攻防の峠を越えたぞ
宇宙世紀0079年12月末。L-5宙域の要衝ソロモンが連邦軍の猛攻によって陥落し、もはやジオン公国に残る軍事拠点は、月面のグラナダと、本国と同じL-2軌道上のア・バオア・クーのみとなった。連邦艦隊は、ソロモン後にティアンム艦隊に合流した英雄レビル将軍を旗頭に、ジオン本国を突くための再侵攻開始に向けて集結を始めた。
一方その頃、ジオン公国から集結中のレビル艦隊に近付きつつある艦影があった。レビル将軍との頂上交渉で和平の道を探らんと、自ら出座したジオン公国のデギン=ザビ公王を乗せた、戦艦グレート・デギンである。
しかし、彼らの交渉が実を結ぶ事は無かった。12月30日21時15分。レビル将軍とデギン=ザビ公王が互いの艦を近接させ、互いのブリッジに相手の姿を確認した、まさにその瞬間。……憎しみの光が総てを覆った。
ソーラ・レイ。閉鎖型島三号コロニーそのものをレーザー発振装置として利用した、直径6キロメートルの猛烈な光の束。そのコロニーレーザーが、集結していた連邦軍主力の中核を射抜いたのだ。
その頃、月の周回軌道上で任務に就く小さな部隊があった。第603技術試験隊である。彼らは、ア・バオア・クー侵攻が明らかとなった連邦軍が、必ずや小規模枝 作戦としてグラナダからの援軍阻止に動くであろうと想定、その枝作戦部隊を月の周回軌道上で迎撃するため、主戦場ア・バオア・クーを遠く離れた月に在っ た。
先週の金曜日にDVDを買って来て、すぐに観て感想を書こうとしたところ、イロイロと不幸な事故(操作ミスとも言う)で消失し、レビューを書きそびれていた、『機動戦士ガンダム MSイグルー -黙示録0079-』第2巻「光芒の峠を越えろ」である。まー、igLooの事だからなぁ、レビューまで幻になっちゃうのはお約束かしら……。
今回、603に送り込まれて来たジオン驚異のメカニズムは、モビルポッド“オッゴ”。その円筒形の形状がな〜んとはなく旧日本軍の水際上陸阻止兵器伏竜(伏龍)のヘルメットを思い起こさせ、それだけで薄ら寒い気持ちになれるという、見た目からして悲惨な急造兵器である。
そして、乗り込むは、モニク=キャデラック特務大尉の弟、エルヴィン=キャデラック曹長をはじめとする、まだ実地訓練を150時間積んだだけの、学徒動員兵たち。
しかし、その見るからに急造品という外見と異なり、倍する敵モビルポッド“ボール”との戦いにおいて、オッゴは驚異的な威力を発揮する。オッゴのパイロットはいずれも戦闘未経験の新兵3人。対するボールは、新たに配属された新兵と歴戦のベテランパイロットの混成チーム。しかし、圧倒的にオッゴ有利に戦闘は進み、敵の数的優位を全くものともせずに互角以上の戦いをしてみせる。
居合わせた人々は誰一人比較する術を持たなかったが、エルヴィンのその姿は、この同じ時、まだ混乱のさなかにある連邦軍艦隊のホワイトベースに居た歳若いエースパイロットを思わせる程のものがある。もし1年、いや、せめて2ヶ月早く任に就き、この時点でゲルググにでも乗っていたら、もしかしたら戦局すら違っていたのではないか?! そう思わせる程の凄みが、彼には在った。
やがて、彼我一機ずつ生き残り、小規模だが壮絶な殲滅戦は最後の時を迎えようとしていた。互いに矢折れ弾尽き、満身創痍。その時、エルヴィンの下した決断とは?!
ここから先は、是非あなたが自分の目で確かめてもらいたい。実に人類の半数を失ったあの激闘の1年間が、今まさに終焉の時を迎えんとしていたこの瞬間に、戦場の片隅で何が起ころうとしていたのかを。
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コメント
オッゴみたい色物兵器を見ると、つい妄想しちゃうんですよねぇ。
馬鹿噺を。
『もしもシャアがオッゴに乗ったなら』
シ「新型のゲルググ・タイプはすべて出動しているようです。私が使えるのは残っていないでしょう」
キ「オッゴを使ってみるか。80%しかテストしていないようだが」
シ「オッゴ?」
キ「決戦兵器を開発したときにな、既存の技術と兵器を活用して実用化したモビルポッドだ。お前なら使いこなせよう」
シ「では連邦のボールのようなものと?」
キ「うむ、あれは余っているだろう」
シ「はい。……80%か。……って、テストが?!」
整「80%?。冗談じゃありません。現状でオッゴの性能は100%出せます」
シ「足がついていないな」
整「あんなの飾りですっ。エライ人にはそれがわからんのですよ」
シ「……使い方はさっきの説明でわかるが、ザクやゲルググ同様、私に使えるかな」
整「あっはっはっはっ。冗談はよせっつーか、意外と大佐も甘いようで。足も無いのにモビルスーツと同じに使えるわけないじゃないですか」
シ「はっきり言う。気にいらんな (T_T)」
キ「オッゴはどうか?」
シ「動かせといわれれば動かせますが」
キ「ならばSフィールドに新たな敵艦隊が発見された。第34モビルスーツ隊とともにこれを」
シ「お言葉ですがそういう重要任務はモビルポッドには過分かと」
キ「数値的には火力、機動力ともオッゴはザクをしのいでいる。やってみせいっ」
シ「ザクとは違うのだよ、ザクとは (TдT)」
お粗末でした。
投稿: 東部戦線 | 2006/07/23 06:47
東部戦線 さま
その後の後の後の時代。悲惨な戦争を恥じ、スポーツでそれに代わらせることを考え出した人類は、互いのモビルポッドによる一対一の戦闘で、地球の支配権を決定していた。
戦えドモン、地球がリングだ。
オッゴ・ファイト、レディ、ゴー!
……しまった。足が無いから大地に立てない。(^_^;)
投稿: 神北恵太 | 2006/07/24 04:58