猫に使ってはイケナイぞ
金融情報専門の通信社Technobahnの2006年8月25日の記事『ペンタゴンが「苦痛光線」兵器を開発、巨大な電子レンジで人間をチンする』に、なんと言って良いやら……。
先に米空軍が非殺傷目的のレーザーガンの開発を進め実用化に向けたテストに入ったことを報じた。実はここにきて米軍はイラクなどでの暴徒鎮圧を目的に「苦痛光線(Pain Ray)」と呼ばれる特殊な非殺傷目的兵器の開発をほぼ終了。近くイラクで実戦配備される可能性が強まってきた。
この兵器(正式名称はADS:Active Denial Sytem)の構造は非常に単純だ。巨大な指向性パラボラアンテナで半径800メートル以内に居る人間に対してマイクロウェーブを照射するというものとなる。マイクロウェーブとはつまり電子レンジのことである。このマイクロウェーブの照射を受けた人間は電子レンジの中でチンされた状態と同じとなり、皮膚の上層部分の水分が沸騰し、耐え難い苦痛を与える(intolerable pain)を与えるものとなる。
米国内で公表されている資料ではこの兵器の痛さは「intolerable pain(耐え難い苦痛)」とか「hurts like hell(地獄の苦しみ)」と書かれており、効果の凄まじさを物語るものとなっている。ただし、ここが肝心なのだが、この「苦痛光線」は皮膚の表層0.3 ミリまでしか到達しないため、耐え難い苦痛を与えるが、それによって死に至ることはないという。もっともこれはあくまでもこの兵器の開発を行っている空軍研究所の主張である。
うーむ。激痛光線ですかぁ。まー、反射箱を用いない“効率の悪い”オープンエアな物とは言え、電子レンジでチンされりゃ、体内に水分を持っている生物は何でもえらいことになるわな。前時代的な装備はともかく、集積回路を組み込むような機械も端から使い物にならなくなるかも知れない。(ま、照射強度と時間によっては、被害が低いことも往々にしてあるだろうけど)
しかし、半径800メートル以内が射程距離として、コレがコストに合うだけの効果を発揮するのは、なかなか大変。しかも、目標の敵と照射機の間に味方が居たりしたら使えないし、有効照射範囲より外にせよ、一定量のマイクロ波は到達するだろうから、「敵の向こう側にホントに味方は居ないか?」「第三者は居ないか?」っていうことも考えると、そうそうお手軽で有効な兵器とは言えないと思う。
でもまあ、世界のどこかにありもしない大量破壊兵器の保有情報を理由に、いくら圧政国家だったとは云え、他国に侵攻して、政権を打ち倒し「これで民主主義が回復された」などどほざくような、今日日、ジェームス=ボンドの映画にも出て来ない程のステロタイプな軍事超大国があったとしよう。その国の軍隊なら、特に人権を尊重する必要を認めていない被制圧国家の反抗勢力や一般民衆に対して、こういう非人道的な兵器を遠慮無しに使うのかもしれない。
これに対抗するにはもう、アレしか無い。そう、反抗勢力はみんなでネコを飼うのである。
だって、この手の軍事超大国では、この手の機械のトリセツには、猫に使うなって書いてあるんでしょ?
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コメント
角膜は失透するんでないかい?
投稿: 森野人 | 2006/08/29 03:35
森野人 さま
もちろん、マイクロ波のパワーってぇのが何より大きな要件ですが、たぶん、そうなるでしょうねぇ。煮魚と同じです。
投稿: 神北恵太 | 2006/08/29 04:49
一瞬「ゲル結界か?」と思いましたが、装置のビジュアル的には殺獣メーサー車かマーカライトファープですな。
投稿: 都築由浩 | 2006/08/29 12:11
猫だと気にしない人もいるのでプードルも。
投稿: 成田ひつじ | 2006/08/29 12:49
都築由浩 さま
そー、なんだか、ツブラヤっぽい兵器なんですよねぇ。こういう兵器を怪獣以外に向けるというのは、イカンですよ。
成田ひつじ さま
つまり、「猛犬聯隊ナラ、ダイゼウブ」と言うことでしょうか。\(◎o◎;)/
投稿: 神北恵太 | 2006/08/29 15:22
南米の麻薬組織のボスのお屋敷には、番犬代わりに豹などの、絶滅が危惧される猛獣が飼われていることが多かったそうですが、そうか、こういう兵器も見越して飼っていたのか!
投稿: もりた | 2006/08/29 23:21
もりた さま
『マイクロ波照射注意! 絶滅危惧種います!』ってぇ看板掲げた要塞……。
投稿: 神北恵太 | 2006/08/30 00:13