良輔という人が書いているのだが、韓国人留学生とその入居している学生アパートの大家さんのお話し。
日本画に興味を抱き、日本の美大に入ったこの学生さんは、学費も生活費も自分でバイトをして稼ぎ出していたが、卒業制作の集大成として念願の個展が開けることになった矢先に故郷の父が胃癌で入院、当てにしていた仕送りが無くなったため、画材や個展開催費が嵩んで、窮地に陥っていると言う。
はじめは「突然家賃も払わないでアパートに戻らなくなって、なんていい加減」と思っていた大家の金子和子さん(63歳)だが、その留学生が、なんとか卒 業制作の赤字を埋めるため韓国料理店に住み込みで働いていたこと、それでもまだ学費全額は無理で、このままでは学生資格を失い、留学ビザも執行する事を聞 かされ、火がついた。学校の事務局に乗り込み、学費の分割払いを懇願。学校側から「検討する」という言質を取ったのだという。
いや、人情に厚い大家さんで良かった。
ちなみに、この金子さん。なんと、漫画家の故永島慎二さんの実妹だそうだ。お兄さんを見ていたせいか、作品にのめり込んで他ごとに手が付かない気持ちはよく理解出来るのだそうな。
永島さんの代表作の一本『漫画家残酷物語』みたくならずに済みそうで、まずは良かった。
この時期、学校に通えなかった留学生は、この春の卒業は逃したようだが、あと1年頑張れるといいと思う。
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コメント
漫画家残酷物語とフーテンは、20世紀に燦然と輝く名著です。何度も読みかえしてボロボロになったやつが、いまも書庫に保管してあります。学生時代の一時期などは、フーテンに憧れて新宿歌舞伎町に入り浸り、一年のうち一ヶ月以上は住んでいました(^.^;)。でもって、歌舞伎町スクエアにあったゲーセンで夜明けを待っていたら、自衛隊の地連のおっちゃんに『兄ちゃん、ええ仕事あるで~』と誘われ、おもわず『いくら?』と聞き返した自分が情け無くなり、歌舞伎町放浪は終わりとなりました(-_-)zzz
よく考えたら、そのときも医学生だったのよね……。ああ、青春の恥部です(^.^;)。それにしても、その後、架空戦記作家になり自衛隊をネタにすることになろうとは……ほんま人生は不確定原理に満たされています。
投稿: 羅門 | 2006/04/15 23:51
羅門 さま
おや、なにか懐かし系の扉を開けてしまったようですね。
実は、私はあまり熱心に(オンタイムでなかった自分にとっては)古いマンガを読む方ではなかったので、何かの都合で『漫画家残酷物語』を少々読んだ程度で、残念ながら、永島慎二さんの作品の多くをスルーしてしまっているんですよ。
なんか、この元記事を読んでいて、一度通して読んでみたくなったんですが、最近のマンガ喫茶では置いてないかなぁ……。
投稿: 神北恵太 | 2006/04/16 00:34