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2007/03/30

サクラ満開だぞ

 昨日、2007年3月29日木曜日は、ちょっと打合せがあって東京まで出た。快晴。駅までの道も気持ち良い。東京ヒートアイランドの中核地区から見ると、山手線の外に出て1段、赤羽を越えて都県境を跨いで1段、都心より2段階は温度が下がるさいたま市でも、結構桜が咲いて来ている。八分から満開と云ったところか。ついつい早めに出たので、桜を眺めながら歩く。

あると
最寄り駅に向かう道沿いのソメイヨシノ。

 平日の昼前だが、子供を連れて「さくら奇麗だねー」なんてやっているお母さんも結構居られる。そうか、春休みだったな……。

あると
こちらは多分ソメイヨシノじゃないんだろうな。葉の後に咲く赤味が強い花。

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2007/03/28

星になった無責任男だぞ

 悲しい。

 言わずと知れた、植木等さんご逝去の話である。

 2007年3月27日の東京新聞の記事『植木等さんが死去 コメディアンで性格俳優』によると、以下のような状況。

 映画「無責任」シリーズなどで知られ、歌手としても活躍した日本を代表するコメディアンで俳優の植木等さんが27日午前10時41分、呼吸不全のため東京都内の病院で死去した。80歳。三重県出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。後日、お別れの会などを開く予定。喪主は長男広司(ひろし)さん。
 1957年から「クレージーキャッツ」のメンバーとして活動。61年に青島幸男さん作詞の「スーダラ節」が大ヒットし国民的人気者に。翌年の「ニッポン無責任時代」に始まる映画「無責任」シリーズで、日本中にブームを巻き起こした。
 テレビのバラエティー番組「シャボン玉ホリデー」では「お呼びでない」など多くの流行語を生んだ。
 歌手としては「スーダラ節」のほかに「5万節」「ハイそれまでョ」などのヒットがある。93年に紫綬褒章、99年に勲四等旭日小綬章。
(共同)

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2007/03/25

TAF2007だぞ

ケロロ小隊 2007年3月22日〜25日の4日間、東京ビッグサイトで開催されている『東京国際アニメフェア(TAF)2007』のフォト・レポートである。

 神北は今年は、22日(木)のビジネスデー初日と、3日目でパブリックデーに切り替わった24日(土)の二回、訪れた。

 もうあと10日も空けずに四月の新番組ラッシュが襲い来るこの時期、アニメフェアでの露出向上に各社、なかなか気合いが入っていた。

 が、やはり会場で一番でかい顔をしているキャラクターの一つが、宇宙から来たカエル型侵略者である事には変わりない。

 ホント、コイツらはどこにでも居るよなぁ。アニメ系のショーだろうが模型系のイベントだろうがオモチャ関連だろうが、おたくショップだろうが街のコンビニだろうが、コイツらに侵略されていないところが無いという恐ろしさ。

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2007/03/24

聖なる漆黒の獣だぞ

「私に、うぬぼれるという行為は存在しない。それは、いかにうぬぼれたところで私の実力にはとうてい及ばぬからだ。そうは思わんか?」
ヤズダギルド皇子

 『黄金の魔女が棲む森 聖なる漆黒の獣』(麻木未穂 860円)徳間書店トクマノベルズEdge

 再びの麻木未穂『黄金の魔女が棲む森』シリーズである。第4巻にあたる今回は、『〜 聖なる漆黒の獣』。舞台はエーラーン帝国の内陸都 市ケルマンに始まり、東方ローマ帝国首都コンスタンティノポリスを経てイステル川を渡り北上、シフの暮らした神狩りの森もほど近い東方ローマ帝国北方の化 外の地へと広がる。

 さて、再び話は、エーラーン帝国(サーサーン朝ペルシア)から始まる。前回登場した2人、ヤズダギルド皇子傭兵スタウロスは、あの事件(前巻のマル ダース皇子が亡くなった事件)の後、王宮に居る。ヤズダギルドは皇帝ヴァラフラン4世の命により都に留まったのだ。スタウロスはそのヤズダギルドと約束し た金貨80枚の報奨金を貰うまでは、この皇子から離れられない。一度、山の宮殿に戻らないと金貨は無いと云われ、ヤズダギルドが都を離れ山に戻るのを待ち わびて……いるつもりが、いつもヤズダギルドのよいオモチャにされているスタウロス。
 一方、コンスタンティノポリスでは、前巻のお話しで親しくなったアルメニアの大貴族マミコニャン家のシャフルナーズ嬢と文の遣り取りをする“夜の親衛隊長”レギウスは、シフの追求を受けつつ困り果てていた。
 キリスト教暦395年、冬。イステル川が凍てつき、フン族が東ローマ帝国領を侵し始める時期を前に、いずれも、仲良くてめでたしめでたしである。……と終わらないのがこのお話し。
 シフのもとにやって来たエーラーン貴族の娘ウェーザクは、身籠っていた。しかし、ルヴァーの助産のもと彼女が産み落としたものは、赤子ではなく、卵の形 をした石だったのである。それを「時の卵」と呼ぶウェーザクは、パンノニアまで行きイステル川を越えて北方の山岳地帯にあると云う神の棲む居城、虚空城へ と赴き、アポルオンなる者にこれを渡して欲しいと言い残し、産褥で命を落とす。袖触り合った以上、その「時の卵」を届けてやろうと、シフは一人旅立つ。
 一方、ウェーザクの異母兄で許婚者のアスパーフバット家の世継ぎファルハードは、突然姿を消した妹を追い、一歩遅れてレギウスの荘園へと至り、妹が死に、シフと言う娘がその意志を継いで旅立った事を知り、後を追った。
 しかし、そのころエーラーンでは、時の卵の中に眠る破壊霊(ガナーグ・メーノーグ)の力を得てエーラーン帝国を、そして世界を手に入れようとする大貴族 スパンディヤード家の世継ぎミフル・ナルセが、惑術によって作り出した生ける土人形ヴォルグスを4人、遥か西の国へと放った。

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2007/03/22

その新語は知らないぞ

 

大塚製薬ソイジョイ(SOYJOY)という健康食品がある。サイトを見ると、特徴として、以下のような事が書いてある。

大豆をまるごと

小麦粉を使用せず、大豆粉だけを生地に使用しているのが大きな特徴です。大豆をまるごと粉にしているので、大豆タンパク、イソフラボン、食物繊維など、大豆の栄養素をあますところなく摂取できます。

自然な甘さ

フルーツをふんだんに使うことにより、果物の自然な甘さが加わり、いままでの栄養食品にない、ナチュラルなおいしさに仕上がりました。

ぽろぽろこぼれ落ちない

適度な噛みごたえを感じる食感は、少量でも満足感を与え、ぽろぽろこぼれ落ちないスマートな食シーンを提案します。

 このサイトやCMで使われている言葉に、神北は違和感を覚えた。

 大豆粉(だいずこ)って何だ?

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2007/03/17

海底の英霊達だぞ

 田中正文(なかまさふみ)さんは、1959年生まれだということは、神北より2歳年上。ベテランのスキューバ・ダイバーにして、世界の失われつつある美しい海底を撮影するカメラマン。この方が、2002年にパラオの海に潜って以来、強く惹かれて撮り続けて来られたのが、海底や、ジャングルの奥に今も残る、太平洋戦争の遺物。多くは、兵器、基地塹壕後、そして生活機器。
 1920年に国際連盟が発足するとともに、戦勝国日本が委任統治する事になった旧ドイツ領、南洋諸島。パラオのコロールに南洋庁が置かれたのは、2年後の1922年。それから僅か20年足らずで太平洋戦争が始まり、戦局極まった1944年3月30日のパラオ大空襲以来、最後までペリリュー島で徹底抗戦を続けた34名が救出される1947年4月2日まで、この南洋の楽園は、戦争の中にあった。

 今、60年あまり経ってなお、重く海底に残る太平洋戦争の証言者達。沈没した軍艦の中に残る英霊達の遺骨を収集する旅を通じて、田中さんが撮り貯めた2万8千枚の写真の中から、選び抜かれた120枚が、このたび、『記録写真集 パラオ 海底の英霊たち』田中正文(並木書房 ¥3800+税)として纏まった。A4版百四十余ページの、見応えのある写真集である。

 神北は、この中に2点、写真の撮影地点を総覧する地図図版を提供させて頂いた。架空戦記の作戦経路を描いたうそ地図の仕事も多いが、地図図版の作成者としてこれまでにも度々、戦史解説書の類も手伝わせて頂いている。だが、今回のこの本はその中で特に重い。
 プロの写真家の精緻を尽くした撮影により鮮烈に捉えられた、楽園に点在する兵器の残骸が、美しければ美しいだけ、沈鬱な何かをもって我々に語りかけて来る。

 海底写真を撮るスキューバ・ダイバーだった田中さんが、なぜここまで、太平洋戦争の残骸に集中して行ったのか。沈没艦艇の中に入るために、閉所での長時間潜水作業を可能とする閉鎖循環式潜水器具まで使われるようになって行ったのか。120点の写真を通して、その想いが少しずつ見えて来る。

 太平洋戦争の事を特にご存じない、興味ないと云う向きにも、一度、手に取って見て頂きたい写真集である。

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2007/03/16

コンビナートだぞ

コンビナート

コンビナート(「結合」を意味するロシア語 kombinatкомбинат から)とは、企業相互の生産性の向上のために原料・燃料・工場施設を計画的・有機的に結び付けた工業地域または企業集団のことである。 元々は旧ソ連で計画的に配置された工業地域のことであったが、石油化学工業や鉄鋼業などで、原料や製品を有機的に結び付けた工場の集合を指すようになった。

なお、日本ではその代表は石油コンビナートである。石油コンビナートとは、厳密には石油化学工業・石油精製工業に関する上述の工業施設の集合体をさすが、石油精製工場(石油化学工場が近接していないもの)や石油貯蔵施設など、概観がそれに似ている石油関連施設も、「コンビナート」または「石油コンビナート」と俗称されることが多い。

日本の主な石油化学コンビナートの所在地は、市原市姉崎地区・五井地区、袖ケ浦市川崎市四日市市堺市高石市倉敷市水島地区、大竹市岩国市周南市徳山地区、大分市鶴崎などである。

 四日市付近で生まれ育った神北にとって、コンビナートとは、子供の頃から見慣れた、普遍的に身近に存在してしかるべき産業の礎だった。なんせ、四日市のコンビナートは中核となる塩浜の第一コンビナートから霞の第三コンビナートまででも8キロ以上。その更に外側に位置する、鈴鹿川河口の南側河岸の昭和四日市石油のタンクヤードから朝明川河口の北側河岸の川越火力発電所まで考えると、実に11〜12キロ、四日市市の海岸線ほぼ全てに相当する長さにわたり、いくつもの漁港や積出埠頭などを挟みつつ、ほぼずっと、視界のどこかにガスタンクや精油塔や巨大な煙突が入り続ける。

 この石油工業地帯に起因して、四日市という街には、今も四日市ぜんそくとか公害の街とか言う負のファーストインプレッションがつきまとう。硫黄酸化物に対応する脱硫装置が各工場に設置され始めて既に35年以上。同じ石油コンビナートを擁しながら、川崎がちゃっかりと「コリアンタウンがある街」「焼肉のおいしい街」なんていう明るそうなイメージに衣替えしたにも拘らず、なんか四日市と云うとまだ「空気が悪い」と思っている人が多いみたいなのにちょっと腹が立つが、しかしそんな事とは別に、コンビナートとともに暮らし、立ち並ぶ煙突や夜空に明々と灯るフレアスタックを故郷の景色として、神北は育った。

 そういう、工業地帯っ子の魂を鷲掴みにして、マグニチュード7以上に揺さぶる美麗な写真集が出た。

 石井哲写真大山顕『工場萌え』(東京書籍 1900円(税別))である。

 (ついでに、同じ石井さんのDVD『工場萌えな日々』も紹介しておこう)

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2007/03/14

アニメの国が消えて行くぞ

 日本のアニメーション文化、アニメーション産業というものは、滅ぼうとしているのではないか? ……と、神北は考えている。しかしそれは、間接的には何らかの影響があるのかもしれないが、脅威とされているアニメーターの賃金環境の劣悪さや、中国・韓国を筆頭とするアジア各国のアニメ産業の成長などと云う、真っ当な競争社会の帰結としてではない。
 たしかに、手塚治虫さん率いる野武士達によって最初の国産テレビアニメが立ち上げられたその時から、安い制作費は日本のアニメ産業の要であったし、最大の問題点であった。他国に真似の出来ない安価で品質の高い作品を世に送ったが、あまりの過酷さから有意の人材が幾人も去って行ったし、命を落とす事すらあった。

 HOTWIRED JAPAN の連載記事『浜野保樹の「日本発のマンガ・アニメの行方」』第15回「日本のアニメーターは、どれほど貧しいか」(これ、記事に発表日付が無いのよね。多分2〜3年前のものだと思うけど、これだから信用出来ないんだ HOTWIRED JAPAN は……。)によると、この劣悪さは、アメリカの動画マンの週給が、日本ではほぼ月給にあたるレベルだと云う。

 それがいかに低いものであるかは、第13回に紹介したがアメリカの組合(The Animation Guild, Local 839 IATSE)の最低賃金と比較してみればわかる。関連する部分を再録しておく。
 「動画(inbetweener)は、「最初の6ヶ月」は時給なら23.089ドル、週給なら「5日で40時間」で923.56ドル、「ベテラン」で時給24.674ドル、週給で986.96ドルとなっている。」
 時給なので出来高払いと比較はできないが、ハリウッドでは動画の新人の時給約2500円で、日本の組合の要望額、月額124,960円を割ると50時間となり、アメリカでの週給がほとんど日本の月給となっている。
 さらに、日本の組合が提示している額は努力目標にすぎないが、アメリカのは強制力があり、それに会社が従わない場合にはピケをはられたり、組合員のサボタージュなど、激しい労働争議となる。一方で、職業別組合に所属しないと、ハリウッドでは仕事ができないし、会社も雇えない。

 ちなみに、この日本の組合の「要望額」というのは、映画演劇関連産業労組共闘会議が2004年11月10日に社団法人日本民間放送連盟に提出した「要望書」の中の「テレビアニメーション制作に関する要望」のことで「新人アニメーターの最低(保障)賃金(時間額710円×8時間)×22日=月額124,960円」「動画マンのモデル賃金 動画一枚250円×月450枚+月保障5万円=月額162,500円」「原画マンのモデル賃金 1カット3500円×月40カット+月保障7万円=月額210,000円」という、花形産業とは思えないような慎ましやかな「要望」のことである。
 社会に出て数年、20代なかば〜30代。家庭を持ち始め、人によっては子供も……という状況で、月給16万〜21万円。ファミリータイプのアパートラスマンションが7万〜15万ほど掛かる東京で暮らすには、これでも十二分に厳しい筈だが、現状はこれより随分と低い事も多いだろうし、生活費を減らすため地方に逃げ出そうにも、アニメ制作会社のほとんどが東京に集まっている日本では、それはほとんどの場合、アニメーターという職からの撤退を意味する。

 確かにこれは、労働条件としてゆゆしき状況だ。しかし、だからといって、このままある日全てが消し飛ぶなどとは思えない。産業の中核であるアニメーターは日本から海外に比重が高まり、産業として大きくなったそれぞれの国で質の高いオリジナル作品が作られるようになると、日本は、アニメーション産業のリーディング国家という今の地位からどんどん下がって行くかもしれないが、一気にそれが起こる訳ではない。日本には、そして日本のアニメ業界には、四十数年の歴史と底力がある。その力が、アニメーションを支えるため、唐突なハードランディングとはならず、軟着陸まではまだまだ時間が取れる。対応の時間はある。その間、日本製アニメを支持し、資金的にも支えられるだけのアニメファンの層が、今の日本にはあるのだ。

 で、本題である。
 このアニメの支持層が、今、急速に消えようとしているのではないか? それが、神北が危惧するところである。
 さて、みなさんに質問である。現在、アニメがどのように作られ、どのように配信されているかご存知だろうか?

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2007/03/11

それダメぢゃん! だぞ

 Suicaというカードがある。首都圏(〜関東圏)のJR東日本で使えるチャージ式のICカードで、改札でタッチすれば勝手に料金をカードから引き落としてくれると云うスグレもののカードである。
 プリペイド式で切符自販機で使えたオレンジカード、同じく切符も買えたしプリペイド式で定期のように自動改札が通れたイオカードに変わり、今や、Suicaは首都圏でJRに乗る人々には必須のアイテムとなりつつある。

 関西圏では同等のJR西日本のICOCAがあるので、そちらの地方の皆さんにもこのシステムは割とおなじみであろう。
 JR東日本のクレジットカード VIEWカードと一緒になってSuicaの残金が一定額より少なくなると、改札通過時に自動的にクレジットカードでチャージするオートチャージ機能等を備えた VIEW Suica というものもあって、これがあれば、駅で券売機の前に立つことなく、いつでもスイスイ改札を通れる。……というのがウリ。

 で、今度、来週の日曜日、2007年3月18日より、関東圏の地下鉄・私鉄・バス等が作った同様のシステム PASMO と繋がり、システム的に同一のものとして、 Suica 一枚でJR・私鉄・地下鉄・バス等、百数社の交通機関に乗れるようになる。

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2007/03/07

おばあさんの思い出だぞ

 神北の祖父・祖母は既にみな他界している。が、今日ここで思い出を語りたいのは、実の祖母のことではない。

 武知杜代子さんのことを語りたい。

 武知杜代子(武智豊子とも) 1908/08/25〜1985/07/18(明治41年〜昭和60年)享年76歳。女エノケンと呼ばれた浅草芸人。芸達者を買われて昭和の映画界・テレビ界に進出し、多大な功績を残した。
 1977年、70歳近くになってから、アニメ声優として、『無敵超人ザンボット3』の主人公一家の祖母、神梅江を好演。

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2007/03/06

銀星号だぞ

「あの銀星号に信号を送ってくれ。文面は『貴船ノ航海ノ無事ヲ祈ル。貴船ハ奇跡ノ船ナリ。ソノ責務ヲ全ウセシコトヲ我等ハ確信スルモノナリ』。通信派ではなく発行信号でだ」(高速定期旅客船『カラフル・メリイ』船長)

 退役軍人ハヤト=フォーゲルスト=ナグモとハインツ=クノール=キャンベル(なんてスープっぽい名前だ!!)は、先に終結した戦争で全滅に近い被害を被った帝国軍機動戦闘隊、一○九戦闘隊の数少ない生還者。仲間内で金を出し合って買った宝くじが大当たりし、生き残ったこの2人のフトコロに22億クレジットが転がり込んだことから、口さがないマスコミに良いようにオモチャにされたり、とんでもない騒動に巻き込まれていたが、やっと審判の場で身の潔白が決し、念願だった船を買い、自分たちの輸送会社を立ち上げた。
 とはいえ、会社のメンバーは、船長のハヤトと一等航海士のハインツ、そして、ひょんなことから客室乗務員(キャビン・アテンダント)に就任した少女、リアン=マッケンジー=カルミンの3人だけ。この20歳前後の3人、宇宙船銀星号の制御AIのクララを合わせても4人しかいない会社で、しかも、頼みの銀星号は、かつての帝国軍の殊勲艦だが、損傷・放棄されていたものをサルベージし、実に120隻に及ぶ同様の艦船からの部品を組み合わせたという、いわく付きの船。
 さて、今回彼らが飛び込む命がけのミッションは、特殊な麦の病で惑星の主要産業が滅びようとしているリアンの母星でもある農業惑星バレリアへ、1万2千トンの殺菌剤を輸送することだ。しかし、この殺菌剤ニトロ・バイセルス・ナトリウムは、極めて高性能爆薬に似た不安定な科学式を持っており、安定剤のお陰で比較的安定しているとされる製造直後はともかく、製造から2年を過ぎるものは貯蔵タンク内で変化を始め、いつ大爆発を起こすかわからない危険物質に成り代わっている。コンテナ一つ一つに液体窒素を満たした多重断熱コーティングを施して冷却装置を着けても、放射線・光線・電磁波・物理的なショックにかなり弱いことは間違いない。しかも、戦時下の物資統制のため5年間凍結保存のまま残されていたこの1万2千トンが、この宇宙で唯一、残っているニトロ・バイセルス・ナトリウムなのだ。化学工場に新たに製造ラインを整えて生産するには時間がかかり過ぎる。今、死にかけている星を救えるのは、銀星号しかないのだ。
 はたして、彼らは無事、7つのタンホイザー・ゲートを抜けて、バレリアへ辿り着けるのか? ハヤトたちの冒険が始まる。

 『若き女船長カイの挑戦』以来、なんだか、輸送業者が主人公のスペオペづいている神北である。今回ご紹介するのは『銀星みつあみ航海記 LOG.01 彼女が家出した動機』鷹見一幸(角川スニーカー文庫 ¥590)。これは、軍を退役したばかりの超絶技巧の天才パイロットと相棒のナビゲーターが中古船を買い、たまたま知り合った少女と買った船に付いて来たAIを合わせてもたった4人で切り盛りしているという、なんとも小さな会社、銀星運輸を舞台にした、鷹見さんの新作である。

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2007/03/02

外来種に駆逐されるぞ

 西日本新聞2007年3月2日の記事『「白いかもめ」絶滅させるな 新幹線反対の鹿島市長 長崎線存続の象徴に』は、笑っていいものやら、真剣に考え込むべきやら、判断に苦しむ内容。

 九州新幹線西九州(長崎)ルート着工の前提条件である並行在来線(JR長崎線)の経営分離に反対している、佐賀県鹿島市の桑原允彦市長は1日、定例市議 会で、長崎線を走る白い車体の特急「かもめ」を動植物の絶滅危惧(きぐ)種に例えて「『白いかもめ』を絶滅させてはならない」と述べ、存続運動のシンボル にする考えを示した。

 このアイデアを桑原市長に提案した市民グループは、「白いかもめ」を掲載した「鹿島市版レッドデータブック」と称する存続運動の啓発パンフレットも作製予定。市は、東京などでの要望活動に活用する方針。

 JR九州の運行案によると、博多‐長崎間の特急は経営分離後、博多から肥前鹿島までとなり、便数も5分の1以下に激減。肥前鹿島‐諫早(長崎県)間は経営を引き継ぐ第3セクターが普通列車を運行する。

 所信表明で、桑原市長は「経営分離で(JR線が)第3セクター経営になった地域は、懸命な取り組みにもかかわらず衰退している」と経営分離への反対理由をあらためて説明。「『白いかもめ』を市の絶滅危惧種に指定する」と宣言した。

 言っていることは非常に重要で重大なこと。佐賀新聞『かもめ号は“絶滅危惧種” 桑原鹿島市長が宣言 や読売新聞『特急「白いかもめ」絶滅危惧種に…存続求め鹿島市長宣言』も同じことを伝えている。

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旅は良いぞ

電車の席 何もかも、あらゆるものを放り出したくなるほど疲れ果てた時、人は、旅に出たくなる。家庭の些事も、明日の仕事も、毎週楽しみにしているテレビ番組も、すべて忘れ、気ままな旅に出たくなる。

 それは別に距離的には、小さな旅で良いのだ。時間的には、短い期間で良いのだ。

 ただ、うつし世の事を忘れ、ことわりを忘れ、汽車の座席に座って、心地よい揺れに身を任せたい。

 そんなことを考えた、神北夫婦と塩坂くんは、誘い合って、短い旅に出た。

 目的地というほどの所はない。

 何をしたいというほどのビジョンもない。

 ただ、ただ、座席に座って、列車のコトン、コトコトンという音に身を委ね、心を委ねて、「今」から、世間の常識から、しがらみから、悩みから、忸怩たる思いから、いろんなものから、ちょっと離れてみる列車の旅。

 べつに、今の自分に嫌気がさした訳じゃない。

 べつに、今の仕事に行き詰まった訳でもない。

 べつに、今抱え込んだ悩みに潰されそうな訳でもない。

 でも、澄み渡った青空をこの眼で見たら、清冽な空気をこの肺に吸い込んだら、空の青さがしみ込んで来て、くすんだ心が澄んで来るような気がした。

 そうしたら、悩みに立ち向かえる。そうしたら、明日に立ち向かえる。

 そんな、気がした。だから……

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