人買いだぞ
2007年6月14日の東京新聞の記事『子供1000人が強制労働 中国山西省』に口あんぐり。
【北京14日共同】中国夕刊紙、北京晩報は13日、中国山西省臨汾市などのれんが焼き窯に1000人以上の子供がだまされて連行され、強制労働をさせられていると伝えた。同市では8日にも、大人の労働者31人が1年以上監禁されていた事件が明らかになったばかり。
自分の子供を救出した父親らがインターネット上で児童労働の悲惨な実態を告発したのがきっかけで、地元当局の対応への反発が広がっている。
同紙によると、子供たちは河南省鄭州市の駅などで連行され、山西省臨汾市や運城市など窯が集中する地域に500元(約8000円)で売られた。窯は1日 14時間労働で、食事も十分に与えられず、監視役から暴行を受けていた。最年少は8歳で、7年間も働いている子供もいた。
父親らの告発がネットに掲載されると、6日間で58万件のアクセスがあった。
なんっちゅうか、まだこんな闇の部分がある国で、来年オリンピックなんて出来るんかいなという気にさせられる。まぁ、だからこそこの時期、国家イメージ刷新の為に警察なんかも積極的に動き、こんな根深い事件もガンガン報道され、解決へ向かったのだろうが。
同件を報じた2007年6月14日の朝日新聞の記事には、「少年は鄭州市の駅などでだまされ、れんが工場の集中する山西省臨汾市や永済市に連れて行かれ、」という記述があるから、ホントに盛り場をふらついている子供をさらっていって売り払う人買い、人攫いが居るんだね、彼の国には。
父親400人がネットで訴えたことから、まずは2ヶ月で40人が実際に奪還されたらしい。これはネットの良い面の一つだろう。もっとも、調べていくとマイナス面として、人身売買システム自身もネットに乗っていて、物理的に離れた地方間でも注文・仕入・納品の連動が取られていたりするのかもしれないが……。
ちなみに2007年6月15日の時事通信の続報記事に拠ると「河南、山西両省は15日までに労働者や未成年者379人を救出した。」というから、そこから1日で更に事態が動いたようだ。
それにしても8歳。小学校2年生の子供なんてどう考えても腕力と体力の要りそうなれんが工場で使い物になるとは思えない。とにかく若いうちに確保しておいて余計な知恵を付けさせないようにし、従順な奴隷を育てようと言う、悪意と云うにも計算高すぎる考えが透けて見える。
ショッカーかお前は……。
しかし、上記の時事通信の記事によると「公安当局などは数百に上る山西省の闇工場の全容解明を急いでいる。」という話だ。数百軒のリストもない闇工場を探すだけでも一苦労だなぁ。れんがなんて重いものを作るからには、相当量の原料と製品の出入りのため工場はトラックが通れるそこそこの道に接しているとは思われるが、全部を探し出して被害者を捜し出すのは、まだまだ時間がかかりそうだ。
山西省というのは中国全体から見ると、沿岸州ではないものの、西域方面のような、何百キロ走ってもアジアど真ん中と云う感じの地域ではない。首都北京から西へ300〜500キロほどの山国。北は万里の長城を挟み内モンゴル自治区、東は太行山脈を挟んで河北省、南は黄河を挟んで河南省、西は北上した黄河を挟んで陝西省に接している。しかし、黄土高原と呼ばれるこのあたりは降雨量が少なく水不足が深刻、国内需要の1/4を生産する炭坑が最大の産業だが、貧困層が多いことでも知られているようだ。
北京に近いだけに、主に収入格差に起因する都会との文化な差異が鼻について、違法なことをしてでも金を稼いでやろうと云う気になったのだろうか?
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
児童の重労働というと、産業革命後のイギリスを思い出します。
たしかあのときも、炭坑やレンガ工場で働かされていました。
中国とイギリスはいろいろと因縁浅からぬ間柄ですし、近代化を押し進める中国が18、19世紀のイギリス産業界を思わずトレースしてしまったわけですね。
投稿: N | 2007/06/17 15:28
N さま
教育が次世代の国を作るということが解らなくなると、可哀想ですねぇ。
投稿: 神北恵太 | 2007/06/18 14:10