外来種に駆逐されるぞ
西日本新聞2007年3月2日の記事『「白いかもめ」絶滅させるな 新幹線反対の鹿島市長 長崎線存続の象徴に』は、笑っていいものやら、真剣に考え込むべきやら、判断に苦しむ内容。
九州新幹線西九州(長崎)ルート着工の前提条件である並行在来線(JR長崎線)の経営分離に反対している、佐賀県鹿島市の桑原允彦市長は1日、定例市議 会で、長崎線を走る白い車体の特急「かもめ」を動植物の絶滅危惧(きぐ)種に例えて「『白いかもめ』を絶滅させてはならない」と述べ、存続運動のシンボル にする考えを示した。
このアイデアを桑原市長に提案した市民グループは、「白いかもめ」を掲載した「鹿島市版レッドデータブック」と称する存続運動の啓発パンフレットも作製予定。市は、東京などでの要望活動に活用する方針。
JR九州の運行案によると、博多‐長崎間の特急は経営分離後、博多から肥前鹿島までとなり、便数も5分の1以下に激減。肥前鹿島‐諫早(長崎県)間は経営を引き継ぐ第3セクターが普通列車を運行する。
所信表明で、桑原市長は「経営分離で(JR線が)第3セクター経営になった地域は、懸命な取り組みにもかかわらず衰退している」と経営分離への反対理由をあらためて説明。「『白いかもめ』を市の絶滅危惧種に指定する」と宣言した。
言っていることは非常に重要で重大なこと。佐賀新聞『かもめ号は“絶滅危惧種” 桑原鹿島市長が宣言』 や読売新聞『特急「白いかもめ」絶滅危惧種に…存続求め鹿島市長宣言』も同じことを伝えている。
「白いかもめ」こと、JR九州の885系特急 KAMOME LIMITED EXPRESSは、0系新幹線をRX-78ガンダムと見て、100系をアレックス、200系を試作1号機、300系をステイメン、500系をMarkIIと見たとき、別系統で進化して来たRGM-79SCジムスナイパーカスタムぐらいにあたる車種。(というたとえ話のわからない人・たとえることに憤慨する人、ごめんなさい。僕、鉄分の変わりにルナチタニウム分が高い人なんです。 ちなみに、このたとえだと、第二世代MSにあたるΖガンダムは今、甲府辺りの試験路線を走っていることに……)
この新幹線とバーターでJR在来線が途絶えるというのは、今後、日本列島のあちこちで発生しそうな問題だ。第三セクターが引き継ぐと云うが、引き継いだ第三セクターの多くが数年で事業放棄し、結局、新幹線に乗らないとどこへも出て行けない、陸の孤島になってしまうということは、大いに考えられる話。
この鹿島市は、有明海の湾奧。佐賀から鹿島・諫早と経由して長崎に至る長崎本線以外のJR在来線は、半島を挟んだ反対沿岸の大村線まで、15キロも離れてしまう。長崎空港やハウステンボスのある長崎県大村湾沿岸のほうと較べ、生活の利便性において極端に格差が出来て来ることは明白。
こうして日本の田舎が、交通の便と言う理由だけで更にど田舎化し、やがて商業的にも規模を小さくして行き、住み辛くなって、気がついたら、偏りのせいで日本列島が狭くなっていると云うことは、良くないよなぁ。
ま、1980年代に国鉄民営化に反対した人たちの理論がある意味正しかったってコトなんだろうが、「だから仕方ない」「あのとき決断したんだから」じゃあないと思う。対応策を練るべき時だ。
鹿島の人たちの、「かもめの次は街が絶滅しかねん」という危惧は、人口がどんどん減るが人々の快適な都市生活を望む気持ちは高まって来る、これからの日本のあらゆる田舎で、明日起こりうることなのだから。
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コメント
地方ローカル線の経営難問題は、各地で深刻になっていますね。廃線となれば、公共交通手段はバスのみとなってしまうのですが、最近はこんな物も研究されているんですね、でもこれ、いざ実用となると色々ハードルがありそうで。
http://www.jrhokkaido.co.jp/new/dmv/index.html
投稿: N | 2007/03/03 00:15
N さま
ああ、DMV、良いですよねぇ、これ。
工事車両では、トラックで軌道走行&タイヤ走行の切り替えが出来るモノが、既に広く使われてますが、何人もの作業員に囲まれて、時間をかけてレールへの乗り降りをしているんですよね。
DMVはその作業をどのぐらいの手間で出来るのか、その手間は列車を走らせるのよりどのぐらい安価に済むのか、手間と費用の両面で、まだちょっと心配ですねぇ。
投稿: 神北恵太 | 2007/03/03 01:38