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2006/06/17

善悪はあざなえる縄の如しだぞ

 中日新聞の2006年6月16日の記事『北原長官ら84人を処分 施設庁談合』を読むと、なかなか酷い。

 防衛施設庁の官製談合事件を調べていた同庁調査委員会(委員長・北原巌男同庁長官)は15日、事件の背景に再就職先の確保があったとする報告書を公表した。工事の予定価格漏えいはあいまいになるなど、全容解明には至らなかった。報告書を受けて、談合の「割振表」廃棄を命じた河野敏明前建設部長を降任二級、北原長官を戒告など52人を懲戒処分、防衛庁の守屋武昌事務次官ら32人を訓戒などの訓令処分とした。合計84人の処分は防衛庁、防衛施設庁を通じて過去最多となった。

 うーむ。たった84人が関わっていただけなのか? 本当に……と、誰しも疑いを持つ。日本の防衛費が予算1パーセントの枠を超えて以来、どんどんふくれあがっている一端が、こういう官僚達の天下り先を維持するための工作資金だったと思うと、真面目な自衛官を何人も知っているだけに、腹が立つ。

 コトが防衛という、民活が利かない分野だけに、こういうモラルハザード・ケースの罪科はもっともっと重くていいんじゃないかと思うし、追求も曖昧さを残さぬ徹底ぶりが求められるだろう。なのに、同一省庁内に設けたお手盛り調査委員会の曖昧報告で、とにかく丸く収めようとする厚顔さ!! 理屈を付けてみせる狡猾さもなく、面の皮の装甲の厚みだけで戦い抜こうというこの態度を、もっとマスコミは、厳しく突ついて欲しいものだ。

 しかし、談合が絶対悪で、入札が絶対正義かというと、そうでもないと思わせる事件が起きている。

 神北が読んでいる『日本ブレイク工業 専務の部屋』というBLOGがある。書いているのはもちろん、横浜にある解体工事業者だが、社歌を日本中のかなりの人が知っていたり、あまつさえカラオケで歌っていたりするという特殊な方向から、業界の(ある意味)リーディングカンパニーとなった(株)日本ブレイク工業の専務さん。

 サラリーマンの時は ヤン・ウエンリーの大ファン 役員になると ラインハルトのファンになってしまった。

 ……なんて言ったり、自動車レースをサポートしたりと、活動がマルチな人なので、どの記事もなかなか面白いのだが、ここで1年程前の2005年5月26日に『談合で毎日 紙面を騒がしていますねぇ。』というエントリーがあった。

 はっきり言って、95%以上の落札金額で、受注している工事があれば,談合しているのではと、疑ってしまいますよね。それじゃ、『たたきあい』がいいのかというと、そうでもないですけど。実際、『たたきあい』で施工が完了した現場は、いい物 納めていないと感じます。そりゃ お金かけていないですから(笑)

 ……という、業界内の住人ならではの雑感が記されている。当時は、まあ、業界内の人の云う事だから一面真実だけど、一面の身贔屓もある訳だし……と思っていたのだが、1年程経って、ちょっと考えさせられる事が起こっている。

 安さを武器に公共物建築の入札などで日本シェア1パーセントを占めた、シンドラーエレベーター株式会社だ。もちろん全機種がそうという訳ではないが、この会社のあるエレベータ製品とそのアフターサービスが、安かろう悪かろうの、欠陥品であった事が、徐々に明らかになって来た。

 中日新聞の2006年6月17日の記事『扉開いたままエレベーター昇降 プログラムミス原因とシ社明かす』によると、死亡事故を起こした機種ではないものの、プログラムミスに気づいた後も、修正版を載せたり、メンテ時に誤ってバグ入り版の方を載せ直したり、リスト漏れで10年以上立つ今もちゃんと直していない機械があったりと、社内体制のボロボロさが露見した事には変わりない。

 9基ではドアが閉まった後0・25秒以内に利用者がドアを開けるボタンを押すと、ドアが再び開き、そのままエレベーターが昇降する。死亡事故のあった東京都港区のエレベーターや、据え付け直後に同種の問題が起きた広島市のエレベーターは異なるプログラムを使用している。

……って、ファミコンゲームの裏技ですか? いやそれより、問題のエレベータには別のバグがある可能性が高いって事ですよね?

 なんだか最近、人命を預かる機械制御とか、振込のタイミングを遅らせるだけで会社の百や二百簡単に吹き飛ばすような金融機関とか、ミスが許されない筈のインフラストラクチャーでの、こういうケアレスミスの話、多すぎませんか? 「いい物 納めていないと感じます。そりゃ お金かけていないですから(笑)」って言葉が人命に繋がるような部分での劣悪品の入札。

 価格.comでパソコンや家電品を買う場合ですら、買い手が商品知識を持って機種を選んだ上で最終的に金額の多寡で決めているのに、多くの人命に関わる公共建築物のエレベーターがこうもズサンに、質を二の次にして値段だけを基準に選ばれていたというのは、入札させた施主側の公務員の怠慢と云わざるを得ない。

 入札は絶対正義ではない。どんな場合も通用する絶対正義なんてあり得ない。知識の無いものが単に値段だけをたよりに行えば、今回のような事になってしまうし、簡単に指定業者を決めてその範囲内で入札させるとすると、新規参入企業の排除とか既得権だの何だのを産み、やり方によっては却って問題を抱え込んでしまうという事だ。もちろん、だからといってそれをクリアするために、談合体制で業界を養っておけという二極理論が通用しないのは当然だ。

 コストカット社会においては、公共工事を発注する公務員も、全体を見て力点と配分を正しく決められるだけの頭の良さを求められるということなのであろう。

 もちろん、民間では普通に行われている程度の事なんだけどね。

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コメント

エレベーターって、ソフト以前にハード面での安全装置が二重三重にかかってたと思うのですが、ソフトで壊してしまっては元も子もないですか。という以前に外国メーカーの参入余地があったのかという時点で驚きでしたが。
で自衛隊の装備というと、初めっからメーカーが決まっていてどうのという人はいてもあまり問題にならないですね。実は少々お世話になったので何も言えませんが。
と言いつつ費用対効果だけで考えてみる。
陸自:AKとかレオIIA6とか。
海自:MEKOフリゲートとかキロ級SSKとか。
空自:SU-37&SU-34とか。

・・・SU-37&SU-34。
買ってホスイ・・・<まてこら^^;

投稿: 成田ひつじ | 2006/06/17 13:24

成田ひつじ さま

 私は、陸自には、南アフリカ製の、爆風を逸らす対地雷耐性の高い船型車底の装甲車を導入し、PKO等の任務に用いるべきだと思います。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/17 18:33

>私は、陸自には、南アフリカ製の、爆風を逸らす対地雷耐性の高い船型車底の装甲車を導入し、PKO等の任務に用いるべきだと思います。

それ、大賛成です。つうか、あの軽装甲機動車に耐地雷性能が無いという話が未だに信じられなかったりします。
あと、74式戦車を廃棄せず重APCに改造して欲しいです。こちらはイスラエル式ってことで。

投稿: 成田ひつじ | 2006/06/17 20:43

成田ひつじ さま

 74は、主力戦車としては流石に20〜30年分時代遅れになっているのでしょうが、ある程度台数もあるので、簡易な換装でもう10年20年、サブウェポンとして頑張れると良いですねぇ。とはいえ、最初の車両はもはや車齢30歳超。どこまでを転用の対象とするかの見定めは難しいかも知れません。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/18 04:10

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