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2007/02/10

食った食ったぞ

 昨夜、2007年2月9日は久しぶりに、正統メカ・アクションSF軍事ノベルの傑作『オービタル・レディ』でデビューした作家であり、編集者としても活躍中の高嶋規之くんとメシを食った。ジンギスカンが喰いたいということで、「じゃあここだ! ここしかない!」と新宿の北牧場に。

 なんだか、いっぱい肉を食った気がする。

 我が原点の一つたる1977年のアニメ『無敵超人ザンボット3』で、信州の神北家が諏訪湖の近くで営んでいた牧場は通称「神北牧場」。ここは新宿の「北牧場」。共通点は、たぶん中央線沿線。
 だからなんだというワケでは、全くないが……。

 ブームで登場したなんちゃってジンギスカン屋の多くが、少々匂いがキツくなりがちだが取り回しが良い冷凍肉に甘んじている中、ずっと以前から新宿で営業し続けている北牧場は、一貫して生の羊肉を扱っている。一見かなりあっさりとした味。
 しかしシンプルな、羊肉とモヤシと頼めば簡単な野菜、あとは麦飯だけという食事が、こんなに美味いのは何故だろう。オガ炭(オガライト集成炭)らしき火のまわりの良い炭を使う七輪もポイントだろうが、別に客に焼かせている訳だから、焼き具合に秘密があるわけでもない。おかみさんは商売慣れた人だが、大陸からやって来たと思しきちょっと日本語の怪し気な女の子達2人は、ほとんど愛想というものがなく、気さくな雰囲気がどうのこうのという店でもなかろう。
 やはり付け込みなしで後付けさせるタレが美味いのと、肉が美味いというのが、何よりなのだろう。

 で、この北牧場で高嶋君と、食い、かつ、食った。

 話題の何割かは、今度一緒にする仕事の話。彼を通しての依頼で昨年から、『コンプリートアートワークス』という、設定資料集の中で、3DCGを使ったメカ解説仕事をちょくちょくやらせて貰っている。
 『コンプリートアートワークス』は高嶋君がスタジオの倉庫をひっくり返し、かつての製作陣が個人的に保存していた資料を借り出し、使える限り様々な手を講じて今現在これ以上集めることは不可能だろうと言う限界まで集め尽くした設定資料を、片っ端から網羅した、設定資料集シリーズ……と見せてその実、設定資料に留まらず、各話の原画陣まで押さえた放映リストや、商品展開まで、当時のこと、以降の販売物のことで、記録出来るものは全て記録しておこうと言う、なかなか意欲的なシリーズだが、その中で神北がやらせて貰っているのは、当時の記録ではなく新作3DCGを使ったメカ解説。お陰でバイファムのジェイナス号なんかに関しては、かなりウルサイです私。(^_^;)
 今度の話はその流れの3DCG仕事。まだ正式にゴーではないので、打合せという段階までは踏み込めないが、なんだかんだと言う雑談を経て、彼の持っている作品観、メカ観に近付いておくのは、絵にする段階で大きな力になる。もっとも、神北はヘンクツな凝り性のモデリングが売りなので、もちろん言われたまま作る訳ではないのだが……。

 話は自然と、高嶋君が今抱えている何本かの小説ネタの話に。最近「お話を作る」コトに関して容赦のない師匠のもとで修行を積ませてもらっていると言う高嶋君の企んでいるストーリーは、非常に見通しが良い
 この「見通しが良い」ということは、神北が、友人の作家からお話しを聞かされた時に、最も重要視する評価ポイント。もっと簡単に言うと「一言で、何をしたい話か語れるか?」ということでもある。これは、作家が自分の作品のウリを明確に掴んでいるということである。なんでウリを掴めるかと言うと、作家が作品全体を世界観もストーリーの流れも全てちゃんと把握し、コントロールしているからなのだ。
 世界観だけしっかりしていても「設定マニア」になれても「作家」にはなれない。世界観の面白さは作家としての武器だが、武器が戦う訳ではない。武器を持つ作家が、自分のミッションをちゃんと理解出来ているかが一番大きな問題だ。そうでないと、与えられたミッションに最適な武器を選び取れないからだ。友人に何人も作家がいるが、この取り合わせと言うか、何が主で何が従かということを、湧き上がるアイデアの中で見失って、アイデアを活かすためにストーリーを書いているとき、プログラムピクチャー的なお約束に陥るか、さもなくば煮詰まって、行き詰まっている。逆にどんとストーリーがあって、それを活かすために蓄えておいたアイデアのピースを填めて行く時、面白い作品が湧いて来る気がする。
 聞かせて貰った幾つかのアイデアは、今までの、彼が抱えながら消えて行った幾つものアイデアとは、次元が違うまとまりがある。これは楽しみ。

 で、河岸を変えて、近所の喫茶店に移り、最後はやはり最近のアニメや特撮ってどうよという話になっていたりする。やはの、メビウスの話は燃える。10歳ほど年が違うので、見ているアニメや特撮が違っていて当然なのだが、何故か神北のまわりには、生まれる前の作品にもやたらと詳しい年齢詐称者が多い。彼はその中でも特に強者で、ほとんどどの作品の話をしても付いて来れる。てか、神北より余程詳しかったりする。

 結局、19時前に集合して、日付の変わるちょっと前まで、いろんなことを喋り尽くして別れる。面白かった。また、美味い物食いながら話をしましょう。

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