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2006/07/19

『時をかける少女』を見守る時をかけた少女を観に行ったぞ

 2006年7月18日。新宿のテアトル新宿で、筒井康隆の名作の細田守監督による本邦初アニメ化作品、『時をかける少女』を観て来た。

 ある日、都内の倉野瀬高校に通う女子高生、紺野真琴は、自分がなぜか突然タイムリープが出来るようになっていることを知る。自転車のブレーキが壊れて死にかけた時、時間が昔に前に巻き戻ったのだ。真琴はそれを、「魔女おばさん」こと叔母の芳山和子に相談する。と、叔母は事も無げにそれはタイムリープであり、年頃の女の子にはよくある事だと言ってのけた。
 最初は驚く真琴だが、時間を戻すことにいろいろ慣れて行く。
 しかし、ある時、仲のいい友達の間宮千昭から告白されたのを恐れて、時間を戻してしまう。その時はなんとか逃げ切った真琴だが、やり直した違う時間線の上では、千昭真琴の級友早川友梨の猛烈なアタックを受けて、そちらでラブラブになってしまい、それはそれで面白くない。
 再び相談に行ったが、叔母は「付き合っちゃえば良いじゃない。(都合が悪くなったらやりなおせるんだし……)」と、無責任なアドバイスしかくれない。しかも、自分のことだけでも精一杯なのに、もう一人の仲間津田功介に想いを寄せる下級生藤谷果穂の応援をすることになって……。

—————————— ちょっとだけネタバレアリ ——————————













■ご注意■

 爽やかな高校生たちの物語であった。が……、実は、神北の感情移入の仕方は、この映画の受け手としてちょっと変な方だったかもしれない。高校生達の目線の映画を観ながらも、芳山和子という傍観者の視線からこの美しく軽やかな物語を、眩しく微笑ましく眺めていたからだ。
 無論、芳山和子というのは、本来の小説『時をかける少女』の主人公であり、土曜日の実験室でラベンダーの香りを嗅いだばかりに、タイムトラベラーとなってしまった、あの芳山和子である。その和子が結婚もせず、誰かを待つかのように美術品の修復師の仕事をしながら時を重ねている。そして、タイムトラベラーとなってしまった姪を優しく見守り、一見無責任そうなアドバイスをしている。

 ぐっと来るではないか。これは、34年前の1972年のNHK少年ドラマ版『タイム・トラベラー』以来待ち続けた、そして初めて語られる、石山透版の『続・タイムトラベラー』とは異なる意味での、待望の続編なのだ。
 神北が、石山版と違う意味での続編を「待望」していたのは、この石山版は、第三次世界大戦を思わせる明示的なデストピア未来感が盛り込まれていて、恋愛小説という少女小説の枠内から抜け出して、冒険小説という少年小説の枠組みへと歩み出してしまった、一種「別物」であったからだ。

 かくして、新たな少女の新たな物語が始まった。
 何を思ったか、非常に上映館数が少ないのが難点だが、万難を排して観て頂きたい。かつてジュヴナイルSFが描いた淡い初恋の情景が、そこに在る。

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コメント

やっと見ましたですよ。
ん。おれも、新・タイム・トラベラーだなーと思いました。

投稿: 笹本祐一 | 2006/08/01 12:38

笹本祐一 さま

 ちゃんとした恋愛劇になっていて、でも、繰り返される時間跳躍でツジツマが崩れていない……というか、逆に、タイムリープがある事で初めてお話が成り立っている。なかなか良く出来たSFアニメでした。
 とにかく、見てもらいたいものです。

投稿: 神北恵太 | 2006/08/01 15:19

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受信: 2006/07/30 05:48

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