才能が無さ過ぎだぞ
西日本新聞の2006年10月05日の記事『76歳男「強盗です。お金をください」 郵便局にバール 強盗未遂現行犯 博多署』に、もの凄く才能の無さを感じる。
福岡県警博多署は4日、強盗未遂の現行犯として、福岡市南区の無職の男(76)を逮捕した。調べでは、男は同日午後1時半ごろ、同市博多区美野島4丁目の特定郵便局「福岡南小路郵便局」にバールを持って押し入り、窓口の女性局員(38)を脅し、現金を奪おうとした疑い。
同署などによると、男は「強盗です。お金をください」と郵便窓口の女性局員を脅したが、「貯金は隣の窓口でお願いします」と断られた。言われた通りに貯金窓口に移動したところを男性局員(38)に取り押さえられた。男は抵抗せずにロビーのいすに座って、署員が駆け付けるまでじっと待っていたという。
男は容疑を認め「お金に困ってやりました」と供述している。
金に困って犯罪を犯す。これはいかん事だ。この文章を読んでいる貴方がもし万が一知らなかったとしたらいけないので、あらかじめ教えておくが、人の物を盗ることはいけない。犯罪だ。幼稚園の時に先生だったかシスターだったかが言ってた。
さて、それはさておき、どうせお金を奪うのなら、少なくとも神北恵太を狙ってはいけない。日頃からピーピー言っているスカンピンのサイフの中は、DSドライブ(by伝説巨神イデオン)で使用される亜空間のように、福沢諭吉が光速の何万倍もの早さで通り過ぎて行くような、通常空間とは全く違う独自の物理定数を持つ世界だからだ。
また神北以外でも、通常そこいらへんを歩いている人を適当に狙うというのはお薦めできない。貴方の目をつけた相手が空手の有段者だったりした日には、腕
の一本も変な方向向いて曲がりかねないし、陸上選手だった日には、42.195km走って追いかけて来るかも知れない。いや、貴方は「弱そうなのを狙うつ
もり」かもしれないが、昔から言うように人は見かけによらないから、タチが悪いぞ。
さて、で、その程度にはものを考えたのか、この76歳の強盗は、路上で突然金品をせびったりせず、古式ゆかしく郵便局を狙った。
「強盗です。お金をください」
「貯金は隣の窓口でお願いします」
うむむ。なんという切り返し。こんな切り返しができる郵便局員、ただ者ではないと思うぞ。きっと全逓だな。いや、ひょっとすると違うかも知れんが……。
しかし、この話が凄いのはそこからだ。言われた通りに郵貯窓口の方に回ったというこの謙虚な姿勢。バールを振りかざして優位に立っている筈なのに、指示に従ってしまうこの礼儀ただしさ。しかも、当然居るであろう、だから反撃してくるであろうことは決行以前から判っていた筈の若い局員に、無抵抗で取り押さえられた後、言われるままにロビーの椅子に座って警官をじっと待っている生真面目さ。
我が家では、最近あちこちで散見する、こういう犯罪者を、犯罪の才能が全くない人と呼んでいる。いや、他に呼び様が無いのである。
このケースで才能が無かった点は、まず、この指示されて隣の窓口に回ってしまう謙虚さ。そして、バールを手にしつつも逆に局員に圧倒されてしまう押しの弱さ。
もちろん、そうなったケースを想定した脱出案ひとつ考えてなかった無計画さというのも大きいが、ま、「お金に困ってやりました」という時点で、そこは期待できないのかもねぇ。
とにかく、局員さんも居合わせた客も、誰も怪我一つ無かったようでなにより。
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コメント
なんだか、こういう事件を聞くと切なくなってきます。いや、こういう人も犯罪を犯さないといけない世の中に対してね。
投稿: もりた | 2006/10/07 21:40
もりた さま
うむむ。切ないっすねぇ。
投稿: 神北恵太 | 2006/10/08 02:34