偽装は犯罪だぞ
黒岩涙香の翻案『巌窟王』でも知られる『モンテ=クリスト伯』。これを書いたアレキサンドル=デュマ=ペール(大デュマ)の言葉に、「確かにパクったさ、でも俺の方が面白い」というものが在る。
他人のアイデアを自分のものとして発表するのだから、確かに仁義は欠く。創作家としてアイデアを面白い形に作るのは性と言うしかないが、原稿料をもらう職業小説家としてそりゃどうよという発言だ。
だが、あの波瀾万丈の小説を書いたデュマなればこその、横紙破りの破りっぷりを示す言葉として、「でも俺の方が面白い」は、今に伝わっている。
これと似た言葉をニュースで読んだ。もちろん、ちょっと文脈の形が似ているだけで、背景が違うとこうも駄目な言葉になるかという典型の言葉だ。Asahi.comの2007年6月25日の記事『ワンマン社長「混ぜれば逆にうまくなる」 ミンチ偽装』だ。
「雲の上の人だから、何も反対できなかった」。ミートホープ社の工場長は、田中稔社長についてこう語った。創業社長のワンマン体制で、様々な偽装に手を出したミート社。その「錬金術」の解明に、道警が乗り出した。
ミート社の元役員らによると、幹部社員らが数年前、田中社長から肉の塊を食べさせられ、「何の肉か分かるか」と尋ねられたという。豚や鶏など様々な肉を混ぜて最後に牛脂を入れ込んだ肉だった。牛肉の味しかせず、素材を言い当てた社員はいなかった。田中社長は満面の笑みで「混ぜてしまえば逆にうまくなる」「発想力だよ、発想力」と言ったという。
——後略——
うむむ。酷い話だ。デュマの「でも俺の方が面白い」とは天と地の差。「混ぜてしまえば逆にうまくなる」は真実だったかもしれん。そこを検討した訳でない以上、味がどうだったかはどうこう言う気はない。
が、「牛挽き肉」と書いて「合挽き肉」ってのは、食品偽装表示だよ。
いや、腐臭のする古い肉を殺菌して獣血を混ぜたってのは、「合挽き」どころの話じゃないよなぁ。もっと悪質。
それを、悪びれずに「発想力だよ、発想力」と言ってしまう食肉業者。
まず、食い物を扱うなよお前たちは!
むー。ハンバーグ好きの天敵だなコイツは。
許すま〜じっ!!
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