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2007/02/16

貨幣博物館だぞ

 2007年2月15日。長時間会議を覚悟して出かけて行ったのだが、中核メンバーが全員揃わなくて会議が早終わりしてしまい、都内でポッカリと時間が空いた。入館午後4時までという入場時間のため、なかなか訪ねられなかった日銀の貨幣博物館に回ってみることにした。
 この博物館は、日本銀行が1982年に創立百周年を記念して金融研究所内に設置し、1985年11月から公開されている。その収拾物は太平洋戦争の末期に貨幣収集界の第一人者と言われた田中啓文(たなか・けいぶん)氏の収集品「銭幣館(せんぺいかん)コレクション」を譲り受けたみまを中核に、徐々に収蔵物を増し、得に東洋貨幣に関しては世界的にも充実した貨幣コレクションとして知られているそうだ。開館時間9時30分〜16時30分(入館は16時まで)。

 ちなみに、この貨幣博物館のサイトの、貨幣博物館収蔵史料が面白い。ジョサイア・コンドル(河鍋暁斎に弟子入りしたコンデルさん(雅号は暁英)ですな、)による開業当時の本店建物設計図面全52点と、辰野金吾設計による本館の建築時の写真(『日本銀行新築場沿革図』)全17点などという、日本の建築士に取っての重要な史料が掲載されているのだ。コンドルによる設計図は、単なる図面というよりは、施行指示の絵図面と云った趣きで、なかなか面白い。

 この博物館は、日銀本店の道を挟んだすぐ隣、金融研究所の建物内にある。場所的には、日本橋から一本山手線寄り。この近辺には、貨幣博物館の他に、三越も、ポケモンセンターもあり、つまり日本の中枢である。

貨幣博物館看板
貨幣博物館の看板
 些か地味ではあるが、地方の町おこし会館であるまいし、巨大なものをあげる訳にも行くまい。割とセンスのいい看板。

 日本で貨幣が使われるようになる遥か以前の、中国やオリエント・西洋で使われた古代貨幣から集められており、この博物館のコレクションの幅は広い。特に日本の貨幣に関しては、古い時代の僅かな改鋳も押さえており、マニアック。

ランナー
ランナー
 100円で売っている安い子供向けプラモのような、素朴な「ランナー」

 日本が中世世界に於ける最大の金産出国の一つ(たぶん、植民地でない国としては最大だと思う)だったことと関係するのか、日本には世界最大の金貨がある。もちろん秀吉の作った天正大判(天正長大判)。子供のワラジほどはある17センチ×10センチの大きな金貨だ。それも、この博物館に収蔵されている。

天正長大判
天正長大判
 現存する世界最大の金貨

 しかし、いかに金が潤沢に出る国だと云っても、幕藩体制下、経済発展に見合うだけの金貨・銀貨が必ず用意されていた訳ではない。各藩は、拡大する経済に対応するためや、資金を集める一種の証文書きとして、金貨に代わる藩札を市場に投入した。その現物が見られるのも、この博物館の面白いところ。

初期の藩札
初期の藩札
藩札は、かなりの数収拾されている。その当時の印刷技術の最先端で、偽造のし辛い細かな柄を使っていることが判る。

 維新によって、藩札から日本銀行件に、一気に貨幣経済が移った訳ではない。明治政府の下で発行された十両札など、まず、円より前のお札があった。

明治初期のお札
明治初期のお札
 十両の太政官札・一両の東京為替会社紙幣・百文の奈良府札。「為替会社」とは「Bank」の初期の日本語訳。中国語訳の「金銀行」から「銀行」と呼ばれるようになるのは、もう少し先。

 日本銀行の前身となった国立銀行は、全国にあって、それぞれが「第○○国立銀行」と呼ばれ、独立して兌換紙幣を発券していたらしい。今では考えられないが、兌換紙幣は金地金の預かり証のようなものなので、交通未発達の時代にはこういう管理で良かったのだろう。

国立銀行の兌換紙幣
国立銀行の兌換紙幣
 武蔵横浜第二国立銀行の発行「此紙幣持参之人之を何時たりとも壹圓相渡可申候也」と書かれている

 昔語りでよく聞いた神功皇后の肖像入り紙幣もあった。聞いた話では、女性がお札に登場したのは、この神功皇后・2000円札の紫式部・5000円札の樋口一葉の3人だそうだ。マトモにこの神功皇后の肖像を観たのは初めてだがキヨッソーネ(キヨソネ)が伝説の内容と身近にいた市井の女性何人かをモデルに作り上げた女傑のイメージだそうな。

神功皇后
 神功皇后
日本最初の肖像入り紙幣、通称「神功皇后札」の肖像部分。イタリア人、エドアルド・キヨッソーネが原盤を作ったため、西洋人的な容貌となった。

 日本の札だけでなく、海外のちょっと面白いお札も展示されている。いや、このお札は、面白がるべき内容ではないのだが……。
 第一次大戦後ドイツの百兆マルク札。敗戦国ドイツでは、とんでもないインフレに伴って、桁違いな高額紙幣がどんどん作られた。100億マルク・10垓ペンゴ(チェコ)・50億ディナール(ユーゴスラビア)等の超高額紙幣も展示されている。

百兆マルク
第一次世界大戦後の超高額ドイツ紙幣
 1マルクが第一次大戦を挟んで、25億2,000万マルクに下落した。この百兆マルク札は、その象徴。

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コメント

ここで聞いた説明で興味深かったこと。
東洋のコインは鋳造だが、西洋のコインは打ち出しつまり鍛造で作られていたと。近世に至るまで、ほぼ例外はないそうだ。

投稿: 笹本祐一 | 2007/02/16 12:44

笹本祐一 さま

 ほほー。そういう製法の違いがあるのですか。地図のワク線に使えないかと思って、お札の飾り罫とかの意匠ばかり観ていたからなぁ。(^_^;)

投稿: 神北恵太 | 2007/02/16 13:40

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