まるで「テレビまんが」だぞい
今日はタイトル末尾が「だぞ」ではない、「だぞい」である。『悟空の大冒険』(1967/手塚プロ/虫プロ ビデオはここ 情報はここ)の沙悟浄(声:愛川欽也)の口調である。
是非、愛川キンキンの声でタイトルコールして頂きたい。
さて、記事名を読んだだけでこの沙悟浄じいさんの顔、表情、仕草、そして結果として起こる事までが、『悟空の大冒険』の絵柄で脳内自動再生される、なんともギャグマンガの王道を行くような事件である。
excite世界びっくりニュースの2006年8月11日の記事『携帯型対戦車ロケット砲弾を金槌で解体しようとして…… 』の話。
[リオデジャネイロ 9日 ロイター] リオデジャネイロ郊外の機械工場で、男性が携帯型対戦車ロケット砲(RPG)の砲弾を金槌で解体しようとした際、砲弾が爆発、死亡した。
爆発の時に作業場にいたもう1人の男性は、ひどい火傷を負って病院に搬送された。作業場は大破し、外に駐車してあった車数台が炎上した。
警察は、作業場で軍のものと思われるRPG数発を発見した。くず鉄にして売り払おうとする業者が持ち込んだものと見ているが、軍の基地にしばしば盗みに入るリオの重武装麻薬組織と関連がある可能性もあるとして捜査を進めている。
『悟空の大冒険』の沙悟浄は通称「じいさん」と呼ばれているトレジャーハンター。天竺にはまだ見ぬ宝の山があると聞いて、一行に加わった。リュックを担ぎ、手には、ツルハシかシャベル。口癖は「宝じゃ、宝じゃ〜い」。何かと云うとあちこち掘っては宝探しを始める。
で、ついつい、ツルハシで悪役が埋めておいた爆弾の信管などをコツいてしまい、大爆発……なぁんてキャラだ。
既に神北は、この沙悟浄の絵しか想像出来なくなって困っているのだが、それにしても、対戦車ロケット弾 というのがどういうものなのか、この人たちは判っていたのだろうか?
Rocket-Propelled Grenade(ロケット推進擲弾)と英語で綴られるこれは、つまり読んで字の如く、擲弾筒で打ち出さなくても自前のロケットで飛んで行く榴弾。
擲弾筒とは、手榴弾を字義通り人間が投擲する代わりに、擲弾発射筒(グレネードランチャー)などで打ち出すもの。
基本的に、小銃の銃口に手榴弾付けて、空砲など(実砲の事もある)を利用して打ち出すライフルグレネード。小銃の銃身の下に専用の発射筒を設置し、専用擲弾を打ち出すライフルグレネードランチャー。それだけでリボルバー銃のような形になった、連発可能なもの等がある。
そしてこうした対人用の手榴弾よりもう少し大きなものが、第二次大戦のドイツ軍が使ったパンツァーファウスト(Panzerfaust)から始まった対戦車擲弾。使われている弾頭は形成炸薬弾(HEAT)で、着弾時に火薬の爆発力で直接攻撃するのではなく、爆発力で弾体内の金属を溶かし、先端から高温高速の金属ジェットとして噴出、戦車の装甲を一気に溶かすのだという。
ただし、この成形炸薬弾、対戦車戦に使う砲弾としては、固い杭のような弾体を高速に打ち込む装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)の方が最近の複合装甲には有効という事で、流行遅れとなりがちである。
しかし、大きな大砲を持つ戦車と違い、歩兵が持ち運ぶ兵器では徹甲弾を高速に打ち出す事は出来ない。そのため対戦車ロケット砲は、歩兵用の対戦車兵器としては今でも最も威力を持つタンクキラーである。
無反動砲(後ろに向かって爆風を吹くため射手が反動を喰らわない携行兵器)だったパンツァーファウストをロケット砲化した後継機パンツァーファウスト3、同じくパンツァーファウストを元にソ連で開発されたRPG-2をやはり同じようにロケット化した後裔RPG-7は、いずれも機構が簡略で取り扱いが楽な対戦車兵器として、世界の戦場でまだ現役である。
この取り扱いが容易(事実上のメンテナンスフリーに近い)で安価だという事から、RPG-7は世界中の民族運動・反政府ゲリラの御用達となっている。
南米の麻薬組織は、現在武装を強化しており、ほとんど軍隊のような様相と言うが、軍の保有するこうした安価で管理の甘い兵器を盗み出し、対警察戦闘などに備えようとしていたのだろう。だが、それが何を思ったかなにかの間違いか、盗みすぎて持ち帰れなくなったか、小銭に困ったかは判らないが、この工場に流れて、くず鉄として売り払われようとしたらしい。
まあ、ブラジルというのは、過去にも、「病院に忍び込んで盗み出して来たワケの解らない機械から出て来たコナが、キラキラ光って奇麗」と放射線治療用の放射性物質を部屋に撒いて電気を消して歓んでいてた泥棒が、一家揃って放射線病で病院に担ぎ込まれた話とか、ロクでもない泥棒がトンデモを仕出かす土地柄……と言えなくもないのだが……。
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コメント
確かRPGは圧電素子を使用した、電気信管なので衝撃にはとても敏感なはずです。それをひっぱたくなんて…お亡くなりになった方には同情もするが、笑ってしまうよなぁ。
投稿: もりた | 2006/08/12 10:39
もりた さま
まあ、爆弾とか弾薬とか言うものは、安全装置とか輸送用詰め物で「輸送中に揺れて隣とがちゃがちゃぶつかり合う」程度には当然耐えるとしても、「横に立った人が金槌で直接ブッ叩く」なんてぇ事態は考慮の外でしょうからなぁ。
しかも、金槌としか書いてありませんが、いわゆる片手で釘を押さえてもう片手で使うような「なぐり」ではなく、コンクリ破砕用の柄が90センチぐらいある、両手使いのハンマーとかなんじゃないのかなぁ?
まさに沙悟浄じいさん「宝じゃ宝じゃ〜ィ」の図……。
投稿: 神北恵太 | 2006/08/12 11:01