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2006/06/14

全く懲りない奴だぞ

 おおよそ4ヶ月前の2006年02月14日に『大馬鹿者だぞ』という記事をエントリーした。「464.jp(読むよ.JP)」という、非常に悪質な業者が検挙されたという話だ。この業者は、勝手にコミックを単行本から全ページスキャンして、閲覧させていた。あまつさえ、 「全日本漫画著作権管理機構」なんて組織をでっち上げて、出版社抜きで漫画家に連絡を取り、閲覧有料化とともに、閲覧配当を管理して漫画家の上前を刎ねようとしていた。
 あまりにも悪質なので、昨年9月に講談社・集英社等から掲載停止要求を行ったが、こサイトはそれを無視。年内そのままだったので出版社側が1月になってから警察への通報を行ない、ようやく逮捕に繋がったことは、2月の記事に書いた通り。

 当然、サイトはコミックの配信を停止。

 で、2006年5月17日に、INTERNET Watchの2006年5月18日の記事『コミック無断公開の「464.jp」運営者らに有罪判決』にあるように、「主犯格の東京大田区に住む自営業男性(まんが喫茶経営)に懲役2年執行猶予3年、罰金50万円を科するなど、それぞれに有罪判決が下された。」などとして、司法の判断が出ていたのだが……。

 ITmedia News の2006年06月12日の記事『あの「464.jp」が再開?』に、以下のような話が載った。

 人気漫画を無断でネット公開したとして有罪判決を受けた「464.jp」運営者が記しているとみられる日記サイトでこのほど、「もう一度464.jp再開に挑戦しようと思います」という書き込みが更新され、話題になっている。

…… 中略 ……

 日記では、6月8日付けで「大勢の会員の方からの励ましのメール」で再開に挑戦することを決めたと報告。「子供の文字離れを防ぐにはやはり日本の文化である漫画が効果を発揮すると思います」などと理由を説明した上で、「また464.jp上で漫画が見れるようにいたします」と記している。

 うーむ。何じゃろけ? まだ、自分がやったことが判ってない。さらに、その続きが凄い。「励ましのメール」とやらの要点を列記しているのだ。

  1. 障害を持っているので、本を取り出したり本を読む際に便利がよい。
  2. このサイトがあると本屋に行って万引きをしなくなる。
  3. 外国にいる日本人は古い漫画の本を購入できないのでとても助かります。
  4. 子供が漫画を読むようになりTVゲームをやることが少なくなった。
  5. 妊婦さん又主婦の方が家にいて退屈しなくなった。

 なんて、メールを貰ったと載っているが、それぞれ言っていることがおかしい。というか、世間様に向かって正気で云えることではない。

  1.  障害者向けの図書の整備は、点字翻訳や朗読等と同じく、障碍者福祉団体などが、出版社や著作権者の許可を取って行うべき事業。464.jpがやっていたことは、別に対障碍者事業ではなく、健常者も普通に見れる単なる一般向け。つまり、著作権侵害以外の何者でもなかった。
  2.  読者が万引きしない代わりに、464.jpが著作権侵害で罪を犯していた。つまり、このビジネスモデルは、目の前の犯罪Aを別の犯罪Bに置き換えて見えなくしているだけだ。詐欺にすらなっていない、極めて粗雑な犯罪の正当化だ。
  3.  わりと多くの出版社が、ネットでマンガを読む試みを行っている。またgoogleで「古本の通信販売」の検索を行うと、今さっきで結果は約 89,400 件。その頭からいくつか見るだけでも、国外への配送を請け負っているところがある。購入「出来ない」のではなく「しない」のは、全く理由になっていない。それ以前に、「購入出来ない」なら他人の利益を盗んで良いという考え方が反社会的。
  4.  べつに、マンガとテレビゲームに優劣がある訳でなし、子供はそのとき面白いと思うことをするだけだろう? だいたい「面白いマンガはゲームをしのぐ」のは当然のことなのだが、だからとして、どうやったらそれが著作権侵害を正当化に結びつくのか? 全く理由になってない。
  5.  上記のような通販も可能。項目3と同じで、ちゃんとした入手手段がある以上464.jpを正当化できていない。

……てな具合で、どれひとつとして、世間で通用するような話が無い。

 紙媒体だった著作物を電子媒体で見られるようにするビジネスモデルを考えたいのなら、まず、著作権者(作者、複製権者、他)に対する敬意をちゃんと持って、著作物を扱うに足るだけの見識を、自らの中にそなえろよな……と思う。

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コメント

http://www.muramoto.net/index.html
「ひとりごと」なんだとさ。犯行声明じゃん。

投稿: 名古屋是清 | 2006/06/14 07:25

やはりこのような事態に対応するには漫画の世界にも音楽の世界のハゲタカ、もといJASRACのような著作権料搾取、もとい徴収団体が必要なのではないかと考えるわけです。

投稿: 森野人 | 2006/06/14 11:50

名古屋是清 さま

 まあ、ネットで公言した以上、ページタイトルが「ひとりごと」だろうが「うわごと」だろうが、変わりませんわな。

森野人 さま

 「音楽の世界のハゲタカ、もといJASRACのような著作権料搾取、もとい徴収団体」をマンガの世界に作ったとすると、マンガ家のサインに添える手描きキャラにまで逐一課金され、サインが貰えなくなるかも知れません。困った困った……。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/14 13:53

あきれて開いた口が塞がりません・・・・。
情けなくって 父ちゃん涙が出てくらぁ・・・・。

投稿: やっとかめだナモー | 2006/06/14 13:54

やっとかめだナモー さま

 こうも確信犯的な行動を繰り返すとなると、こりゃもうクリエイターの敵です。
 参ったものです……。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/14 21:06

 このオッサン、執行猶予という意味がわかってるんだろうか・・・

投稿: ooi | 2006/06/14 21:32

ooi さま

 判ってないんでしょうねぇ。この人は。
 いや、「薄々判っていた」のにマンガの全ページスキャン&ネット掲示していた訳だから、判っていてもやる人なんだろうけどね。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/15 06:20

ナップスターの例もあるので、ちゃんと法律に反しないで再開するのであればよろしいんじゃないでしょうか。
このおっさんに出来るかは別として。

一方で、いつまでたっても品切れの本を電子データやオンデマンド印刷で買えるようにならないってのに大きな不満があるのも確か。
おっさんがスキャンした5万冊という量を思うと、出版社も色々やっているけれど、私が欲しい品切れになって久しい本が買えるようなサービスではなく、実験というかインターネットに対応してますって言うためのアリバイのようなもの。しかもラインナップがロングテールって何?って感じだしねぇ。

商売として難しいのは理解していますが、いち読者としてはどうにかならんものかねぇという気はします。

投稿: ふじさわ | 2006/06/20 22:39

ふじさわ さま

 企業もが商売として考えると、ちゃんとした品質のスキャンを行なうことはバカみたいに手間と費用の掛かるものになるため、ロングテールのために改めて始めることに消極的にならざるを得ないという事情も判るのです。
 が、たしかに、そろそろ、そういう事業を始めて行って、ゆくゆくはそちらにシフトせんといかんのでしょうね。

 ただ、一つ問題だなぁと思うのは、オンデマンド印刷という出版形態が「テキスト(本文)にこそ魂が宿っていて、紙媒体は仮の依り代に過ぎない」と思わないことには辛抱たまらんぐらい、気の抜けた紙面構成になってしまうということです。
 アレは論文を読むためのツールにはなっても、小説を読むものには未だになってないと言う気がします。ましてや、マンガとなると、四隅の開き方、タチキリと言ったものまで含んだ厳しい紙面取りの条件が加味されるから、現状のシステムからもう一歩進んでくれないことには、品質的には難しい気がします。

 iTunesやネット配信に対応しないのは、レコード会社や出版社といったコンテンツホルダーにとっても、大量の機会損失を起こすだけの損害だってことは、判るんですがネェ。

投稿: 神北恵太 | 2006/06/21 03:17

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