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2006/05/11

誘拐事件だぞ

Daughboy 2006年5月10日の国際時事新聞に掲載された『スーパーからマスコット人形「誘拐」 米国』は貧しさが生んだ悲惨な事件であった。

 大手製粉会社ピルズベリーのマスコットDaughboy(ドーボーイ)君(右写真)が、先月、ニューハンプシャーのスーパーマーケットから突然失踪。

 スーパーには犯人からとみられる手紙が送られてきた。手紙には目隠しされた人形の写真が添えてあり、自身についてスーパーをよく利用しているとした上で、スーパーが閉店する予定であることに関して、営業を続けなければ人形を焼くと脅す内容だったという。

 その後も手紙は次々と届いた。人形が苦難の日々を送っているという内容で、人形がストリップクラブに出入りしているなどと書かれており、写真も添えられていたという。

 ところが、人形がなくなって3週間になり犯人もようやくあきらめたのか、人形はスーパーからあまり遠くない池の近くで発見された。人形の状態に異常はないという。

 ま、人形が無事に帰って良かった。何の罪科も無い人形を拉致し、目隠し監禁等の虐待、あまつさえストリップクラブに出入りさせるなど、その行為は卑劣だが、スーパー閉店という緊急事態に際し、犯人も切羽詰まっていたのだろう。

 この話を聞いて思い出すのが、80年代に話題となった「カーネル=サンダース誘拐事件」である。アウトがファンロードか、何かの雑誌で読んだのだが、既に記憶が曖昧なので、詳細が違っていたら勘弁していただきたい。

 ある宵、大志を抱いて上京した青年Aは、友人Bと共に、酔った勢いで、道ばたに立っていた白人男性カーネル=サンダースさんを自宅に誘った。3人はその夜、遅くまで楽しく語り明かした。
 だが、朝になって青年たちはカーネルが自分から帰ろうとしない事に戸惑う。昨夜は酒のせいか、気軽に付いて来たのに、今朝はガンとして動かない、頑ななカーネル。

 しかたなく、2人は、狭いアパートでくつろぎつつも、決して白いスーツを脱ごうとはしない温和な白人男性と、その青年A宅に占める容積の大きさにビビりながらも、策を講じる。
「これ、犯罪ちゃうの?」
「どーしよ」
「とにかく返さなアカン」
「でも、連れてったら犯人にされてまうで」
「って犯人やんっっ!」
 等と漫才じみた会話があったかどうかは判らないが、彼等は一策を思い立つ。

——暗転——

RRRRRRR、RRRRRRR。(電話SE)ガチャっ
「はい、ケンタッキーフライドチキン○○店です」
「アンタのトコの大事なカーネルを預かってる。返して欲しくば、コンボセットを5つ持って、◇◇公園のブランコの前まで来い」
「あの、お客様?」
「急げよ、会社の大事な人なんだろ?」

 それから20分後、◇◇公園に、2人程の屈強なケンタッキー・フライドチキン店員が、手にコンボセットを下げて現れ、ベンチの前に佇むカーネル=サンダースを発見。ベンチにコンボセットを置き、抱えて連れ帰った。

「おい、どーする。コンボセット本当に来たぞ」
「まてまて、どっかに刑事が潜んどって、身代品を手にした途端にお縄になるかも知れへん」
「そやな、もちょっと様子見よか。……あれあれ、なんかアーバンジプシーのおっさん来よったで。……あ、ワシ等のコンボセット!」
 アーバンジプシー。すなわち、大都会の片隅に段ボールの小さな家を建ててひっそりと暮らす、現代のロマニーたち、つまり、今で言うところのホームレスのオッサン、当時で言う浮浪者である。

 「いや、待て待て。あら刑事の変装かもしれへん。ワシ等が慌てて飛んでったら即タイホや」
「け、刑事か!? そらあかん、近寄れへんぞ。あ、コンボセット一つ持って行きよった」
「それも作戦やねん。本物っぽぉ見せる演技や……」
 と、暫くして……。
「あ、さっきの刑事、また来よったで」
「今度は仲間2人連れとるやん」
「ああ、ワシ等のコンボセットベンチに座って食い始めよった」
「ほな、あれ、本物のアーバンジプシーっちゃうんか?」
「いや、アレも刑事の策略やで、どっかで見張っとるワシ等に対する、ホンモノっぽい演技や」
「そうか、恐ろしいなぁ、『特捜最前線』みたいやな」

 しかし、その三人が一つずつコンボセットを喰った後、なお、別の2人が最後の二つも持ち去る。その後もしばらく身を潜めていたが、何も起こらない。

「つまりワシ等、コンボセット食いそびれたっちゅう事か?」
「んー。刑事やと思たんやがなぁ」

 これが今に伝わる事件の全容である。かくて、このレポートのあった20年程前の段階だが、一宿一飯の恩義を感じたカーネル=サンダースのおかげか、彼等は両の手を後に回す事も無く、日々を送っているらしい。

 ちなみに、今回、この記事を書くにあたってネットを調べてみたら、列島の西の果てで、江戸の仇を長崎で討つような、別のカーネル=サンダース誘拐事件が発生していた。

 ◆◇◆ GRUNGE STREET(過去ログ) ◆◇◆さんの2005年9月7日の記事『「ペコちゃん窃盗」と「カーネルおじさん誘拐」』を、あわせて是非お読み頂きたい。

 ちなみに、私は、類似事件をもう一つ知っている。十数年前、まだ勤め人だった頃に、常駐先の社員の方から聞いた学生時代の友人の話。

 ある夜、コンパ帰りに、最寄りのバス停からいい気持ちになって歩いていると、道端に、とっても顔色の悪い男が立っている。あまりにも酷そうなので、声をかけた。

「オレの下宿すぐそこだから来なさいよ」

 人情味あふれる学生さんである。彼は、自分もへべれけでありながら、もっと具合の悪そうな見ず知らずの男を自宅に連れ帰り、布団まで譲ったのである。そして翌朝……。

 朝の陽の光の中、布団に包まって寝ているのは、緑色の顔をした、コルゲンのケロちゃんだったそうな。

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コメント

色々あるんだな。
ところでサトーのさとちゃんがインドの寺院に祭られていると言う話は本当でしょうか。

投稿: 森野人 | 2006/05/11 11:07

うちにも、緑色の友達が一緒に生活していたことがあります。初夏、ちょうど商店街が七夕の飾りになってた頃、大学の友人が遊びに来るという。ガラガラーという何かを引きずる音とともに、最初に部屋に入ってきたのは七夕デコレーションした大きな笹の木。「おみやげー」っておまえら酔っ払いすぎだろう。「お友達もきたよー」って、それ途中の薬局の前に置いてあったケロヨンだろ? 半年ほど、同居してました。深夜でも人通りの多いところなので、返しにいけなかったんですよぉ・・・酔っ払いに連れ去られたケロヨンの数は大いに違いない。
そういえば、前に働いてた会社の社長がペコちゃんコレクターで、自宅に等身大のペコちゃん人形が飾ってありました。昔、部下が背負って持ってきてプレゼントしてくれたって言うんですが、それって持ってきちゃってますよねぇ^^; その社長を乗せて、車を運転していたことがあるんだけど、ヤマト車検の宇宙戦艦ヤマトの付いた大きなディスプレイ看板を見て「あれ、欲しいなぁ」って・・・持っていきませんってば。すぐにその会社辞めましたが。

投稿: R-A-Y(^o^) | 2006/05/11 11:15

森野人 さま

 そのサトちゃんは、ガネーシャ(歓喜自在天)として祀られているのでしょうか、薬師如来として祀られているのでしょうか?

R-A-Y(^o^) さま

 緑の友達は、いいお話しが多そうですねぇ。
 しかし、上にリンク貼った記事『「ペコちゃん窃盗」と「カーネルおじさん誘拐」』にあるように、(まあ、こっちは対人スプレーとか使った強盗ですが、)捕まった例もあるので、その社長さんには、気を付けて貰いたいものです。(^_^;)

 しかし、不思議な事に、どの人も、みんな「連れて来る時は特に重い思わなかったが、返す時は信じられないぐらい重たいんだよね。だって、来る時は。肩は貸してたけど自分で歩いてたもん」って言うんらしいんですよねぇ。

 謎だ。

投稿: 神北恵太 | 2006/05/11 11:35

私の友人の下宿には、工事現場でよく見る「点滅するポール」がありました。別の友人が(やっぱり酔っぱらって)持ってきたらしいです。

投稿: 安達裕章 | 2006/05/11 11:40

安達裕章 さま

 それって、あの、腰高ぐらいまでのタイガーストライプのポールの上に、赤く丸い点滅灯がついていて、下をコンクリ製の錘り台で固めたヤツですよね。

 そういや、ある友人宅には、駅にしかなさそうなスチール製の灰皿が置いてあったなぁ。
 酔った勢いでいろいろと連れて来るって、呑む人にはよくある事なんだろうか? オイラ下戸だからワカンナ〜い。

投稿: 神北恵太 | 2006/05/11 11:57

 さんだーす叔父さんが一体無くなると、結構な金額が店長さんの責任になるそうですので、穏便に済む場合は穏便に済ませるそうですし、さんだーす叔父さんを店の軒先にボルト止めし、夜は店内に移動監禁というケースもまま見られ、さんだーす叔父さんへの虐待ではないかと識者の間ではまことしやかに語られているそうです。

投稿: 大井 | 2006/05/11 13:12

ご存知、Eヅカさん等々から、某Mプロダクション時代の似たようなゴーカイ話はタンと聞いたことがありまする。

たとへば……
ある朝、会社の門前に、バス停が五つくらいあったそうです。
根元にコンクリの着いてるアレです。
それも、近所のものではなくて、かなりあちこち
のものだったそうです。
一体、どうやってこんな重たいものをあちこちから運んできたやら……どう考えても複数犯ですが、犯人は謎だそうです。とか。w

飲み会の席から20分くらい先に帰ったはずの人が、何故かまだ店の前に。
何かと思ったら、隣の床屋のグルグル棒の前でなにか必死にやっている。
「鍵穴がめっからねえんだよぅ」
彼の目には、あの赤青の棒が自転車に見えていたらしいです。とか。

あああ、色々思い出してしまった、今は昔の業界偉(異)人伝説。w

投稿: かざま | 2006/05/11 13:30

大井 さま

 いろいろと受難ですねぇ、カーネル=サンダースおじさん。阪神優勝「か?」ってだけで、警戒が厳重になるそうですし。
 そういえば、阪神ファンが道頓堀に沈めて以来ピタリと優勝できなくなったので、上岡龍太郎がボランティアとともに探したが見つからず……なんて話がありましたなぁ。

かざま さま

 バス停5本というのはすごいですね。
 昔、バス停を毎日50センチか1メートルずつズらして、家の前でバスに乗れるようにしようとした人が居て、30メートルぐらいずらしたところで見つかって戻され、それでも続けていたらトッ捕まってこっぴどく叱られたとか。あれって許認可事業ですから、バス停の位置勝手に変えるとバス会社も怒られるんですね。

 そういえば私もEヅカさんから、腹を減らしたアニメーターさんが夜中、養鶏場に忍び込んで鶏をトッ掴まそうとして警官に職質され、「Mプロでまんが映画作ってます。鳥の動きを見たくって……」と言ったら「そりゃご苦労さん」と帰してくれたという話をうかがいました。
 Mプロといえば、神様を祭る神殿。アニメーターさんは神職ですから、信用されていたんですね。

 しかし、床屋のぐるぐるが自転車に見える程の酔いかたって……。

投稿: 神北恵太 | 2006/05/11 15:34

ドーボーイやカーネルサンダースとか
ケロちゃんとか人気者は大変ですよネェ~(^^;
ファンの気持ちも分かる様な気もしますが…。

そんなこんなで、私は大阪ミナミの不動産カフェ
の案内をさせた貰っています☆
良かったら是非♪

投稿: 森下@BENELOP | 2006/05/11 15:35

自衛隊員は酔うと何でも拾ってきますよ。
カーネルサンダース、サトちゃん、ペコちゃん。
それだけではなく、拾う訳じゃないけど自分の新車のバイクを、雨が降ってきて濡らしたくないから部屋に入れて抱きついて寝た先輩がいました。
もちろん部屋が1階という事もあり、楽に入れたみたいだけど、バイクを抱き枕にして一晩明かした翌朝は、相当ビビッたみたいです。

投稿: かず | 2006/05/11 21:42

森下@BENELOP さま

 手でコメント付けておられるんですね。ご苦労様。
 普通、機械的なコメントスパムは一律消させていただいているんですが、ちゃんと会話が成り立っているので、今回は残します。次回からは宣伝誘引は御止め下さい。

 それはそれとして……。
 いや、欲しい気持ちはあるにせよ、これはもう「ファン」じゃなくて、立派なドロボーですからね。(^_^;)

かず さま

 それ、法律上は、ちっとも「拾ってきます」じゃ無くて「盗んできます」だから。(^_^;)
 ちゃんと返すんだよ! 「標的にして証拠隠滅」とかしちゃダメだかんね。

投稿: 神北恵太 | 2006/05/12 05:05

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