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2006/05/14

駒八会だったぞ

 昨日は、第2土曜日。そう、駒八会の日。大会の打ち合わせ流れの連中も多く、賑やか。
 我々の行く駒八は、店員に何人か、中国人らしいお嬢さんがいるのだが、この娘たちがまたキビキビとよく働く。まだ日本語会話がニガテで、あまり言葉がわかり難いので注文で苦労している娘もいるが、出来るだけちゃんと注文を受けようとする気概があって、非常に気持ちいい。RPGで言うところのモラール(職業意識)が高いというヤツである。
 ただ、やはり日本語の意味を完全に取れていないし、別に酒や料理が好きだから趣味が高じて居酒屋の店員になった訳でもない訳なので、「この酒とこの酒、どっちが辛口?」とか聞かれても、そうそう答えられるワケでも無い。注文で商品名と個数を間違いなく受けられるだけでもスゴいものだ。
 ましてや、ヨッバライの訊く事、質問自体がちゃんとした日本語になってない。注文も、「○○を△皿分」とかススっと言えずに、ぐだぐだ、あーでもないこーでもないと揉めた挙句である。

 いつも、申し訳ありません。>駒八スタッフの皆様。

 昨日も、なんだか、なかなか決まらない注文をやっと入れた料理の、片方は来たがもう片方が来ないと云って、酔っぱらった1人が、新人の若い娘を詰問し、挙句、日本語が上手く通じないと見るや「店長呼んで!」
 うーむ。勘弁してくれよ。注文を入れる時に横に板が、そもそも、あーでもないこーでもないと、品目も数もいろいろ入れ替わって判り難い注文の入れ方だったぞ、あれ。
 ちゅうか、ロレツが回ってない男に大声で詰問されて、怯えているじゃないか、彼女。
 いつもは、飲み過ぎてクドくなることはあっても、まず、あまり荒れると言う事の無い男なんだが、今回はなんなんだよー……。

 さて、昨日は、やっとかめだナモー君が来てくれて、アニメ製作現場の話をいろいろ聞かせてくれた。

 「人間が首を振ったり、実写カメラをパンしたりすると、いくら機械的にスーっと回したりしているようでも、筋肉の動きとか機構的な問題とかで、いろんな 要素がはいるため、少しずつガタツキがあり、一直線とはならない。まあ、それはノイズと言えばノイズなんだが、実界の情報量の多さとも言える。ところが、 CGで安易に画を回すとあまりにも機械的に、定規で引いたようにスーっと回っちゃうから、動きの情報量が少ない、つまりチープな動きなので、我々が見ると チャチに見えたり、気持ちが悪かったりする。でも、子供の頃からゲームの画面で育ってきた世代は、そこに違和感を全く感じていないらしい」
 「8ミリカメラを抱えて遊んでいた事が血肉になっていて、被写界深度ってモノが感覚にあるから、アニメの撮影でもピントを外したボケあしとかを想定して画面が組めるが、今の若い人にはその感覚が希薄で、しかも撮影もコンピュータ内で行なうため、記号として「手前のキャラにピンが当たると奥のキャラがボケる」ということをやっても、現実に即した計算が出来てないから適切に行なえない」
 なんて話は、映像の現場で死力を尽くしているトップランナーの一人の感想として、なかなか重い。
 「画面にどんな情報量があっても、見る側に経験が無いと読み取れない」
 というのも、スゴいなぁ。

 CGの世界でも、前から、「ジュラシックパークの恐竜は、まるで行きているようだと言われるが、実は重量感をかなりの部分ズシン、ズシンというSE(効果音)に頼っているので、音声を切って見ていると全然重々しさを感じない」という話がある。
 たとえば、実際の飛行機は、着陸する時、機体に掛かる様々な風圧によってかなり振動しているとし、機体を支えている翼は、翼端が上向きにかなりしなっている。それが、着陸脚が地面につくと、脚が機体の重さを支えるようになるため、翼端が降りてきて、更に速度が落ちるにしたがって浮力も抑えられ、タイヤとショックアブソーバーで沈み込む事で機体重量を支える。
 飛行機全体を見たとき、翼はともかく、アブソーバーで沈み込む量や、それが滑走路の細かな凹凸を拾ってきたいがホンの少し揺れる様子等は、たとえば、CGを作る側にしてみれば、1ドット未満の小さな小さな動きであり、表現し辛いので削られてしまう。(というか、そこまで要求されていない——そこまで表現できる予算を頂いていない——と言うことの方が多いのだが。)
 しかし、実際に空港に言って降りて来る飛行機を撮影すると、そのノイズ程度の情報(細かな動き)も当然しっかりとフイルムに残っている。
 この差を理解していないと、モデルを実界に近づけて行きようがない。
 ここいら辺って難しいなぁと実感。

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コメント

昔ロードオブザリングの最初のが上映された後、CG屋さんな友人に薀蓄を聞いたなあ。
モリアでトロルが暴れるシーンは手抜き過ぎとぶつぶつ言っておりました。
リアルなものをCGで表現するのも難しいのにリアルでないものをリアルに表現するのは更に難しくなりそうな。

彼(彼女?)と知り合ったのは2Dのカクカクな動きのMMORPGであったというのが皮肉なものだ。

投稿: 森野人 | 2006/05/14 15:16

森野人 さま

3DCGで宇宙船とか竜とか描いていて、一番困るのは、何かと云って、「置ける部品の数の限界」だったりします。
 何百という部品を組み合わせて一つの巨大な構造物を作ろうとするのですが、機械的・ソフト的な限界から、3D世界に一度に持ち込める部品数は限界があります。部品数を多くすれば細かく作れると判っていつつも、何でも持ち込めば良いと云うワケには行かないんです。
 だから、竜の鱗一枚一枚を作って、細かい演技を付けようとすれば、とっても重たくなってしまいます。スターウォーズの宇宙船の表面の凹凸を全部部品として作って行けば、陰影も付いて完璧にし易いですが、計算が複雑になるため完成前にパソコンの方が音を上げます。そのために簡易なテクスチャー(表面材質)を貼るという方向に逃げる訳ですが、なかなか、細かい絵が描いてあるからといって、すべてがうまく表現できる訳ではなくって、どこかに歪みというか、不自然さが出てしまうんですよね。
 しかし、実際に竜の着ぐるみを作ったり、撮影用の宇宙船を作れば、(まあ、時間と完成度のせめぎ合いとか云うCGモデルにも現実のモデルにも共通の問題は残る訳ですが)作り込みは自由です。

 便利な点と不便な点を相殺し、金額的な面から最近ではCGを多用することが多いですが、人類が百万年間慣れ親しんで来た実界と、まだ百年もつきあっていない仮想空間の取り回しの悪さを考えると、現場の苦労が減った訳ではないんですよねぇ。

投稿: 神北恵太 | 2006/05/14 16:24

ふむ。宇宙船のテクスチャーを貼っつけた竜の着ぐるみを作って撮影すれば良いわけだね。
理解した。

投稿: 森野人 | 2006/05/15 09:17

森野人 さま

それは、24年も前に、『宇宙刑事ギャバン』の「電子星獣ドルー」がやっちゃってます。(^_^;)

投稿: 神北恵太 | 2006/05/15 10:10

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