運営責任とは思えないぞ
TECHSIDEさんの2006年6月21日のエントリー経由で、ITmedia NEWSの2006年6月20日の記事『14歳少女、性的暴行被害でSNSを提訴』に行き着いた。
テキサス州オースティン(Associated Press)
ソーシャルネットワーキングサイトMySpace.comで知り合った相手に性的暴行を受けたとする14歳の少女が6月19日、同サイトは未成年の会員を保護するための十分な対策を取っていないとして提訴した。
この少女は、19歳の男性がフットボールチームに所属する大学4年生だという偽のプロフィールで彼女を信用させ、電話番号を聞き出したとしている。
ピート・ソリス容疑者は5月に児童に対する性的暴行の容疑で逮捕された。19日夜の時点では同容疑者に連絡は付かなかった。
う〜む……。
ちょっと待てよ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で知り合った相手が言うままに、相手の事を「フットボールチームに所属する大学4年生」と信じるのは、訴状に書かれているように、MySpaceが「未成年ユーザーを守るために有意義な保護策やセキュリティ対策を取っていない」所為なのか?
SNS運営会社が3000万ドルの支払いを求められるような、運営側の大きなミスなのか?
どちらかと言う別け方をするならば、問題はSNS運営者の運営責任ではなく、利用者側の自衛意識に問題があると思えてならない。
いや、それ以前に、相手がプロフィール通りにフットボールチームに所属する大学4年生なら、確実に安全だったのか? そんな確信はどこにも無いだろう。
そんな風に両親が娘を教育していたのだとしたら、まず、原因はその教育にあるのではないだろうか。何の教育もしてなかったのだとしたら、それこそ、年頃にさしかかりつつある娘の保護者として問題なのではないだろうか。
もちろん被害にあったお嬢さんは可哀相だと思う。暴行を行った犯人は悪い奴だと思っているし、そういう犯罪者やその予備軍が世の中に居る事は、非常に憂慮すべき事だという認識も持っている。
だが、こればかりは、ネットだから大丈夫とか、現実社会と別とか、そんなモノではあり得ない。何故なら、ネットの中に居るのは普通の人間であり、人間同士の交流がネットワーク社会という物だからである。だからネットワーク内には良い人間が居て社会正義があるが、悪い人間も居て犯罪も起こる。人間社会であるという事に於いて、オンラインもオフラインも変わりはない。良い奴が居るだけ、悪い奴も嫌な奴もいるのだ。
これが、どこかの公園で、犯人が「こんにちわ、僕、大学でフットボールチームに所属している好青年です」といいながら寄って来たのなら、被害者の少女はそんな奴に引っかかりはしなかっただろう。
しかし、そう肩書きにある名刺を持っていたら?
誰か、無辜の第三者にそう紹介されていたら?
悪意を持った犯人とグルの仲介役が平然と吹き込んでいたら?
偽の写真等で引っ掛け工作をされていたら?
そういう危険はどこにでもある。現実の社会にも、ネット社会にも。ましてや、それが7500万人分もの登録アカウント数を擁する英語圏最大のSNSともなれば、危険だけでもテンコモリと考えるべきである。
だから、自衛する必要がある訳だ。そして、保護者は、自衛を理解出来るまで保護し続けるか、自衛手段や社会生活に於ける警戒のノウハウを教えてあげなければならない。
「当社は会員を守るために積極的な対策を取っている」とチーフセキュリティオフィサーのヘマンシュ・ニガム氏は語る。「最終的には、インターネットの安全は共同責任ということになる。当社はすべてのインターネットユーザーに賢明なWeb慣行を実施すること、オフラインの教訓をオンライン世界に生かす方法を家族とオープンに話し合うことを進(勧?:神北注)めている」
という、運営会社の責任者による説明は、まさに正鵠を射たものであろう。
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コメント
悪い事した青年は金を持ってないから裁判で勝っても金を取れない
SNSは企業で金をもってるから裁判で勝てば金をタンマリ・・・・・
だから青年ではなくSNSを訴える
「本来、訴えるべき相手」より「裁判に買ったときに金を取れる相手」を選んだだけ
う~ん・・・・・ 実にアメリカ的な考え方 (;´Д`)
投稿: 牛丼仮面 | 2006/06/24 23:04
牛丼仮面 さま
「取れる方を責める」ってのは、重要な本質の喝破ですなぁ。
投稿: 神北恵太 | 2006/06/25 08:40